パナソニックは2015年7月16日、マイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼カメラの新モデル「LUMIX DMC-GX8」(以下、GX8)を発表した。新開発の「20M Live MOSセンサー」と6コントロール手ブレ補正システム「Dual I.S.」を搭載する。発売は8月20日の予定で、価格はオープン。予想実売価格はボディ単体が145,000円前後(税抜)、高倍率ズームレンズ「H-FS14140」が付属するレンズキットが180,000円前後(同)。シルバーとブラックの2色を用意する。ここでは新製品発表会で展示されていたデモ機の外観写真を交えながら、GX8の特徴をくわしく見ていこう。
GX8のブラックモデル。レンズはキットモデルに付属するH-FS14140
シルバーモデル
GX8は2013年9月に発売した「LUMIX DMC-GX7」(以下、GX7)の後継モデル。手ブレ補正機能を強化したほか、同社が力を入れている「4K PHOTO」もサポート。露出ダイヤルを独立して設けるなど、操作性も改善されている。
LUMIXの一眼カメラは、大きく分けて「ストリート・フォトグラフィー」と「ハイブリッド・フォトグラフィー」の2つに分類される。ストリート・フォトグラフィーは、その名の通り街角や日常風景の撮影といったストリートスナップ向けのモデルで、コンパクトで機動力があるのが特徴だ。「GX」「GM」「GF」といったラインが、このストリート・フォトグラフィーに分類される。いっぽうのハイブリッド・フォトグラフィーは、プロカメラマンやビデオクリエイターの利用も想定した高性能モデルで、「G」や「GH」といったモデルだ。
今回発表されたGX8はストリート・フォトグラフィーに分類され、その中でも最上位機種という位置付けとなる。
LUMIXの一眼カメラは、ストリート・フォトグラフィーとハイブリッド・フォトグラフィーに分離される。GX8は機動性にすぐれたストリート・フォトグラフィーの最上位機種だ
GX8の特徴は、レンズ内手ブレ補正(2軸)とボディ内手ブレ補正(4軸)を組み合わせた手ブレ補正技術、Dual I.S.を搭載すること。レンズ内手ブレ補正で、上下左右の細かな角度ブレ(Yaw、Pitch)を補正。ボディ内手ブレ補正では、大きな上下左右の角度ブレ(Yaw、Pitch)と並進ブレ(x、y)を補正する。2つの手ブレ補正を連動させて、さまざまな手ブレを強力に補正できるという。同社によると、6コントロールによる手ブレ補正システムは世界初とのこと。何段分の効果があるかは公開していないが、従来比で補正角が最大3.5倍広がっているという。
現行レンズはファームアップにより順次Dual I.S.に対応する予定で、ほぼすべてのO.I.Sレンズが対応する。なお、Dual I.S.非対応のレンズの場合、手ブレ補正機能に対応したレンズならレンズ内手ブレ補正のみ、手ブレ補正機能非対応のレンズならボディ内手ブレ補正だけが働く。
撮像素子には、新開発の20M Live MOSセンサーを搭載する。有効画素数は2030万で現行のLUMIXでは画素数が一番高い。GX7と比べて、ダイナミックレンジは約25%拡大し、色再現精度は3dB以上向上しているという。解像力もアップしているほか、S/N比の改善により、高感度でのノイズも低減している。画像処理エンジンには、「LUMIX DMC-GH4」と同じ「ヴィーナスエンジン」を搭載する。
レンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正を連動させることで、さまざまな手ブレを強力に補正できるという
新開発の20M Live MOSセンサーを搭載する
連続した秒間30コマ連写で撮影し、撮影後に好みのコマを選び出す「4K フォト」モードも搭載する。先月6月に発表した「LUMIX DMC-G7」と同様、「4K連写」「4K連写S/S」(S/SはStart/Stopの略称)、「4Kプリ連写」という3つのモードを備え、背面のカーソルボタンから素早くモードを選択できる。
4K連写は、シャッターボタンを押している間連写するというもの。撮影中にはシャッター音が連続で鳴り、連写しているように操作できる。4K連写(S/S)は、ビデオカメラのように、シャッターボタンを1回押すと連写撮影がはじまり、もう1度押すと連写撮影が終了する。4Kプリ連写は、シャッターボタンを押した瞬間の前後約1秒を連写撮影(60コマ)できるというものだ。
また、撮影後にフォーカス位置を変更できる「フォーカスセレクト」という機能をソフトウェアファームアップで搭載する予定だ。撮影後にタッチ操作で再生画面を見ながら好きな場所にフォーカスを変更して1枚の写真として保存できるという。
4Kフォトモードの詳細。4Kフォトモードは今後も機能強化していくという
G7と同じ、4K連写、4K連写S/S、4Kプリ連写の3つの4K フォトモードを搭載する
撮影後にフォーカス位置を自由に選べる4Kフォーカスセレクト。時期は未定だが、ファームウェアアップデートで利用可能になる予定だ
操作面では、ダイヤルとボタンの配置を一新。露出補正ダイヤルを独立して設け、モードダイヤルと2段重ねで搭載した。また、前後のダブルダイヤルで、直感的な操作を実現。リアダイヤルの中心部にあるボタンを押すと、一時的にダブルダイヤルの割り当てを変更することもできる。
電子ビューファインダー(EVF)には、0.5型の約236万ドット有機EL(OLED)を搭載。ファインダー倍率は35mm判換算で約0.77倍。アイポイントが21mmでメガネをかけながらでも高い視認性を実現している。アイセンサーも備える。GX7のファインダーと同じく、90度可動するチルト機構も備えており、ローアングルでも無理のない姿勢で撮影に集中できるという。タッチパネル搭載のOLEDモニターは3.0型、約104万ドット。GX7ではチルト可動式だったが横に開くタイプに変更されており、左右に約180度、上下に約250度回転する。
ボディは防塵・防滴設計。マグネシウム合金を採用したタフネス構造となっている。動画は、4K(30p)のほか、フルHD(60p)も撮影可能。記録メディアはSDXC/SDHC/SDカードで、UHS-Iスピードクラス3に対応する。ボディサイズは約133.2(幅)×77.9(高さ)×63.1(奥行き)mm(突起部除く)、重量は約435g(バッテリー、メモリーカード含む)。撮影可能枚数は約330枚(モニター時)/約310枚(LVF ON時)。
90度チルト可動する電子ビューファインダー。0.5型と大型で存在感がある
背面。カーソルボタンの下で4K フォトモードを素早く選択できる
3.0型のモニターは、104万ドットのOLED。横に開くタイプで左右に約180度、上下に約250度回転する
前後にダブルダイヤルを搭載。露出補正ダイヤルも独立して備える
AF/AE LOCKボタンを右寄りに配置し、カメラを浅く握っても押しやすいように配慮した。誤操作も防げる
ボディは防塵・防滴設計で、シャーシにはマグネシウム合金を採用する
発表会会場には、同日に開発発表した「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4-6.3」も展示されていた。マイクロフォーサーズとして初のLEICA DGズームレンズで、35mm判換算で最長800mmの超望遠ズームレンズだ
こちらも開発発表した「FZ300」。全域F2.8の光学24倍ズームレンズ(25〜600mm)を搭載する。4Kフォトや4K動画の撮影をサポート。防塵・防塵設計で大型のライブビューファインダーを備える
発表会には写真家のハービー・山口氏が登場し、GX8で撮影したスナップ写真を披露した。「とり回ししやすく、オートフォーカスも高速なGX8は、人の自然な表情を撮影するのに向いている」と語った