新製品レポート
欧州CセグNo.1を目指し“走りの楽しさ”と“操る喜び”を手に入れた

“復活”した新型「シビック」の魅力を解説! 歴代最強「タイプR」の馬力と価格は?

ホンダは、1948年の設立から68年を数えた昨年2016年に、世界累計販売台数1億台を達成した。そして、その1億台のうち、およそ1/4となる2400万台が実は「シビック」で占められている。ホンダにとって、シビックは重要な世界戦略車なのだ。

そんなシビックの10代目が、日本で発売開始された。日本におけるシビックは、9代目となる先代モデルは発売されず、スポーツモデルの「タイプR」のみが限定で販売されていた。そのような理由から、今回の10代目はシビック“復活”ともいえるクルマなのだ。

10代目の新型シビックは、北米ではすでに販売が開始されており、北米カー・オブ・ザ・イヤーも受賞するほどの人気車種となっている。

(左)新型シビックハッチバック/(中央)新型シビックセダン/(右)新型シビックタイプR

(左)新型シビックハッチバック/(中央)新型シビックセダン/(右)新型シビックタイプR

10代目シビックのラインアップは、「ハッチバック」「セダン」「タイプR」の3タイプ。グレードと搭載エンジン、トランスミッション、価格については以下の通りとなる。

※価格はいずれも税込
シビック ハッチバック:1.5L VTECターボ/CVT or 6MT/2,800,440円
シビック セダン:1.5L VTECターボ/CVT/2,650,320円
シビック タイプR:2L VTECターボ/6MT/4,500,360円

新型シビックが目指したのは、「欧州Cセグメント」でトップレベルの運動性能を手に入れることで、「走る楽しさ」と「操る喜び」が徹底的に磨き上げられた点だという。

新型シビックが高い目標を掲げた理由は、2つある。ひとつは、世界のCセグメントのライバル車が飛躍的な進化を遂げている現状に対する“危機感”。そして、もうひとつは、ユーザーからの「近年のシビックは、保守的になったのではないか」という多くの“ユーザーの声”に応えるためだ。

これまでの歴代シビックでは、「セダン」「ハッチバック」といったベースのシビックが完成してから「タイプR」の開発に着手していた。だが、新型シビックでは開発段階から“タイプRまで想定”したプラットフォームの開発が行われている。日常の使い勝手からサーキット走行までを最初から考慮し、ドイツのアウトバーンやニュルブルクリンクで徹底的に鍛え上げたことで、低重心、低慣性で高いポテンシャルを持つプラットフォームが完成した。

新型シビックタイプRのプラットフォームは、セダン・ハッチバックと同時に開発され、海外の過酷なサーキットコースで鍛え上げられた

そのプラットフォームを軸として、リニアでハイレスポンスなパワートレインやシャシーを組み合わせることにより、新型シビックは高性能でコントローラブルな運動性能を手に入れているという。

これにより、セダンやハッチバックはタイプRのようなスポーティーな運動性能を得ることができ、いっぽうのタイプRは開発当初から想定することで、スポーツ性能を大幅に強化しながらも、市街地での乗りやすさや居住性、快適性をも手に入れている。

セダンとハッチバックの違い

新型シビックでは前述の通り3タイプが存在するが、モデルごとの特徴としてはセダンが「コンフォート」、ハッチバックが「スポーティー」、そしてタイプRは「リアルスポーツ」といった特徴を持つ。

このうち、タイプRは他モデルとは外観が大きく異なり、求めるユーザー層もはっきりしているが、セダンとハッチバックはデザイン面では一見すると大きな変化がなく、見分けがつきにくい。そこで、セダンとハッチバックの主な違いについて解説したい。

(左奥)シビックハッチバック/(右手前)シビックセダン

(左奥)シビックハッチバック/(右手前)シビックセダン

ボディサイズ(全長×全幅×全高)は、セダンの4,650×1,800×1,415mmに対して、ハッチバックは4,520×1,800×1,435mm。全長はセダンが130mm長く、全幅は変わらず、全高はセダンが20mm低い。全長が大きく異なるのは、セダンのほうがリアのオーバーハングが長いためだ。ホイールベースは、セダンもハッチバックも2,700mmと変わらない。

(左奥)シビックハッチバック/(右手前)シビックセダン

(左奥)シビックハッチバック/(右手前)シビックセダン

(左)シビックハッチバック/(右)シビックセダン。デザインは似ているが、フロントとリアのバンパーは、ハッチバックのほうが少し派手だ

どちらもワイド&ローでクーペのような外観だが、フロントとリアのバンパーはハッチバックのほうが少し派手で、マフラーもハッチバックは中央2本出しとなっているなど、ややスポーティー志向を強めたデザインとなっている。

開口部が450mmのセダンに対し、ハッチバックは960mmと大きな荷物も積み込みやすい

開口部が450mmのセダンに対し、ハッチバックは960mmと大きな荷物も積み込みやすい

また、セダンとハッチバックという違いから荷室の使い勝手は大きく異なり、セダンのトランクルームは縦が450mm開くのに対し、ハッチバックは960mmと大きく開くので、大きな荷物などを出し入れしやすく使い勝手がよい。

セダン、ハッチバックともに1.5リッターVTECターボエンジンを搭載するが、最高出力と最大トルクはスポーティー志向のハッチバックのほうが上回る

搭載エンジンは、どちらも1.5リッターVTECターボエンジンだが、それぞれパワーが異なる。最高出力と最大トルクは、セダンが「173PS/22.4kgf・m」で、ハッチバックはCVTが「182PS/22.4kgf・m」、6MTが「182PS/24.5kgf・m」と、ハッチバックのほうが高出力だ。

ハッチバックには6MTモデルも導入される。スポーツカー以外でマニュアル車が用意されるのは、近年のホンダでは珍しい

また、今回の新型シビックでは、ハッチバックに6速MTモデルを選択することもできる。これについては、当初は日本への導入予定はなかったそうなのだが、開発チームが懇願したことで、導入がかなったいう経緯があるそうだ。

もうひとつ、走りについて特筆したいのが、ヒップポイントが20mm下がったこと。これにより安定感の高い、スポーティーなドライビングポジションが実現している。

セダンとハッチバックの乗り味の違いについては、先日サーキットコースにおけるメディア向けの先行試乗会が開かれ、その試乗記が以下の記事にて掲載されている。ぜひ、ご参考いただければ幸いだ。

【試乗記】10年の時を超えて日本国内で復活するホンダの10代目「シビック」に試乗してきた!

さらに、新型シビックのメーカーホームページ上にも、新型シビックに先行試乗した一般ユーザーの声が掲載されている。いずれも、「1.5リッターとは思えないほど、加速がよい」「路面に吸い付くような安定感がある」といったコメントが寄せられており、プラットフォームの刷新などによって、新型シビックが高い安定感を得ていることがわかるコメントだ。

FF最速、歴代最強の「シビックタイプR」

今回の新型シビックで注目したいのが、「タイプR」の存在だ。新型シビックタイプRは今年の4月、ドイツ・ニュルブルクリンクサーキットにおいて、これまでFFモデルで最速だったVW「ゴルフ GTI」を抜き、「7分43秒80」のラップタイムを叩き出して、FF最速となったことが記憶に新しい。

新型シビックタイプRのフロントビュー。アンダースポイラーに赤のストライプが施されているのが特徴のひとつ

新型シビックタイプRのリアビュー。薄型のリアスポイラーは空力向上のほかに、後方視界にも配慮されている

新型シビックタイプRのリアビュー。薄型のリアスポイラーは空力向上のほかに、後方視界にも配慮されている

新型シビックタイプRは、2リッターVTECターボエンジンを搭載し、最高出力は先代タイプRを凌ぐ320PS、最大トルクは400N・mを発生。先代のシビックタイプRの最高出力が310PS、最大トルクが400N・mなので、先代モデルより10PSアップし、これまでの歴代シビックタイプRの中で最もパワフルなパワーユニットを搭載していることになる。

トランスミッションは、6速マニュアルを搭載。軽量なシングルマスフライホイールが採用されているので、その吹け上がりは軽快だ。

シビックタイプR専用の2リッターVTECターボエンジンは、先代から10PSアップとなる、最高出力235kW(320PS)/6,500rpm、最大トルク400N・m(40.8kgf・m)/2,500〜4,500rpmを発生。エンジンカバーには、シビックタイプRのアクセントカラーである赤が採用されている

トランスミッションは6速マニュアルのみ。新型シビックタイプRには、自動ブリッピングすることでヒール&トゥと同様のスムーズなシフトダウンが可能となる「レブマッチシステム」が搭載されている。そのため、MT初心者でもサーキット走行などを楽しむことが可能だ

ボディサイズを先代の2015年モデルと比べると、全長は+170mmの4,560mm、全幅は-5mmの1,875mm、全高は-25mmの1,435mmとなっている。ホイールベースは+100mmの2,700mmだ。トレッドは、フロントが-5mmでリアが+65mm。ホイールベースを延長し、トレッドを拡大させることで走行安定性が図られた。さらに、タイヤサイズは先代の19インチから新型では20インチへと拡大していることも、安定性の向上に寄与している。

新型シビックタイプRでは、ホイールベースが+100mm延長されて、タイヤサイズも19インチ(235/35ZR19)から20インチ(245/30ZR20)へとインチアップ。さらにトレッドを拡大することなどで安定性の向上が図られている

また、開発当初からタイプRを想定したボディ設計としたために、重量はホワイトボディで約16kg減、ねじり剛性は38%向上した。さらに空力性能も高められており、ルーフから後方に流れる空気を整える「ボルテックスジェネレーター」が初めて採用されているほか、リアスポイラーは先代より薄型化されて、より強力なダウンフォースを発生させる。

排気系では、センター3本出しの「トリプルエキゾーストシステム」を採用。排気効率を向上させることで、先代モデルからの出力向上に寄与している。

ルーフから後方に流れる空気の剥離を抑えて、リアスポイラーへ風を導く「ボルテックスジェネレーター」は、新型シビックタイプRで初めて採用された

新型シビックタイプRのリアスポイラーは、先代よりも薄型の形状ながらも、強力なダウンフォースを発生させるほか、車内からの後方視界も向上している

排気流量を増加させて高出力化した左右2本のメインパイプと、エキゾーストノートを演出する中央のセンターテールパイプで構成された「トリプルエキゾーストシステム」

新型シビックタイプRで特筆したい機能が、ホンダ車で初採用となる「レブマッチシステム」だ。

スポーツ走行時においては、シフトダウンの際にブレーキを踏みながらアクセルを煽るテクニック「ヒール&トゥ」が必須だが、レブマッチシステムではシフトダウンの際に最適なエンジン回転数へ自動でブリッピングしてくれるため、ドライバーはヒール&トゥを行わなくとも、スムーズにクラッチを繋いでシフトダウンすることができる。なお、この機能はメーター中央に表示される設定画面から、オン・オフが可能となっている。

スポーツ走行では不可欠な「ヒール&トゥ」を習得せずともスムーズなシフトダウンが行える「レブマッチシステム」。高級スポーツカーなどには頻繁に採用されているが、ホンダ車では初の機能だ

FFスポーツカーとして、さらなる進化を遂げたシビックタイプR。先代のシビックタイプRは日本では抽選販売だったために、欲しくても買えないユーザーが出てしまったり、転売などの問題も浮き彫りとなったが、新型シビックタイプRはカタログモデルとなったので、誰しもが購入できるようになったのが、新型となって最も嬉しいところかもしれない。

カーボン調パネルと赤ストライプの組み合わせで、質感高く仕上げられた新型シビックタイプRのインパネ。センターコンソールには、シリアルナンバー入りのアルミ製エンブレムが装備される

新設計のフロントシートは、シート骨格の刷新とハイテン材の使用により約10%の軽量化が施されている。なお、座面の裏の形状を工夫することで、後席の乗員の足が入るようになっており、リアの居住性も向上させている

ホンダアクセスの純正アクセサリー「エキサイトスポーティパッケージ」装着車。フロント、リア共にオレンジのアクセントカラーが映えるほか、凝った造形のホイールが印象的だ

新型シビックハッチバックのスペック
※[ ] 内はマニュアルモデル

全長×全幅×全高:4,520×1,800×1,435mm
ホイールベース:2,700mm
駆動方式:FF
車重:1,350kg [1,320kg]
エンジン:1.5リッター水冷直列4気筒 VTECターボエンジン
トランスミッション:無段変速オートマチック [ 6速マニュアル]
最高出力:134kW(182PS)/6,000rpm
最大トルク:220N・m(22.4kgf・m)/1,700〜5,500rpm [240N・m(24.5kgf・m)/1,900〜5,000rpm]
燃費(JC8モード):18.0km/L [17.4km/L]
価格:2,800,440円(税込)

新型シビックセダンのスペック

全長×全幅×全高:4,650×1,800×1,415mm
ホイールベース:2,700mm
駆動方式:FF
車重:1,300kg
エンジン:1.5リッター水冷直列4気筒 VTECターボエンジン
トランスミッション:無段変速オートマチック
最高出力:127kW(173PS)/5,000rpm
最大トルク:220N・m(22.4kgf・m)/1,700〜5,500rpm
燃費(JC8モード):19.4 km/L
価格:2,454,000円(税込)

新型シビックタイプRのスペック

全長×全幅×全高:4,560×1,875×1,435mm
ホイールベース:2,700mm
駆動方式:FF
車重:1,390kg
エンジン:2リッター 水冷直列4気筒 VTECターボエンジン
トランスミッション:6速マニュアル
最高出力:235kW(320PS)/6,500rpm
最大トルク:400 N・m(40.8kgf・m)/2,500〜4,500rpm
燃費(JC8モード):12.8 km/L
価格:4,500,360円(税込)

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桜庭智之(編集部)

桜庭智之(編集部)

PC、AV家電を中心に幅広く担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。

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