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“匠塗”が美しい「MAZDA6」商品改良モデルの魅力を解説

2022年12月9日、マツダはフラッグシップモデル「MAZDA6」に商品改良を施すとともに、初代「アテンザ」から数えて発売20周年を記念した特別仕様車「20th Anniversary Edition」と、新グレード「スポーツアピアランス」を発売すると発表した。発売日は、2022年12月下旬頃が予定されている。

2022年12月9日、マツダは「MAZDA6」に商品改良を施すとともに、20周年を記念した特別仕様車「20th Anniversary Edition」(右)と新グレードの「スポーツアピアランス」(左)を発売する

2022年12月9日、マツダは「MAZDA6」に商品改良を施すとともに、20周年を記念した特別仕様車「20th Anniversary Edition」(右)と新グレードの「スポーツアピアランス」(左)を発売する

MAZDA6 セダンの製品画像
マツダ
5.00
(レビュー8人・クチコミ220件)
新車価格:296〜466万円 (中古車:189〜355万円
MAZDA6 ワゴンの製品画像
マツダ
4.20
(レビュー5人・クチコミ433件)
新車価格:296〜466万円 (中古車:184〜388万円

特別な思いが込められたクルマ

筆者としては、「MAZDA6」は新世代ラージ商品群としてフルモデルチェンジされるのではと考えていたのだが、(今回がおそらく最後になるであろう)商品改良が行われ、さらなる熟成が図られた。

かつて、マツダの基幹車種としてデビューした「アテンザ」は、同時にフラッグシップモデルとして、マツダのクルマ作りを牽引してきた1台と言ってもいいだろう。デザインも走りも、超一流を目指して開発された「アテンザ」は、当時フォード傘下にあったマツダが、いわば意地を見せたクルマとも言える。

その誕生から、2022年の今年で、早20年になる。マツダとしての思い入れは、相当なものだろう。通常であれば、同セグメントのセダンやワゴンは市場縮小のあおりを受け、ほとんど手が入れられないまま生涯を閉じる運命となったクルマもある。だが、「MAZDA6」には新たに改良が施され、さらに本来は新生ラージ商品群で初めて採用される予定だった、匠塗(たくみぬり)第4弾「アーティザンレッドプレミアムメタリック」も特別に採用されている。これまで支えてくれた、ファンやユーザーに対して感謝の思いが込められているのが、今回の「MAZDA6」だ。

「MAZDA6」ならではの走る楽しみを熟成させた

まずは、「MAZDA6」全体における商品改良の内容から。「MAZDA6」の商品改良においては、「登坂路では力強さを意のままに発揮し、コーナーの入口では狙ったラインをトレース。旋回中は、安定したコントロール性を保ち、コーナーの出口では思い通りに走れた達成感と爽快な気持ちで駆け抜ける。そのようなことを、続けたくなるような走りを目指しました」と、マツダ商品本部主査の谷本智弘さんは説明する。特に、「MAZDA6」はセダンやステーションワゴンならではの安定感のあるダイナミクス特性が生かせる低いボディなので、走る楽しみをより熟成させたかったのだろう。

「MAZDA6」改良モデルの2.2Lディーゼルエンジンには、最高出力のアップとトルク特性の変更が施されている

「MAZDA6」改良モデルの2.2Lディーゼルエンジンには、最高出力のアップとトルク特性の変更が施されている

そこで、「MAZDA6」では2.2Lディーゼルエンジンの最高出力と中間トルクの特性を変更し、4,000rpmという高回転域までの伸びと力強さを、燃料噴射量の増量制御によって向上させている。これまでのエンジンと比較すると、3,000rpmからの伸びが著しく、きわめてスムーズに吹け上がっていく特性が備わっているようだ。最高出力の数値は、190psから200psへとアップされた。同時に、トルク値は変わらないものの、4,000rpmあたりでのトルクの増強も図られている。

同時に、アクセルペダルの踏力特性も変更。これは、アクセル操作の量と早さに対して、狙いどおりのスピードにピタリと合わせられるような操作性の高さを狙ったものだ。エンジン出力のコントロール性を向上させることで、走りの質が一体感のあるものへと高められている。

そして、ステアリングのコントロール性もリファイン。ステアフィールの手応えを変えて、手の平に伝わる感度を高めることで、クルマのコーナーリング時のコントロール性を向上させている。路面の接地感を、ステアリングを通じて手の平で感じ取ることができ、狙いのラインにピタリと載せられるような操作性を狙っている。

そのほか、追加の運転支援機能として「クルージングアンドトラックフィックスサポート機能」が追加されるとともに、快適装備として「ワイヤレス接続機能 (Apple CarPlay)」 や「ワイヤレス充電機能」などが新たに装備された。

「MAZDA6」に再び戻ってきてほしいという思い

「20th Anniversary Edition」は、今回の「MAZDA6」における最大の注目ポイントと言ってもいいだろう。

「MAZDA6」の20周年を記念した特別仕様車「20th Anniversary Edition」

「MAZDA6」の20周年を記念した特別仕様車「20th Anniversary Edition」

「初代アテンザの導入から20年間、フルボディのワインのように長い時をかけて初代からの伝統を継承しながら、丹念に熟成を重ねてきました。歴代アテンザ、MAZDA6にお乗りいただいているすべてのファンの皆さまのこれまでの声援に感謝の意を表しつつ、これからも愛着を持っていただけるよう、すべてのファンの皆さまに捧げる特別仕様車です」と、大のワイン好きの谷本さんらしい紹介がなされた。

だが、シュリンク傾向であるセダン、ステーションワゴン市場に、あえて特別仕様車まで投入する理由も知りたいところだ。谷本さんは、「ダイナミクス性能のポテンシャルが高い、セダンやステーションワゴンに愛着を持たれるお客様の中には、アテンザやMAZDA6へお乗りいただき、同車を応援してくださるファンの方が日本に約10万台(保有台数)もいらっしゃるのです」と述べる。同銘柄の車種に乗り換える方も非常に多いことから、マツダとしては無視できない市場であるようだ。

そして、「20th Anniversary Edition」は「人生に豊かさを感じていただけるよう、これまでお客様と一緒に歩んだ20年の感謝と、これからのカーライフに彩を添える風格を備えました。このボディカラーには、これからもともに過ごす歓びを深く、長く感じていただけるよう、新色の匠塗第4弾、『アーティザンレッドプレミアムメタリック』を初採用しています。光の当たるハイライトはきめ細かく、透明感のある赤が鮮やかに光るいっぽうで、シェードは深みと濃厚さを演出する、熟成されたワインのようなハイコントラストな表現で、造形の強さと美しさを際立たせてています」と、そのカラーリングへのこだわりを語る。

「20th Anniversary Edition」のフロントフェイス

「20th Anniversary Edition」のフロントフェイス

ターゲット層は、「かつて、アテンザに乗っておられて、その後しばらくはファミリーカーが続いていたが、現在は自身とパートナーのためのクルマ選びと、これまで以上に自由なカーライフを楽しむことができるステージに入った方です。このような、走りの楽しさをご存じの大人のクルマ好きの方に、もう一度MAZDA6へ戻ってきていただいて、伝統や豊かさを感じていただけるカーライフを満喫していただきたいのです」と、今回の特別仕様車に込めた思いを話す。

「20th Anniversary Edition」のインテリアとフロントシート

「20th Anniversary Edition」のインテリアとフロントシート

「20th Anniversary Edition」のみの特別な装備としては、フロントフェンダーのバッジ、フロントシートヘッドレストへのエンボス加工、そしてボディカラーに応じたキーシェル、20周年ロゴの刺繍付きのフロアマットをディーラーオプションで選べるといったものだ。また、ラージ商品群として先日登場した「CX-60」と同じナッパレザーのタン内装を採用されており、非常に上質な仕上がりとなっている。

10年の結晶が生んだ美しい匠塗のカラー

次に、「20th Anniversary Edition」へ採用されている、匠塗による専用ボディ色「アーティザンレッドプレミアムメタリック」についてだ。

マツダが、10年以上にわたって追求し続けている魂動デザイン。その第2弾が実は「アテンザ」で、そこに匠塗第1弾の「ソウルレッドクリスタル」(2012年)が採用されていた。これは、“カラーは造形の一部”という考えからのもので、「陰影感を重視した、新しい質感表現にすごくこだわりました。色で、造形をさらに際立たせたいとの思いで、色開発へ臨みました」と説明するのは、マツダデザイン本部シニアクリエイティブエキスパートの岡本圭一さん。そこから、技術的な開発が積み重ねられ、匠塗第2弾の「マシングレイプレミアムメタリック」(2015年の「CX-9」と2016年の「アクセラ」「アテンザ」に採用)、そしてソウルレッドクリスタルをさらに深化させた「ソウルレッドクリスタルメタリック」(2017年の「CX-5」に採用)、第3弾の「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」(2022年の「CX-60」に採用)と展開。いずれも、それぞれの技術開発が積み重ねられた結果としてできあがったボディカラーである。

匠塗の魅力は、手塗りのような質感が得られることだ。色を開発する際には、職人が何層も薄くペイントしては、磨いて深みを出していく。ただし、市販車一台一台でそれをやることは不可能なので、通常の工場のラインにおいて一度で塗り終えるようにしていくための技術開発が欠かせない。同時に、環境負荷低減にも取り組み、VOCと呼ばれる揮発性有機化合物やco2を大幅に削減している。

「20th Anniversary Edition」には、新しい匠塗のボディカラー「アーティザンレッドプレミアムメタリック」が採用されている

「20th Anniversary Edition」には、新しい匠塗のボディカラー「アーティザンレッドプレミアムメタリック」が採用されている

そうしてできあがった、「アーティザンレッドプレミアムメタリック」。では、なぜマツダはこのボディカラーを作りたかったのだろうか。「ワインのような、深みのある赤が作りたいというところからスタートしました」と岡本さん。たとえば、赤ワインをワイングラスに注ぎ、光に当てた時に見せる艶やかな表情や、トーンが落ちたところの深みのある赤を再現したかったとのことだ。

これは、これまでの匠塗で培った技術があったからこそ可能だったと言う。「ソウルレッドクリスタルで手に入れた、最も赤く感じられる赤顔料。マシングレーで手に入れた漆黒顔料。そして、ロジウムホワイトまで一貫して培ってきたアルミを並べる技術(塗料の中にアルミを混ぜ、それを均一にすることできれいに金属の輝きが得られる)を惜しみなく駆使し、極限まで平行にアルミを並べて、間隔を制御しながら光をしっかりと吸収することなどを実施しました。いままでの匠塗のカラーの、どれひとつが欠けてもアーティザンレッドは実現しなかったのです」とマツダ 技術本部車両技術部 塗装技術Gr.マネージャーの河瀬英一さんが述べるように、まさに匠塗が10年かけて培ってきた、モノづくり技術の積み重ねによって実現できたのである。

ブラックトーンエディションからスポーツアピアランスへ

最後に、「スポーツアピアランス」の追加についても述べておきたい。

「MAZDA6」の新グレード「スポーツアピアランス」のエクステリア

「MAZDA6」の新グレード「スポーツアピアランス」のエクステリア

谷本さんは、「マツダは、走る喜びを一貫して追求する中で、スポーティーな走りを嗜好されるお客様にクルマをお届けしたいという思いから、2021年までに『ブラックトーンエディション』を6モデルに導入し、好評を博しています。それをベースに、今回はさらに深化した『スポーツアビアランス』を導入します」とのこと。谷本さんによると、「MAZDA6をお選びいただくお客様の中には、スポーティーな走りによって活力やエナジーが高まる方がおられます。そのようなクルマの本質、運転の楽しさにこだわりを持たれている方に向けて設定したのが、スポーツアピアランスです」と紹介する。スポーツアピアランスは、ブラックトーンエディションの仕様に加えて、前後シグネチャーウィングやフロントバンパーロアガーニッシュ、ルーフレール(ワゴン)などがブラックに統一されることで、よりスポーティーさが強調されている。

現行の「MAZDA6」は、3代目の「アテンザ」としてデビューしたわけだから、今年で10年が経つ。そのデザインは、いまだに古臭さを感じさせない。それは、魂動デザインがキャラクターラインにむやみに頼らず、面でその美しさを表現しているからに他ならない。今回、改めて「アーティザンレッドプレミアムメタリック」を纏った実車を見て、見事な明度や彩度に驚かされた。ぜひ一度、興味のある方は実際にご自身の目で確かめていただきたい。それほどまでに「アーティザンレッドプレミアムメタリック」は魅惑的なカラーだからだ。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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