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2025年には、「脳科学の領域を用いた技術」も採用

マツダ「CO-PILOT CONCEPT」、2022年にFRラージ商品群から導入を開始

マツダは、新たな運転支援システム「CO-PILOT CONCEPT(コ・パイロット コンセプト)」の量産を、2022年から開始すると発表した。

マツダの新しい運転支援システム「CO-PILOT CONCEPT」が搭載された、「MAZDA3 ファストバック」の技術試作車

マツダの新しい運転支援システム「CO-PILOT CONCEPT」が搭載された、「MAZDA3 ファストバック」の技術試作車

MAZDA3 ファストバックの製品画像
マツダ
4.23
(レビュー176人・クチコミ6933件)
新車価格:222〜368万円 (中古車:139〜349万円

CO-PILOT CONCEPTは、ベースの技術は他メーカーでも導入が進んでいる先進的な運転支援システムと同様のものだが、マツダらしい“コダワリ”が色濃く表れているのが特徴的だ。マツダは、「ロードスター」などに代表されるように、クルマづくりの理念として「人間中心」を掲げることで商品の差別化を図っている。こうしたマツダの理念が、CO-PILOT CONCEPTにも反映されていることを、マツダ三次自動車試験場(広島県三次市)で実施された、技術試作車の試乗を通じて感じ取ることができたのでお伝えしたい。

「CO-PILOT CONCEPT」技術試作車には、数多くのカメラ(画像の赤丸)やミリ波レーダー、ソナーなどが搭載されている

「CO-PILOT CONCEPT」技術試作車には、数多くのカメラ(画像の赤丸)やミリ波レーダー、ソナーなどが搭載されている

まずハードウエアからだが、技術試作車のベースは「MAZDA 3 ファストバック」で、車両にカメラが12個、前方の中長距離検知用の77GHz帯域ミリ波レーダーがひとつ、短中距離検知用の24GHzミリ波レーダーが車両四隅に4つ、さらに車両の周囲にソナー(超音波センサー)が8個搭載されている。

「CO-PILOT CONCEPT」技術試作車に備えられていた三眼カメラ

「CO-PILOT CONCEPT」技術試作車に備えられていた三眼カメラ

12個のカメラのうち、ルームミラーの前部には三眼カメラが備えられており、3つのカメラは認識できる距離がそれぞれ異なっている。長距離カメラは、最大で100mほど前方の状況を検知することができ、中距離、短距離と距離が短くなるにしたがって検知角度が広がる設定となっている。

こうした各種センサーに加えて、三次自動車試験場のコースは国が産学官連携で構築した高精度三次元地図「ダイナミックマップ」のフォーマットに沿った地図情報が完備されている。

「CO-PILOT CONCEPT」技術試作車の体験イメージ

「CO-PILOT CONCEPT」技術試作車の体験イメージ

では、試乗体験のレビューに移ろう。まずは、高速周回路を走行した。高速周回路は、3車線の高速道路が想定されており、今回は3車線の中央車線である第2車線を、時速8kmで走行。そして、その状態で「居眠り検知」を試した。

すでに量産車へ搭載されている、マツダの先進運転支援システム「i-ACTIVSENSE」でも、センターディスプレイ内のドライバーモニタリング用カメラを用いることで、ドライバーの顔や眼の動きから、眠気を感じていたり脇見をした状態と判断されると、インパネへ注意喚起が表示されるようになっている。

だが、CO-PILOT CONCEPTではi-ACTIVSENSEと同じカメラを使いながら、ソフトウェアを改良することによってドライバーの姿勢の崩れ方やトルクセンサーによるハンドルの無操作状態、さらにクルマの走行状態などを総合的に判断し、危険と判断された場合には「ドライバー異常時対応システム」を作動させる。

「CO-PILOT CONCEPT」の「ドライバー異常時対応システム」作動イメージ

「CO-PILOT CONCEPT」の「ドライバー異常時対応システム」作動イメージ

「ドライバー異常時対応システム」作動時には、センターディスプレイやメーターに、ドライバーの異常を検知した旨が表示される

「ドライバー異常時対応システム」作動時には、センターディスプレイやメーターに、ドライバーの異常を検知した旨が表示される

体験では、筆者が運転席へ座り、完全に眼を閉じてハンドルから両手を離し、右足をアクセルから離した。すると、約3秒後にシステムが作動。男性の声で、「ドライバー異常のため、安全なところまで自動で走行し、停車します」という音声案内が流れ、センターディスプレイやメーターへ「ドライバーの異常を検知しました」と表示された後、車外ではクラクションが鳴り、ハザードの点滅が始まった。

「ドライバー異常時対応システム」の作動にともなって、安全な場所へ移動するときにも、センターディスプレイやメーターには車両の動きが表示される

「ドライバー異常時対応システム」の作動にともなって、安全な場所へ移動するときにも、センターディスプレイやメーターには車両の動きが表示される

速度は、高速道路のような自動車専用道で最低速度として規定されている時速50kmにまで減速。さらに、センターディスプレイやメーターには「車線変更します」と表示され、第一車線へと移った。また、第一車線にほかの車両がいる設定も体験したのだが、その場合はシステムがその車両との“間合い”を判断しながら、車線変更のタイミングを図っていた。

完全に停車した後は、自動で「ヘルプネット」へ緊急通報が行われる

完全に停車した後は、自動で「ヘルプネット」へ緊急通報が行われる

その後、時速50kmで第一車線を維持して走行しながら非常駐車帯を探し、さらに減速しながら自動で操舵して完全に停車。そして、ドアロックが自動で開錠された。ちなみに、走行時間は約3分間を限度としているとのことだ。また、完全に停車した後は、ヘルプネットを通じて消防や警察へ緊急通報が行われる仕組みとなっている。次に、一般道を模したコースでも同様の体験をしたが、作動中の走行時間は約1分間を限度として、交差点内における停止を避けることを最優先としていた。

近年では、大きな社会問題となっている運転中の体調急変において、居眠りなどの検知だけでなく、減速や車線変更、そして路肩や非常駐車帯などへの退避まで行われ、高速道路や一般道など道路状況の違いを踏まえながら、適切にシステム側で判断して運転してくれるというのがCO-PILOT CONCEPTだ。

万が一、体調が急変した場合のドライバーの姿勢や状態について、マツダが国土交通省を通じて実際の事例の情報を開示してもらったところ、意識を失うとカラダ全体の筋肉の緊張が一気になくなるため、ドライバーの姿勢はグラっと大きく倒れる傾向があることがわかったのだという。また、痙攣を起こす場合もあり、そうなると両手でハンドルを強く握り、カラダをハンドルに大きく近づけて、姿勢全体が“えびぞり”になるという。こうしたドライバーの姿勢における異常についても、ドライバーモニタリングカメラを通じて検知できるのだそうだ。

ドライバー異常時対応システムについては、マツダのほかにも、スバルの新世代「アイサイト」である「アイサイトX」やホンダ「センシングエリート」、トヨタ「アドバンスドドライブ」、日産「プロパイロット2.0」など、さまざまなメーカーが最新のシステムを組み込んだ車両を開発、発売している。

たとえば、アイサイトXでは、アイサイト機能がオンになっている場合にのみ、ドライバー異常時対応システムが作動し、同一車線内で停車する。また、世界初の渋滞時自動運転レベル3の機能をもつホンダ「センシングエリート」は、ハンズオフ運転の状態にのみ緊急時停車支援機能が作動し、状況に応じて路肩へ寄る機能が備えられている。車線変更については、第一車線に向けた車線変更を試み、交通量が多い場合などは同一車線で停止するというものだ。

こうして、他社の先進運転支援技術とCO-PILOT CONCEPTを比較すると、技術的には今回のマツダのシステムは“かなり自動運転レベル3に近い”印象を受けた。だが、マツダとしては、「そもそも、CO-PILOT CONCEPTは自動運転レベルという考え方は持っていない」と主張する。あくまでも、クルマのシステムがいつもドライバーを見守り、もしもの場合に適宜サポートするというもので、運転の主役は常に「人」であるという理念を持っている。この点が、冒頭で「マツダらしい」と述べたところだ。

マツダCO-PILOT CONCEPTは、2022年にマツダがラージ商品群と呼ぶ、新規導入のFR(後輪駆動車)から採用が始まる。高速道路では路肩への退避、また一般道では同一車線で停止する。そのほか、同乗者が操作できる「緊急停止ボタン」も設けられる。

さらに、2025年には今回体験したような非常停車帯への退避に加えて、広島大学と共同研究している、「大脳機能の低下が及ぼすドライバーの視線挙動から、ドライバー異常を予兆する脳科学の領域を用いた技術」も採用し、量産される予定だ。

桃田健史

桃田健史

世界の自動車産業を専門として、自動運転やEV、テレマティクス、公共交通、高齢化問題など幅広く執筆する自動車ジャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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MAZDA3 ファストバックの製品画像
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