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磨き込まれた空力性能、日産「GT-R」2024年モデルが2023年春から販売開始

日産は、東京オートサロン2023において、「GT-R」の新型となる2024年モデルの特別仕様車「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」と「NISSAN GT-R NISMO Special edition」を初披露した。正式な発表、および発売は2023年春に予定されているが、「GT-R NISMO」のみ2023年夏に発売予定となっている。

東京オートサロン2023で初披露された、日産「GT-R」2024年モデル。画像は、特別仕様車の「GT-R NISMO Special edition」で、「GT-R NISMO」に対してピストンリングやコンロッド、クランクシャフトなどに重量バランスの精度が高いエンジン部品が採用されており、クリア塗装が施された「NISMO専用カーボン製エンジンフード(NACAダクト付)」などが特別装備されている

東京オートサロン2023で初披露された、日産「GT-R」2024年モデル。画像は、特別仕様車の「GT-R NISMO Special edition」で、「GT-R NISMO」に対してピストンリングやコンロッド、クランクシャフトなどに重量バランスの精度が高いエンジン部品が採用されており、クリア塗装が施された「NISMO専用カーボン製エンジンフード(NACAダクト付)」などが特別装備されている

同じく、東京オートサロン2023で初披露された特別仕様車の「GT-R Premium edition T-spec」。こちらは、ノーマルの「GT-R」に対して専用のサスペンションセッティングや専用カーボンセラミックブレーキなどが採用されており、よりしなやかで上質な走りと意のままに操れる楽しさの両立を実現しているという

同じく、東京オートサロン2023で初披露された特別仕様車の「GT-R Premium edition T-spec」。こちらは、ノーマルの「GT-R」に対して専用のサスペンションセッティングや専用カーボンセラミックブレーキなどが採用されており、よりしなやかで上質な走りと意のままに操れる楽しさの両立を実現しているという

GT-Rの製品画像
日産
4.22
(レビュー44人・クチコミ2647件)
新車価格:1082〜2464万円 (中古車:600〜6280万円

実は、「GT-R」は1995年にR33型、99年にR34型の「スカイラインGT-R」を東京オートサロンで発表しており、最新の「GT-R」披露の場としてふさわしい場所とも言えるかもしれない。

GTとRの世界観を両立

現行のR35型「GT-R」は、2007年に発売以来、すでに15年以上が経過している。「GT-R」は、その名に刻まれているように、GT(グランドツーリング)と、R(レーシング)という2つの世界観を両立すべく進化してきた。2014年には、Rの進化を目指したNISMO仕様が登場し、GTの進化を目指したスタンダード仕様という2つのグレードを構成して現在にいたる。

登壇しているのは、日産 チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志さん

登壇しているのは、日産 チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志さん

さて、2024年モデルの狙いは、「人の感性に気持ちよく、それでいて速い。“トータルバランスをもっと高い次元へ”をキーワードに、NISMO仕様ではR35史上最高のトラクションマスターを目指し、より接地させて駆動を極めています。また、スタンダード仕様では、R35史上最高の洗練された乗り味を目指し、よりしなやかに路面を捉えることを狙って開発を行いました」と説明するのは、日産 チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志さんだ。

機能に基づいて表情を一新

ここからは、「GT-R」2024年モデルの内外装デザインについて見ていきたい。どちらのグレードも、常に性能の進化を目的としてデザインを変化させてきた。まず、NISMO仕様のフロントフェイスは、水平基調を軸としたデザインへと変更され、これによってスタンスのよさが表現されている。

「GT-R NISMO Special edition」のフロントフェイス

「GT-R NISMO Special edition」のフロントフェイス

また、新しいシグネチャーランプの「デイタイムランニングランプ(DTRL)」も採用されている。フロントグリルの開口部は、前型モデルに対して小さくなったものの吸入量に変化はなく、冷却性能をキープしつつ空気抵抗の低減に成功している。

「GT-R」2024年モデルには、新たにハニカム形状の「デイタイムランニングランプ」が採用されている

「GT-R」2024年モデルには、新たにハニカム形状の「デイタイムランニングランプ」が採用されている

さらに、ヘッドランプ下のキャラクターラインや、DTRLの上下に備えられているエアガイドによって、フロントからサイドへと流れる空気を整流させて空気抵抗を下げている。また、両サイドのカナード形状を深くしたことで、タイヤの横に渦を発生させ、ホイールハウス内の圧力を吸い出してダウンフォースを強めている。

リアデザインは、バンパーサイドに大きなエッジができ、同時にトランクリッド上面にもエッジが付けられている。このエッジによって、前方から流れてきた空気がクルマのリアで巻き込んで、渦巻を発生させてしまうことを低減させている。この渦巻は、クルマを後ろに引っ張ろうとするので、できるだけ低減させたいのだ。

「GT-R NISMO Special edition」のリアイメージ

「GT-R NISMO Special edition」のリアイメージ

さらに今回、もうひとつ大きな特徴はリアウィングにある。スワンネックと呼ばれるタイプで、GT500のレース車両にも採用されているものだ。ウィングを上から支えるような形状で、ダウンフォースを大きくできる。具体的には、スポイラーの下面に負圧を起こすことによって、ダウンフォースを発生させる。スポイラーを支える柱が下側にはないので、より下の面積を大きく使えることがメリットだ。その結果、クルマ全体で約13%ダウンフォースを強めることができたという。

「GT-R NISMO」には、スワンネック形状のリアウィングが採用されている

「GT-R NISMO」には、スワンネック形状のリアウィングが採用されている

インテリアに目を移すと、新しいフロントシートが目につく。これは、レカロ社が開発した、カーボンフレーム剥きだしのシートだ。

「GT-R NISMO」のフロントシートには、剛性が高められた新しいレカロシートが採用されている

「GT-R NISMO」のフロントシートには、剛性が高められた新しいレカロシートが採用されている

前モデルに対して、質量を一切増やすことなく、シートの横剛性を50%向上。また、人間を支える腰や背中、肩などの部位を最適にサポートするために、シートのパッドを分割構造とした。これにより、ブレーキング時の姿勢やコーナーリング時の姿勢を適切に保てることから、それぞれの操作に集中することが可能となった。ビジュアル的にも、非常に薄く、またカーボンフレームがむき出しになっているので「GT-R NISMOのスパルタンな性格を一目で表しているでしょう」と川口さんはコメントする。

スタンダード仕様も、特にエクステリアはNISMOで説明した要素に則ってデザインされているが、リアウィングに関してはNISMOとは異なる特徴がある。

「GT-R Premium edition T-spec」のリアイメージ。ノーマルの「GT-R」のリアウィングにも変更が施されている

「GT-R Premium edition T-spec」のリアイメージ。ノーマルの「GT-R」のリアウィングにも変更が施されている

実は、リアウィングは2007年に発売以来、1度も変更がなされていなかったパーツだったのだが、今回は前モデルに対してウィングの幅を広げてダウンフォースを大きくしている。さらに、ウィングの搭載位置を後ろに下げることで、わずかではあるがトランクリッドの上面に働いていたクルマをリフトアップさせようという負圧を削減することができたのである。これらの改良によって、ダウンフォースを約10%強めることができたという。

R35史上、最高のトラクションマスターを目指して

冒頭に記したとおり、NISMOはR35史上で最高のトラクションマスターを目指し、特にコーナーリング性能を向上させている。まずは、前述のとおりダウンフォースを13%向上させたことで、路面にしっかりとクルマを接地させることができる。

さらに、フロントにはメカニカルLSDを搭載。これによって、コーナーリングを立ち上がる際にフロント内側のタイヤの空転を防止することで、フロントタイヤのポテンシャルを最大限に使えるようになった。同時に、四駆の前後トルク配分の制御も見直されている。

川口氏によると、この効果は「あるヘヤピンコーナーでは、前型モデルに対してコーナーアウト時には大体0.6台分、距離でいうと0.3mほど早く脱出できるようになりました」と説明する。

2024年モデルが誕生したのはマフラーのおかげ

最後に、川口氏が最も強調したのがマフラーだ。これが実現できなければ、2024年モデルのGT-Rは登場しなかった。なぜなら、日本仕様において前型車のままでは車外騒音規制をクリアできないからだ。

「GT-R」2024年モデルは、車外騒音規制へ対応するために新しい構造のマフラーが開発された。それによって、新たな「GT-R」サウンドも実現しているという

「GT-R」2024年モデルは、車外騒音規制へ対応するために新しい構造のマフラーが開発された。それによって、新たな「GT-R」サウンドも実現しているという

川口さんは、「新しいマフラーは動力性能を一切犠牲にすることなく、非常に厳しくなった車外騒音に対応しつつ、かつ、迫力のあるサウンドを実現することができました」とその完成度の高さに自信を見せる。

通常、排気音を下げるためには排気管を長くしたり、マフラーの容量を大きくしたりして音を静かにする。しかし、この場合、排気ガスの流れが悪くなり、出力が落ちてしまうことがあるのだ。また、単純に排気音のボリュームを下げてしまうと、スポーツカーとしての高揚感が得られるサウンドを失いかねない。

そこで、「GT-R」2024年モデルのマフラーは、排気管の途中に分岐を持たせた。その片側は密閉された空間で、消音室、レゾネーターとして機能する。エンジン音がここまで伝わってきて、分岐の両方に伝わっていくが、こちら側で低音域のみピンポイントで消音できるような構造にした結果、車外騒音規制をクリアした。

もういっぽうの分岐は、これまでどおり車外にまでつながっており、排気ガスはこちら側にしか流れない構造だ。もう片方のレゾネーター側は密閉されているため、流れないのだ。そのために、動力性能も一切犠牲にすることはなかったのである。

左が従来の「GT-R」で、右が「GT-R」2024年モデルのマフラー。2024年モデルでは、低音域の騒音対策のために、分岐させた片側に消音室が設けられている

左が従来の「GT-R」で、右が「GT-R」2024年モデルのマフラー。2024年モデルでは、低音域の騒音対策のために、分岐させた片側に消音室が設けられている

そして、2024年モデルでは、新しい「GT-R」の排気サウンドも構築した。川口さんは、これを「ジェットサウンド」と呼んでいるのだが、この由来はジャンボジェット機にある。「ジャンボジェット機みたいな大きな飛行機は、10万馬力ほどあるいっぽう、たとえばNISMOは600馬力と、160倍もあるような出力です。そのエンジン音や排気音は、相対的にいうとそこまでうるさくはないんですね。その理由は、ジェットエンジンのタービンの周りの風の流れ、圧力分布を見てみると、実はそれほど大きな渦は発生しておらず、小さな空気の渦がいくつも発生してることがわかったのです。これは、低音域から高音域まで、音というエネルギーをそれぞれの小さな空気の渦を使ってきれいに分散させることで、音のボリュームを下げているということなのです。これを参考に、分岐構造の配管の形状を工夫して、中を流れる排気ガスの空気の渦を小さくいくつも発生させることで、特に加速して高回転域になればなるほど迫力あるジェットサウンドを構築しました」とその特徴を説明してくれた。

すでに、誕生から15年も経っているにも関わらず、まだまだ進化して熟成し続けるR35「GT-R」。技術の進化が、それほどにあるということが興味深い。これから、どこまで昇華されるか楽しみな国産スポーツカーの1台である。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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