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スバルが限定車「WRX S4 STI Sport #」を発表!STI開発の新ホイールに注目

スバルのモータースポーツを統括するSTI(スバルテクニカインターナショナル)は、500台限定の特別仕様車「WRX S4 STI SPORT#(シャープ)」を発表した。

「WRX S4 STI SPORT#」は、「WRX S4 STI Sport R EX」をベースにSTIパフォーマンスパーツや内外装に特別装備が施された500台限定の特別仕様車だ

「WRX S4 STI SPORT#」は、「WRX S4 STI Sport R EX」をベースにSTIパフォーマンスパーツや内外装に特別装備が施された500台限定の特別仕様車だ

価格は6,237,000円(税込)。販売方法は抽選で、申し込み期間は2024年1月12日〜28日。全国のスバル販売店で抽選エントリーを受け付けているという。当選者の発表については、2024年2月1日が予定されている。

ベースモデルを際立たせた「♯シリーズ」の第三弾

そもそも「♯シリーズ」とは、ベース車のコンセプトをより際立たせたシリーズ名のこと。第一弾として2020年7月に発表された先代の「WRX S4 STI SPORT#」、第二弾として2023年1月に発表された「レヴォーグSTI SPORT #」、そして今回の「WRX S4 STI SPORT#」が第三弾となる。

STI 開発副本部長の高津益夫さんによると、「ベースとなる量産車に対して、商品の方向性は同じながら、さらにレベルアップさせたクルマになります。たとえば、『WRX S4』であれば大人のスポーツセダンなので、その大人のスポーツをもう1ランクレベルアップする方向性、つまりそのクルマの長所をさらに伸ばしたシリーズになります」と説明する。

左の人物が、STI 開発副本部長の高津益夫さん

左の人物が、STI 開発副本部長の高津益夫さん

ちなみに、♯は半音上げるという意味が込められており、量産モデルでは採用できないSTIならではの特別装備を数多く追加することによって、走りの楽しさやスポーティーさ、上質さをレベルアップさせたモデルである。

操舵感や走行安定性を高めるSTIパーツを装着

まず、「WRX S4 STI SPORT#」における走りの面においては、「STI製フレキシブルドロータワーバー(フロント)」や「STI製フレキシブルドロースティフナー(フロント、リヤ)」などのSTIパーツが装着されていることが挙げられる。

「STI製フレキシブルドロータワーバー(フロント)」は、タワーバーにあらかじめプリロード(テンション)を掛けられるため、微小操舵時からステアリングの応答性をアップさせることができるパーツだ

「STI製フレキシブルドロータワーバー(フロント)」は、タワーバーにあらかじめプリロード(テンション)を掛けられるため、微小操舵時からステアリングの応答性をアップさせることができるパーツだ

「STI製フレキシブルドロースティフナー(フロント、リヤ)」は、左右のフレームにテンションを掛けることで走行中のシャシーのしなりを補正し、機敏な初期操舵としなやかな乗り心地を両立させるパーツだ。四輪の路面接地性を高めることでコーナーリング中の走行安定性が増し、クイックで素直なステアリング操舵感を実現している

「STI製フレキシブルドロースティフナー(フロント、リヤ)」は、左右のフレームにテンションを掛けることで走行中のシャシーのしなりを補正し、機敏な初期操舵としなやかな乗り心地を両立させるパーツだ。四輪の路面接地性を高めることでコーナーリング中の走行安定性が増し、クイックで素直なステアリング操舵感を実現している

STIの技術が投入された前後専用ホイールが初採用

そして、注目したいのが「STI製フレキシブルパフォーマンスホイール」だ。

「STI製フレキシブルパフォーマンスホイール」は、STI車がニュルブルクリンク24時間レースに車両を投入して鍛え上げてきた技術が投入されている。市販車への採用は初となる

「STI製フレキシブルパフォーマンスホイール」は、STI車がニュルブルクリンク24時間レースに車両を投入して鍛え上げてきた技術が投入されている。市販車への採用は初となる

高津さんによると、「もともとの発想は、タイヤの接地面積を最適化することでした。フロントタイヤとリアタイヤでは、クルマを動かす時の役割が少し違うのです。我々は、内輪主導で曲げていくことを常に目指していますので、フロントホイールはとにかくタイヤ内輪のグリップ性能を最大限に引き出せる方向へと形状を折り込みました。いっぽう、リアホイールはフロントの内輪で発生した力を外側で受け止めることによってクルマが曲がっていきますので、その手応えやステアリングに対するクルマの動きの正確性などを追求しました」とこのと。したがって、前後でホイール形状が若干異なっており、ホイールにもその刻印がされているという。さらに、タイヤのローテーションにおける前後ホイールの入れ替えも推奨しないそうだ。

画像の赤丸部分に「FRONT」もしくは「REAR」と刻印されており、前後ホイールの装着間違いが無いような配慮がなされている。ちなみに、タイヤはミシュラン「パイロットスポーツ5」の245/35R19(前後ともに同サイズ)が装着されている

画像の赤丸部分に「FRONT」もしくは「REAR」と刻印されており、前後ホイールの装着間違いが無いような配慮がなされている。ちなみに、タイヤはミシュラン「パイロットスポーツ5」の245/35R19(前後ともに同サイズ)が装着されている

高津さんの話から読み取れるのは、STIのフィロソフィーにもつながる、運転がうまくなるクルマを作り上げたということだろう。高津さんは、「STIは、ドライバーの操舵に対して遅れを徹底的に小さくし、微小舵角からクルマが思い通りに動いてくれるように性能を作り込むのですが、今回の特別仕様車にもそれを反映しています」と言う。それが、ホイールをはじめとした走りに関する装備に表れているのだ。結果として、「ドライバーの運転が自然とうまくなりますので、同乗している方にもとてもやさしい運転になりますし、快適なドライブを一緒に楽しめるでしょう。むやみに限界性能を引き上げるのではなく、ドライバーの操作に対する遅れを徹底的に小さくする。ゲインを上げるのではなくて、遅れを小さくするクルマ作りです」と語る。

「STI SPORT#」の専用ボディカラーを採用

「WRX S4 STI SPORT#」のエクステリアにおける特徴としては、上質さやスポーティーさを表現するために全体がブラックでコーディネートされている。今回、採用された外装の特別装備としては、「小型トランクスポイラー」やブラックベゼルの「フルLEDロービームランプ」、クリスタルブラックシリカ塗装のフロントグリル、ドアミラーカバー。そして、シャークフィンルーフアンテナや各種オーナメントなども特別色となっている。

特に、「小型トランクスポイラー」は、日本国内では限定台数分しかない特別なものとのことで、高津さんによると「海外向けに展開されているものになります。大人のスポーツセダンというイメージからすると、これ見よがしではない、少し小型なタイプのスポイラーが相応しいと考えました。小型でも、しっかりとダウンフォースを発生させています」と説明する。

外装色は「WRX S4」では初採用となるオフショアブルーメタリックを採用。2023年1月に発表した「レヴォーグSTI SPORT #」でも採用されたボディカラーで、全体の約6割を占める人気色だ

外装色は「WRX S4」では初採用となるオフショアブルーメタリックを採用。2023年1月に発表した「レヴォーグSTI SPORT #」でも採用されたボディカラーで、全体の約6割を占める人気色だ

インテリアは、ブラック、シルバーの専用コーディネートで、上質な室内空間を表現。「全体が黒っぽい室内空間の中で、シートベルトが少し明るめのシルバーでコントラストをつけていますので、大人のスポーツルックみたいなところにもこだわっています」と高津さん。

特別装備として、肌触りがよく滑りにくいウルトラスエードを使用したブラックのレカロシートを標準装備

特別装備として、肌触りがよく滑りにくいウルトラスエードを使用したブラックのレカロシートを標準装備

ベテランからビギナーまで、あらゆる人に乗ってほしい

では、どのような人に「WRX S4 STI SPORT#」へ乗ってほしいのだろう。高津さんは、個人的にはと前置きしたうえで「あらゆるジャンルのお客様に乗って頂きたいのです。もちろん、クルマに目の肥えたベテランドライバーの方にも乗っていただきたいですし、実はすごく運転しやすいので、本当にビギナーで運転にまだ自信がないなと思われている方が乗ってもすごくスムーズに走らせることができます。多分、クルマに目の肥えたお客様がお乗りになるだろうとは思いますが、あまり限定せずにSTIの走りを楽しんでいただければと思っています」とのこと。そして、「新しいアルミホイールを採用したことも含めて、これまでに開発してきた運転のうまくなるクルマを『WRX S4 STI SPORT#』ではさらにワンランク引き上げることができましたので、ぜひ乗って体感してほしいのです」と語ってくれた。

「WRX S4 STI SPORT#」は、まさにSTIが得意とするハンドリングに特化した限定車といえる。むやみにパワーを追い求めるのではなく、限定車だからこそ可能な細部に渡るチューニングやセッティングを施したパーツ類を装備し、アルミホイールも特別なものを採用しているあたりは“気合い”さえ感じられるのだ。

(写真:島村栄二、内田千I子)

内田俊一
Writer
内田俊一
1966年生まれ。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も行いあらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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