PS5やPS5 Proのリモートプレーヤー専用機「PlayStation Portalリモートプレーヤー」(以下、「PS Portal」)。「モンスターハンターワイルズ」の盛り上がりを受けて、導入を考えている人も多いのではないだろうか。そこで、今回は「PS Portal」のヘビーユーザーである筆者が、長期間使って感じたメリットやデメリットを解説しよう。
「PS Portal」の購入前にメリット、デメリットをチェック
なお、「PS Portal」の基本機能などは以下のレビュー記事からご確認いただきたい。
「PS Portal」を長期間使ってきて、最も大きなメリットだと感じたのが、“ゲームをしたいけどできないとき”にでもゲームが遊べる点だ。
「ゲームをしたいけどできないとき」とはどういう状況か。一般の人よりゲームを遊ぶ時間が多い筆者の例で言うと、ズバリPS5で長時間ゲームを遊び続けて疲労を感じたときだ。
ゲーミングチェアがいくら楽とはいえ、同じ体勢を長時間続けるのは厳しい。特に、会話パートの多いRPGやオープンワールドゲームは、オンライン対戦ゲームなどと比べて常にアクションし続けているわけではないので、同じ体勢で遊ぶのがしんどくなってくる。そのため、長時間遊んだら、いったんゲームをやめて横になったりして休憩を挟みたくなるのだ。
しかし、「PS Portal」があればこの問題も解決する。疲労を感じたときに、「PS Portal」にサクッと切り替えれば、ベッドに寝転んだり、ソファに横になったりしながら、そのまま続きが遊べる。
もちろん、疲れたらゲームをやめて休憩すればいいと言われればそのとおり。しかし、体は疲れているけれどまだ遊びたい、気になっているパートだけでも終わらせたい、などと感じたことはゲーマーならあるだろう。そういったときに「PS Portal」があると、気になる続きを楽な体勢で続けられる。もちろん、気分に合わせて、テレビやモニターでじっくり遊ぶか、それとも「PS Portal」で楽な体勢で遊ぶかを選べるのもうれしい。
ライターである筆者の使い方がレアケースだとしても、みなさんもゲームがしたいけれどできないときはあるはずだ。特に、家族で住んでいて、PS5をリビングに設置したテレビに接続している人はメリットを特に感じやすいだろう。
家族がテレビを見ている、家族にプレイ中の画面を見られたくない/聞かれたくない、家族の知人が来訪してリビングにいる。今までは、PS5でゲームを遊ぶことを諦めざるを得なかった状況でも、「PS Portal」があれば自室や寝室などでゲームが遊べるのだ。
これまではゲームができなかった時間をゲームに費やせるようになるため、おのずとゲームのプレイ時間も増えてくる。これこそが「PS Portal」の大きなメリットだと思う。
「PS Portal」を使うと、ゲームを遊ぶ時間が増える!
「PS Portal」の大きなメリットは上述のとおりだが、同様のメリットならスマートフォンを介したリモートプレイでも得られる、という人もいるだろう。確かにスマートフォンでリモートプレイするのも悪くはないが、「PS Portal」のほうがすぐれている点は多い。
ひとつは画面の大きさ。「PS Portal」は8インチという大きいディスプレイを搭載しており、スマートフォンとは見やすさが段違いにいい。また、操作性でも「PS Portal」に軍配が上がる。
スマートフォンでPS5をリモートプレイする場合、アプリ内で画面内に表示されるボタン(仮想コントローラー)で操作できるが、正直快適とは言えない。DualSenseをスマートフォンに接続する方法もあるが、それだとさまざまな体勢で遊べるスマートフォンの魅力が失われる。
スマートフォンの仮想コントローラはお世辞にも操作しやすいとは言えない
タブレットの場合も同様で、スマートフォンより画面が大きくなるが、DualSenseを接続すると机の上にタブレットを置いて遊ぶなど場所が固定されてしまう。
その反面、「PS Portal」はDualSenseと一体化しているため、操作性を損なわずに、さまざまな場所や体勢で遊べる。寝ころびながらでも、仰向け、うつ伏せ、横向きと気軽に体勢を変えられるのも「PS Portal」ならではのメリットだ。ハプティクスフィードバックやアダプティブトリガーなどのDualSense独自の振動機能が問題なく動作するのもうれしい。
ほかにもPS5専用のリモートプレイ機であるからこそ接続がしやすく、設定画面などのUIがわかりやすいといった点も、「PS Portal」のメリットとしてあげられるだろう。
「PS Portal」はWi-Fi経由で接続したPS5のリモートプレーヤーとして動作するため、インターネット回線の速度や安定性が、快適なプレイに大きな影響をおよぼす。そのため、主な用途はインターネット回線が安定している自宅がメインになり、外出先で遊ぶことは基本的に考えないほうがいい。
筆者のWi-Fi環境は下りが70Mbps前後だが、まったく問題なく遊べると感じたのは操作の頻度が比較的少ないRPG。「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」や「メタファーリファンタジオ」「FANTASIAN Neo Dimension」はリモートプレイでも問題なく遊べた。インターネットの回線状況ではラグが発生することがあったが、ゲームの大部分がシンプルな移動や会話、コマンドバトルで構成されているため、あまり気にならなかったというのが本音だ。
今話題の「モンスターハンターワイルズ」もプレイしてみたが、オフラインのソロプレイ時はほかのゲームと変わらず問題なくプレイできた。ただし、オンラインに接続してマルチプレイを遊ぶ場合は、通信が不安定になりやすくラグが発生しやすくなるため、あまりおすすめできない。ただし、この結果は筆者のWi-Fi環境による影響が大きい。より高速なインターネット回線であれば、結果は変わるだろう。
Wi-Fiの速度が70Mbps(下り)の場合、「モンスターワイルズ」はオフラインソロプレイだと問題なし。オンラインマルチはラグが起こりやすかった
ほかにも「パルワールド」などの放置プレイが生きてくるゲームは「PS Portal」で遊びやすい。ゲーム以外の作業をしながら「PS Portal」のゲーム画面を定期的にチェックできる。
「パルワールド」ではパルの労働状況を「PS Portal」で定期的にチェックするのが便利
アクション性の高いゲームでリモートプレイを使用する際は注意が必要だ。たとえば、「黒神話:悟空」や「アストロボット」といったゲームは、少しでもWi-Fi環境が不安定になると、操作遅延が発生してゲームプレイに影響をおよぼす場合がある。
ただし、筆者の自宅のインターネット環境(下り70Mbps前後)の場合は、アクション性の高いゲームをプレイしても遅延でプレイできないほどではなく、普通に遊べた。もし、同様のゲームを「PS Portal」で遊びたい場合は、事前に自宅のインターネット回線速度を調べておくほうがいいだろう。
なお、「Apex Legends」や「フォートナイト」のオンライン対戦ゲームを「PS Portal」で遊ぶのはあまりおすすめできない。なぜなら、遅延が勝敗に大きく影響するからだ。ラグなしで思いどおりに操作するには、回線速度が超高速でないとなかなか難しいだろう。
ここからは長期間使って感じた「PS Portal」のデメリットを解説する。ひとつは、いくら高速なインターネット回線に接続していたとしても、自宅でプレイする場所によっては通信が安定しないことがある点。自宅のすみずみまで高速通信が行き届いていればいいが、そうでない場合も多い。
たとえば、寝室のインターネットが安定していないと、ベッドに寝転んで快適にプレイとはいかない。その場合は、Wi-Fiルーターの中継器などを別途用意したりすることで回避できるが、自宅のどんな場所でも快適に遊べるわけではない点に注意していただきたい。心配な人は、寝室や自室など「PS Portal」を持ち込みたい部屋の回線速度を調べておくのがいい。
筆者の場合は寝室のある場所で回線が極度に不安定になり、ひどい場合は通信不良でPS5本体との接続が切れてしまう
もうひとつはバッテリーだ。「PS Portal」のバッテリー持ちは、遊ぶゲームの種類や画面輝度などにもよるが、筆者の場合だと4.5時間から8時間持つこともあった。これに不満を抱いたことは多くないが、こまめに充電しないと遊びたいときに遊べないということはある。充電が苦手な人には少しストレスかもしれない。
筆者が感じたデメリットは以上。正直、そこまで多くないと思うが、いかがだろうか。
「PS Portal」の公式サイト販売価格は34,980円(税込)。リモートプレイ専用のデバイスと考えると、安くはない価格だ。しかし、実際に導入してみると、使用頻度はかなり多かった。ちょっと横になってゲームを遊びたいときなどは非常に重宝した。
もっとゲームを遊びたいけれど、リビングのテレビ問題でできないことがある。長時間プレイしていると、同じ体勢でゲームし続けるのが疲れる。たまには寝転んだり自由な体勢でゲームを遊びたい。そんな人は、「PS Portal」を導入すると、ゲームのプレイ時間が増えて幸せになれるはずだ。