トヨタは2017年1月に北米国際自動車ショー(通称:デトロイトモーターショー)で世界初披露した新型セダン「カムリ」を、2017年7月10日に日本において発売開始した。
主に北米を中心として販売好調な新型カムリだが、今回の新型カムリは日本でも大々的に発表された
日本ではセダンよりも軽自動車やコンパクトカー、ミニバンなどに人気が集まるためにやや影の薄いカムリだが、米国では40万台以上を生産しており、15年連続販売台数No.1を誇る人気車種だ。
新型カムリの北米仕様はガソリンエンジンとハイブリッドの2モデルがラインアップされているが、日本ではハイブリッドのみが販売される。グレードと価格については以下の通り。
トヨタ 新型カムリは日本ではハイブリッドのみがラインアップされる
※左からグレード名/価格
X/3,294,000円
G/3,499,200円
G レザーパッケージ/4,195,800円
6年ぶりのフルモデルチェンジとなるカムリは、全てにおいて刷新が図られている。プラットフォームは、トヨタ初となる「TNGA-Kプラットフォーム」を採用。重量バランスと車両安定性が向上しており、上質な乗り味を実現しているという。
エンジンは、「ダイナミックフォースエンジン」と呼ばれる新エンジンを、新型カムリで初採用。THSIIハイブリッドシステムと組み合わせることで、211psの最高出力を発生させながらも、セダンではトップレベルの燃費となる「33.4km/L」を達成している。
トヨタ 新型カムリのエンジンルーム。「ダイナミックフォースエンジン」と呼ばれる2.5リッターの新エンジンが搭載されている
また、こちらもトヨタ初となる液体封入式のエンジンマウントの採用や、ボディにはねじれを抑制して操縦安定性を向上させる骨格を採用するなど、走行面においてはかなりの向上が図られている。
デトロイトモーターショーで話題となった新型カムリのエクステリアについては、大きく口を開いたフロントグリル「キーンルック」が印象的だ。また、サイドからリアにかけては、世界的に流行りのクーペ風のスタイリッシュな造形としながらも、実用性も確保されている。
フロントグリルの「キーンルック」が印象的な新型カムリのフロントマスク
フロントグリルの「キーンルック」が印象的な新型カムリのフロントマスク
サイドからリアにかけては流行のクーペライクなスタイルに
トヨタでは、新型カムリの発売により“セダンの復権”を目指すという。
新型カムリのターゲットユーザーは、1980年代のバブル期に青春時代を過ごした50代がメイン。新型カムリのCMも、80年代の青春時代の気持ちを思い出し、もう一度クルマにワクワクして欲しいという想いを込めて製作されており、MR2やアルテッツァなど80〜90年代のトヨタ車のCMが挿入されるほか、さらには80年代を代表するアーティスト「Queen」のアレンジ楽曲が使用されている。
発表会場では、「セダンの復権」という言葉が幾度も使用されていることからも、トヨタが新型カムリに架ける意気込みが表れている
トヨタ自動車 専務役員の吉田守孝氏は、「日本だけでなく、北米でもSUVやトラックの人気が進んでいる。しかし、元々セダンは格好良くて走りも良いなどポテンシャルが高い。今回、新型カムリではTNGAで全てを一新して商品価値を高めた。1980年代、セダンが非常に人気があった頃の活気を目指して、セダンを復権させたい」と語る。
さらに、これまでのカムリはカローラ店1チャネルのみで販売していたが、新型ではトヨペット店、ネッツ店を加えた3チャネルで併売される。
3チャネル併売の理由について、トヨタ自動車 常務役員の村上秀一氏は「いま、トヨタのミディアムセダンユーザーは実は250万人いらっしゃるので、日本のセダンマーケットはしっかり根強い需要があるのではと。こういったお客様をしっかりと獲得したいという思いで、今回はトヨペット店、ネッツ店を加えた3チャネルの併売としている」と話す。
3チャネル合計の店舗数は4000店舗にも上る。トヨタは新型カムリで自らの顧客層の需要を掘り起こし、セダンの復権に繋げることが出来るのかが注目される。