新モデルEF35mm F1.4L II USMと、従来モデルEF35mm F1.4L USMを使って、同じ設定(同じピント位置)で同じ被写体を開放F1.4で撮り比べてみて、色収差および周辺部の描写をチェックしてみた。結果は、新モデルのほうが色収差やコマ収差が圧倒的に少なく、絞り開放から画面全域で高画質が得られることがわかった。
チェック用に撮影した写真のサムネイル(※白枠が等倍で切り出した部分)。EOS 5Ds R、ISO100、F1.4、1/50秒、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ディテール重視
EF35mm F1.4L II USMの撮影写真(8688×5792、12.9MB)
EF35mm F1.4L USMの撮影写真(8688×5792、13.1MB)
両モデルでピント位置を従来モデルの最短撮影距離付近(30cm程度)にそろえて撮影し、色収差の発生を比較してみた。従来モデルではピント位置よりも前の輪郭部にマゼンタの色にじみが、後ろにグリーンの色にじみが発生しているが、新モデルでは軸上色収差が非常に良好に補正されており、にじみが目立たない。
チェック用に撮影した写真のサムネイル(※緑枠が等倍で切り出した部分)。EOS 5Ds R、ISO100、F1.4、1/6400秒、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:ディテール重視
EF35mm F1.4L II USMの撮影写真(8688×5792、13.8MB)
EF35mm F1.4L USMの撮影写真(8688×5792、13.5MB)
両方とも画面中央付近の同じ建物にピント位置を設定して、周辺部の画質をチェックしてみた。従来モデルでは周辺での流れが発生しているが、新モデルでは、そうしたことはなくディテールの細かいところまで描けている。周辺の画質が大きく進歩しているのが伝わるはずだ。
チェック用に撮影した写真のサムネイル(※赤枠が等倍で切り出した部分)。EOS 5Ds R、ISO100、F1.4、0.5秒、ホワイトバランス:白熱電球、ピクチャースタイル:ディテール重視
EF35mm F1.4L II USMの撮影写真(8688×5792、17.5MB)
EF35mm F1.4L USMの撮影写真(8688×5792、15.0MB)
新モデルでは、周辺部の点光源に対して発生するサジタルハロ(周辺部で同心円状に広がるにじみ)も大幅に抑制されている。従来モデルと比べると、周辺での写りがまったく異なっており、点が点として表現されていることがわかるはずだ。
従来モデルEF35mm F1.4L USMも、けっして描写力が低いレンズではなかった。ただ、デジタルカメラ時代になり、近年のセンサーの高画素化によって、フィルム時代に比べてレンズに求められる性能は飛躍的に高まっている。今後も、センサーの高画素化は進んでいくものと考えられるが、そうした状況の中で、キヤノンが、新開発BRレンズを取り入れたEF35mm F1.4L II USMをリリースした意味は大きい。
キヤノンはこの新しいLレンズをEFレンズの大口径・単焦点レンズのフラッグシップに位置付けている。現時点でEFレンズの中でも最高性能を誇る1本であり、このレンズの描写力は今後、Lレンズだけでなく、一眼レフ用の高性能・単焦点レンズの指標になるのではないだろうか。そのくらいの高性能レンズに仕上がっていると思う。
価格は、2015年10月1日時点の価格.com最安価格で22万円程度(税込)。けっして安い製品ではないが、現時点で最高性能を誇るレンズとしては妥当な価格ではないだろうか。特に、5000万画素オーバー機のEOS 5Ds/5Ds Rと組み合わせることで、その性能を存分に味わえる1本である。