レビュー
なぜ、いまになって「ハイブリッド」が採用されたのか!?

トヨタ「プロボックス」「サクシード」ついに追加されたハイブリッドに試乗!実燃費も測定

今の商用バンは、トヨタ「ハイエース」やダイハツ「ハイゼットカーゴ」のようなワンボックスタイプが主流だが、以前は商用バンといえばステーションワゴンのようなエクステリアを持つ「ライトバン」と呼ばれるタイプが主流だった。かつては、トヨタ「クラウン」のような高級セダンでも、ライトバンがラインアップされていたほどだ。

未だに人気を誇るライトバンの「プロボックス」「サクシード」。画像は2018年12月に追加された「プロボックスハイブリッド」

今は車種数こそ少なくなったライトバンだが、いまだにユーザーから高い支持を得ているクルマがある。それが、トヨタ「プロボックス」「サクシード」だ。2018年にライトバンはおよそ73,000台が販売されているが、そのうちプロボックス、サクシードはおよそ50,000台。シェア率は、約63%にも及ぶ。

普通車にも欲しい・・・魅力的な装備を持つプロボックス、サクシード

プロボックス、サクシードは、日本の都心部から郊外まで、さまざまなビジネスマンの足として活躍している。もはや見慣れたとも言えるそのエクステリアは、誰もが一度は目にしたことがあるはずだ。

トヨタ「プロボックス」のフロントエクステリアとリアエクステリア。日本で見慣れたその外観は、一度は目にしたことがあるはずだ

プロボックス、サクシードのボディは全長が4,245mmとコンパクトで、最小回転半径は4.9mなので取り回しも楽だ。また、水平基調のボディは四隅がわかりやすく、視界がいいので運転がしやすい。

広大でフラットなラゲッジルームは、プロボックス、サクシードの特徴のひとつだ

広大でフラットなラゲッジルームは、プロボックス、サクシードの特徴のひとつだ

ラゲッジルームは、荷物を載せやすくするために低く設計されていて、開口部はスクエア形状なので大きな荷物を入れやすくなっている。さらに、リアシートをたためばフラットで広大な荷室として使用することができる。280×280×320mmの段ボール箱なら、38個も積むことができるのだ。

プロボックス、サクシードのインテリアは、ビジネスマンの使い勝手に配慮された装備が施されている。

プロボックス、サクシードのインパネ中央に搭載されている「マルチホルダー」。左は調整幅がもっとも狭い状態で、右はもっとも広い状態。収納するモノの大きさに合わせて幅の調整が可能なほか、プッシュすると裏に小物入れが出てくる仕様となっている

インパネの中央には、スマートフォンやメモ帳などを入れられる「マルチホルダー」が備わっている。このマルチホルダーは幅の調整が可能(最大93.9mm)なので、6インチを超えるような大画面のスマートフォンでも収納可能だ。

ノートパソコンや弁当などが置ける、使い勝手のいい「インパネテーブル」。最大重量は10kgで、サイズは幅が290mm、奥行きは180mm

「インパネテーブル」があれば、運転席に座ったままでノートパソコンの作業が出来たり、弁当が食べられるというのが便利だ

インパネには、引き出すことでノートパソコンや書類、弁当などがおける「インパネテーブル」が設置されている。ためしにモバイルノートPCを置き、運転席に座ったままパソコンで作業してみたのだが、数時間にわたるような長時間の使用でなければ、さほど疲れることなくパソコンを使うことができた。

フタの開閉で、小物からさまざまな大きさの飲み物まで収納することができる「センタートレイ」。1Lの紙パックが置けるのは、プロボックス、サクシードの特徴のひとつだ。LED照明が設定されており、夜間で使用するのにも便利だ

また、マルチホルダー下部に備わっているセンタートレイは、ふたを開閉させることによって500mlのペットボトルから1Lの紙パック飲料までさまざまな飲み物を置くことができるすぐれものだ。さらに、ふたを完全に閉めれば財布などの小物入れにもなる。このマルチホルダーにはLED照明も備わっているので、夜に小物などを置いていてもすぐに判別できるようになっている。

フロントシートは、リクライニング角度が76°まで設定可能。さらに、上下に60mmリフトできることや、前後スライド幅も240mmと広いことなど、さまざまな体格の人が座ることを考慮して、幅広い調整が可能となっている

もうひとつ、フロントシートはリクライニング角度が76°調整可能で、うしろへと完全に倒せば楽な姿勢で車内で仮眠を取ることもできる。実際に試したところ、普通車に比べてフラットに近い状態にまで倒せて腰のあたりが楽になるので、リラックスして仮眠することも容易いだろう。

プロボックス、サクシードに「ハイブリッド」が採用された理由

搭載エンジンは、プロボックスが直列4気筒の1.3Lと1.5Lエンジン、サクシードは1.5Lエンジンのみが搭載されている。プロボックスは「カローラバン」の後継なので1.3Lエンジンもラインアップされるが、サクシードはやや上級の「カルディナバン」の後継車種なので1.5Lエンジンのみとなっている。

そして、前置きが長くなってしまったが、2018年12月にプロボックス、サクシードに直列4気筒1.5Lエンジンをベースとしたハイブリッドモデルが加わった。搭載されているハイブリッドシステムは、「アクア」「シエンタ」「カローラアクシオ」「カローラフィールダー」などと基本的に共通のものだ。プロボックス、サクシードの発売は2002年7月なので、およそ16年を経てハイブリッドモデルが加わったことになる。

このタイミングでハイブリッドが追加された理由は、プロボックス、サクシードが今も堅調に売れていることが挙げられる。2018年の50,000台という販売台数は、トヨタ車であれば「クラウン」や「ノア」(ヴォクシー、エスクァイアは除く)に匹敵する。そこで、トヨタはハイブリッドをラインアップに追加する価値があると判断したという。

日々、ビジネスで使用されるプロボックス、サクシードのような商用車は、とにかく走行距離が多い。プロボックス、サクシードは1年間でおよそ2万km、普通乗用車の平均走行距離(およそ1万km)の2倍を走っていると言う。さらに、日本は渋滞が多いことからも、プロボックス、サクシードをハイブリッドにすることで燃料代の節約のほか、二酸化炭素の排出抑制などにもすぐれた効果が得られるだろう。

先進的なハイブリッドとやや古さを感じるステアフィールが共存

今回試乗したのは、プロボックスハイブリッドだ。プロボックスハイブリッドでは、ほかの車種と同様に駆動用電池が充電されていればモーター駆動のみで発進することができる。

トヨタ「プロボックスハイブリッド」の試乗イメージ

トヨタ「プロボックスハイブリッド」の試乗イメージ

車重は1,160kgと軽いので、緩やかに加速すればエンジンを始動させずに発進し、そのまま速度を高めていく。エンジンがかかっていないときの加速は、とても静かだ。そのまま加速を継続するとエンジンが始動するが、そのときのエンジンノイズは少し大きめだ。

巡航中にアクセルペダルを踏み増すと、モーターの駆動力が素早く立ち上がってエンジンパワーを補ってくれる。ハイブリッドの動力性能には余裕があり、ガソリン車ならアクセルを深く踏み込んで加速しなければならないような場面でも、ハイブリッドではモーターの駆動力が加わるのでエンジン回転数を上げずとも速度がついてくるような感覚だ。プロボックスハイブリッドの動力性能は、ガソリンエンジン車なら1.6〜1.8Lの排気量に相当するだろう。

トヨタ「プロボックスハイブリッド」の試乗イメージ

トヨタ「プロボックスハイブリッド」の試乗イメージ

プロボックスは発売から16年も経過していることから、ハイブリッドであっても操舵フィールにはやや古さを覚える。ステアリングを切り始めたとき、あるいは切り増したときの手応えは曖昧だ。だが、プロボックスは全般的に運転感覚がやや鈍いので、バランスが取れているとも言える。仮に操舵に対する反応を正確なものにしてしまうと、後輪の接地性などほかの部分も改善する必要が生じる。今は多少古さを感じても、現状のセッティングのほうが無難と言えるかもしれない。

プロボックスハイブリッドの実燃費は!?

今回、プロボックス初のハイブリッド車ということで、実燃費を測定した。

実燃費テストの走行パターンは、「市街地」「郊外路」「高速道路」の3種類でそれぞれ計測。走行ルートは、「市街地」が新宿から八王子までの渋滞の激しい約30kmのルート。「郊外路」は、八王子から高尾山を過ぎ、相模湖から道志みちに入り途中で折り返す、信号が少なく快走路からワインディングまで変化に富む約50kmのルート。「高速道路」は、相模湖ICから新宿までの約60kmのルートだ。なお、今回のテストでは「ECO」モードを使用して測定している。

結果としては、市街地と高速道路はWLTCモードに近い値となり、郊外路ではWLTCモードを上回る結果となった。

-実燃費-
市街地の実燃費:21.7km/L
郊外路の実燃費:26.4km/L
高速道路の実燃費:24.0km/L
総合実燃費:23.9km/L

-カタログ燃費-
市街地モード(WLTC-L):21.8km/L
郊外モード(WLTC-L):23.7km/L
高速道路モード(WLTC-H):22.3km/L
WLTCモード 総合燃費:22.6km/L
JC08モード燃費:27.8km/L

プロボックス、サクシードハイブリッドは「コスパ」もいい

ハイブリッド車とガソリンエンジン車で価格も比較してみたい。プロボックス「F」、サクシード「TX」で、1.5Lガソリンエンジン車とハイブリッド車を比べると、ハイブリッド車が27万円高い。ハイブリッドには「オートエアコン」が装着されるため、実質差額は25万5,000円に縮まる。

シエンタや、カローラアクシオ、カローラフィールダーで同様の計算をすると、35万円前後に達するから、プロボックス、サクシードのハイブリッドは割安と言える。コスト低減のために遮音を部分的に省いたのでノイズが少し気になるが、この安さには注目したい。
価格を抑えた理由を開発者にたずねると、「1.5Lハイブリッドの生産台数が増えたことで、プロボックス、サクシードハイブリッドのコスト低減が可能になった」と言う。

ハイブリッド車とガソリンエンジン車の燃料コストの差も比較してみたい。今回、ガソリンエンジン車では実燃費テストを実施しておらず、WLTCモードはハイブリッド車しか公表されていないので、カタログのJC08モード燃費で計算してみる。

ガソリンエンジン車のJC08モード燃費が「19.6km/L」、ハイブリッド車のJC08モード燃費は「27.8km/L」だ。実燃費をJC08モード燃費の80%と仮定して計算した場合、レギュラーガソリン価格が1L当たり145円とすれば、1km当たりの走行コストは1.5Lノーマルエンジンが「8.7円」、ハイブリッドは「6.1円」だ。1km当たり2.6円の差が付き、25万5,000円の実質的な価格額を燃料代の節約で取り戻せるのは、10万kmを走った頃になる。

10万kmを走るには、一般の乗用車では平均でおよそ10年を要するが、ビジネスカーであるプロボックス、サクシードは5年程度で差額が取り戻せて、その後は燃料代を効果的に節約できる。何十万キロも走行するプロボックス、サクシードはざらだ。したがって、プロボックス、サクシードハイブリッドは、推奨度の高いグレードと言える。

ビジネスマンのよき相棒として、本当の使いやすさを徹底的に追求したプロボックス、サクシード。それは結果として好調な販売台数に反映されているわけで、今回追加された魅力的なハイブリッドモデルによって、今後はさらに多くの企業の足として活躍するはずだ。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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