2017年6月8日、トヨタ「ハリアー」は現行モデルの3代目では初となるマイナーチェンジを実施した。
今回のハリアー・マイナーチェンジの目玉は、「2.0L直噴ターボエンジン」を搭載したグレード(以下、ハリアーターボ)が新たにラインナップされたことだ。これまでのNA(自然吸気のガソリンエンジン車)とハイブリッドのラインアップへターボを追加することによって、ハリアーのスポーティーなイメージを追求したいというメーカー側の狙いがある。
2017年6月のマイナーチェンジで、トヨタ「ハリアー」へ新たに追加されたターボモデル。画像は「2.0Lターボ プレミアム“メタル アンド レザーパッケージ”」
ハリアーターボの特徴は、「231PS(170kW)」「35.7kgf・m(350N・m)」というパワフルな最高出力と最大トルクにある。ツインスクロールターボチャージャーに可変角を拡大したDual VVT-iを組み合わせることで、低回転から大きなトルクを発生させ、滑らかで爽快な加速フィーリングを実現しているという。
2017年6月のマイナーチェンジで、トヨタハリアーへ新たに追加されたターボモデル。画像は「2.0Lターボ プレミアム“メタル アンド レザーパッケージ”」
ハリアーのNAが「151PS(111kW)」「19.7kgf・m(193N・m)」ということから、ハリアーターボはNAと比べて馬力が80PS、トルクが16kgf・m向上している。さらに、搭載されている「2.0L 8AR-FTSターボエンジン」は「クラウンアスリート」のターボモデルなどにも採用されており、3.5リッター並みと言われていることから考えても、ハリアーターボではスポーティーな走りを期待できるだろう。
ハリアーターボに搭載されている2.0L 8AR-FTSターボエンジン
また、ハリアーターボでは直噴技術D-4STを採用することで最適な燃焼効率を実現し、燃費の悪化が抑えられている。ハリアーターボのカタログ燃費は、「13.0km/L」(JC08モード)となっている。(参考:NAは16.0km/L/ハイブリッドは21.4km/L)
余談だが、ターボということで気になる使用燃料については「ハイオク」となっている。NAとハイブリッドモデルは従来どおり「レギュラー」だ。
ハリアーターボとNAでは、前述のエンジンの違い以外にも、フロントとリアに「パフォーマンスダンパー」が装備されていたり、6 Super ECTトランスミッションによる「シーケンシャルシフトマチック」(マニュアルモード)の採用、さらに力強い加速感とスポーティーなハンドリングを味わえる「スポーツモード」の追加や、専用ヘッドランプ・グリル・アルミホイールが採用されているなど、さまざまな面でNAとは異なる、走りを中心とした装備が施されている。
ハリアーターボに装着されているパフォーマンスダンパーのイメージ
気になるハリアーターボの値段について、NAとの価格差を比較すると、エレガンス(2WD)で「430,920円高」、プレミアムとプログレス(いずれも2WD)で「270,000円高」となる。
グレードラインアップと価格については、以下の通り。
※以下はすべて消費税込の価格
エレガンス(2.0L NA):2,949,480円[2WD]/3,143,880円[4WD]
エレガンス(2.0L ターボ) :3,380,400円[2WD] /3,574,800円[4WD]
エレガンス(2.5L HV) :3,774,600円
プレミアム(2.0L NA):3,249,720円[2WD] /3,444,120円[4WD]
プレミアム(2.0L ターボ) :3,519,720円[2WD] /3,714,120円[4WD]
プレミアム(2.5L HV) :4,074,840円
プレミアム“メタル アンド レザーパッケージ”(2.0L NA):3,599,640円[2WD] /3,794,040円[4WD]
プレミアム“メタル アンド レザーパッケージ”(2.0L ターボ):3,850,200円[2WD] /4,044,600円[4WD]
プレミアム“メタル アンド レザーパッケージ”(2.5L HV):4,424,760円
プログレス(2.0L NA):3,780,000円[2WD] /3,974,400円[4WD]
プログレス(2.0L ターボ) :4,050,000円[2WD] /4,244,400円[4WD]
プログレス(2.5L HV) :4,604,040円
プログレス“メタル アンド レザーパッケージ”(2.0L NA):4,129,920円[2WD] /4,324,320円[4WD]
プログレス“メタル アンド レザーパッケージ”(2.0L ターボ):4,380,480円[2WD] /4,574,880円[4WD]
プログレス“メタル アンド レザーパッケージ”(2.5L HV):4,953,960円
安全面については、これまでのハリアーでは一部グレードを除きメーカーオプションとなっていた「プリクラッシュセーフティ」が、マイナーチェンジにより「Toyota Safety Sense P」(衝突回避支援パッケージ)となって全グレードに標準装備された。
Toyota Safety Sense Pは、トヨタがラインアップする衝突回避支援パッケージの上位版で、ミリ波レーダーと単眼カメラという2種類のセンサーにより、これまでの先行車だけでなく歩行者をも検知、約10〜80km/hの範囲で自動ブレーキを作動させることができるもの。
また、Toyota Safety Sense Pの導入に合わせ、レーダークルーズコントロールも、これまで下位グレードではオプションとなっていたのが、マイナーチェンジにより全グレードに標準装備となったことも嬉しい。
エクステリアについては、フロントグリルの造形が変更になったことが最も大きく、そのほかにはリアのコンビネーションランプが赤色になる変更が施された。
左上がハリアーターボ、右下がハリアーハイブリッド。グリルの造形が異なる。ハリアーハイブリッドとハリアーNAガソリンは同形状のグリルを採用している
(上)マイナーチェンジ後の新型ハリアー/(下)マイナーチェンジ前のハリアー。新型ハリアーでは、リアのコンビネーションランプが赤色に変更されている
ライト周りでは「C-HR」にも採用されている、LEDランプが内側から外側へと流れるように光る「LEDシーケンシャルターンランプ」や、ウィンカー操作やステアリングと連動して点灯する「LEDコーナリングランプ」を設定。いずれも、下位グレードの「エレガンス」を除く全グレードに適用される。
「エレガンス」を除く全グレードに設定される「LEDシーケンシャルターンランプ」
使い勝手の面では、パワーバックドアの開度が5段階で設定できるようになり、さらに任意の高さで記憶させることも可能となったことが新しい。
また、一部上級グレードではハリアーのエンブレムマーク付「足元照明」や、「シートベンチレーション」などの快適装備も備わる。
ドアミラー足元照明は、プログレスとプログレス“メタル アンド レザーパッケージ”に標準装備
ターボモデルの追加、安全面や快適装備の大幅な向上と、ハリアーはこれまでの魅力にさらなる磨きがかけられており、発売後はとくにターボモデルの売れ行きに注目が集まりそうだ。