イベントレポート
トヨタ、ホンダなど日本メーカーの中国向けEVをご紹介

「C-HR」のEV!?EV大国“中国”で見た日本車EVの攻勢

1年間に約100万台以上のEVやPHV(PHEV)などの新エネルギー車(NEV=New Energy Vehicle)が販売される中国は、世界最大のEV市場です。中国では数多くのEVメーカーが存在しており、その数は大小あわせて500社近くにも上ります。

写真は、テスラ「Model3」に対抗するために開発されたジーリー(吉利汽车)のEV「A」

写真は、テスラ「Model3」に対抗するために開発されたジーリー(吉利汽车)のEV「A」

中国のEVメーカーが短期間でここまで増えた背景には、EVはエンジンなどの内燃機関を持つ車に比べて構造がシンプルであることから、自動車製造の歴史が浅いメーカーでも比較的作りやすいこと。また、中国政府の政策として、新エネルギー車を製造するメーカーに補助金を出すなどの優遇措置が取られてきたことも、理由のひとつとしてあげられます。

世界的に見ても中国製EVの販売比率は高く、2018年のEV、PHV(PHEV)など充電が可能な車種の販売台数の世界トップ20車のうち、実に11台が中国車になります。

■2018年の世界におけるEV、PHV(PHEV)販売台数ランキング
(1位)Tesla Model 3 [アメリカ]:145,846台
(2位) BAIC EC-Series [中国]:90,637台
(3位) Nissan Leaf [日本]:87,149台
(4位) Tesla Model S [アメリカ]:50,045台
(5位) Tesla Model X [アメリカ]:49,349台
(6位) BYD Qin PHEV [中国]:47,452台
(7位) JAC IEV E/S [中国]:46,586台
(8位) BYD e5 [中国]:46,251台
(9位) Toyota Prius Prime / PHV [日本]:45,686台
(10位)Mitsubishi Outlander PHEV [日本]:41,888台
(11位)Renault Zoe [フランス]:40,313台
(12位)BMW 530e [ドイツ]:40,260台
(13位)Chery eQ EV [中国]:39,734台
(14位)BYD Song PHEV [中国]:39,318台
(15位)BAIC EU-Series [中国]:37,343台
(16位)BYD Tang PHEV [中国]:37,148台
(17位)BYD Yuan EV [中国]:35,699台
(18位)BMW i3 [ドイツ]:34,829台
(19位)Roewe Ei6 PHEV [中国]:33,347台
(20位)BAIC EX-Series [中国]:32,810台

20位までのうち、中国車は11台がランクインしています。さらに、2018年に中国で販売されたEV、PHV(PHEV)の数は、全世界で販売された数のなかで半数以上を占めています。

これまで、中国は新エネルギー車の販売を促進するために税金を優遇したり、ナンバー発給制限を緩和したりと、中国のEVメーカーや購入ユーザーに対してさまざまな優遇措置を講じてきました。そして、2019年からは新たに「NEV(New Energy Vehicle)規制」を導入。これは、1年間に3万台以上の自動車を生産、輸入する自動車メーカーに一定数以上のNEVの生産や販売を義務付ける制度で、2019年は10%、2020年には12%と徐々に引き上げられています。

NEV規制に対応するため、ホンダは20車種のNEVを2025年までに投入予定で、日産は2018年9月に中国市場向け「シルフィEV」を発売。トヨタは2019年3月にカローラの新型PHV「双フE+」を発売するなど、各社が対策を講じています。

中国の広州で11月22日〜12月1日に開催された「広州モーターショー」

中国の広州で11月22日〜12月1日に開催された「広州モーターショー」

2019年11月22日〜12月1日に開催された広州国際自動車展覧会(以下、広州モーターショー2019)においても、合計1,050台の出展車両のうち、NEVは前回より30台以上多い182台となり、展示車両全体の約17%を占めました。

日本のメーカーも最新のEVを出展しており、世界初公開となったレクサス初のEV「UX300e」は、日本でも大きな話題となりました。当記事では、広州モーターショー2019に出展していた日本メーカーのEVを中心に、中国市場で販売(予定含む)される最新EVをご紹介します。

レクサス「UX300e」

中国の富裕層から絶大な支持を受けているレクサスは、日本と同じく2005年から上海、北京などの大都市でレクサス専売店を展開しています。現在までに、中国国内では約100万台のレクサス車が販売されました。

レクサス「UX300e」

レクサス「UX300e」

広州モーターショー2019で世界初公開された、レクサス初のEV「UX300e」。そのベースは「UX」で、外観上の違いといえば、「ELECTRIC」のバッジと給電口くらいです。大容量バッテリーの採用によって、航続距離は400qを実現。日本よりもはるかに過酷な気象条件で使われることを想定して、低温や高温下でも正常に動作するようバッテリーに温度調整機能が備えられているほか、過充電防止システムや多重監視のセーフネットによって、高い信頼性を実現しています。

広汽トヨタ「C-HR EV」/一汽トヨタ「IZOA EV」

中国トヨタで注目のEVは、2019年4月の上海モーターショーでもすでに発表されている広汽トヨタ「C-HR EV」と、その姉妹車となる一汽トヨタ「IZOA EV」の2台です。

広汽トヨタ「C-HR EV」

広汽トヨタ「C-HR EV」

一汽トヨタ「IZOA EV」

一汽トヨタ「IZOA EV」

2020年春に中国で市販予定なのですが、詳細スペックについては広州モーターショーでも明かされていませんでした。航続距離は、いずれもUX330eと同様に400kmを達成しています。

ガソリン車との外観上の違いは、グリルを省いた独自のフロントマスクと専用ホイール程度に留められています。

日産「シルフィEV」

日本では地味な存在の「シルフィ」ですが、実は中国ではシルフィの年間販売台数が30万台前後と、中国の新車販売ランキングにおいて、毎年トップ争いになるほどの超人気モデルです。個性はなくとも、日本車としての品質のよさ(故障の少なさ)や快適性の高さなど、トータル性能のよさは中国車にはない魅力のようで、価格も手ごろなことから、中流階級以上の中国人にとても人気があるそうです。

日産「シルフィEV(シルフィ ゼロ・エミッション)」

日産「シルフィEV(シルフィ ゼロ・エミッション)」

そんな人気のシルフィへ、2018年に追加モデルとして登場したのが「シルフィEV(シルフィ ゼロ・エミッション)」です。シルフィEVのプラットフォームには、同社のEV「リーフ」と同じものが採用されています。バッテリー容量は38kWhで、急速充電は45分(通常8時間)。最高時速は144km/hで、航続距離は338kmを実現しています。

広汽ホンダ「VE-1」

ホンダは、ヴェゼルをベースとした2台のEVモデルに注目です。そのひとつ「VE-1」は、広汽ホンダのブランド「理念(Everus)」から販売されるEVです。

広汽ホンダ「VE-1」

広汽ホンダ「VE-1」

容量53.6kWhのバッテリーを搭載し、最高出力160 hp、最大トルクは210 lb-ftを発生。80%までの充電を可能とする急速充電は、30分以下の充電時間を実現しています。最高速度は時速140 kmと控えめですが、最新のインフォテインメントシステムや安全装備も最新のものを備えています。価格は、15万9800元(約248万8,000円)から。

東風ホンダ「X-NV」

東風ホンダ「X-NV」

東風ホンダ「X-NV」

東風ホンダ「XR-V」をベースとしたEVが、「X-NV」です。中身はVE-1とほぼ同等なのですが、前後のエクステリアは広汽ホンダのVE-1とは異なるデザインが採用されています。広州モーターショー2019で、初の市販モデルが公開されました。

NIO「EP9」

NIO「EP9」

NIO「EP9」

数ある中国の新興EVメーカーの中でも、高い品質のEVを開発、販売する「NIO(上海蔚来汽車)」は、2014年に上海で設立されたEVベンチャーです。NIO「EP9」は、同社のフォーミュラEチームが開発に携わったEVハイパーカーで、2018年にニュルブルクリンクのノルドシュライフェにおいて6分45秒90のラップタイムを記録し、市販車EVとして最速記録を樹立しています。

NIO「ET Preview」

NIO「ET Preview」

NIOはこのほか、SUVの「ES6」や「ES8」など数々のEV車をラインアップしており、上海モーターショー2019ではセダンタイプのコンセプトモデル「ET Preview」を発表しました。このET Previewは、「ET7」として2020年からの生産が予定されています。

BYD「唐」

「BYD(比亜迪汽車)」は、2003年に設立された中国の自動車メーカーです。現在のBYDデザイン部門のトップは、元アウディグループのデザイナーだったヴォルフガング・エッガー氏。中国は、著名ドイツ人デザイナーをスカウトするパターンが多く、近年欧州車を思わせるようなデザインが中国車に増えているのもそれが理由です。

BYD「唐」

BYD「唐」

BYD「唐」は、2014年に導入された人気の「王朝シリーズ」の第2弾となるフルサイズSUVです。容量82.9kWhのバッテリーを搭載し、最高出力241 hp、最大トルクは330Nmを発生させます。急速充電は1.4時間、加速は0-100km/hで4.4秒(4WD最上級グレード)と、なかなかの俊足を誇ります。ちなみに、BYDの乗用車については日本への導入予定は今のところありませんが、BYD製の電気バスはプリンセスライン(大阪府)をはじめ、国内複数のバス会社がすでに運用しています。

ジーリー「A」

ジーリー「A」

ジーリー「A」

「ジーリー(吉利汽車)」が2019年に発表したEV専用のサブブランドが「幾何(ジオメトリー)」です。幾何のラインアップは現時点でEVセダンの「A」のみで、テスラの「Model 3」に対抗するために開発されました。Aは、航続距離410kmの51.9kWhバッテリー搭載モデルと、航続距離500kmの61.9kWhバッテリー搭載モデルの2モデルが設定されています。最高出力160hp、最大トルク250N・mで、0-100km/h加速は8.8秒です。

シャオペン「G3」

シャオペン「G3」

シャオペン「G3」

「シャオペン(小鵬汽車)」は、2014年に設立された振興EVメーカーです。2019年のCES(ラスベガスで開催される世界最大の家電技術見本市)で「G3」を公開し、同年春に販売を開始しました。

シャオペン「G3」の天井に設置されている、ポップアップ式の360°カメラ

シャオペン「G3」の天井に設置されている、ポップアップ式の360°カメラ

シャオペンのユニークなところは、ルーフに設置されたポップアップ式の360°カメラを使って、車内からジェスチャー操作で外の写真を撮影することができることです。また、車両の周囲をセンシングするために12個のミリ波レーダーと5個のカメラが搭載されています。

さらに、シャオペンでは、2020年にレベル3の自動運転に対応する4ドアクーペ「P7」が発売される予定となっています。なお、シャオペンはアリババやフォックスコン、シャオミなどから計40億ドルの資金を調達し、車両設計にはテスラの元技術者を起用していましたが、2019年1月に自動運転に関わるソースコードをコピーして持ち出したとして、テスラに訴えられています。

(Photo:加藤博人)

加藤久美子

加藤久美子

日刊自動車新聞社に入社し、自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。認定チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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