カールツァイスから2015年8月に登場した新ブランド「Batis」が好調だ。ソニーの「α7シリーズ」での利用に対応したフルサイズEマウント用AFレンズで、「Batis 2/25」と「Batis 1.8/85」の2モデルがラインアップされているが、2015年11月17日時点での価格.comユーザーレビューの満足度は、両モデルともに満点の「5.0」。レンズカテゴリーの売れ筋ランキングも上位に位置しており、Batis 2/25は全体の17位、Batis 1.8/85は38位。Eマウント用レンズに限ると、Batis 2/25は売れ筋1位で、Batis 1.8/85は3位だ。実際に使用しているユーザーからの評価が高く、かつ売れているレンズとなっている。連載「交換レンズ図鑑」の第10回と第11回では、このBatisの2モデルを取り上げる。まずは、広角レンズのBatis 2/25から実写レビューしよう。
カールツァイスBatisブランドの広角レンズBatis 2/25
カールツァイスはここ数年、自社で発売するデジタル設計のレンズを積極的に展開しており、APS-Cミラーレス一眼用のAFレンズ「Touit(トゥイート)」、35mmフルサイズデジタル一眼レフ用のMFレンズ「Otus(オータス)」、Eマウントを採用するフルサイズ対応のMFレンズ「Loxia(ロキシア)」というブランドを立ち上げてきた。
今回紹介するBatisもその流れをくむ新しいブランドで、ソニー「α7シリーズ」での利用に対応する、フルサイズEマウント用レンズとなっている。大きな特徴はオートフォーカスに対応すること。カールツァイスが自ら手がけるレンズとしては、Touitに続くオートフォーカス対応レンズとなる。また、ソニー以外のサードパーティーが発売するフルサイズEマウント用レンズとしては初のオートフォーカス対応となる。しかも、リニアモーターを採用し、静かで高速なピント合わせを実現。「α7シリーズ」の第2世代モデルの「α7 II」や「α7R II」が搭載する、像面位相差AFを使う「ファイストハイブリッドAF」にも対応している。
デザインは、APS-Cミラーレス一眼用のTouitなど最近のカールツァイスレンズを踏襲している印象で、非常にシンプルな金属筐体になっている。機能面では、撮影距離と被写界深度を表示する有機ELディスプレイを搭載するのがユニークなところ。フォーカスリングの回転操作で表示のオン・オフが可能なほか、距離のメートル/フィート表示を切り替えることもできる。このほか、埃や水滴が入り込まないようマウント部にはシーリング加工が施されている。
有機ELディスプレイを搭載。ピント位置が遠い場合、撮影距離(6m)と、その左右に被写界深度の目安(3.1m、31m)が表示される
撮影距離が短くなると、被写界深度の表示が、撮影距離(0.3m)からの差(+0.01m、-0.01m)に変わる
フィート表示への切り替えが可能。最短撮影距離の状態からフォーカスリングを約1回転すると、メートルとフィートの表示が切り替わる仕組みになっている
逆に、無限遠の状態からフォーカスリングを約1回転すると、ディスプレイ表示のオン/MF時のみオン/オフを切り替えられる
カメラの電源をオンにすると「ZEISS」の文字が現れる
今回紹介するBatis 2/25は、開放F2の広角25mm単焦点レンズだ。カールツァイス伝統のDistagon(ディスタゴン)タイプの25mmレンズで、レンズ構成は8群10枚。両面非球面レンズ4枚と特殊低分散レンズ5枚を使い(内2枚が両面非球面かつ特殊低分散レンズ)、各種収差を抑えて画面の周辺まですぐれた描写を実現している。このあたりのレンズ設計は、デジタル用をうたう新しいカールツァイスレンズらしいところだ。さらに、どの撮影距離でも光学収差を最小限に抑えるフローティング機構も採用する。絞り羽根は9枚。
サイズは全長92mm(レンズキャップ含む)×最大径81mm(レンズシェード含む)で、重量は335g。開放F2で焦点距離25mmのレンズとしては比較的コンパクトにまとまっている。最短撮影距離は0.2mと短く、パースを強調する広角マクロの表現も楽しめる。フィルター径は67mm。専用のレンズシェードが同梱されている。
カールツァイスBatisブランドの広角レンズBatis 2/25
α7R IIにBatis 2/25を装着。スペックを考慮するとコンパクトなサイズを実現したレンズだ
レンズとマッチしたデザインのレンズシェードが付属