PS5でゲームを遊びたいけど、家族がテレビを見ているため遊べない。こんな経験は誰しもあるでしょう。そんな人に朗報過ぎるデバイスが「PlayStation Portal リモートプレーヤー」(以下、PS Portal)です。
「PS Portal」って実際どうなの!?
PS5にインターネット経由で接続し、リモートコントロールすることで、PS5本体やテレビを使わなくてもゲームが遊べる携帯デバイス。この使い勝手はどうなのか、SIEから「PS Portal」が届いたので、実際に試してみました。
PS5には、もともとリモートプレイ機能が備わっており、スマートフォンで接続してゲームを遊ぶというのがそもそもの使い方でした。しかし、画面が小さかったり、スマートフォンの仮想コントローラーが使いにくかったりなど、快適にプレイできるとは言いがたいものです。
そこにSIEがぶつけてきたのが「PS Portal」です。8インチの液晶ディスプレイに、PS5のコントローラー「DualSense」を合体させたような形で、画面サイズ、操作のしにくさといったリモートプレイでの課題を一気に解決してくれます。
8インチの液晶ディスプレイはフルHD(1080p)に対応。十分キレイで、リフレッシュレートも最大60Hzと申し分なし。最新グラフィックのゲームも非常に美しい描画で楽しめます。もちろん、普段は4K対応有機ELテレビで遊んでいるといった人には物足りない部分があるかもしれませんが、携帯ゲーム機と考えれば、満足できます。
フルHDの液晶ディスプレイは携帯ゲーム機として十分きれい
液晶ディスプレイの両脇にはコントローラーが搭載されており、PS5の「DualSense」と同様にアダプティブトリガーとハプティックフィードバックが利用可能。PS5でのゲーム体験が再現されているというわけです。
中央に液晶ディスプレイが鎮座しているため、「DualSense」と完全に同じ操作感とまではいきませんが、ボタンやグリップなどが「DualSense」と統一されているため、非常に近い操作感だと思います。
「DualSense」と同じくらいのグリップ感
ただし、LとRスティックが「DualSense」と比べて若干小さくなっており、これは少し違和感でした。しかし、しばらく遊んでいると慣れますし、そもそもスマートフォンの仮装コントローラーと比べると天と地ほどの差があるくらい快適です。ほぼほぼ、自分の思い通りのプレイができると思って大丈夫だと思います。
LとRスティックは「DualSense」のものよりも若干小さめです
「PS Portal」は、先述のとおり、インターネットを介してPS5をリモートプレイする仕組みになっています。そのため、回線速度はゲームを快適にプレイするのに非常に重要です。SIEは、最低5Mbps、推奨15Mbps以上の回線速度が必要としています。
今回、自宅のWi-Fi(常時100Mbps前後)にPS5と「PS Portal」の両方、つまり2つのデバイスを同じインターネット回線に接続して試しました。その結果、アクション性の高い「Marvel's Spider-Man 2」でも遅延や画質などの乱れがなく、非常に快適にプレイできました。
「Marvel's Spider-Man 2」は、PS5と「PS Portal」が同一ネットワーク環境にあれば遅延を感じませんでした
しかし、「Apex Legends」や「フォートナイト」などのオンライン対戦ゲームでは、本当に若干ですが遅延を感じます。おそらくですが、筆者が応答速度1msのゲーミングモニターで普段「Apex Legends」や「フォートナイト」をプレイしているため感じる部分なのかもしれません。反対に、普段PS5を(応答速度の遅い)テレビでプレイしている人であれば、この程度の遅延には気づかないレベルだと思います。
個人的には、オンライン対戦ゲームや、「ARMORED CORE VI」のようにミリ秒の遅延が生死を分けるようなゲームは遊びづらいなと思ってしまいました。反対に、オープンワールドでまったり探索したりするゲームであれば問題なく快適にプレイできるでしょう。
では、外出先ではどうなのでしょうか。試しにスマートフォンのテザリング(30Mbps前後)で接続してプレイしてみましたが、そもそもPS5に接続できなかったり、接続できても画質が非常に粗くなったり、ボタン入力を受け付けなかったりなどの現象が発生しました。
カフェのような場所で提供されているWi-Fi環境でも遊んでみましたが、快適に遊べるときもありつつ、時折遅延や画質の乱れなどが発生することもありました。おそらくですが、外出先で接続する場合は回線が不安定になりやすいのだと思います。
また、リモートプレイ時は、接続しているPS5は「PS Portal」と連動するので、ひとりがPS5で遊び、もうひとりが「PS Portal」で別のゲームを遊ぶということはできません。こちらは注意してください。
「PS Portal」の「場所を選ばずにPS5を遊べるようにする」というコンセプトは非常にいいと思います。しかし、“どこでも快適に遊べる”というのは厳しいです。回線速度や安定性に左右されるため、電車の中で遊ぶみたいな使い方は難しいでしょう。遊ぶとしても、ゲームアーカイブスでダウンロードできる軽いグラフィックで、画質や遅延がプレイに大きな影響を与えないゲームなどに限定されると思います。
旅行や出張先のホテルで「PS Portal」を使ってゲームを遊ぶことは全然可能だと思います。たまに画質が乱れたり、遅延したりすることを許容できるかどうかですね。
個人的には、外出先で使うのをメインにする運用には向かず、自宅でPS5が遊べないときに「PS Portal」を代用するというのが主な使い方になると思います。そして、たまの旅行や出張時に持って行く、という感じでしょうか。
家族がPS5を接続中の自宅のテレビを見ているため好きなときにゲームができない、テレビのない寝室で遊びたい、といったニーズには十分応えられます。
「PS Portal」は希望小売価格29,980円(税込)。決して安い買い物ではなく、使用環境によって満足度が変わってくるデバイスですので、購入前にはどういった用途で使いたいのか、自宅などの回線速度は十分なのかを考えていただければと思います。