画質、操作性、機能の多くの点で期待を超える意欲作!

ペンタックス初のフルサイズ一眼レフカメラ「PENTAX K-1」詳細レポート

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リコーイメージングから35mmフルサイズ対応のデジタル一眼レフ「PENTAX K-1」(以下、K-1)がついに登場! 昨年の「CP+2015」でモックが展示され、ファンからの期待が高かった待望のフルサイズ機だが、多くの点でその期待を超える、ペンタックスらしい意欲的なカメラとなっている。ボディ単体のみの販売で、市場想定価格は27万円台後半(税込)。発売は4月下旬が予定されている。取材で得た情報を含めながら、この注目モデルの特徴を紹介しよう。

待望のフルサイズ対応モデル「K-1」。装着しているレンズは、同日発表の新しい標準ズームレンズ「HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR」

ペンタ部を強調した一眼レフらしいデザインで防塵・防滴構造のボディ

K-1は、画質や操作性、信頼性を追求して開発されたフルサイズ一眼レフだが、デザインにもKシリーズのフラッグシップとしてのこだわりが強く感じられる。ペンタックス一眼レフのデザインの集大成として、トレンドを追うのではなく、普遍的で飽きのこないデザインを目指して開発したとのことだ。

その最大の特徴となるのがペンタ部。一眼レフらしい造形を追及し、Kシリーズの1桁型番モデルの凝縮感のあるフォルムを継承しつつ、ペンタプリズムを強調したデザインになっている。このペンタ部は、ガラスペンタプリズムのイメージをモチーフとし、ペンタックス一眼レフの象徴的な形を表現しているとのこと。グリップは、中判デジタル一眼レフ「PENTAX 645Z」をベースに、APS-C機「K-3」の中指部の棚形状を取り入れている。

普遍的なデザインを目指し、一眼レフらしい造形を追及したフォルム

普遍的なデザインを目指し、一眼レフらしい造形を追及したフォルム

ペンタ部が強調されたデザインは正面から見るとインパクトがある

ペンタ部が強調されたデザインは正面から見るとインパクトがある

上面

上面

背面

背面

ボディサイズは約136.5(幅)×110(高さ)×85.5(奥行)mm(突起物を除く)で、重量は約1010g(バッテリー、SDカード1枚含む)。内蔵フラッシュは非搭載。幅と高さが抑えられており、フルサイズ対応デジタル一眼レフとしてはコンパクトなボディにまとまっている。さらに、メタルシャーシとマグネシウム合金の複合構造で高強度を実現しているうえ、87か所のシーリングによる防塵・防滴構造と-10度の耐寒保証も実現している。

マグネシウム合金ボディを採用

マグネシウム合金ボディを採用

3640万画素センサーと新開発エンジンを搭載し、高解像と高感度を両立

撮像素子に、光学ローパスフィルターレス仕様の有効約3640万画素フルサイズCMOSセンサー(35.9×24.0mm)を採用。画像処理エンジンは、従来の「PRIME III」に対して動作周波数を約150%高速化した、新開発の画像処理エンジン「PRIME IV」で、感度はISO100〜ISO204800に対応。14bit RAW記録にも対応している。

新型の撮像素子と画像処理エンジンを採用することで、高解像と高感度の両立したバランスのよい画質を実現しているという。ポイントは、ペンタックスのデジタルカメラらしく、ノイズを無理につぶさないチューニングになっていること。高感度では、色ノイズを抑えつつも精細感のある描写が得られるとのことだ。

有効約3640万画素のフルサイズCMOSセンサーを採用

有効約3640万画素のフルサイズCMOSセンサーを採用

画像処理エンジンは新開発のPRIME IV

画像処理エンジンは新開発のPRIME IV

マウントはもちろんKマウント(KAF2マウント)で、最新の「D FAレンズ」だけでなく、フィルム時代の35mmフルサイズ対応「FAレンズ」の使用も可能。FAスターレンズであれば、レンズ補正機能も利用できるとのことだ。さらに、クロップ機能を搭載し、APS-C用「DAレンズ」を装着してのクロップ撮影にも対応。クロップ時はファインダー内にクロップ枠が表示される。クロップ機能ではAUTO、FF、APS-Cの3種類の記録範囲設定が可能だが、APS-C用レンズ装着時にFFを選択して撮ることもできるという。

仕上がり設定の「カスタムイメージ」には、後述するディープラーニングを使ったアルゴリズムで最適な絵作りを行う「オートセレクト」と、レタッチしやすい素直な色彩、色相、コントラストの「フラット」が追加されている。

FA Limitedシリーズを代表する銘レンズ「smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited」を装着したイメージ

FA Limitedシリーズを代表する銘レンズ「smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited」を装着したイメージ

5段分の補正効果を実現した5軸対応の手ぶれ補正機構「SR II」

ペンタックスのデジタル一眼レフで象徴的な機能となるのが、磁力でセンサーを動かすボディ内手ぶれ補正機構「SR」だ。2006年発売の「K100D」で初めて実現して以降、性能を強化しながら各モデルに搭載してきたが、フルサイズ機のK-1にも、この機能はしっかりと継承される。しかも、加速度センサーの実装とアルゴリズムの進化により、5軸補正に対応する「SR II」にグレードアップ。レンズ内手ぶれ補正では補正が難しい回転ぶれにも高い効果を発揮するように開発したとことだ。

さらに、アクチュエーターの強化などにより、ペンタックスのデジタル一眼レフとしては最高性能となる5段分の補正効果を実現したのも特徴。カメラの一定方向への振りを検知して自動でSRユニットの制御を行う「流し撮り検知」にも対応しており、モードを切り替えることなく、通常撮影と流し撮りの両方に最適化した撮影ができる。

SR IIのユニット。フルサイズセンサーを搭載しながらも、ボディ内手ぶれ補正を実現した

SR IIのユニット。フルサイズセンサーを搭載しながらも、ボディ内手ぶれ補正を実現した

SR II は5軸補正に対応。5段分の補正効果を発揮する

SR II は5軸補正に対応。5段分の補正効果を発揮する

「リアル・レゾリューション・システム」や「ローパスセレクター」を搭載

K-1には、これまでのペンタックスのデジタル一眼レフと同様、磁力を使ったボディ内手ぶれ補正機構を活用した機能がいくつも搭載されている。

もっとも特徴的なのが、APS-Cデジタル一眼レフの最上位モデル「K-3 II」で話題になった超解像技術「リアル・レゾリューション・システム」。CMOSセンサーを1画素ずつ微細にずらしながら4枚の画像を電子シャッターで連続撮影し、画素ごとにRGB各色の情報を取得して合成する機能だ。1画素あたり1つの色情報となる通常のベイヤー方式の撮影と比べて、解像力と色再現性が向上し、高感度ノイズも低減できるのが特徴。理論的には偽色が発生しないのもポイントとなる。K-1では動体補正のオン・オフが可能になり、オン時には、連続撮影中に被写体が変化した部分を検出して、画像合成時の影響を低減する。

リアル・レゾリューション・システムのイメージ

リアル・レゾリューション・システムのイメージ

さらに、露光中にセンサーをサブピクセル単位で微小振動させることで偽色・モアレを低減する「ローパスセレクター」機能も搭載。自動水平機能や構図微調整のほか、内蔵GPSを組み合わせて簡易的な天体追尾撮影ができる「アストロトレーサー」も利用できる。

ユニークな機構のフレキシブルモニターを採用。2ダイヤル操作の「スマートファンクション」も新設

操作性でもユニークな機能をいくつか搭載している。

ティザーサイトに掲載された製品画像でも話題となった液晶モニターは、4本のステーでモニターを保持するという画期的な機構の「フレキシブルチルト式液晶モニター」となっている。光軸上から位置をずらすことなくワンアクションで上下左右や斜めに自由に向きを変えられるのがユニーク。上下約44度 左右約35度まで可動するうえ、台座部からモニターを引き上げることで真上からのウェストレベル撮影も可能だ。ユニット全体でマグネシウム合金を採用するうえ、ステーの素材にステンレスを使うことで剛性も確保しているという。モニターのサイズは3.2型で、ドット数は約103.7万ドット(アスペクト比3:2)。

光軸上でより自由にモニターの角度を調整できるフレキシブルチルト式液晶モニター

光軸上でより自由にモニターの角度を調整できるフレキシブルチルト式液晶モニター

さらに、カメラ上面のダイヤルにも注目。独自のハイパー操作系を継承しつつ、「機能ダイヤル」と「設定ダイヤル」の2つのダイヤルで各種機能の選択・設定を行う「スマートファンクション」という新しい操作系が追加されている。具体的には、サブ液晶の前に装備された機能ダイヤルで露出補正や感度、連続撮影、ブラケット、HDR、グリッド、SR、クロップ、Wi-Fiといった機能を選択し、サブ液晶の右側にある設定ダイヤルで、選択した機能の設定を変更するようになっている。これまで、ペンタックス製デジタル一眼レフの上位モデルは上面右肩にサブ液晶のみを配置していたが、K-1では、露出補正以外の操作もダイレクトに行えるように、この2つのダイヤルによる操作が取り入れられた。なお、機能ダイヤルは機能を無効にするポジションがあるほか、誤動作が発生しないように固めに設計されている。また、従来と同じ操作が行えるように、上面には露出補正ボタンや感度ボタンも装備されている。

上面に、機能ダイヤルと設定ダイヤルを新たに配置

上面に、機能ダイヤルと設定ダイヤルを新たに配置

細かいところでは、フィールドでの撮影を意識した「操作部アシストライト」という操作性が取り入れている。暗いところや夜間でも細かい操作がしやすいように、マウント上部、モニター背面、SDカードスロット部、レリーズ端子部にLED照明を配置し、ボタンを押すことで光るようになっている。

カスタマイズ機能も充実しており、コントロールパネルは、表示項目の並び順と項目の変更が可能。USERモードは5つ用意されるほか、ボタンや十時キーの誤操作を防ぐキーロック機能も備わっている。

アシストライトのボタンを押すと、マウント上部が光る。暗いところでのレンズ交換をサポートする機能だ

アシストライトのボタンを押すと、マウント上部が光る。暗いところでのレンズ交換をサポートする機能だ

マウント上部だけでなく、モニター背面やSDカードスロットなども光る

マウント上部だけでなく、モニター背面やSDカードスロットなども光る

視野率約100%ファインダーを実現。AFも33点の測距点を持つ「SAFOX 12」に進化

視野率約100%の光学ファインダーを実現したのも見逃せない。APS-Cデジタル一眼レフでは達成していたものの、フィルム一眼レフを含めて、35mmフォーマット対応としてはペンタックス初の視野率約100%ファインダーとなる。倍率は約0.7倍(50mm F1.4・∞)で、アイレリーフ長は約20.6mm(見口枠より)、約21.7mm(レンズ中心より)。フォーカシングスクリーンは「ナチュラルブライトマット III」で非交換式。透過型ファインダー内表示に対応し、ファインダー内でさまざまな撮影情報を確認できる。

視野率約100%の光学ファインダーを搭載

視野率約100%の光学ファインダーを搭載

オートフォーカスシステムには、新開発の「SAFOX 12」を採用。33点の測距点を持ち、うち25点はクロスセンサーとなる。中央および上下の計3点はF2.8光束対応で、開放F2.8以上の大口径レンズで高精度なオートフォーカスが可能だ。低輝度限界は-3EVで、暗所でのオートフォーカスも強い。-3EVというスペックは、フルサイズ対応デジタル一眼レフの中では、キヤノンのフラッグシップ「EOS-1D X Mark II」や「EOS 6D」、ニコンの「D750」などと並んでトップクラスの性能となる(※最高性能はニコンのフラッグシップ「D5」の-4EV)。合焦速度についてはK-3 II並みとのことだが、後述する「ペンタックス リアルタイムシーン解析システム」との連携によって、動く被写体を撮影する際の追従性を高めている。

ファインダー内のイメージ。33点の測距点がワイドに配置されている。内側の黒線はクロップ撮影時に表示される枠

フルサイズ対応の大型ミラーを搭載しながらもボディの小型化を実現するため、新開発の「フローティングミラー構造」を採用するのも面白いところ。ミラーアップ時にメインミラーを回転軸ごと上方向に退避させることで、よりコンパクトなミラーボックスの中で、レンズに干渉しない形でミラーが駆動するようになっている。シャッタースピードは最速1/8000秒に対応。カメラに実装した状態で30万回のレリーズ試験をクリアしている。

また、約8.6万画素のRGBセンサーとPRIME IVの組み合わせた「ペンタックス リアルタイムシーン解析システム」によって、高精度で安定した測光と自動露出制御、画像の仕上がり、オートフォーカスを実現。測光も-3EVまでに対応し、暗所でも的確な露出が得られる。さらに、人工知能技術のディープラーニングを使った画像認識アルゴリズム(色の分布や形の検知)を搭載しており、露出モードをAUTO(シーンアナライズオート)、もしくは、カスタムイメージをオートセレクトに選択した際は、より精密なシーン判別が可能となっている。

連写性能は最高約4.4コマ/秒。RAW撮影時で17コマ、JPEG(L・スーパーファイン)撮影時で70コマまでの連続撮影が可能だ。APS-Cクロップ時は、最高約6.5コマ/秒まで速度が向上する。対応バッテリーは、K-3 IIなどと同じ「D-LI90P」。撮影可能枚数は約760枚。

その他、K-1の特徴は以下のとおり。

・リコー中央研究所が開発した画像処理技術「明瞭コントロール」「肌色補正」を搭載
・ディストーションや倍率色収差、回折、周辺光量、フリンジ(RAW展開時のみ)補正が可能
・RAW保存対応のHDR撮影
・カメラ内RAW現像
・1920×1080/60i、30pのフルHD動画撮影
・デュアルSDカードスロット(UHS-I対応)
・GPS/電子コンパス機能
・Wi-Fi機能
・パソコンからのテザー撮影に対応

右側面。デュアルSDカードスロットが配置されている

右側面。デュアルSDカードスロットが配置されている

左側面

左側面

底面

底面

まとめ ペンタックス一眼レフの集大成となる魅力的なモデル


ペンタックスのデジタル一眼レフといえば「高画質」「コンパクトボディ」「防塵・防滴構造」が大きな特徴となるが、K-1は、これらの特徴を継承しつつフルサイズ化を果たしているだけでなく、5軸対応の手ぶれ補正機構「SR II」や、上下左右に自由にアングルを変更できるフレキシブルモニター、2つのダイヤルを使った新しい操作性、視野率約100%ファインダーなども搭載し、充実の内容。ペンタックスのデジタル一眼レフの集大成と言っていい出し惜しみ感のないモデルで、非常に魅力的なカメラに仕上がっている。

最新のデジタル設計のレンズで高画質が得られるのも魅力だが、ペンタックスのKマウントレンズの歴史は長く、FA Limitedシリーズなど“銘玉”と呼ばれるフルサイズ対応レンズが多数ある。それらのKマウントレンズを、フルサイズの画角で、ペンタックスの画質で、しかも5段分の補正効果を持つ高性能な手ぶれ補正を使って撮影できるのも、K-1の大きな魅力だ。

ペンタックスのデジタル一眼レフは一時期、APS-C機に専念するような動きがあったが、ここまで充実したスペックのフルサイズ機を製品化できたのは、デバイスの高性能化にあわせて、ファンからの期待の高まりが大きかったという。その期待に応えるべく、フルサイズ機の研究・開発は長年続けていたとのことだ。価格も、市場想定価格は27万円台後半(税込)で、かなり戦略的な価格設定となっている。スペックを考慮するとコストパフォーマンスは高い。

4月下旬の発売が今から待ち遠しいという方も多いはず。今後は、新開発センサー&エンジンによる「ペンタックスのフルサイズ」がどんな画質を実現しているのかに特に注目して、引き続きK-1の特徴をキャッチアップしていきたい。

別売のバッテリーグリップ「D-BG6」を装着したイメージ。D-BG6の価格は32,500円(税別)

別売のバッテリーグリップ「D-BG6」を装着したイメージ。D-BG6の価格は32,500円(税別)

D-BG6を装着したイメージ(背面)

D-BG6を装着したイメージ(背面)

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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2017.10.16 更新
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