ソニーから高級タイプの新しい高倍率ズームコンデジが登場! ソニーは、光学30倍ズームレンズを搭載する新しいコンパクトデジカメとして、「サイバーショット DSC-HX90V」(以下、DSC-HX90V)と「同 DSC-WX500」(以下、DSC-WX500)の2モデルを2015年6月5日より発売する。いずれも、光学30倍ズームレンズを搭載するコンデジとして世界最小サイズを実現したのが特徴だ(※2015年5月19日時点)。それだけでなく、1インチセンサー機「サイバーショット RX100シリーズ」(以下、RX100シリーズ)のデザインと操作性を取り入れているのも注目点で、高級コンデジのような雰囲気を持つカメラとなっている。その基本的な特徴を紹介しよう。
左が上位モデルのDSC-HX90V、右がDSC-WX500
左がDSC-HX90Vで、右がDSC-WX500。奥行は両モデルとも35.5(奥行)mm。DSC-HX90Vのほうが幅が0.4mm大きく、重量が9g重いだけで、サイズ・重量の違いはほとんどない
DSC-HX90Vは、高倍率ズームレンズを採用する「サイバーショット HXシリーズ」のニューモデル。RX100シリーズを彷彿とさせるデザインのコンパクトボディに、本格的な撮影をサポートする機能と操作性を搭載したのが特徴だ。
レンズには、35mm判換算で広角24mm〜望遠720mmの画角をカバーする、光学30倍ズーム対応のカールツァイス「ZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ」(開放F値:広角端F3.5、望遠端F6.4)を搭載。センサーは、有効約1820万画素の1/2.3型Exmor R CMOSセンサー(裏面照射型CMOSセンサー)で、画像処理エンジンは、ディテールリプロダクション技術や回折低減処理などを搭載する「BIONZ X」だ。感度はISO80〜ISO3200に対応。マルチショットNR時はISO6400とISO12800も選択できる。2014年3月発売の下位モデル「DSC-HX60V」と比べると、レンズがGレンズからカールツァイスレンズになったのがポイントだ。さらに、有機ELデバイスを使った電子ビューファインダー「OLED Tru-Finder」(約63.8万ドット、0.2型)を内蔵するのも特徴。RX100シリーズの最新モデル「DSC-RX100M3(RX100 III)」と同様に、ポップアップしてから引き出すタイプの内蔵ファインダーで、持ち運ぶ際はボディに収納しておくことができる。
DSC-HX90Vは、光学30倍ズームレンズと収納式のファインダーを搭載しながら、非常にコンパクトなボディにまとまっている。そのボディサイズは102.0(幅)×58.1(高さ)×35.5(奥行)mmで、重量は約245g(バッテリーNP-BX1、メモリースティック デュオを含む)。30倍以上の光学ズームレンズとファインダーを搭載するコンデジとして、世界最小サイズを実現している(※2015年5月19日時点)。
本格的な撮影をサポートする機能と操作性を搭載するDSC-HX90V。ホールド性に配慮したグリップが設けられている
ボタンレイアウトはRX100シリーズとほぼ同じ。ファンクションボタンも搭載されている。背面から見るとRX100シリーズのモデルと見間違えるほどよく似ている
収納式の電子ビューファインダーを装備。RX100 IIIと同じポップアップ式だが、RX100 IIIと異なるのは、ファインダー収納時の電源オフ機能をユーザーが選択できること(RX100 IIIは強制的に電源オフになる)
DSC-HX60Vと同様、ISO80〜ISO3200の感度に対応。マルチショットNR時はISO6400とISO12800も選択できる
性能面では、オートフォーカスシステムに、35mmフルサイズミラーレス一眼「α7シリーズ」に搭載されている「ファストインテリジェントAF」を採用。「α7シリーズ」の「空間被写体検出」アルゴリズムを進化させ、合焦時間約0.09秒の高速オートフォーカスを実現している。連写性能は、最大画像サイズかつメカニカルシャッターで最大10コマ/秒と、こちらも高速だ。
「α7シリーズ」に採用されている「ファストインテリジェントAF」を搭載。測距枠を自由に移動できるフレキシブルスポット(S/M/L)を利用できる。さらに、選んだ1点でピント合わせができない場合に、周囲のフォーカスエリアをピント合わせの第2優先エリアとして利用する「拡張フレキシブルスポット」にも対応している
操作性にも特徴があり、RX100シリーズと同様、レンズ部にコントロールリングを装備。リングを回すことで、ズームや絞り値、シャッタースピードなどをダイレクトに変更することが可能だ。リングに割り当てる機能をカスタマイズすることもできる。また、光学ズーム時の倍率を段階的(14段階)に変更できるステップズームにも対応。グリップも装備しており、ボディをしっかりとホールドして撮影できるようになっている。液晶モニターは、上方向に約180度回転できる3.0型タイプ(4:3、約92.1万ドット)。モニターをくるっと回転させて、自分撮りも行える。
レンズ部にコントロールリングを装備。ステップズームにも対応している
上方向に約180度回転できる3.0型液晶モニター(4:3、約92.1万ドット)
絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアル露出に対応
動画撮影機能も充実しており、1920×1080/60p記録に対応するうえ、動画記録フォーマットとしてXAVC Sもサポート。XAVC S選択時は、ビットレート50Mbpsでの1080/60p記録が可能だ(XAVC S時の音声記録フォーマットは、非圧縮のリニアPCM)。また、動画撮影時の手ブレ補正機能として、5軸手ブレ補正(電子補正含む)に独自のフレーム解析技術を加えた「インテリジェントアクティブモード」を搭載している。
このほか、機能面では、Wi-Fi/NFCやGPS機能を装備。アプリを追加して機能を強化できる「PlayMemories Camera Apps」にも対応している。対応する記録メディアは、SD/SDHC(UHS-I対応)/SDXC(UHS-I対応)、メモリースティックDuo/PRO Duo(High Speed対応)/PRO-HG Duo。対応バッテリーは「NP-BX1」で、1回の充電での撮影可能枚数は約380枚。
ポップアップ式の内蔵フラッシュを搭載。調光範囲は、ISO自動時で約0.3〜5.4m(広角端時)/約2.5〜3.0m(望遠端時)。なお、電子ビューファインダーと内蔵フラッシュの採用により、「DSC-HX60V」にはあった「マルチインターフェースシュー」は非搭載となっている
こちらは、コンパクトなハイズーム機「WXシリーズ」の新モデルで、光学30倍ズーム対応のカールツァイス「ZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ」など、DSC-HX90Vの基本性能を継承。異なるのは、ファインダー、コントロールリング、グリップ、GPS機能、画質調整機能(「クリエイティブスタイル」や「Dレンジオプティマイザー」など)の有無。それ以外のところは、「DSC-HX90V」と同じ性能・機能を搭載している。
ボディは、グリップがない分、よりRX100シリーズに似たデザインとなっている。DSC-HX90Vよりもわずかにコンパクトになっており、サイズは101.6(幅)×58.1(高さ)×35.5(奥行)mmで、重量は約236g(バッテリーNP-BX1、メモリースティック デュオを含む)。光学30倍ズームレンズを搭載するコンデジとして世界最小サイズを実現している(※2015年5月19日時点)。
対応する記録メディアは、SD/SDHC(UHS-I対応)/SDXC(UHS-I対応)、メモリースティックDuo/PRO Duo(High Speed対応)/PRO-HG Duo。対応バッテリーは「NP-BX1」で、1回の充電での撮影可能枚数は約400枚。
光学30倍ズームレンズを搭載するコンデジとして世界最小サイズを実現したDSC-WX500
レッド、ブラック、ホワイトのカラーバリエーションが用意される
光学30倍ズーム対応のカールツァイス「ZEISSバリオ・ゾナーT*レンズ」を搭載。コントロールリングは非搭載となる
DSC-HX90Vと同様、上方向に約180度回転できる3.0型液晶モニター(4:3、約92.1万ドット)を採用。自分撮りもできる
グリップ部には、細い溝が設けられている
DSC-HX90Vと同様、絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアル露出に対応
DSC-HX90Vと同じく、カスタムキーの設定が可能なほか、ファンクションメニューも利用できる。ただし、クリエイティブスタイルやDレンジオプティマイザーなどの画質調整機能は省略されている
ソニーは、これまでも、「HXシリーズ」と「WXシリーズ」で、光学20倍以上のズーム倍率を持つ高倍率ズームコンデジを積極的にリリースしてきたが、今回の新モデルDSC-HX90VとDSC-WX500は、これまでとはテイストが異なるモデルだ。人気の1インチコンデジRX100シリーズのデザインを取り入れたことで、より高級感のあるカメラに進化を遂げているのだ。操作性でも、ファンクションメニューを採用するなど、RX100シリーズと共通している部分が多く、よりダイレクトな設定変更(およびカスタマイズ)が可能となっている。市場想定価格は、DSC-HX90Vが55,000円前後(税別)、DSC-WX500が43,000円前後(税別)と、やや高めの設定になっているが、それに見合う価値は十分にあるカメラだと思う。
特に、DSC-HX90Vは、コントロールリングや電子ビューファインダーを採用するなど、高倍率ズームレンズを搭載した高級コンデジと言ってもいいカメラだ。これまで、他メーカーのモデルも含めて、手のひらサイズの高倍率ズームコンデジは、いわゆる高級コンデジと比べて、ややライトな印象のデザインであったり、シンプルな操作性を採用するモデルが多かったが、DSC-HX90Vは、高級コンデジと同じように、本格的な撮影を意識したモデルに仕上がっている。価格差はあるものの、スペック的には、電子ビューファインダーやコントロールリングを搭載する光学30倍ズームモデル「LUMIX DMC-TZ70」がライバルになるだろう。