レビュー
ビッグマイナーチェンジが図られた、新型「IS」に試乗!

レクサス 新型「IS」は欧州プレミアムセダンと互角の実力を備えた

トヨタの高級車ブランド「レクサス」で中心的な存在となっているのが、ミドルサイズセダンの「IS」だ。日本国内でも高い人気を誇っている、メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」などの輸入車が、主なライバル車になる。

2020年11月5日にマイナーチェンジされた、レクサス「IS」。従来のFRスポーツセダンというコンセプトは変わらず、よりワイド&ローなエクステリアに刷新されたほか、操縦性の向上や乗り心地の改善などが図られている

2020年11月5日にマイナーチェンジされた、レクサス「IS」。従来のFRスポーツセダンというコンセプトは変わらず、よりワイド&ローなエクステリアに刷新されたほか、操縦性の向上や乗り心地の改善などが図られている

先ごろ、そのISにビッグマイナーチェンジが実施された。ISが発売されたのは2013年だが、フルモデルチェンジされなかったのは、開発コストを抑えるためだ。だが、今はプラットフォームやボディの解析能力が高く、マイナーチェンジでも走行安定性や乗り心地を大きく改善することができる。従来型に比べてどれだけ変わったのかなど、試乗して確認していこう。

■レクサス「IS」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込

IS300:4,800,000円[2WD]
IS300 F SPORT:5,350,000円[2WD]
IS300 version L:5,550,000円[2WD]

IS300h:5,260,000円[2WD]/5,680,000円[4WD]
IS300h F SPORT:5,800,000円[2WD]/6,220,000円[4WD]
IS300h version L:6,000,000円[2WD]/6,420,000円[4WD]

IS350 F SPORT::6,500,000円[2WD]

レクサス 新型「IS」のフロントエクステリアとリアエクステリア

レクサス 新型「IS」のフロントエクステリアとリアエクステリア

ISの製品画像
レクサス
3.95
(レビュー89人・クチコミ5960件)
新車価格:480〜700万円 (中古車:24〜719万円
トヨタがレクサスブランドで販売するミドルサイズ4ドアセダン

今回、試乗したグレードは、2.5L直列4気筒ハイブリッドを搭載する「IS300h version L」の2WD車だ。新型ISは、マイナーチェンジ前に比べて、外観が大きく変更されている。フロントフェイスやセンターピラーは同じだが、それ以外は前後ドアパネルやフェンダー、ボンネットなどを含めて作り替えられている。それによって、ワイド感やセダンらしい低重心が、外観デザインによって強調されている。新型ISのエクステリアは、マイナーチェンジ前に比べて派手さは抑えつつも存在感が高められており、洗練された印象だ。

レクサス 新型「IS」のサイドイメージ

レクサス 新型「IS」のサイドイメージ

ボディサイズ(全長×全幅×全高)は、4,710×1,840×1,435mm。マイナーチェンジ前に比べて、30mm長く、30mm広く、5mm低くなった。全幅の拡大は、(日本の道路環境においては)メリットは少ないが、最小回転半径は5.2m(4WDは5.4m)に収まっているので、セダンとして小回りはきくほうだ。なお、ななめ後方の視界があまりよくないので、購入時には販売店の試乗車などで縦列駐車や車庫入れなどを試してほしい。

レクサス 新型「IS」のインパネイメージ

レクサス 新型「IS」のインパネイメージ

レクサス 新型「IS」のフロントシートとリアシート

レクサス 新型「IS」のフロントシートとリアシート

内装は、インパネ形状が変更されて水平基調のデザインになり、質感を向上させている。居住空間の広さそのものは、以前と同じだ。前席の座り心地は、サポート性を含めて良好だ。後席は、全高が1,435mm(4WDは1,440mm)と低いために、座ると腰が落ち込み、少し膝が持ち上がる格好になる。だが、身長170cmの大人4名が乗車する際、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ分もの余裕がある。大人が乗車しても、十分な広さだろう。

次に、運転感覚をチェックしよう。ISの駆動方式は、マイナーチェンジ前後で変わらず、FR(フロントエンジン、リアドライブ)だ。まず、マイナーチェンジ前と最も大きく変わったのが、乗り心地だ。以前は、大きな段差での突き上げ感は抑えられていたが、路面の細かな凹凸が乗員に伝わりやすかった。高級ブランドであるレクサス車としては粗さのある乗り心地と感じていたのだが、マイナーチェンジ後は細かな振動がうまく抑えられていて、乗り心地が大きく向上している。

ISの製品画像
レクサス
3.95
(レビュー89人・クチコミ5960件)
新車価格:480〜700万円 (中古車:24〜719万円
トヨタがレクサスブランドで販売するミドルサイズ4ドアセダン

さらに、コーナーを曲がるときの挙動も変わった。操舵に対する反応は、マイナーチェンジ前も決して悪くはなかったのだが、マイナーチェンジ後は操舵時に車両の向きがより正確に変わるようになった。ダイレクト感が高められており、クルマとの一体感が得られやすくなっている。

マイナーチェンジ前に比べて、走りがより機敏になったが、走行安定性も向上しているので、スポーティーに走っても4輪ともにとても安定しているように感じられる。コーナーへ進入すると、外側の前輪が踏ん張り、操舵角に応じて車両の向きが正確に変わる。そして、下り坂のコーナーなどで危険を避けるためのブレーキングを強いられたときにも、後輪がしっかりと接地している。

マイナーチェンジ前は、グレードによってはコーナーが曲がりにくかったり、曲がりやすいグレードでは後輪の接地性に少し不安があった。だが、マイナーチェンジ後はコーナーを正確に曲がりながら、後輪の接地感も満足できるものになっている。クルマが、ドライバーの操作に対して正確に動くため、従来よりもボディが軽くコンパクトになったような感覚すら覚えた。

こういった、走行安定性から乗り心地まで幅広く走行性能を高めることができた背景には、ボディ剛性の向上がある。スポット溶接個所が、前側の骨格部分に55点追加されているのだ。さらに、レーザースクリューウェルディング(LSW=リモートレーザーロボットを用いたレーザー溶接技術)や構造用接着剤などを採用して、車重の増加を抑えながらボディ剛性が高められている。ボディを確実に作り込むことで、振動やノイズが抑えられ、サスペンションも従来以上に正確に伸縮するようになった。また、サスペンションを構成するショックアブソーバーやコイルスプリング、スタビライザーなどのセッティングも見直されている。

ISのエンジンラインアップは、今回試乗したハイブリッドのほか、3.5L V型6気筒、2L 直列4気筒ターボがラインアップされている。最も推奨できるエンジンは、必要な動力性能を持ち合わせていて、静粛性にもすぐれ、燃費もいいハイブリッドだ。ハイブリッドは、購入時の環境性能割や自動車重量税が非課税になることもあって、販売比率も約70%と高い。2Lターボは25%で、3Lは5%程度だ。

レクサスは、デザインを含めて車両開発に対する考え方が変わったようにも思える。これまでのISは、外観の個性が派手で、操舵するとその派手さに合わせるかのように、少々過剰に反応するほどの元気のよさが重視されていた。この方向性でも成り立つものの、ドライバーへさらなるスピードを求めたり、疲労を誘うこともある。その考え方は、安全とは言いがたく、長く乗り続けられないという面もあるだろう。

だが、マイナーチェンジ後はそのあたりが改められているように感じる。はじけるような個性や元気さはやや薄れたが、車両の動きが正確になって走行安定性が高まり、落ち着いて運転できるようになったことで安全性も向上している。総合的に、商品力が高まったという印象だ。

ISは、マイナーチェンジでありながら、フルモデルチェンジに匹敵するほどの進化を遂げた。プレミアムブランドのライバル車に比べると、メルセデス・ベンツ Cクラスよりも軽快でスポーティーになり、BMW 3シリーズよりも機敏に曲がる感覚は少し下がったものの、落ち着いたリラックス感覚はISのほうが上回っている。性格的には、両車の中間的な位置付けと言えるだろう。ISは、今回のマイナーチェンジによって、これらの輸入車プレミアムセダンとも対等に勝負できるようになったのではないだろうか。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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