2017年6月8日、日産はSUVの「エクストレイル」をマイナーチェンジし、ミニバン「セレナ」に搭載されている自動運転技術「プロパイロット」をエクストレイルへ搭載すると発表した。プロパイロットは、セレナに続きエクストレイルで2車種目の搭載となる。
マイナーチェンジによってプロパイロットが搭載された日産「エクストレイル」
プロパイロットとは、高速道路上で使用可能な自動運転技術のこと。ステアリングに備えられている「プロパイロットスイッチ」と「セットスイッチ」という2つのボタンを押すだけでアクセル、ブレーキ、ステアリングをクルマ側で自動制御してくれる。
日産「エクストレイル」のステアリングに備わる「プロパイロットスイッチ」と「セットスイッチ」。2つのボタンを押すだけで自動運転が開始される
プロパイロットでは前方を走行するクルマを常にモニターすることで、アクセルとブレーキを制御して車間距離を保ってくれる。また、白線を認識してステアリングを自動でコントロール、走行車線の中央を保つように操舵してくれるため、ドライバーは長時間の運転や渋滞による運転のストレスが大幅に軽減されるというのが利点だ。
このプロパイロット、セレナを購入したオーナーからはすこぶる評判がいい。
実際に「価格.com セレナ 2016年モデルのユーザーレビュー・評価」でプロパイロット搭載モデルのセレナ購入オーナーのレビューを見てみると、
「400キロ近い高速道路往復でも疲れず、その効果を実感。本当に買ってよかった」
「とても便利で、プロパイロットが使えない一般道に降りると運転するのが面倒になるほど」
「高速道路での運転が本当に楽になった。右足を使わなくなり、渋滞時には特に恩恵を感じる」
など、プロパイロットへの評価がとても高いことがうかがえる。筆者がクチコミを閲覧した2017年6月8日時点では、プロパイロット搭載のセレナを購入したオーナーのほとんどが“プロパイロットは便利”“セレナを購入してよかった”と満足している旨のコメントを投稿している。
そんなプロパイロットが、日産の人気SUVであるエクストレイルに搭載されるというのだから、エクストレイルにさらなる注目が集まることは間違いない。
エクストレイルに搭載されるプロパイロットはメーカーオプション。価格は他の先進機能とあわせて「140,400円」
ただ、このプロパイロットは標準搭載ではなく、メーカーオプションとなる。価格は「140,400円」(税込)で、プロパイロットだけでなく以下の先進装備がすべてセットになった価格だ。
セレナでは240,000円であったプロパイロットがエクストレイルではセット内容を絞って10万円ほど安くなった。日産によれば、安価に設定することでプロパイロットのさらなる普及を目指したいとのことだ。
【プロパイロットを含む先進装備のセット内容】
ハイビームアシスト
インテリジェント オートライトシステム
ステアリングスイッチ(ナビ、クルーズコントロール、プロパイロット)
電動パーキングブレーキ
オートブレーキホールド
プロパイロット
インテリジェント LI(車線逸脱防止支援システム)
BSW(後側方車両検知警報)
RCTA(後退時車両検知警報)
なお、エクストレイルでは大きく「20S」系と「20X」系の2つのモデルラインアップが用意されるが、プロパイロットが装備可能なグレードは上位の「20X」系のみとなるので注意してほしい。
新型エクストレイルのグレードと価格については以下の通り。
※価格はいずれも税込。
【プロパイロットの装備が可能なグレード】
20X:2列シート/2,548,800円[2WD]・2,755,080円[4WD]
20X:3列シート/2,621,160円[2WD]・2,827,440円[4WD]
20Xハイブリッド:2列シート/2,892,240円[2WD]・3,098,520円[4WD]
【プロパイロット装備が不可能なグレード】
20S:2列シート/2,197,800円[2WD]・2,404,080円[4WD]
20Sハイブリッド:2列シート/2,589,840円[2WD]・2,796,120円[4WD]
新型エクストレイルではプロパイロットの搭載のみならず、エクステリアも大幅に刷新された。
昨年、2016年に日産は“北米版エクストレイル”である「ローグ」の新型を発表し、北米ではすでに販売を開始しているが、今回発表されたエクストレイルにもローグの外観や内装が踏襲されている。
エクストレイルの外観は、2016年に北米で発売された「ローグ」を踏襲している
エクストレイルの外観は、2016年に北米で発売された「ローグ」を踏襲している
外観は、日産のアイデンティティであるフロントの「Vモーショングリル」がさらに拡大して存在感が増した。加えて、フロントバンパーやフォグランプの意匠も変更を受けている。リアは、コンビネーションランプとリアバンパーに変更が加えられており、外観全体としては大きな変更はないものの、よりSUVらしいエクステリアへ変貌したという印象を受ける。
先代と比べてVモーショングリルが拡大し、フロントバンパーやフォグランプの意匠も変更されている
リアのコンビネーションランプにも変更が加えられた
内装では、特に機能面での改善が加えられている。ドライバーズシートでは、ステアリングがD型のタイプへ変更された。また、後席にシートヒーターが設置されたり、5人乗りモデルの後席が分割可倒シートになるなどの改善が施されている。
日産「セレナ」や「ノート」にも採用されるD型ステアリング。今回のマイナーチェンジからエクストレイルにも導入された
後席シートは分割可倒が可能となった
またバックドアは、リヤバンパーの下に足先を入れることで開閉が可能な、いわゆる“キック式”のオートバックドアが採用された。近年流行りともいえるこの方式は、両手がふさがっていてもバックドアの開閉ができるので、特にエクストレイルなどのSUVでは利便性が高いといえる。
オートバックドアの動作については、以下の動画を参考にしてほしい。
新型エクストレイルの予約はすでに始まっているが、日産自動車 専務執行役員の星野朝子氏は、月販目標台数5,000台に対して「すでに3,300台の予約受注がある」とし、そのなかでも「プロパイロットの搭載比率はおよそ8割」に達すると話す。
また、日産自動車 日本マーケティング本部の山脇氏は「エクストレイルは、特に同車種での乗り換えが多いことから、今後はそれが中心となっていくだろう」と話す。
国内保有台数が歴代で30万台にも及ぶエクストレイルであるが、今後、新型の販売台数の推移が注目されるところだ。