日本の乗用車の売れている順番で上位10車種中、9車種までがなんと軽自動車とコンパクトカーです。売れているからには理由があるはず! そこでこの企画では、軽自動車とコンパクトカーの優位性を探り、シーンごとにオススメできる車種を、順次比較検討して取り上げていきます。
今回は初回として軽自動車、コンパクトカー、それぞれの定義と、検討するうえで重要な両者の経済性の比較を元モーターマガジンの矢部亨氏が解説します。(編集部)
車購入に際し、購入者が気にするのはやはり「価格」ではないだろうか。それも、ただ安ければよいというのではなく、同じ価格帯なら品質的にも性能的にもベストか少なくともベターを選ぼうとするのではないか。
車を安く買うとなると、やはり筆頭候補は「軽自動車」。軽自動車の対抗馬になり得るのはそのすぐ上のセグメントである「コンパクトカー」だろう。価格、サイズ、性能など、どれをとっても軽自動車のすぐ上の兄貴分的な存在。よい勝負が期待できるはずだ。
(※数値や法令等はすべて2025年4月1日時点のものです)
1位 ホンダ「N-BOX」:20万6,272台
2位 トヨタ「カローラ」:16万6,956台
3位 トヨタ「ヤリス」:16万6,162台
4位 スズキ「スペーシア」:16万5,679台
5位 トヨタ「シエンタ」:11万1,090台
6位 日産「ノート」:10万1,766台
7位 ダイハツ「タント」:9万3,759台
8位 スズキ「ハスラー」:9万2,818台
9位 ホンダ「フリード」:8万5,368台
10位 トヨタ「プリウス」:8万3,485台
この中でコンパクトカーと呼ぶのに疑問符が付くのはトヨタ「プリウス」で、トヨタの分類でも「カローラ」や「クラウン」と同じセダンとなっている。
「ヤリス」も一部グレードに3ナンバーサイズのボディを持っていたりするし、「カローラ」の中で5ナンバーサイズのボディを持つのはアクシオ/フィールダーくらいだが、そのへんは大目に見るとして、トップ10のうち1位から9位までが基本的にはコンパクトカーか軽自動車だ。それだけこのカテゴリーに対するユーザーの関心が高いということだろう。
ここでまず軽自動車、コンパクトカーとはそれぞれどのような車をさすのかを確認しておきたい。
軽自動車については道路運送車両法という法律で、以下のように明確にその規格が定められている。
・全長3.40m以下
・全幅1.48m以下
・全高2.00m以下
・排気量660cc以下
・定員4名以下
・最大積載量350kg以下
以上の要件をすべて満たすものが日本独自の規格である軽自動車に分類される。逆に言えば、どれかひとつでも規格から外れれば軽自動車ではなくなり、税制上の優遇措置などはなくなる。
特別に手続きしない限り、自家用の軽自動車には黄色に黒字のナンバープレートが与えられる。
いっぽうのコンパクトカーには、軽自動車ほどの明確な定義はない。人なりメディアなりによってさまざまだが、道路運送車両法上の分類で言えば、軽自動車とは別分類の「小型自動車」が一番近い。小型自動車の規格は以下のとおりだ。
・全長4.70m以下
・全幅1.70m以下
・全高2.00m以下
・排気量2000cc以下(→1500cc以下)
・定員8名以下(→5名以下)
・最大積載量 規定なし ※安全上の目安は乗車定員×55kg+乗車定員分の手荷物程度の重量(乗車定員×10kg)
以上の規格値そのままをコンパクトカーとするケースもあるが、その場合、日本市場ではミニバンとしてヒット作となった日産「セレナ(2Lエンジン搭載・乗車定員8名)」などもコンパクトカーと呼ぶことになる。同じ日産で言うなら1.2Lエンジン搭載(発電用)、5人乗りの日産「ノート」と「セレナ」が同じカテゴリーというのはやはり違和感を抱く人が多いだろう。
また、軽自動車をコンパクトカーに含めるという見方もあるが、エンジンの排気量や税制など明らかに異なるので、これをひとくくりにするのも無理がありそうだ。
例外はあるものの、ここでは一般的にコンパクトカーと呼ばれているモデルのイメージやスペックに鑑み、全長・全幅・全高は小型自動車の規格そのままに、上記()内のように「排気量1,500cc以下」、「乗車定員5名以下」の5&7ナンバーモデルを、本流コンパクトカーのとりあえずの定義としたい。
もちろん、現行型のスペックが多少規格をはみ出していても、歴代モデルのイメージなどによって、これはコンパクトカーと呼んでもよいというモデルもあるだろう。
なお、価格.comでは下記のモデルをコンパクトカーに分類している。
ちなみに小型自動車のナンバープレートは5もしくは7で始まる。スペックがどれかひとつでも規格をオーバーした場合は「普通自動車」となり、いわゆる3ナンバーとなる。もちろん税金なども高くなる。
以上、ごく大雑把にまとめると、ボディサイズはコンパクトカーが軽自動車より一回り大きく、コンパクトカーの排気量は軽自動車の2倍弱から2倍強程度ということになる。
メーカー希望小売価格(東京地区・消費税込み)を比べてみる。
軽自動車で車両本体価格最安のモデルはダイハツ「ミライース」99万2,200円。ダイハツがトヨタにOEM供給している「ピクシス エポック」も同価格だ。
ピクシス エポックはダイハツがトヨタにOEM供給している
逆に最も価格の高いモデルは、ガソリンエンジン車では同じダイハツの「コペンGRスポーツ」で255万6,400円。EVを含めると三菱「eKクロス EV P」の313万1,700円。全幅が小型車枠を若干オーバーするので3ナンバーにはなるが、コンパクトSUVとしてとおっている日産「キックス(e-POWER)」の最上級グレード(X FOUR ツートーンインテリアエディション)は348万1,500円などもある。
最も高価な軽自動車(ガソリンエンジン仕様)はコペンGRスポーツ
最安のミライースは、最上級グレードの144万6,500円のモデルまで8グレードを設定していて、その単純平均価格は120万円弱。
軽自動車最安値を競う「ミライース」
2024年の年間販売台数で軽自動車以外の乗用車も含めてのトップに輝いたホンダの「N-BOX」は、168万9,600円から238万2,600円まで24グレード(福祉車両を除く)を展開している。軽自動車としての価格設定は若干高めだが、その単純平均価格は207万円弱。
N-BOXシリーズは10年連続で軽自動車販売台数日本一を記録している
べーシックグレードが100万円台前半から始まり、上級グレードになると200万円を超えるというのが、軽自動車本体価格の大体の傾向と言えそうだ。
これが高いのか安いのか、次はコンパクトカーを見てみよう。
コンパクトカーの最安モデルはトヨタ「ヤリス1.0X」。駆動方式はFF、1Lエンジン搭載、ミッション=CVTのベーシックグレードで価格は165万7,700円(2025年2月27日に価格改定)。これに続くのがホンダ「フィット1500ベーシック(FF・CVT)」の172万400円、スズキ「スイフト1200XG(FF・CVT)」172万7,000円だ。
上からトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、スズキ・スイフト
価格の最も高いモデルをエンジン1.5L以下5ナンバーサイズの本流コンパクトカーの中で探すと、6人乗り仕様もあるものの、ボディはきっちり5ナンバーサイズの2列シート、5人乗りのホンダ「フリード(4WD・1.5Lハイブリッド)」が355万8,500円。
トヨタ「ヤリス GR RZ ハイパフォーマンス(4WD)」はエンジン=1.6L、全幅=1,805mmなので3ナンバーにはなるが、これをコンパクトカーに分類するケースは多い。価格は533万円。
ホンダ・フリード
コンパクトカーは最安値も最高値もトヨタ・ヤリス
コンパクトカーの車両価格全体の傾向としては、ベーシックグレードが100万円台中盤〜後半から始まり、トップグレードが200万円台中盤〜後半というモデルが多いようだ。
なお、軽自動車とコンパクトカーの車両価格の違いの一例として、本格クロカン4駆として長い歴史を持つ軽自動車のスズキ「ジムニー」と「ジムニーシエラ」を取り上げてみよう。「ジムニー」現行型は1970年デビューの初代から数えて4代目となる。
その「ジムニー」の兄弟車として1993年「ジムニーシエラ」がデビューした。現行型「ジムニーシエラ」のエンジンは1.5L直列4気筒DOHC。ボディサイズも、「ジムニー」の全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,725mmに対し、オーバーフェンダーや大型バンパーを装備することなどにより、全長3,550mm×全幅1,645mm×全高1,730mmと、軽規格を超えて5&7ナンバーサイズになっている。
トレッドはタイヤサイズの違いなどにより前後とも「ジムニーシエラ」が130mm広く、車両重量も「ジムニーシエラ」が40kg重いが、ホールベースや室内長・幅・高、ラゲッジルーム容量などは両車同じ。ラダーフレームも基本的に共通だ。
この両車の車両価格を見てみよう。
「ジムニー」は3グレードにそれぞれ5MTと4AT、計6モデルを用意し、価格帯は165万4,400円〜200万2,000円。平均値は183万円弱。
いっぽうの「ジムニーシエラ」は2グレードの5MT/4AT、4モデル設定。価格帯は196万2,400円〜218万3,500円で平均値は207万円強。その差、20万円強。これが軽自動車とコンパクトカーの価格差の最もわかりやすい例と言えるかもしれない。
ジムニー・ジムニーシエラはともに本格的なクロカンモデルとして高い人気を誇る
ここからは諸経費についてそれぞれ軽自動車とコンパクトカーで差があるのか、あるとすればどれほどなのかを見ていこう。
まずは税金。車にかかる税金は、自動車税/軽自動車税、自動車重量税、環境性能割、消費税の4種類。「環境性能割」とは2019年に廃止された「自動車取得税」に代わって課されるようになった税金だ。
年に1回、排気量に応じて課税される。
軽自動車 1万800円
排気量1000cc以下 2万5,000円
排気量1000cc超1500cc以下 3万500円
排気量1500cc超2000cc以下 3万6,000円
※2019年10月以降に購入した場合の税額
軽自動車はコンパクトカーの1/2以下〜1/3以下で、自動車税に関しては軽自動車の圧勝と言えそう。
上記では省略したが、総排気量2000cc超以降も500ccごとに税額は増えていき、最高は6,000cc超の11万円。なお、上記は自家用の税額で営業用はこれより安く設定されている。
また、軽自動車も含め、ガソリンエンジン車の場合、新車登録から13年が経過すると税額は15〜20%程度高くなる。ただし、電気自動車など環境性能の高いエコカーについては、この限りではない。
自家用乗用車に車両重量に応じて課される税金で、車検時に車検証の有効期間分(初回は3年、以降は2年ごと)をまとめて支払う。軽自動車は車両重量に関係なく年間3,300円の定額となっている。
軽自動車 9,900円(3,300円/年)
0.5t以下 1万2,300円(4,100円/年)
〜1t 2万4,600円(8,200円/年)
〜1.5t 3万6,900円(1万2,300円/年)
〜2t 4万9,200円(1万6,400円/年)
上記は新車を自家用として新規登録したときに一括で払う3年分の金額で12年間は年額が変わらず、13年以上経過すると税額は増えていく。
重量税についても環境性能がすぐれた車には、エコカー減税が適用されて減税・免税になる場合があるので、モデル選びに際してはその点も勘案したい。
国土交通省の統計(2022年)によれば、軽自動車の車両重量は平均約891kg。
スズキ「エブリイワゴン」やダイハツ「アトレー」などの軽ワンボックス、三菱「eKスペース」の一部グレードなど、車重1tを超える軽自動車も若干あるものの、大半のモデルは1t以下。
逆に下限は軽自動車としても小さめサイズのダイハツ「ミライース」のFFモデルやスズキ「アルト」などの650kg〜680kgといったところ。
大半のモデルが「〜1t」枠ということになるが、同じ「〜1t」枠でも軽自動車でなければ新車登録時の重量税は2万4,600円。
アルトなど軽自動車ならば重量が同じ分類でも新車登録時の重量税は1万円以下
いっぽうのコンパクトカーの車両重量。価格.comの自動車 モデル・グレード一覧で、「国産/コンパクトカー/新車販売中・発売予定モデル/排気量661〜1,500cc/全長3,401〜4,500mm/全幅1,481〜1,700mm/車両重量1,001〜1,500kg」でサーチをかけると、ヤリスやフィット、ノート、スイフト、デリカD:2など計25件、ほとんどのコンパクトカーがヒットする。もちろん1tを切るモデルもあるが、多くのモデルがグレードによって1tを若干切ったり、多少超えたりしている。
同じ「〜1t」枠でもコンパクトカー新車登録時の重量税は2万4,600円。それが軽自動車では9,900円で済むのだから、ここでも軽自動車の経済性は光っている。
環境性能割とは燃費性能などに応じて課される税金で、正式には普通車は「自動車税環境性能割」、軽自動車は「軽自動車税環境性能割」と言う。
2030年度に燃費(WLTCモード)を25.4km/Lに! という目標のもと策定された「2030年度燃費基準」を、どれだけ達成しているかによって環境性能割の税率が変わってくる。
電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車、天然ガス自動車などは達成率とは関係なく非課税とされていて、ハイブリッド車を含めたそのほかのモデルは達成率によって課税/非課税、課税率(1%/2%/3%)が違ってくる。
実際の税額は課税標準基準額×1%/2%(/3%)で算出される。
課税標準基準額は車検証に記載された車種やグレードによって決まっていて、車両本体価格の90%程度が大体の目安だ。車両本体価格にはアルミホイールやカーナビなどのオプション装備も含まれる。
たとえば車両本体価格約200万円、2030年度燃費基準達成率70%以下(課税率3%)のコンパクトカーであれば、以下のような計算式になる。
課税標準基準額1,800,000円(車両本体価格の約90%)×3%(2030年度燃費基準70%未満達成)=5万4,000円
そして、ここでも軽自動車とコンパクトカーでは差がつけられている。環境性能割が非課税になる2030年度燃費基準達成率は、軽自動車の80%以上に対し、コンパクトカーは95%以上。税率も軽自動車が1%/2%の2段階なのに対し、コンパクトカーはこれに3%が加わって3段階になる。
軽自動車優位は揺るがない。
これについては説明の必要はないと思うが、車両本体だけではなくカーナビなどのオプション品も課税対象となることは覚えておきたい。現在の消費税率は10%。
経済性といえば、購入後のランニングコストとして税金同様特に気になるのが「燃費」。経済性もさることながら車両性能の比較でもある。
環境性能割非課税の電気自動車、燃料電池自動車などには燃費という概念もカタログ数値もないので、この比較からは除外する。
プラグインハイブリッド車はモーター走行時の電力消費量をガソリンに置き換えたりすることなどにより、カタログにも燃費の数値は記載されている。ハイブリッド車はガソリンエンジン車同様普通に記載されている。
一般論として、燃費の良し悪しに影響するのは、大きく言えば排気量と車両重量。排気量=シリンダー容量が大きくなればそれだけ多くのガソリンを燃やすわけだから燃費は悪くなる。
車両重量の重い車を走らせるには軽い車よりも多くのエネルギーが必要になり、そのエネルギーはエンジンでガソリンを燃やして生み出されるわけだから、重い車のほうが燃費は悪くなる。
同じモデルの2WDグレードと4WDグレードを比べると、大体2WDのほうが燃費はよい。駆動輪が多い分タイヤと路面の摩擦が増えることもあるが、より大きな理由は4WDのほうが4駆機構を積む分車体が重くなるからだ。
軽自動車にストロングハイブリッドがないのも(マイルドハイブリッドはある)、元々小排気量・軽量という燃費的な利点があるので、わざわざシステム分の車両価格を上げてまでハイブリッドにするメリットが少ないからだ。
実際にカタログの数値を見ると、スズキ「ジムニー」や「エブリイワゴン」ワンボックスの15km/L前後という例外はあるが、2WD/4WDともほとんどのモデルが20km/Lから25km/Lのバンドに入っている。
最もいいのはスズキ「アルト」とそのOEMモデルであるマツダ「キャロル」の27.7km/Lで、両車マイルドハイブリッド仕様。ちなみに両モデルともモーターなしのグレードでも25.2km/Lをマークしているので、その差2.5km/L。車両価格は10万〜25万円程度ハイブリッドのほうが高くなるので、どちらを選ぶかは微妙な判断になりそうだ。
コンパクトカーは排気量1L〜1.5L、5ナンバーボディのガソリンエンジン車に限って見てみると、大体のモデルが15km/L前後から25km/Lの間に分布している。
同一モデルのハイブリッド版の燃費は、ガソリンエンジン車に比べ多いものでは10km/L程度伸びる。最好燃費はホンダ「フィット1.5Lハイブリッド」の30.2km/L。ハイブリッド化による燃費向上効果は明らかにコンパクトカーのほうが大きい。
燃費のいいほうから、ハイブリッドのコンパクトカー→軽自動車→エンジンのみのコンパクトカーという順になるようだ。
もちろん、実際の燃費は、たとえば一般道か高速道か、渋滞の頻度、メンテナンス状態、ドライビングの仕方などの変数により、必ずしもカタログ数値どおりではない。
車検をどこの工場で受けるのかや車の状態などにもよるが、費用は軽自動車が5万円前後から8万円程度、高くても10万円前後といったところ。これには税金や保険料も含まれる。コンパクトカーでは7万〜15万円程度というところが多いようだ。
この違いはまず法定費用(重量税、自賠責保険料、印紙代)が総じて軽自動車のほうが安いためだ。すでに紹介したように重量税だけでも車重によってコンパクトカーは軽自動車より1万〜2万円ほど高くなる。
さらに、再車検時にタイヤ交換などすれば、そのタイヤ代もこの差に含まれてくる場合もある。
車検は初回が新車購入から3年目、2回目以降は2年ごとというのは軽自動車もコンパクトカーも同じだ。
軽自動車の有料道路代はコンパクトカーの8割程度に設定されているところが多い。
東名高速を例にとると、東京−沼津IC間(103.3km)の料金は軽自動車が2,530円で、これは二輪車と同じ。
対してコンパクトカーが分類される普通車の料金は3,130円。軽自動車はコンパクトカーのちょうど8割だ。
あまり使う機会はないかもしれないが、フェリー料金はどうだろう。神奈川県・久里浜港と千葉県・金谷港を結ぶ東京湾フェリーの片道運賃は、軽自動車が3,900円で普通車が4,900円と、これもやはり軽自動車は普通車の約8割。
オーシャン東九フェリー(東京−北九州)、津軽海峡フェリー(室蘭−青森など)、伊勢湾フェリー(鳥羽−伊良子)、東京九州フェリー(横須賀−北九州)など、軽自動車を割引の対象にしている航路は多くある。
車庫証明に関しても、軽自動車と、コンパクトカーを含む普通自動車ではかなりの差がある。
車庫証明の正式名称は、軽自動車が「自動車保管場所届出書」で、普通自動車は「自動車保管場所証明書」。
両方とも「自動車保管場所〜」までは同じだが、その後は、軽自動車は「〜届出書」で、保管場所を管轄する警察署に届け出ればいい。
対して、普通自動車は「〜証明書」の発行を陸運局で申請し、その後で警察官が車庫を確認するために現地に来ることもある。
さらに、軽自動車の届出書だが、これが必要なのは、「県庁所在地、人口10万人以上の市区町村、東京や大阪の中心から30km圏内の市区町村」に限られている。
一部例外はあるものの、それ以外の地域では届出さえ不要だ。たとえば島嶼部を除いた東京都でも、福生市、武蔵村山市はじめ8市町村で届出は不要だ。
普通自動車にも証明書が不要な地域はある。同じ島嶼部を除いた東京都で言えば、西多摩郡檜原村だけは車庫証明は不要だが、それ以外は全域必要。これら地域では証明書がないと、まず車検そのものを通せない。
費用的には、地域や車種によって多少異なるが軽自動車の届出書発行手数料は500〜610円程度。普通自動車は申請手数料と標章交付手数料を合わせて2,500〜2,800円程度になる。
費用はともかく、手間暇という点ではやはり軽自動車に軍配が上がるようだ。
時間貸し駐車場の料金については軽自動車を割り引くところは見当たらない。
ただ、スペース的な問題で「小型自動車1台につき幅2.3メートル以上、奥行5メートル以上」という国交省の標準駐車場条例を満たせない場合、その下の基準である「幅2.0メートル以上、奥行3.6メートル」のスペースを軽自動車専用として設けているところはある。
料金は変わらないものの軽自動車だけが停められるというのはメリットになるケースもありそうだ。
(運動性能等を比較する次回に続く)