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まだ知名度が高くない作者・作品に着目するのも漫画の楽しみ方のひとつ

漫画コンシェルジュ・小林琢磨が選ぶ! 必ず売れる注目漫画家10人とその代表作

誰もが知っている有名な作者・作品だけでなく、まだまだ知名度が高くない作者・作品に着目するのも漫画の楽しみ方のひとつですよね。年間1,000冊以上の漫画を読むという漫画コンシェルジュ・小林琢磨は今、どの漫画家に注目しているのでしょう? これからブレイクするであろう注目漫画家10人を、代表作とともに一挙紹介します。

1.猪ノ谷言葉/代表作:「ランウェイで笑って」

まずは猪ノ谷言葉さんですね。猪ノ谷さんは20代で、これからが楽しみな注目の若手のひとりです。この「ランウェイで笑って」は、週刊少年マガジンで連載されている作品です。ファッション業界を舞台にしていて、作画にしても、ストーリーにしても、とにかくクオリティが高いんです。週刊連載しているのが奇跡と言ってもいいくらいですね。2017年から連載されていて、「マンガ大賞2018」では6位に選ばれました。圧巻なのは何と言っても1話目で、1話目がこれほど完璧な作品はそれほど多くありません。1話目の最後にちょっとしたどんでん返しがあって、思わず「お前かい!」と言いたくなる。ネタバレになってしまうのでくわしくは言いませんが、そのどんでん返しを含めて、完璧だなって。ファッション業界の内部が詳細に描写されていて、少年漫画の熱さはもちろん、青年漫画のようなリアリティもある。すでに週刊少年マガジンの看板になりつつある作品ですし、「このマンガがすごい!2019」でも間違いなく名前があがってくるでしょう。

(C)猪ノ谷言葉/講談社

(C)猪ノ谷言葉/講談社

あらすじ
身長は、158cmから伸びなかった……。藤戸千雪の夢は「パリ・コレ」モデル。モデルとして致命的な低身長ゆえに、周囲は「諦めろ」と言うが、千雪は折れない。そんな時、千雪はクラスの貧乏男子・都村育人の諦めきれない夢「ファッションデザイナー」を「無理でしょ」と切ってしまい……!? 「叶わない」宣告をされても、それでも一途に夢を追って走2人の物語。(講談社作品ページより)/単行本は既刊7巻。

2.原作:江藤俊司、作画:三輪ヨシユキ/代表作:「終極エンゲージ」

「終極エンゲージ」は、江藤俊司さんが原作者で、三輪ヨシユキさんが作画を担当しています。少年ジャンプ+で連載され、全5巻で完結しました。実は今、この2人で新しい連載を描いているらしくて……。これは本当に楽しみですよね。「DEATH NOTE」や「バクマン。」のように、原作者と作画者が異なるケースはしばしばありますが、次回作も江藤さんと三輪さんのタッグで描いてくれるというのは、漫画好きにとってはたまりません。ストーリーは、王道のSFファンタジーです。宇宙で王様の花嫁を決めるという設定が面白くて、少年漫画ならではの努力・友情・勝利もしっかり入っている。必殺技を叫んでから殴る、なんていう王道の表現が心地いいですし、「HUNTER×HUNTER」のような心理戦の駆け引きもあります。それと、全5巻というバランスもよい。きちんとハッピーエンドで終わりますしね。江藤さんはこれが連載デビュー作なので、まさにこれからが楽しみな、注目の漫画家さんのひとりです。

(C)江藤俊司・三輪ヨシユキ/集英社

(C)江藤俊司・三輪ヨシユキ/集英社

あらすじ
「最強」こそ女王の証!宇宙王子の妃を決める一大イベント、『女王決定戦』の覇者となるべく、全宇宙から強者たちが地球に集う! 異種間SFバトル開幕!(集英社作品ページより)/単行本は全5巻を刊行。

3.原作:長田悠幸、作画:町田一八/代表作:「シオリ エクスペリエンス」

長田悠幸さんは昔から活躍されている漫画家さんですが、今まで代表作に恵まれていませんでした。でもこれからは、「シオリ エクスペリエンス」が代表作になるのではないでしょうか。まさに集大成といった作品です。音楽漫画で言うと、「BECK」とか、「のだめカンタービレ」とか、「ピアノの森」とかいろいろとありますが、「シオリ エクスペリエンス」も歴史に名を残す名作だと思います。先生が生徒たちとバンドを組む話で、副題は、「ジミな私とヘンなおじさん」。ジミヘンが自分に乗り移って演奏するんですよね。青春漫画としての感動があり、ユーモアもある。何より作画が上手くて、特に見開きの使い方は圧巻です。10巻11巻は本当に震えるくらいすごくて、見開きを使って、魅せてくれる。ページから音が聞こえてくるというか、その見開きをそのまま額縁に入れて飾っておきたくなるというか。とにかく本当に見事な表現ですから、ぜひ読んでみてください。

(C)Yuko Osada/Kazuya Machida/SQUARE ENIX

(C)Yuko Osada/Kazuya Machida/SQUARE ENIX

あらすじ
“ジミ”なアラサー高校教師・本田紫織は、アフロヘアの“ヘン”なサイケおじさんに取り憑かれちゃって生活一変。私の人生、この先どうなるの!?(スクエア・エニックス作品ページより)/単行本は既刊11巻。

4.かっぴー/代表作:「左ききのエレン」

かっぴーさんは個人的に仲良くさせてもらっている漫画家さんですが、代表作と言える「左ききのエレン」は純粋に素晴らしい作品です。漫画家としてデビューしたのは3年前。美大卒業後に広告代理店に入り、ディレクターとして働きながら漫画を投稿したところ、これが話題になったわけです。そして、満を持してデビューしたと。広告会社を舞台にした漫画ですが、もともとサラリーマンだったわけですから、何しろとてもリアルです。原作の連載は1年以上前に終わっていますが、その後リメイクされ、番外編として続きも描かれているので、「左ききのエレン」ワールドはどんどん広がっています。そうした世界観の広がりも含めて、注目したい漫画家さんですね。

(C)かっぴー

(C)かっぴー

あらすじ
天才になれなかったすべての人へ――。朝倉光一は、大手広告代理店に勤める駆け出しのデザイナー。いつか有名になることを夢みてがむしゃらに働く毎日だが……。「フェイスブックポリス」で一躍話題になったかっぴーさんが挑戦する、初の長編ストーリーマンガです。(cakes作品ページより)/全63話。

5.山口つばさ/代表作:「ブルーピリオド」

山口つばささんの「ブルーピリオド」は、今後なんらかの漫画賞を取るであろう、大注目の作品です。高校生の主人公が美大を目指すストーリーで、わかりやすく言うと、美大版「ドラゴン桜」といったところでしょうか。どうすれば美大に受かるのか。それが事細かに描かれています。作者自身が美大出身で、作中に登場する絵画や彫刻、デッサンなどを実際の美大生が描いているのもユニークなところです。毎回注釈で、実在の美大生の名前が出てくるんです。だから、すごくリアル。まだ3巻なので、これからどうなるのか、最後には美大に合格できるのか、楽しみで仕方がありません。

(C)山口つばさ/講談社

(C)山口つばさ/講談社

あらすじ
成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、1枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語、八虎と仲間たちは「好きなこと」を支えに未来を目指す! (講談社作品ページより)/単行本は既刊3巻。

6.小西明日翔/代表作:「来世は他人がいい」

前作「春の呪い」が話題を集めて、書籍化され、評価された新進気鋭の漫画家さんです。そして次に「来世は他人がいい」が描かれたわけですが、これがまあ面白い。ズバリ、「このマンガがすごい!2019」の大賞は本作が受賞するのではないかと思っています。内容的には、関西のヤクザの娘と、関東のヤクザの息子が許嫁になって、さまざまな事件が起こっていく。2人のキャラクターが強烈で、ヤクザの娘は一見普通の女性に見えますが、実はとんでもなく肝がすわっています。ヤクザの息子に「金を稼いでこい」と言われて、平気な顔して自分の臓器を売ってきてしまうくらいに。いっぽう、ヤクザの息子は究極のマゾヒストで、どんどんヤクザの娘に惚れていく。おそらく裏で人を殺していて、抱える闇の深さもうまく描かれています。どろどろした人間関係というか、重い、暗い人間関係を描くのがとてもうまい作者さんで、それがエンターテインメントとして評価されたのが本作品なんです。漫画賞を受賞する作品はただ面白いだけじゃなくて、審査員が納得する「何か」が必要なんですが、その「何か」がこの作品にはあると思います。

(C)小西明日翔/講談社

(C)小西明日翔/講談社

あらすじ
極道の家で生まれ育った女子高生、染井吉乃。家庭環境は特殊でも、おとなしく平穏に日々を過ごしてきた。婚約者の深山霧島(みやま・きりしま)と出会うまでは――! デビュー作 「春の呪い」で「このマンガがすごい!2017」(オンナ編)2位にランクインした小西明日翔の最新作。はみ出し者たちが織りなす、スリルと笑いが融合した極道エンタメがここに誕生!! (講談社作品ページより)/単行本は既刊2巻。

7.芥見下々/代表作:「呪術廻戦」

日本で1番メジャーな漫画雑誌、週刊少年ジャンプで連載されているので、人選としてはマイナーとは言えないかもしれませんが、最近新連載されたばかりで。もともと週刊少年ジャンプの増刊号で4話掲載され、そこから連載が始まった作品になります。これはあくまでも個人的な意見ですが、週刊少年ジャンプの以前の3大漫画が「ONE PIECE」「NARUTO -ナルト-」「BLEACH」だとしたら、「ONE PIECE」の正統後継が「僕のヒーローアカデミア」で、「NARUTO -ナルト-」の後継が「ブラッククローバー」、そして「BLEACH」の後継がこの「呪術廻戦」だと思っています。呪術師の主人公が使命を背負いながら戦っていくストーリーなのですが、構成がよくできていて、作画もスタイリッシュでカッコイイ。増刊号で登場したキャラクターが登場するので、増刊号を読んでいるとより楽しめるし、知らなくてももちろん楽しめます。先の読めない展開も、「BLEACH」と近いです。この「呪術廻戦」には予定調和がない。主人公、1回死にますからね。今もまだ死んでいます(笑)。ようやく仲間が揃ったと思ったら、次回、この中の誰かが死ぬ、なんていう展開もありますから。この作品、この作者から目が離せません。

(C)芥見下々/集英社

(C)芥見下々/集英社

あらすじ
呪い。辛酸・後悔・恥辱……。人間の負の感情から生まれる禍々しきその力は、人を死へと導く。ある強力な「呪物」の封印が解かれたことで、高校生の虎杖は、呪いを廻る戦いの世界へと入っていく……! 異才が拓く、ダークファンタジーの新境地! (集英社作品ページより)/単行本は既刊2巻。

8.賀来ゆうじ/代表作:「地獄楽」

「少年ジャンプ+」で連載されている作品の中で、今、最もプッシュされている作品だと思います。超一級の罪人たちが集められて、不老不死の薬を探しに行く話です。極悪人同士のわかりやすい話かと思いきや、妖怪が出てくるわ、魅力的に描かれていた登場人物がバンバン死んでいくわで、先が読めません。ひと言で言えばそこが本作品の魅力だと思っています。たとえば、唐突にストーリーが転換する。でも画力の高さや、話の持っていき方が上手いので、その唐突さが気にならないんです。すでに注目されていますが、少年ジャンプ+の看板作品として、今後ますます注目されていくでしょう。

(C)賀来ゆうじ/集英社

(C)賀来ゆうじ/集英社

あらすじ
時は江戸時代末期となる頃――。かつて最強の忍として、畏れられた“画眉丸”は抜け忍として囚われていた。そんな中、打ち首執行人を務める“山田浅ェ門佐切”から無罪放免になる為の条件を突きつけられる。その条件とは極楽浄土と噂の地で「不老不死の仙薬」を手に入れること……!! 美麗師・賀来ゆうじが描く忍法浪漫活劇いざ開幕!! (集英社作品ページより)/単行本は既刊4巻。

9.東元俊哉/代表作:「テセウスの船」

「モーニング」で連載されている作品で、いわゆるタイムスリップもののミステリーです。主人公が幼い頃、警察官の父親が小学校の子どもたちを薬物で殺してしまう。主人公は殺人犯の子どもとしていじめられ、悲惨な人生を送ることになる。そんな主人公もやがて結婚し、家庭を築きます。そして、近く子どもも生まれるという時になって、ふと昔のことを考えていると、大量殺人が起こった時に戻ってしまう。当然、父親の殺人を阻止しようとする。でもその時にわかるんです。父親は犯人ではなく、無罪だったと。では、誰が真犯人なのか? そこからストーリーが展開していきます。サスペンスとしての完成度が高くて、ストーリーも面白い。題名となっている「テセウスの船」は、パラドックスのひとつとしてご存知の方も多いのではないでしょうか。古くなった船の部品をひとつ、またひとつと替えていき、元々あった部品がひとつもなくなった時、果たしてその船は最初と同じ船と言えるのだろうか、というパラドックスですね。過去を変え、未来に戻ってきた時に、果たして同じ人間、人物と言えるのか。この題名には、そういう意味が込められているのだと思います。

(C)東元俊哉/講談社

(C)東元俊哉/講談社

あらすじ
1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童16人を含む21人が青酸カリで毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた。時空を超えて「真実」と対峙する、本格クライムサスペンス、開幕。(講談社作品ページより)/単行本は既刊5巻。

10.矢島光/代表作:「彼女のいる彼氏」

矢島光さんはあのサイバーエージェントで働いていた漫画家さんです。サイバーエージェントと言えば、キラキラ女子と、オラオラ男子が多いイメージですが、そこでの実体験を生かして、少女漫画とは違う、20代中盤のドロドロ社内恋愛を描いています。描写はもう、完全にサイバーエージェント。かなりリアルですよ。現在は週刊ヤングジャンプで「バトンの星」という新体操漫画を描いています。新体操のバトンというテーマが新しいですし、女性向けの雑誌ではなく、青年向けの雑誌でこのテーマを持ってきたところも新しい挑戦ですよね。週刊ヤングジャンプでの連載が始まったことで知名度が上がり、一気にブレイクする漫画家さんだと思います。

(C)矢島光/新潮社

(C)矢島光/新潮社

あらすじ
元IT大手勤務の著者が贈る、業界あるあるMAX搭載の恋愛コミック。リアルすぎて厳重注意受けてます!? WEB連載にて「仕事にやる気、心にときめきが生まれる!」とアラサー女性のみならず業界男子にも絶大な人気を誇り、満を持しての単行本化!! IT大手企業(株)サイダーエイジ・ジャパンで、キラキラ女子に囲まれて働くUIデザイナーの咲は、27歳、彼氏なし、ちょっと働き過ぎ。会社のフロア変更でチャラい部署が隣に! (新潮社作品ページより)/単行本は既刊2巻。

取材・記事/雪か企画

小林琢磨

小林琢磨

(株)ナンバーナイン代表取締役社長。大切な事は全て漫画から教わりました! 情熱こそ全てであり最優先。魂が震える作品が好きです。マンガサロン「トリガー」のオーナーと(株)人狼の代表も兼任。サーチフィールド創業者。アイコンはうめ先生制作。

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