「スーパーファミコン」(以下、スーファミ)の本体を小型化し、21タイトルをあらかじめ収録した家庭用ゲーム機「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」(以下、ミニスーファミ)が2017年10月5日、ついに発売。単なる復刻版で終わらない、ミニスーファミの魅力を2週にわたってお届けします。
10月5日、ついに発売された「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」。本体やコントローラーなど、スーパーファミコンのデザインと比較します
1990年、16ビットCPUに対応したスーファミの登場は衝撃的でした。
8ビットCPU搭載のファミコンで表現できなかった画像の回転・拡大・縮小表示機能や、PCM音源の採用による高音質化などが実装され、それまで「ドット絵がピコピコ動く」イメージでしかなかったゲームが進化し、“新たなゲーム時代の幕開け”を感じずにはいられませんでした。「スーパーマリオワールド」でノコノコが一直線に並んでも処理速度が落ちず、スムーズに描写されるだけでも驚いたものです。
そんなスーファミが27年の時を経て、ミニスーファミとして復活。
昨年の秋、突然発表された「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(以下、ミニファミコン)ほどのインパクトはないにしろ、リアルタイムで遊んできた世代にとっては、「待ってました」とばかりの朗報だったのでは。実際に、予約開始日の2017年9月16日には、ネットショップで早々に予約が打ち切られ、大手家電量販店では早朝から長蛇の列ができました。
はたして、ミニスーファミはどんな姿をしているのか――この瞬間を、2017年6月27日の製品発表から、首を長くして待っていました。かつて遊んだスーファミも用意して、パッケージを開封していきます。
さっそく、ミニスーファミの開封の儀を始めましょう。今回は、別売りの純正ACアダプター「ニンテンドーUSB ACアダプター」(画像左)も入手しました。いずれも、パッケージに統一感があり、所有感を満たしてくれます
パッケージ裏面には、収録ソフトの紹介が。スーファミ世代にとっては、ソフトのパッケージを見るだけでも、胸が熱くなってくるのでは
ワクワクが止まらない! ついに、パッケージを開けます!
パッケージを開けてみると、ミニスーファミ本体以外にも、コントローラー×2、HDMIケーブル×1、USBケーブル(電源供給用)×1、取扱説明書などが同梱されていました
「小さい! 軽い!」と驚いてしまうほど、コンパクトな“手のひらサイズ”のミニスーファミ。インテリアやコレクションとしても楽しめそうな、愛らしいデザインです
ここからは、オリジナルのスーファミと並べて、徹底比較していきます。
ミニスーファミ(写真左)と比較するため、1990年に発売されたオリジナルのスーファミ(写真右)を持ってきました。こうして並べてみると、パッケージのデザインも、かなり忠実に再現しているようです
ミニスーファミ(写真上)の本体サイズは110(幅)×40.5(高さ)×133(奥行)mm。いっぽう、スーファミ(写真下)の本体サイズは200(幅)×74(高さ)×242(奥行)mmで、“ほぼ1/4の大きさ”という印象です
本体の重量は、ミニスーファミ(写真左)が199g、スーファミ(写真右)が916gでした。実際に両方を持ってみると、ミニスーファミがかなり軽く、スーファミがかなり重いと感じました
残念ながら、スーファミ用のカセットを挿し込んで遊んだり、ダウンロードなどでタイトルを追加することはできません。カセットカバーとイジェクトボタンはダミーのデザインで、それぞれ固定されています
電源スイッチをオンにすると電源ランプが赤く光る仕様は、まったく同じ。そのほか、本体前面にある「Nintendo SUPER FAMICOM」のロゴデザインも変わりません
先に発売されたミニファミコンで賛否両論あったのが、コントローラーの大きさ。
ファミコンは、本体側面にコントローラーを収納することから、ミニファミコンでは、本体にあわせて、コントローラーも小型化されました。そのため、ファミコンに慣れ親しんだユーザーからは、「コントローラーが小さくて、操作しづらい」という意見もあり、ある意味、ミニファミコンの“弱み”として語られていました。
しかし、スーファミは着脱式のコントローラーを採用しているため、心配はご無用。ミニスーファミの本体が小型化されても、コントローラーのサイズはオリジナルのままです。
さらに、デザインは“ネジ穴の位置まで同じ”という、こだわりよう。コントローラー右側にあるX/Y/A/Bボタンや、肩の部分にあるL/Rボタンなど、当時と変わらぬボタンの配置には、安心感すらあります。
コントローラーのサイズを克服したことが、結果的に、ミニスーファミの大きな“強み”になったかもしれません。
スーファミとミニスーファミのコントローラーを比較しましたが……デザインがまったく変わらない!(写真上がスーファミ、写真下がミニスーファミ)
裏面を見ると、任天堂が“ネジ穴の位置まで同じ”とアナウンスしていたとおり。違うのは、黄ばんだ汚れのみ(写真上がスーファミ、写真下がミニスーファミ)
コントローラーのサイズは、144(幅)×25.7(高さ)×63.3(奥行)mm。見ての通り、厚みまで変わりません(写真上がミニスーファミ、写真下がスーファミ)
ミニスーファミのコントローラーを接続しようと思いますが……このままでは挿せません
実は、コントローラー端子にはカバーが付いており、これを開けてから、ミニスーファミのコントローラーを接続する必要があります。これも、スーファミのデザインを忠実に再現するためのこだわりなのでは
無事に、ミニスーファミにコントローラーを接続できました。ミニスーファミとスーファミのコントローラーでは端子が異なるため、互換性はないようです
付属する2個のコントローラーは、サイズやボタンの配置まで、スーファミのコントローラーを忠実に再現していました! これで、当時と変わらぬ感覚でゲームをプレイできるはず
ミニスーファミへの電源供給は、ミニファミコンと変わりません。USBバスパワー対応のテレビや液晶ディスプレイのUSBポートに直接接続するか、別売りのACアダプターをUSBケーブルに接続して、電源を供給するしくみです。
なお、任天堂のホームページによれば、別売りの純正ACアダプター「ニンテンドーUSB ACアダプター」以外にも、5V/1.0A/5Wの出力に対応したUSB対応ACアダプターであれば、市販品も使用できるとのこと。試しに、iPhone付属のACアダプターを使ってみましたが、問題なくミニスーファミを起動できました。
ミニスーファミへの電源供給は、別売りの純正ACアダプター「ニンテンドーUSB ACアダプター」(写真左)以外にも、5V/1.0A/5Wの出力に対応したUSB対応ACアダプターであれば、市販品も対応するとのこと。今回は、iPhone付属のACアダプター(写真右)を用意してみました
実際に、iPhone付属のACアダプターを使ってミニスーファミの電源を入れてみましたが、何の問題もなく、起動できました。5V/1.0A/5Wの出力に対応したUSB対応ACアダプターが自宅にある方は、純正ACアダプターがなくても代用できそうです
コンパクトな本体に加えて、厳選された名作21タイトルをあらかじめ収録しているのも、ミニスーファミの大きな魅力。ミニファミコンの30タイトルから収録数が減ったものの、1本あたりのボリュームやプレイ時間を考えると、むしろ、全体の満足度は高くなったのではないでしょうか。
たとえば、スーファミのグラフィック機能がこれ1本で伝わる「スーパーマリオワールド」、夢中で友人と対戦した「スーパーマリオカート」と「スーパーストリートファイターII」などは、王道中の王道。
さらに、“なぜか紛れ込んじゃった感”のある「スーパーフォーメーションサッカー」、当時の技術力に比べて圧倒的なグラフィックであったため、「“オーパーツ”(場所や時代とそぐわないと考えられるモノ)なのでは?」という都市伝説まで出た「スーパードンキーコング」、など、スーファミ世代直撃のラインアップがそろっています。
【ミニスーファミ収録タイトル】
スーパーマリオワールド(任天堂)、F-ZERO(任天堂)、がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻(KONAMI)、超魔界村(カプコン)、ゼルダの伝説 神々のトライフォース(任天堂)、スーパーフォーメーションサッカー(ヒューマン)、魂斗羅スピリッツ(KONAMI)、スーパーマリオカート(任天堂)、スターフォックス(任天堂)、聖剣伝説2(スクウェア)、ロックマンX(カプコン)、ファイアーエムブレム 紋章の謎(任天堂)、スーパーメトロイド(任天堂)、ファイナルファンタジーVI(スクウェア)、スーパーストリートファイターII(カプコン)、スーパードンキーコング(任天堂)、スーパーマリオ ヨッシーアイランド(任天堂)、パネルでポン(任天堂)、スーパーマリオRPG(任天堂)、星のカービィ スーパーデラックス(任天堂)、スターフォックス2(任天堂)
ミニスーファミのタイトル選択画面。手のひらサイズの小さな筺体に、厳選された名作21タイトルがあらかじめ内蔵されています
今回収録された21タイトルの中でも、目玉と言えるのが「スターフォックス2」。
これは、1993年2月に、スーファミ用ソフトとして発売された3Dシューティングゲーム「スターフォックス」の続編で、1995年にゲームが完成しながら、翌年に新たな家庭用ゲーム機「NINTENDO64」が登場することが影響し、発売中止になったという“幻のタイトル”です(その後、「スターフォックス2」のプロジェクトが受け継がれ、NINTENDO64用ソフト「スターフォックス64」があらためて発売されました)。
そんな「スターフォックス2」がミニスーファミに収録されることになり、一部のユーザーからは、「これだけでも、ミニスーファミを買う価値がある」という声もあがっています。なお、「スターフォックス2」をプレイするには、「スターフォックス」の最初のステージをクリアして、ロックを解除する必要があります。ミニスーファミを手に入れたら、まずはトライしてみてください。
“幻のタイトル”「スターフォックス2」をプレイするには、「スターフォックス」の最初のステージをクリアする必要があります。初期状態では、赤いリボンのマークが付けられ、ロックされています
このように充実したラインアップを用意したミニスーファミですが、すでに9月29日から発売されている海外版ミニスーファミ「Super NES Classic Edition」との収録タイトルの違いを嘆く声も。
すでに9月29日から発売されている海外版ミニスーファミ「Super NES Classic Edition」。日本版のミニスーファミとは、収録タイトルの一部が異なります
海外版は、国内版のスーファミに収録されている「がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻」、「スーパーフォーメーションサッカー」、「ファイアーエムブレム 紋章の謎」、「パネルでポン」の4タイトルがない代わりに、「MOTHER2 ギーグの逆襲」、「カービィボウル」、「悪魔城ドラキュラ」、「スーパーパンチアウト!!」が収録されています。特に、スーファミ史上、いやRPG史上に名を残す「MOTHER2」がミニスーファミに収録されなかったのは、意見が分かれるところ。
大人も子供も、おねーさんも、もし「MOTHER2」を久しぶりにプレイしたくなったら、Newニンテンドー3DS用バーチャルコンソールやWii U用バーチャルコンソールから楽しんでみてはいかがでしょうか。各926円です。
準備が整ったところで、さっそくミニスーファミをプレイ。30代の編集部員が集まって、まっさきにプレイしたのが、「スーパーストリートファイターII」と「スーパーマリオカート」。コントローラーのサイズが当時と変わらないため、手に持ってプレイした瞬間、当時の記憶がよみがえってきます。
「スーパーストリートファイターII」をプレイ。操作した感覚は確かに当時のままでしたが、アーケード版にすっかり慣れすぎてしまったせいで、アーケードスティックが無性に欲しくなってしまいました
スーファミを代表するタイトル「スーパーマリオカート」。コントローラーを手にすると、知らずのうちに、L/Rボタンを駆使したドリフト走行を“手グセ”のように出してプレイしていたことに、自分でも少し驚きました
次週は、新たな機能を搭載したミニスーファミの使用感をお届け。一定時間ゲームを巻き戻せる「リプレイ機能」、自分のプレイをデモムービーに設定できる「マイプレイデモ」などに注目します。
デジタル製品全般からホビーやカップ麺・スナック菓子まで、オールジャンルをカバーする編集部員。大のプロレス好き。読み方は、まつだ・しんり。