スバルの代表的なSUV「フォレスター」が、間もなく6代目にフルモデルチェンジされる。
4月中旬に正式発表されるスバル 新型「フォレスター」の価格を独自入手。スペックを含めた解説とともに、期待のハイブリッドに先行試乗した印象などもお伝えします
スバルの販売店スタッフは、「フォレスターの正式発表は2025年4月中旬だが、予約受注は4月3日に既に開始しており価格も明らかにしている」と述べる。
当記事では、発売に先立ち新型「フォレスター」の価格や主なスペック、内外装などを解説するとともに、プロトタイプの実車に試乗したので加速フィールや乗り心地なども併せてお伝えしたい。
まず、独自に入手した新型「フォレスター」のグレードラインアップと価格、主なメーカーオプションやスペックについては以下のとおりだ。
■スバル 新型「フォレスター」のグレードラインアップと価格(販売店調べ)
-水平対向4気筒1.8Lターボエンジン搭載車-
SPORT:404万8,000円
SPORT EX:419万1,000円
-水平対向4気筒2.5Lストロングハイブリッド(S:HEV)搭載車-
X-BREAK S:HEV:420万2,000円
X-BREAK S:HEV・EX:447万7,000円
Premium S:HEV:448万8,000円
Premium S:HEV・EX:459万8,000円
■新型「フォレスター」のメーカーオプション価格(販売店調べ)
ハーマンカードンサウンドシステム:13万2,000円
ハーマンカードンサウンドシステム+サンルーフ:26万4,000円
ハーマンカードンサウンドシステム+サンルーフ+100V・1500W電源コンセント+本革シート:52万8,000円
■新型「フォレスター」の主要諸元
全長×全幅×全高:4,655×1,830×1,730mm
ホイールベース:2,670mm
最小回転半径:5.4m
最低地上高:220mm
サスペンション:(前輪)ストラット式/(後輪)ダブルウイッシュボーン式
動力性能と燃費(1.8L水平対向4気筒ターボエンジン)
最高出力:177PS(5,200〜5,600rpm)
最大トルク:30.6kg-m(1,600〜3,600rpm)
WLTCモード燃費:13.6km/L
動力性能と燃費(2.5L水平対向4気筒ストロングハイブリッド(S:HEV)搭載車)
エンジン/最高出力:160PS(5,600rpm)
エンジン/最大トルク:21.3kg-m(4,000〜4,400rpm)
モーター/最高出力:119.6PS
モーター/最大トルク:27.5kg-m
WLTCモード燃費:X-BREAK S:HEV:18.8km/L、Premium S:HEV:18.4km/L
まず、新型「フォレスター」のボディサイズは、全長4,655mm、全幅1,830mm、全高1,730mmと、従来型とほぼ同じだ。ホイールベースも2,670mmで先代と等しい。他社のSUVで言えば、マツダ「CX-5」やトヨタ「RAV4」のようなミドルサイズのSUVだ。
外観については、新型では水平基調が強められている。フロントマスクは厚みが増して、ボディ側面はキャラクターラインが省かれることで重厚感が強調されている。
新型「フォレスター」(Premium S:HEV・EX)のフロント、リアエクステリア
新型「フォレスター」の運転席に座って前方を眺めると、外観だけでなく内装のダッシュボードが水平基調になったことによって、前方の視界が明瞭になり先代よりもボンネットがよく見えるようになった。さらに、ボディの先端位置や車幅もわかりやすく、斜め後方の視界も向上している。最小回転半径は先代と同じ5.4mで、すぐれた視界とあいまって狭い道路の走行や車庫入れなどもしやすい。
インパネのデザインはオーソドックスだが、質感に不満は感じられない。また、新型「フォレスター」では全グレードに11.6インチの「センターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステム」が標準装着されており、画面が大きく視認性や操作性がよい。
新型「フォレスター」(Premium S:HEV・EX)のインテリア(上)と「センターインフォメーションディスプレイ」(下)
新型「フォレスター」の前席は、背もたれの下側や座面の後方が少し硬めに仕上げられている。骨盤をしっかりと支えてくれて着座姿勢が崩れにくいので、長距離を移動するときにも疲労は少ないだろう。また、シートには電動調節機能が備わり、腰の張り出しを調節できる電動ランバーサポートも用意されている。先代に比べて、快適性が向上した。
新型「フォレスター」(Premium S:HEV・EX)のフロントシート
新型「フォレスター」(Premium S:HEV・EX)のリアシート
新型「フォレスター」は、乗降性も良好だ。悪路の凹凸を乗り越えやすくするため、最低地上高に220mmの余裕を持たせているが、路面から床までの位置は適度な高さに抑えられているので乗り降りがしやすい。
荷室容量は従来型に近く、ミドルサイズSUVとしては余裕がある。リヤゲートの開口部が広いので、荷物を出し入れしやすい。さらに、リヤゲートの角度が比較的立てられているので、背の高い荷物も積みやすい。
新型「フォレスター」のラゲッジルーム。上がリアシートを立てている状態で、下は倒している状態
パワーユニットは、1.8L水平対向4気筒ターボエンジンと2.5L水平対向4気筒エンジンにモーターが組み合わせられたストロングハイブリッドの「S:HEV」の2種類だ。駆動方式は、全車AWD(4WD)になる。
まず、1.8Lターボの動力性能は基本的に従来型と共通で、最高出力は177PS、最大トルクは30.6kg-mを発生させる。
新型「フォレスター」1.8L水平対向4気筒ターボエンジン搭載車の走行シーン
1.8Lターボの加速感は、NAガソリンエンジンに置き換えると約3Lの排気量に相当するものだ。動力性能は十分なのだが、アクセルペダルを踏み増してから加速力が高まるまでに若干の時間差が生じる点には注意したい。
また、1.8Lターボ(試乗グレード「SPORT」)のタイヤサイズは18インチで前輪側のショックアブソーバーは(後述する)「S:HEV」よりも少し硬めに設定されていた。さらに、1.8Lターボの車重は「S:HEV」よりも100kgほど軽いため軽快に曲がり、コーナーリング中にアクセルペダルを踏み増したり戻したりしても、4輪の接地性が損なわれにくく挙動も乱れにくかった。
前述の1.8Lターボの欠点を補うのが、ストロングハイブリッドの「S:HEV」だ。2.5Lエンジンなので排気量に余裕があり、瞬発力の強いモーターを併用しているため、発進直後の低回転域からパワーに余裕がある。
「S:HEV」の動力性能を1.8Lターボと比較すると同程度だが、加速フィールに違いが見られる。1.8Lターボは低回転域の駆動力が少し乏しく、前述のとおり加速すると過給器のターボラグを感じるが、高回転域の吹け上がりが力強く鋭い。対する「S:HEV」は、排気量に余裕があって実用回転域の駆動力が高く、速度は直線的に高まっていく。
新型「フォレスター」2.5L水平対向4気筒エンジン+モーターのストロングハイブリッド「S:HEV」の走行シーン
また、「S:HEV」の試乗グレードは「Premium S:HEV」で、タイヤサイズは19インチだった。カーブを曲がるときには、1.8Lターボを100kg前後上まわるボディの重さを感じる。また、後輪の接地性は1.8Lターボよりも下がるが、車両を内側へ向ける操作はしやすい。
一般的なSUVは、走行安定性を重視して後輪の接地性を優先させるので曲がりにくい印象になるが、「フォレスター」はそうではない。ドライバーの運転技量を少し高めに考えて、曲がる性能を下げないようにしている。だが、走行安定性については「S:HEV」よりも1.8Lターボのほうがすぐれているように感じられた。
WLTCモード燃費は、1.8Lターボの「SPORT」は13.6km/L、ストロングハイブリッドの「X-BREAK S:HEV」は18.8km/Lだ。レギュラーガソリン価格が1L当たり170円とすれば、8万〜9万kmを走ると、「X-BREAK S:HEV」は「スポーツ」との約29万円の実質価格差を取り戻せる。
損得勘定で考えると、1年間の走行距離が1万kmを下まわるユーザーなら、1.8Lターボのほうが割安だが、1万kmを超えるなら「S:HEV」のほうがよく、長く走るほど「S:HEV」のメリットが際立ってくる。
■スバル 新型「フォレスター」のグレードラインアップと価格(販売店調べ)
-水平対向4気筒1.8Lターボエンジン搭載車-
SPORT:404万8,000円
SPORT EX:419万1,000円
-水平対向4気筒2.5Lストロングハイブリッド(S:HEV)搭載車-
X-BREAK S:HEV:420万2,000円
X-BREAK S:HEV・EX:447万7,000円
Premium S:HEV:448万8,000円
Premium S:HEV・EX:459万8,000円
新型「フォレスター」の推奨グレードは、SPORT EX、X-BREAK S:HEV・EX、Premium S:HEV・EXの3グレードだ。この中から走行距離やニーズに合ったタイプを選ぶとよいだろう。
■新型「フォレスター」のメーカーオプション価格(販売店調べ)
ハーマンカードンサウンドシステム:13万2,000円
ハーマンカードンサウンドシステム+サンルーフ:26万4,000円
ハーマンカードンサウンドシステム+サンルーフ+100V・1500W電源コンセント+本革シート:52万8,000円
メーカーオプションは、ハーマンカードンサウンドシステム、サンルーフ、100V・1500W電源コンセント、本革シートなどが用意されている。オプション選びの注意点は、グレードに応じて装着できるオプション装備が異なること。ストロングハイブリッドの機能を活用した100V・1500W電源コンセントは、「Premium S:HEV」のみに設定できる。
スバルの販売店では、2025年4月上旬時点で「従来型の在庫車も用意しており、新型と違って相応の値引きも行える」と言う。従来型「フォレスター」に1.8Lターボを搭載する「SPORT」は346万5,000円なので、新型の「SPORT」の404万8,000円に比べると58万3,000円安い。さらに、値引きも含めれば実質80万円前後は安く買えるだろう。ちなみに、従来型ではカーナビなどがオプションになるが、新型「フォレスター」が予算を超えるような場合は従来型を安く買うことも検討してみよう。