新型アクアを5段階で評価!さらに実燃費も計測してみました

トヨタ 新型アクアクロスオーバー 試乗&実燃費テスト/走りも質感も魅力アップ!

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クルマにはさまざまな技術が使われるが、いまの日本で常に注目されているのが「ハイブリッド」だ。1997年に世界初の量産ハイブリッド車としてトヨタが初代「プリウス」を発売して以来、20年間でハイブリッドは急速に普及し、いまや国内で販売される小型/普通乗用車の35%を占めるようになった。

1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」

1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」

ハイブリッドとノーマルエンジンのどちらもラインアップする車種では、ハイブリッドを選択すると、燃料代を約40%節約できる場合もあるほど、ハイブリッドの省燃費性能は高い。

特に日本では、信号や渋滞のための加減速が多い。そのため、減速時の回生充電の機会が増えるうえに、走行スピードも低いのでエンジンを停止してモーターだけで駆動することも多くなる。日本は、ハイブリッドによる燃費節約の効果が得られやすい環境だ。

ただし、ハイブリッドはエンジンに加えて、モーター/駆動用電池/制御機能が不可欠だ。必然的にコストも高くなり、ハイブリッド車の価格は同クラスのガソリンエンジン車に比べて少なくとも30万円、上級車種では90万円前後も上まわる。燃費を節約できて環境性能がすぐれていたとしても、価格が高ければ購入は難しい。

そこで注目されるのが、1.2〜1.5リッターエンジンを搭載するコンパクトなハイブリッドだ。日本の道路環境でも扱いやすく、価格は200万円以下に収まる。ボディも軽く、燃料消費量をさらに抑えられる。

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」(2017年6月マイナーチェンジモデル)

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」(2017年6月マイナーチェンジモデル)

このコンパクトハイブリッドの代表格がトヨタ「アクア」だ。2011年12月に発売し、売れ筋グレードとなる「S」の価格は200万円を下まわる。発売以来、改良を繰り返しながら高い人気を保ってきた。

このアクアが、2017年6月にマイナーチェンジを実施した。7月の小型/普通車の販売ランキングでは、ノート、プリウスに続いて3位にランクされるなど、不動の人気を誇る。

今回は、そんなアクアのマイナーチェンジモデルへ試乗する。グレードは新設定されたクロスオーバーで、外観は流行のSUV風だ。試乗に際しては以下の項目を5段階で採点して、新型アクアクロスオーバーを評価したい。

・運転のしやすさ(取りまわし性/視界)
・内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)
・居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)
・走行性能(動力性能/走行安定性)
・乗り心地
・安全&快適装備
・価格
・総合評価

※上記項目について、それぞれ1〜5点の5段階で採点、評価

運転のしやすさ(取りまわし性/視界)

「取りまわし性」

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」フロントイメージ

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」フロントイメージ

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」リアイメージ

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」リアイメージ

新型アクアクロスオーバーの全長は、4,060mmと短い。全幅は標準ボディと違って3ナンバーサイズだが1,715mmに抑えた。ただし最小回転半径は、16インチタイヤの装着によって5.4mと大回りになる。標準ボディの4.8mに比べて小回りの利きが悪い。

「視界」

視界については、サイドウィンドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたために、斜め後方の視界が不足してしまっている。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:ボディはコンパクトだが、視界がマイナス

内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性)

新型「アクアクロスオーバー」のインパネ

新型「アクアクロスオーバー」のインパネ

新型アクアクロスオーバーの内装を見渡すと、以前よりも上質になったと感じる。特に、2011年の発売時点に比べると印象が大きく異なる。

たとえば、インパネの助手席前側部分は、発売当初は風変わりな幾何学模様が入り、いかにも樹脂製という印象だった。それが、新型アクアでは合成皮革が巻かれて肌触りもやわらかい(G/クロスオーバー)。さらに、カーナビやエアコンスイッチの周囲にはメッキの縁取りがあしらわれ、光沢ブラックの塗装なども相まって、見栄えの不満はほぼ解消された。

アクアの過去を振り返れば、2013年に2回、2014年、2015年に1回ずつと、毎年のように改良を繰り返しながら質感を高めてきた経緯がある。つまり、2017年のマイナーチェンジだけでなく、過去の6年近い改良の蓄積によるものだ。メーターの視認性やスイッチ類の操作性もおおむねよい。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:全長が4m前後のコンパクトな車種としては上質な内装を持つ

居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の広さと使い勝手)

「前後席の居住性」

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」フロントシート

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」フロントシート

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」リアシート

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」リアシート

居住空間の広さは発売時点と同じだから、前席は快適だが、後席の頭上と足元の空間は狭めになる。大人4名での乗車は可能だが、ファミリーで使うなら念のため後席の居住性を確認したいところだ。

「荷室の広さと使い勝手」

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」ラゲッジアレンジ

トヨタ 新型「アクアクロスオーバー」ラゲッジアレンジ

天井が後ろに向けて下降しているので、荷室の容量も小さい。シートアレンジは単純で、5ドアハッチバックながらも実用的な機能はクーペに近い。

評価:★★☆☆☆(2点)
コメント:5ドアハッチバックとしては荷室の実用性が不満

走行性能(動力性能/走行安定性)

「走行安定性」

新型「アクアクロスオーバー」試乗イメージ/試乗ドライバー:渡辺陽一郎

新型「アクアクロスオーバー」試乗イメージ/試乗ドライバー:渡辺陽一郎

もともとアクアの走行安定性は、満足できる水準にあった。全高が1500mm以下で(新しいクロスオーバーは1500mmジャストだが)、車両重量はSやGが1090kg、クロスオーバーでも1100kgに収まるからだ。比較的軽快に曲がり、下り坂のカーブでブレーキを踏むような操作を強いられても、後輪がしっかりと接地するから不安を感じにくい。

操舵に対する反応は、以前は機敏だったが今は少し穏やかだ。峠道をスイスイと走り抜けるスポーティ感覚は薄れたが、むしろ自然に感じられる。アクアの開発者は「以前はキビキビと曲がる感覚を重視して、足まわりも硬めにしたが、新型は操舵感、安定性、乗り心地のバランスを向上させた」という。個性は弱まったが洗練度を深めた。

「動力性能」

新型「アクアクロスオーバー」試乗イメージ/試乗ドライバー:渡辺陽一郎氏

新型「アクアクロスオーバー」試乗イメージ/試乗ドライバー:渡辺陽一郎氏

また動力性能に変更はないが、十分な水準に達している。街中を走行中にアクセルペダルを軽く踏み増すと、反応の素早いモーターが駆動力を高めて、速度を滑らかに上昇させる。

駆動用電池が十分に充電された状態であれば、発進はモーター駆動のみで行う。発売当初のアクアでは、発進後にエンジンが始動した時、ノイズが急激に高まったが新型はほとんど気にならない。

このように新型アクアクロスオーバーは、走りの満足度が全般的に高い。ホンダ「フィットハイブリッド」日産「ノートe-POWER」などに比べると後席や荷室が狭く、ファミリーカーの実用性は下がるが、安定性と加速性能がすぐれているから運転が楽しい。

エンジンやハイブリッドシステムは摩擦損失が抑えられており、クロスオーバーのJC08モード燃費は「34.4km/L」に達する。改良前のXアーバンは「33.8km/L」だから「0.6km/L」向上した。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:動力性能、走行安定性ともに満足できる

乗り心地

新型「アクアクロスオーバー」試乗イメージ/試乗ドライバー:渡辺陽一郎氏

新型「アクアクロスオーバー」試乗イメージ/試乗ドライバー:渡辺陽一郎氏

マイナーチェンジで大きく変わったのが「乗り心地」だ。前述の通り、アクアクロスオーバーはスポーティーな性格を持っているため、ほかのグレードに比べて足まわりが少し硬めに設定されているが、路上の段差を乗り越えても以前のようなバタンという荒いショックは伝わってこない。底突き感が抑えられており、足まわりの性能が高まっていると感じる。

それでも快適性がすぐれているとまでは言えないが、足まわりに伸縮性が感じられ、コンパクトカーとしての乗り心地の満足度は高い。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:コンパクトカーとしては快適な乗り心地で満足度は高い

安全&快適装備

アクアの安全装備は、緊急自動ブレーキを作動できる「トヨタセーフティセンスC」を標準で装備している。単眼カメラと赤外線レーザーをセンサーとして使うが、歩行者を検知できない。

昨今は、アクアクロスオーバーよりも価格の安い軽自動車まで歩行者検知の可能な緊急自動ブレーキが普及している。トヨタ車に幅広く採用されるトヨタセーフティセンスCは、アクアクロスオーバーを含めて改善が必要になっている。

評価:★★★☆☆(3点)
コメント:緊急自動ブレーキの採用は評価できるが、歩行者を検知できないのはマイナス

価格の割安感

新型「アクアクロスオーバー」のフェンダーアーチモールとサイドマッドガード

新型「アクアクロスオーバー」のフェンダーアーチモールとサイドマッドガード

新型「アクアクロスオーバー」のリヤスキッドプレート

新型「アクアクロスオーバー」のリヤスキッドプレート

先代アクアもSUV風のXアーバンを用意したが、これは外装が大人しく価格は割高で売れなかった。そこで新型アクアクロスオーバーは、Xアーバンでは10万6,488円でディーラーオプションになっていたブラックのフェンダーアーチモール、サイドマッドガード、リヤスキッドプレートなどを標準装着している。しかも価格は4万円ほど安い206万2,800円としたから、実質14万円相当の値下げになった。

このほか、アクア全車に共通する変更点として、ショックアブソーバーのバルブ構造やオイルシールを見直して乗り心地の質を高めた。コイルスプリングの硬さも変更されている。

ハイブリッドの機能や装備内容を考えれば、価格は割安だ。206万2,800円の価格設定は標準ボディのGと同額だが、装備内容から判断するとクロスオーバーが約5万円安い。

評価:★★★★☆(4点)
コメント:個性的なハイブリッド車として価格を割安に抑えている

総合評価

新型「アクアクロスオーバー」フロントイメージ

新型「アクアクロスオーバー」フロントイメージ

新型「アクアクロスオーバー」リアイメージ

新型「アクアクロスオーバー」リアイメージ

新型アクアクロスオーバーは、先代Xアーバンの失敗を生かしている。妥当な予算で買える低燃費で個性的なコンパクトカーを求めるユーザーは、検討するとよいだろう。
ただしクロスオーバーでありながら、4WDを選べないのは今後の改善すべき課題になっている。

総合評価:★★★☆☆(3点)

新型「アクアクロスオーバー」の採点結果

運転のしやすさ(取りまわし性/視界):★★★☆☆(3点)
内装(質感/スイッチの操作性とメーターの視認性):★★★★☆(4点)
居住性&荷室(前後席の居住性/荷室の使い勝手):★★☆☆☆(2点)
走行性能(動力性能/走行安定性):★★★★☆(4点)
乗り心地:★★★☆☆(3点)
安全&快適装備:★★★☆☆(3点)
価格:★★★★☆(4点)
総合評価:★★★☆☆(3点)

新型「アクアクロスオーバー」実燃費テスト

新型「アクアクロスオーバー」実燃費テストの様子、撮影場所は起点となる新宿

新型「アクアクロスオーバー」実燃費テストの様子、撮影場所は起点となる新宿

新型アクアクロスオーバーの試乗レポートとあわせて、実燃費テストも敢行したので、編集部員Sがその結果をお伝えしたい。

実燃費テストの走行パターンは、「市街地」「郊外路」「高速道路」の3種類でそれぞれ計測。走行ルートは、「市街地」が新宿から八王子までの渋滞の激しい約30kmのルート。「郊外路」は、八王子から高尾山を過ぎ、相模湖から道志みちにはいって奥相模湖付近から折り返す、信号が少なく快走路からワインディングまで変化に富む約50kmのルート。「高速道路」は、相模湖インターから新宿までの約60kmのルートとなる。

実燃費を計測した2017年8月2日は、曇り時々雨で気温は26度。エアコンは25度に設定していたが、冷房はほとんど動いていないという状況だった。

なお、アクアクロスオーバーのカタログ燃費(JC08モード)は、「34.4km/L」となっている。

「新型アクアクロスオーバー実燃費テスト/市街地編」

新型「アクアクロスオーバー」市街地における実燃費結果:「26.6km/L」

新宿からの国道20号は交通量がかなり多く、ところどころで渋滞が繰り返されたため、ハイブリッドカーのアクアにとっては好条件な道路状況となった。信号が青になっても前方にはクルマがいるため、発進時にアクセルを大きく開ける必要がなく、途中までは27〜28km/Lという高い燃費で推移していたが、八王子付近で交通量が減ってくると徐々に燃費が落ち、「26.6km/L」という実燃費結果となった。

「新型アクアクロスオーバー実燃費テスト/郊外路編」

新型「アクアクロスオーバー」郊外路における実燃費結果:「28.8km/L」

郊外路のルートでは、信号のない平坦な快走路ではおよそ「28km/L」。高尾山の付近と道志みちの付近の上り下りのあるワインディングでは、上りに入ると燃費はガクッと落ちたものの、下りではBレンジを積極的に使うことでEV走行の時間が増えたため燃費が回復し、「28.8km/L」という実燃費結果となった。

「新型アクアクロスオーバー実燃費テスト/高速道路編」

新型「アクアクロスオーバー」高速道路における実燃費結果:「30.4km/L」

高速道路では、途中の府中までは「28km/L」あたりで推移していたが、途中で事故渋滞となり、十キロ以上にわたって時速30kmあたりで一定のノロノロ運転となったために燃費が伸び始め、結果としては「30.4km/L」という実燃費になった。渋滞がなければ、おそらく28km/Lあたりの燃費値だったのではと考えられる。

新型「アクアクロスオーバー」の実燃費結果

カタログ燃費(JC08モード):34.4km/L
市街地の実燃費:26.6km/L
郊外路の実燃費:28.8km/L
高速道路の実燃費:30.4km/L
総合実燃費:27.9km/L

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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2017.9.20 更新
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