レビュー
メタゾネ歴25年以上のライターが語る

バカなの?ってほどひずむ名作エフェクター! 俺らの「METAL ZONE」がパワーアップしてた件

青春をメタルに捧げたみなさま、ご存知でしたか? あのひずみ系エフェクターの名作、BOSS 「METAL ZONE」(メタルゾーン)が発売から四半世紀以上を経て進化していたことを。というわけでメタゾネ歴25年以上のライターが、パワーアップした“新METAL ZONE”「技 WAZA CRAFT Metal Zone MT-2W」を紹介します!

新旧METAL ZONEを両方つないで弾いてみた

新旧METAL ZONEを両方つないで弾いてみた

はじめに:俺たちのMETAL ZONEとは

BOSS「MT-2 Metal Zone」。アラフォー&アラサーギタリストであれば、その名前に覚えがあるのではないでしょうか? スラッシュメタルの隆盛を経て、メタルがその恐竜的進化の最初のピークに達しようかとしていた1991年に、ローランドが展開するエフェクターブランド“BOSS"から登場したペダル型エフェクターです。

いわゆるひずみ系、エレクトリックギターの音色をがっつりひずませてディストーションサウンドを生み出す系のエフェクターなのですが、その特徴はズバリ、「どんなギターやどんなアンプと組み合わせても激ひずみなメタルサウンドを叩き出しやがる!」こと。

たとえば、ギターがシングルコイルピックアップのストラトキャスターで、アンプがクリスタルクリーンなローランド「JC-120」という組み合わせだとしても、その間にMETAL ZONEを挟んだならば強靭なメタルサウンドを叩き出すことができるわけです。

これが俺たちのMETAL ZONE! 写真右は 25 年以上使ってきた筆者の私物です

これが俺たちのMETAL ZONE! 幅広いサウンドメイクが可能な点や、リフを刻んだときのズンズン感等、使いやすさと高い中毒性をあわせ持つ「魔性のペダル」と言っても過言ではない存在として知られます

現在でこそ、こういったスーパーハイゲインディストーションペダルは多々存在していますが、 当時においては画期的というか反則、規格外でした。ハイパワーギターも真空管スタックアンプも持っていないアマチュアメタラーにとって、METAL ZONEは切り札であり福音だったのです。

そのMETAL ZONE。90年代のグランジ/オルタナティブロック台頭による「メタルは死んだ」 期なども力強く突破し、何と2019年現在も現行製品としてBOSSのラインアップに残り続けています。「メタゾネ」なんて呼ばれ方もして、親しまれ続けてきました。現在に至るまでロングセラーを続け、歴代ボスコン(=BOSSのコンパクトエフェクター)の中でもトップクラスのセールスを誇る存在です。

しかも2018年には、BOSSが往年の名作エフェクターをよりハイクオリティにアップグレードして製品化する「技CRAFT」シリーズにも選出されました。そう、それが今回紹介する“新しいメタゾネ”「技 WAZA CRAFT Metal Zone MT-2W」なのです!(以下、新しい技CRAFT版を「MT-2W」、従来版を「MT-2」と型番で表記します)

というわけで、こちらが新しいMETAL ZONE「MT-2W」。価格.com最安価格は16,200円・税込(2019年3月2日時点)。詳細は以下をチェック!

BOSSの「技CRAFT」シリーズとは?

さて、誕生から四半世紀を経て、技CRAFT版として進化したメタゾネ。その型番末尾にあるMT-2「W」とは何か? それを理解するにはまず、「そもそもBOSSの技CRAFTとは何か?」を知るのがよいでしょう。簡単に言うと、「往年のBOSS名機を、現代的なアプローチで強化して復刻する製品シリーズ」です。

BOSSの技術力とこれまでに培ってきたノウハウを集約させ、デジタル回路化が進むエフェクターにおいて、あえてアナログ回路にこだわって往年の名機たちをリファインするのが「技CRAFT」シリーズ

さて、気になるのは「強化」の内容ですよね。そのポイントはざっくり以下の2点です。

・オリジナルのサウンドや機能を尊重しつつ、BOSSが持つ現代の知見によって回路全体を再設計し、高質パーツも贅沢に投入することで、ベースモデルの魅力をよりハイクオリティに引き出す。
・現代的なサウンドニュアンスを加える「カスタムモード」などのスイッチを追加。

現在までのラインアップは、以下の通り。そう、型番に「W」が付くのは、現代らしくパワーアップした技CRAFT版の証なのです。

・「SD-1W SUPER OverDrive」
・「BD-2W Blues Driver」
・「CE-2W Chorus」
・「DM-2W Delay」
・「VB-2W Vibrato」
・「TU-3W Chromatic Tuner」
・「DC-2W Dimension C」
・「MT-2W Metal Zone」

技CRAFT版の特徴として、ひずみ系のペダルにはよりワイドレンジだったりクリアだったりするモードを追加、空間系のペダルには揺れ方や広がり方のニュアンスが少し異なるモードを追加、みたいなパターンが多いようです。

黒より黒く、闇より暗き漆黒のひずみ! MT-2Wの仕様をチェック

ではいよいよ今回の主役MT-2Wについて、ベースモデルのMT-2から継承している強さと、「W」 化して追加された強さを合わせて見ていきましょう。

まずは、「激・ひずむ!そしてMETAL ZONEならではの超個性的メタルサウンド」です。ここはもちろん変わりません。バカなの? ってくらいに音色を激変させてくれるアクティブイコライザーの効きっぷりも健在です。

メタルというと低音をブーストする「LOW」のノブに目がいきがちですが、METAL ZONE愛用者ならご存知でしょう。真に凶悪なのは「MIDDLE」と「MID FREQ」のノブであることを……。

左が筆者私物の元祖MT-2、右が今回の主役AT-2W。コントロールノブは共通です

左が筆者私物の元祖MT-2、右が今回の主役AT-2W。コントロールノブは共通です

FREQで「どの周波数帯域を」、MIDDLEで「どれくらい増減するか」を設定するわけですが、この組み合わせによって音色がそれはもう激変します。

いいポイントのミッドを少し削れば、「何なのパンテラなの?」ってくらいの暴虐なリフサウンド、逆にココだというミッドを持ち上げればワウを踏み込んだかのようなリードサウンドってなもんです。ストラトのシングルコイルからメタルサウンドを引き出すなら、「LOW上げ、MID FREQ 下げ気味でMIDDLE上げ、HIGHちょい下げ」あたりなんかイイ感じです。

効きがよすぎて、ミリ単位でのノブ調整が必要なところまで継承していますが、セッティング方法としても変わらずで、以下の形がやりやすいかと思います。

1)まずはMIDDLEをおおげさに上げるか下げる
2)その状態でFREQを動かして、音色変化の具合を確認
3)MIDDLEの上げ下げの幅を適当なところに落ち着かせる

というわけで、MT-2Wをつないでオジー・オズボーンさん風にざっくり鳴らしてみたのが以下の動画です。ピッキングハーモニクスをキュワァ〜ッ! と出しやすいのもポイント!(ギターはFender「Classic 70s Stratocaster」、アンプはBOSS「Nextone Stage」を使用)

以下の動画では、MT-2Wのオフ→オン効果を相川七瀬さん風に表現してみました。

「さすがメタゾネ」なのは、「音色の幅は広いのに、どんな音色にしてもやっぱりメタゾネの音」というところ。どんなギターとアンプを組み合わせてどんなセッティングにしても、聴く人が聴けば「METAL ZONEだ!」とすぐにわかる。楽器としての強い個性を放ちまくる音なのです。

優秀なディストーションペダルは、特に現在においてはほかにもいくらだってあります。だからこそ、ほかでは代えがたい個性を備えているペダルこそ長らく愛されるのです。METAL ZONEが四半世紀を超えて愛される理由はまさにそこ!

METAL ZONEのままでありながらの進化がスゴい

そんなメタゾネ感をしっかり継承する個性に加え、ここからは「W」化によるクオリティアップの恩恵を紹介しましょう。まず「ローノイズ化の実現」があげられます。

▼進化1:ローノイズ化

音をひずませる系ペダルの「ひずませる仕組み」というのは何種類かあるのですが、おおよそ共通する基本は「音声信号を過剰に増幅して音をぶっ壊す」ことです。そして「過剰に増幅」すると、回路に紛れ込んだり回路やパーツ自体から生み出されてしまう本来はほんのちょっとしたものであるはずの雑音も、音声信号と一緒にドカンと増幅されてしまうのです。すると、演奏とは関係ない「ジー」「ザー」とかいうノイズが目立つようになってしまいます。

ですがMT-2Wでは、新設計回路と高品質パーツによってか、そのノイズが従来のMT-2と比べて明らかに抑え込まれています。これはうれしいポイントでしょう。

以下は、MT-2とMT-2Wを両方つないで交互に鳴らしてみた動画です。カメラ内蔵マイクで音声収録しているので、細かい差まではわかりづらいかもしれませんが、参考までに。

また、従来のMT-2と比べると、音色としてはほぼ同じままでありながら、潰れやにじみといった感触が薄れているようにも思えます。音の輪郭や芯がよりクリア。ここも、従来のグシュッとしたひずみ具合が好みというマニアの方もいるかもしれませんが、一般的には歓迎されるところでしょう。

▼進化2:カスタムモード搭載

そしてもうひとつは大きいのは「カスタムモード」の搭載です。増設されたスイッチを「S」から「C」に切り替えることで発動します。

こちらのモードでは、前述の「METAL ZONE感全開!な音色」から、そこを「全開!」ではなくもう少し素直な音色に整えられるもの。また、ローエンドには7弦ギターの7弦ローBなどにも 対応できそうなクリアさが与えられます。メタゾネ感は少し薄れますが、それでも十分にMETAL ZONEなままで、イマドキのギターやアンプ、サウンドにも対応できるというわけです。

このスイッチこそ、パワーアップした新メタゾネのポイント

このスイッチこそ、パワーアップした新メタゾネのポイント

▼進化3:上質なバッファを採用

あとは「プレミアムなバッファを搭載」というのもちょっとしたポイントです。2000年前後にありましたよね、「トゥルーバイパス」ブーム。エフェクトオフのときでもバッファ回路を経由するBOSSペダルは、そこで音質を損ねている! みたいな。……ですがその話はもう忘れてください!

十数年が経った現在では、「上質なバッファ回路を通して音声信号を安定させるメリット」が認識されており、バッファ機能単体のペダルさえ一般的になっています。エフェクト上流で上質なバッファをかませば、その後ろにつなぐペダルがバッファードであろうがトゥルーバイパスであろうが、エフェクトオフ時の音質の変化を最小限に抑えられる、という考え方です。

で、新しいMT-2Wは、バッファ回路も新設計&高品位パーツのプレミアムなものとなっています。ひずみペダルはエフェクターの中でも上流に接続するのがセオリーなので、そこにプレミアムバッファが搭載されていれば、単体バッファなんてなくても大丈夫というわけです。時代、変わりましたよね……。

そのほかのポイントとして、筆者所有のMT-2は1994年製メイドイン台湾ですが、新しいMT-2Wは日本製です

そのほかのポイントとして、筆者所有のMT-2は1994年製メイドイン台湾ですが、新しいMT-2Wは日本製です

さらに、MT-2には存在しない「銀ネジ」仕様も、新しいMT-2Wの特徴

さらに、MT-2には存在しない「銀ネジ」仕様も、新しいMT-2Wの特徴

パワーアップしたMETAL ZONEとともに、再びメタル魂を燃やせ

さあいかがでしょう? あの青春のMETAL ZONEが、今も生き残っているどころかさらにパワーアップしているというこの事実。あなたのメタル魂も実はまだ燃え尽きてはいないのではないですか? その魂とギターをもう1度引っ張り出してみませんか?

再びギターを手にせよ! そしてMETAL ZONEを踏め!

再びギターを手にせよ! そしてMETAL ZONEを踏め!

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

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