交換レンズ図鑑
交換レンズ図鑑 第11回

カールツァイス「Batis 1.8/85」レビュー! 手ブレ補正搭載&クリアな描写の万能レンズ

連載「交換レンズ図鑑」の第11回は、前回に引き続き、ソニーの「α7シリーズ」での利用に対応したカールツァイスのフルサイズEマウント用AFレンズ「Batis」を取り上げる。中望遠レンズ「Batis 1.8/85」の写りをレビューしよう。2015年11月26日時点での価格.comユーザーレビューの満足度は満点の「5.0」。Eマウント用レンズの中でも人気の高い製品だ。

Batisの全体的な特徴は、前回の「カールツァイス「Batis 2/25」は解像力がすごい! Eマウント用広角レンズの人気モデルをレビュー」をご覧ください。

カールツァイスの新ブランドBatisの中望遠レンズBatis 1.8/85

カールツァイスの新ブランドBatisの中望遠レンズBatis 1.8/85

手ブレ補正機能を搭載したSonnarタイプの85mm中望遠レンズ

Batis 1.8/85は、絞り開放F1.8/焦点距離85mmの単焦点レンズ。カールツァイスだけでなく他メーカーのレンズでも、85mmの大口径・高性能レンズと言えば、絞り開放F1.4というのがスタンダードなスペックになるが、2/3段絞ったF1.8に抑えることで、カールツァイスのフルサイズ対応レンズとしてはコンパクトなサイズ感を実現している。また、明るさで無理をしていないので、絞り開放からの高い描写力にも期待できる。

レンズ構成は、カールツァイス大口径レンズの伝統となる非対称型のSonnar(ゾナー)タイプで、特殊低分散レンズ3枚を含む8群11枚。比較的シンプルな構成となっている。絞り羽根は9枚。どの撮影距離でも光学収差を最小限に抑えるフローティング機構も採用している。最短撮影距離は0.8m。フィルター径は67mm。

珍しいのは、85mm単焦点レンズとして手ブレ補正機能を搭載していることだ。近い焦点距離では、90mmのマクロレンズなどでは手ブレ補正を搭載しているものがあるが、価格.comの「レンズ」カテゴリーに登録されているものを調べた限りでは、フルサイズ対応の85mmレンズの中で手ブレ補正機能を持つのはBatis 1.8/85のみとなる(※2015年11月26日時点)。

サイズは全長105mm(レンズキャップ含む)×最大径81mm(レンズシェード含む)で、重量は475g。Batis 2/25と比べると少し全長が長く、重量も140gほど重くなる。超コンパクトというわけではないが、カールツァイスのレンズで、手ブレ補正対応のフルサイズ中望遠レンズであることを考慮すると、コンパクトにまとまっている。

「α7R II」にBatis 1.8/85を装着したイメージ

「α7R II」にBatis 1.8/85を装着したイメージ

有機ELディスプレイを搭載し、撮影距離と被写界深度の目安(撮影距離が短くなると撮影距離からの差になる)が表示されるのもBatisシリーズの特徴

専用のレンズシェードが付属する

専用のレンズシェードが付属する

実写作例

※以下に掲載する作例は、α7シリーズとBatis 1.8/85を使ってJPEG形式で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。14枚目のみファインの設定になりますが、それ以外はすべてJPEG形式の最高画質(エクストラファイン)で撮影しています。なお、いずれの作例も、高感度ノイズリダクションは「標準」で、レンズ補正機能は、周辺光量補正が「オート」、倍率色収差補正が「オート」、歪曲収差補正が「切」になります。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行なっていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

α7S、ISO100、F4、1/1600秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ライト、JPEG
撮影写真(4240×2832、5.53MB)

α7S、ISO100、F2.5、1/1000秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、JPEG
撮影写真(4240×2832、5.90MB)

α7S、ISO100、F2.2、1/250秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、JPEG
撮影写真(4240×2832、6.43MB)

α7R II、ISO100、F1.8、1/30秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ビビッド、JPEG
撮影写真(7952×5304、21.5MB)

α7S、ISO100、F1.8、1/60秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:風景、JPEG
撮影写真(4240×2832、6.21MB)

α7S、ISO100、F1.8、1/80秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、JPEG
撮影写真(4240×2832、5.28MB)

α7S、ISO400、F1.8、1/80秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:クリア、JPEG
撮影写真(4240×2832、4.43MB)

α7S、ISO100、F1.8、1/500秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、JPEG
撮影写真(4240×2832、5.46MB)

α7S、ISO100、F1.8、1/3200秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー:オート、クリエイティブスタイル:ビビッド、JPEG
撮影写真(4240×2832、6.87MB)

α7、ISO100、F11、1/320秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.81MB)

α7R II、ISO100、F8、1/320秒、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:スタンダード、JPEG
撮影写真(7952×5304、26.4MB)

α7S、ISO400、F1.8、1/30秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:白黒、JPEG
撮影写真(4240×2832、3.68MB)

α7R II、ISO250、F1.8、1/125秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ポートレート、JPEG
撮影写真(7952×5304、16.1MB)

α7R II、ISO250、F1.8、1/125秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ポートレート、JPEG
撮影写真(7952×5304、7.03MB)

α7R II、ISO400、F1.8、1/125秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ポートレート、JPEG
撮影写真(5304×7952、16.8MB)

α7R II、ISO1600、F1.8、1/250秒、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー/オートHDR:切、クリエイティブスタイル:ポートレート、JPEG
撮影写真(5304×7952、15.6MB)

描写力と使い勝手をレビュー 階調がしっかりと残り、表現力の高さを感じる写り

カールツァイスのレンズというと、高コントラストで解像感が高く、巧みな色描写に特徴がある。このレンズも、そうしたカールツァイスらしさをしっかりと継承しており、絞り開放からすぐれた解像力を発揮する。解像力だけを見ればBatis 2/25のほうが高い印象も受けるが(言い換えればBatis 1.8/85のほうがやわらかい描写をする)、色のにじみが少なく、画面全域でシャープな描写が得られるレンズだ。絞り開放だと画面周辺で色収差が出ることもあるが、極端に嫌な感じはしない。周辺光量落ちも、レンズ補正を使えば気になるような感じにはならない。

ボケは、ややうるさい感じになることもあるが、開放F1.8の85mmレンズとしては自然なボケ方をする。ピント位置の前後から急激にボケが始まるわけではなく、なめらかにボケていく感じがいい。絞り開放でのナチュラルで立体感が際立つ描写は、このレンズの大きな魅力だと思う。

使ってみて特に気に入ったのが、抜けがよくクリアな描写力を持っていることだ。ハイライトもシャドーも階調がしっかり残る印象で、高コントラストながら極端に色が濃くなるような感じがなく、微妙なトーンや質感を表現できる。これがこのレンズを使ってみてもっとも魅力を感じたところだ。このあたりの表現力の高さは、さすがにカールツァイスの最新レンズである。

また、手ブレ補正機能の効果も十分だった。補正能力は公表されていないが、手ブレ補正機能を内蔵しない「α7S」で使用した場合、1/30秒程度のシャッタースピードが得られれば高い確率で手ブレを補正できた。

気になったのは、補正をしないと糸巻き型の歪曲収差が出ることと(Sonnarタイプなので致し方ない)、少し絞ったときに玉ボケが丸くなりにくいこと。オートフォーカスは、リニアモーターを採用しており、Batis 2/25と同じくスムーズにピントが合う。

まとめ スナップ用として活用しても面白い。「α7シリーズ」第1世代モデルにもピッタリ

85mmという画角はポートレート用の定番であるが、Batis 1.8/85については、ポートレート用としてだけでなく、スナップ用として使ってみても面白いと思う。なめらかなボケ味とクリアな色描写、さらには中望遠の少し圧縮効果のある画角を生かすことで、35mmや50mmのレンズとはまた違った表現が得られるはず。手ブレ補正機能を搭載しており、手ブレを抑えて撮影ができるのも、スナップ撮影をするうえでは高ポイントだ。中望遠レンズではあるが、いろいろな活用ができる万能性の高いレンズだと思う。

また、手ブレ補正が使えるため、ボディ内手ブレ補正機能を持たないα7シリーズの第1世代モデル(α7、α7R、α7S)との相性もいい。もちろん、有効4240万画素センサーを搭載する「α7R II」の持つ解像力を引き出せる性能を持っており、α7シリーズの最新モデルと組み合わせても高いパフォーマンスを発揮する。

価格は、価格.com最安価格(2015年11月26日時点)で130,000円程度と、Batis 2/25とほぼ同価格となる。Batis 2/25のレビュー記事でもお伝えしているが、オートフォーカスに対応したカールツァイスレンズとして、コストパフォーマンスは悪くないと思う。

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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