選び方・特集

さあ君もツール沼へ! ギターメーカーによる便利なギターメンテナンス用品を一挙紹介

ギターの基本的なメンテナンスに、「ギター用の工具」は必須ではありません。ホームセンターや百均にも並んでいるような、一般的な工具があれば何とかなります。……では、特に「ギター用」として販売されているメンテナンスツールは何のために用意されているのでしょう?

それはもちろん、そっちのほうがもっと便利だから! 「普通の工具でもいけるけどギター専用ツールならもっと超快適!」というわけです。今回はそんな「ギターの、ギターメーカーによる、ギタリストのためのメンテナンスツール」をガンガン紹介していきます!

アマチュアこそギター専用ツールの便利さに頼るべし!

先日「ギター用じゃない日用品やほかの趣味アイテムが、実はギターのメンテナンスに便利!」という記事を書かせていただいたばかりでアレなのですが……

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あえて言いましょう。「ギターメンテナンス用ツールこそギターメンテナンスに便利!」だと!

……改めて文章にすると、ほんと当たり前すぎる話なんですけど、この当たり前すぎる中にもポイントがあったりします。ギターメンテナンス用ツールはギターメンテナンスに「必須」なのではなく「便利」なのだということです。

たとえば、野菜の皮を剥くのに「ピーラー」って便利だけど必須ではないじゃないですか。器用で慣れてる人だったら包丁で剥いちゃえるので。でも「実際ピーラー使わずに料理する?」って言われたら「いや使います」って答えません? プロの料理人でもない限り、ピーラーを使ったほうが、手早く、キレイに、安全に皮剥きできるという人が多いでしょう。

ギターメンテナンス用のツールもそれと同じ。プロのリペアマンとかではない我々こそ、愛用ギターのメンテナンスを、手早く、キレイに、安全に行うために、プロであるギター関連メーカーが用意してくれている便利なツールに頼りまくるべきなんです。今回はそんな、「ギターメーカーが開発したメンテナンスツール」をプッシュ! シーンごとにまとめてガンガン紹介していきます。

弦交換の便利ツール

ギタリストが最もひんぱんに行うメンテナンス作業といえば、弦交換。だからこそ、その作業の効率化には大きな価値があります。なので、まずはそこで活躍するツール「ストリングカッター」「ストリングワインダー」「カッター&ワインダー」から紹介していきましょう。

▼ストリングカッター

適切な長さで弦をカットするためのストリングカッターは、言ってしまえば単に金属線切断用のニッパーです。いや普通のニッパーって、じゃあ何がギター用なんだよ!って思いますよね。

ストリングカッターをギター用ツールと呼ぶに値する理由。それは「ギターやベースの弦を、ムリなく安全にカットできる切断性能を備えることをメーカーが確認して販売している製品であること」です。そのあたりについて、詳しくはのちほどまとめて説明しますので、少々お待ちを。

PICKBOY「ストリングカッター スチール弦用」

PICKBOY「ストリングカッター スチール弦用」

ストリングカッターをギター用ツールと呼ぶに値する理由。それは「ギターやベースの弦を、ムリなく安全にカットできる切断性能を備えることをメーカーが確認して販売している製品であること」です。そのあたりについて、詳しくはのちほどまとめて説明しますので、少々お待ちを。

とりあえずは「安物ニッパーだと太い弦を切るのにすごい力を込めなくちゃいけなくて疲れたり危なかったりする場合もあるけど、ストリングカッターならそんなことはない」というところだけ把握しておいていただければ十分です。

上に画像を載せている「PICKBOY」ブランドの「ストリングカッター スチール弦用」は、長らく販売され続けている定番、かつMADE IN JAPAN表記ありという、信頼度の高い製品です。刃先の形状やサイズ感から、配線作業でも使いやすかったりします。

▼ストリングワインダー

ストリングワインダーは、「これをペグのノブに被せると、指先でノブをつまんで回すよりくるくる素早く弦をペグシャフトに巻き付けられる」というツールです。「アルトベンリ」の俗称も親しまれています。

PICKBOY「ギター用ストリングワインダー」

PICKBOY「ギター用ストリングワインダー」

でも「あると便利≒なくてもちょっと不便なだけ」なツールの代表と言えるものだったりもして、実は僕も使っていません。というのも、僕はペグを指先で回すあの感覚が好きなんです。またお使いのギターがロック式ペグだったりヘッドレスだったりする方にも、このツールはまったく不要です。

ですが、普通のペグのギターを、弦交換がおっくうになるほど大量に持っている人にとっては絶対的に便利なツールなはず。そんな方はぜひ試してみてください。なおギターとベースではペグノブの大きさが違うため、ストリングワインダーも別サイズのものが用意されている場合があります。購入時にはそこにご注意を。

上記写真はこれまた安定のPICKBOYから、「ギター用ストリングワインダー」。MADE IN GERMANYで税込880円。ストリングワインダーはそれこそ100円ちょいのものから2,000円を超える高級品までありますので、いろいろ見て回ってみてください。

そのほかの該当製品では、MUSIC NOMAD「ワインダー MN221」というものもあります。こちらは、ベアリング搭載でなめらかに静かに回転し、幅広いギターやベースのペグサイズに対応。ラバーコーティングでペグに傷を付けにくい、ペグナットの増し締めに使える10mmボックスレンチ機能も搭載というハイエンド製品です。

MUSIC NOMAD「ワインダー MN221」

MUSIC NOMAD「ワインダー MN221」

▼ワインダー&カッター

こちらはいわゆる複合ツール。ワインダーとカッター、両方の機能を備えています。これは完全に「ギター専用」ですね。ここで紹介するD'Addario(ダダリオ)傘下のアクセサリーブランド、Planet Wavesの製品には、アコギのブリッジピン抜き機能も搭載されています。ただ厳密には、この製品の弦カット機能はニッパー的にパチンと切断するものではなく、挟んで曲げ折れる「ストリングクリッパー」機能。使い勝手には少し癖があるかもしれません。

写真下の金属部分がストリングクリッパー

写真下の金属部分がストリングクリッパー

普通に別々なほうが、やっぱり使いやすそうな気はしますが、携帯性の高さは強みになるはず。普段からギグバッグに入れておけば、出先で弦が切れて急遽交換なんてときに役立ちそうです。

弦高調整の便利ツール

弦高はギターの弾きやすさも音色も大きく左右する、重要なセッティング&メンテナンス項目。ですから、ここにも便利ツールが用意されています。「アクションゲージ」です。

▼アクションゲージ

アクションは弦高、ゲージは測定具の意味で、アクションゲージは「弦高測定具」です。弦高はごく普通の定規や一般工具のシックネスゲージでも計測できますが、弦高測定用に作られているアクションゲージの使いやすさは筆者の実感として明白。「一般工具でもできることはできるんだけど、ギター用ツールの使いやすさは格別!」を代表する逸品として推したいです。

L字の「曲尺」定規ならフレット上で安定させやすいですが、1mm単位の目盛りは弦高測定には粗すぎ

L字の「曲尺」定規ならフレット上で安定させやすいですが、1mm単位の目盛りは弦高測定には粗すぎ

さまざまな厚さの金属板を組み合わせて、隙間に差し込み隙間の埋まり具合を見て測定するシックネスゲージ。フレットと弦の間にゲージを差し込むと弦が動いてしまいがち

さまざまな厚さの金属板を組み合わせて、隙間に差し込み隙間の埋まり具合を見て測定するシックネスゲージ。フレットと弦の間にゲージを差し込むと弦が動いてしまいがち

対して弦高測定用に作られたアクションゲージがこちら!

対して弦高測定用に作られたアクションゲージがこちら!

このツールの便利ポイントのひとつめは、「十分な幅があり複数のフレットの上に置く形で計測できるので、おおよその垂直を容易に確保できる」こと。普通のストレート定規だと、ひとつのフレットの上にしか置けなくて安定しないことがあるんです。

便利ポイントの2つめは、「弦高測定に必要な範囲の目盛りが、弦高調整時に読み取りやすいように刻んである」こと。まず、普通の定規の目盛りは0.5mm単位で刻まれているものがほとんどですが、アクションゲージでは1.0mm/1.25mm/1.5mmのような0.25mm刻みが一般的。「弦高調整の単位として0.5mmでは大まかすぎるが0.1mmは目視困難→現実的かつ十分に細かい刻みは0.25mm」みたいな判断からでしょう。実際に使う際にはその目盛りを見つつ「1.25と1.5の間くらい≒1.35mm」なんて判断もしながら使うことになります。

その目盛りが、定規とは違って、それぞれ別々に刻まれていることにも注目。この工夫のおかげで、目盛りがずららららっと並ぶことによるゲシュタルト崩壊的な読み取りにくさも起きにくくなっています。

弦高を読み取ることに特化して工夫された目盛りです

弦高を読み取ることに特化して工夫された目盛りです

12フレット上で「1.25mmの目盛りでは隙間があり、1.75mmの目盛りは上端が完全に隠れ、1.5mmの目盛りがおおよそジャスト」という感じで、おおよその弦高は1.5mmであることを読み取れます

12フレット上で「1.25mmの目盛りでは隙間があり、1.75mmの目盛りは上端が完全に隠れ、1.5mmの目盛りがおおよそジャスト」という感じで、おおよその弦高は1.5mmであることを読み取れます

こちらは人気ツールなので、多くのメーカーの製品が存在。弦高だけではなく、ほかの部分の測定にも便利な目盛りも刻まれていたり、あるいは簡易的なドライバー機能も持たされていたりもします。ですが、ここはやはり、弦高測定目盛りの読み取りやすさで選ぶべきでしょう。何タイプかあるので、自分の感覚でいちばん読み取りやすそうに見える目盛りの製品を探してみてください。

Jim Dunlop「SYSTEM 65 ACTION GAUGE DGT04」の目盛りは線「ー」でなく「■」と塗り潰しになっていて、その黒の上の隙間からの光を視認しやすく工夫されています

Jim Dunlop「SYSTEM 65 ACTION GAUGE DGT04」の目盛りは線「ー」でなく「■」と塗り潰しになっていて、その黒の上の隙間からの光を視認しやすく工夫されています

D'Addario「STRING HEIGHT GAUGE」は、逆にカード全体の地の色を黒に。簡易的ながらドライバーやレンチの機能も搭載しています

D'Addario「STRING HEIGHT GAUGE」は、逆にカード全体の地の色を黒に。簡易的ながらドライバーやレンチの機能も搭載しています

HOSCO「STEP GAUGE」は弦高のほか、ナット溝やフレットの高さも測定できるマルチ測定カード。弦高の読み取り方は少し独特ですが、YouTubeで動画解説されています

HOSCO「STEP GAUGE」は弦高のほか、ナット溝やフレットの高さも測定できるマルチ測定カード。弦高の読み取り方は少し独特ですが、YouTubeで動画解説されています

●STEP GAUGE - 使い方 -

トラスロッド調整に便利なツール

ネックの反り具合、トラスロッド調整に必要な工具は、そのギターのロッドナットに合う適切なサイズの六角レンチまたはボックスレンチです。ボックスレンチは、パイプレンチと呼ばれる場合もありますね。

弦高調整に使うレンチと同じく基本的にはギターに付属してきますが、同じくなくしたりしがち。なので、どうせですからできるだけ使いやすいものを購入しましょう。ここでは、「ギターメーカー純正レンチ」「ロッドナット用オフセットドライバー」「12角パイプレンチ」を紹介します。

▼ギターメーカー純正レンチ

いきなりですが実は、付属品と同じものであるギターメーカー純正品を再度入手するのも悪くない選択だったりします。

Fender「1/8" HEX (ALLEN) TRUSS ROD ADJUSTMENT WRENCH」は12本セットの製品ですが、1本ずつ売ってくれている小売店があるのでそちらでゲット!

Fender「1/8" HEX (ALLEN) TRUSS ROD ADJUSTMENT WRENCH」は12本セットの製品ですが、1本ずつ売ってくれている小売店があるのでそちらでゲット!

というのもL字の六角レンチって、特にヘッド側の穴に六角レンチを挿して回すタイプのトラスロッド調整スタイルのギターでは、そのLの長短2辺の長さ次第で使い勝手が全然違ってくるんです。

短辺が短い場合、穴の奥のナットに届くまで挿し込むとレンチの角が穴に接してしまい、レンチを回しにくかったり、穴の入り口に傷を付けてしまったりします。じゃあ長辺側を挿し込めば? ……そうすると、今度は長すぎてペグや弦と干渉して回しにくかったり、持ち手が短辺になるので短くて力を入れにくかったりします。

短辺を挿し込んだこの状態から回すと、Lの角の内側が楕円の穴の入り口をこすりがち

短辺を挿し込んだこの状態から回すと、Lの角の内側が楕円の穴の入り口をこすりがち

長辺を挿し込むと弦やペグと干渉してしまいがち

長辺を挿し込むと弦やペグと干渉してしまいがち

でも、ちゃんとしたメーカーの純正品なら、自社ギターのヘッド設計に合わせて、使いやすい適切な長さのものが選ばれているはず。たとえば上記のFenderのレンチは、Lの短辺が長めになっていて、短辺を挿し込んで回しやすいようになっています。他メーカーの純正レンチもきっとそういった配慮がされているはず!

……そうあってほしいのですが、実際にはそうではない場合もあるかもしれません。その辺はメーカー次第です。辺の長さだけに!

▼ロッドナット用オフセットドライバー

Fenderビンテージスタイルに代表される、トラスロッドナットがネックエンド側にある形式に向けての便利ツールも、もちろん用意されています。「オフセットドライバー」です。

こちらは筆者手持ちPB Swiss Toolsのオフセットドライバーですが、ギター用としてもまったく同じものや、同じ形のものが販売されています

こちらは筆者手持ちPB Swiss Toolsのオフセットドライバーですが、ギター用としてもまったく同じものや、同じ形のものが販売されています

これが活躍するのは、ネックエンド側調整でネックエンドとネックピックアップの間にドライバーを差し込むためのスペースが用意されている形のギターで、ネックを外さないままドライバーを差し込んでトラスロッドナットを回すとき。その使い方での「差し込みやすさ」にすぐれるのが、このオフセット型ドライバーというわけです。

オフセットドライバーは基本的には汎用工具ですが、なかにはギター用にさらに最適化されている製品もあります。ギターツールといえばこちら!なアメリカの有名ショップStewMacで「Truss Rod Crank for Tele」として販売されているコレです。

海外のショップの製品ですが、日本のギター屋さんでも販売されていることがあるのでチェック!

海外のショップの製品ですが、日本のギター屋さんでも販売されていることがあるのでチェック!

一般的なオフセットドライバーは「|」と「─」という角度の組み合わせなのに対して、こちらは片側が「/」とナナメってます。この「/」ともう片側の通常の「|」を使い分けることで、ナット側の十字の切り込みがどの角度になっている状態でも、いい感じに差し込みやすく回し始めやすいんです。オフセットの飛び出し部分をきわめて短くしてあるのも、差し込みやすさのポイント。

ナナメってるおかげでこういう角度でも回しやすい!

ナナメってるおかげでこういう角度でも回しやすい!

この用途では、HOSCOのプラス型トラスロッドレンチ「H-TRW+」も要注目

この用途では、HOSCOのプラス型トラスロッドレンチ「H-TRW+」も要注目

▼12角パイプレンチ

いっぽう、Gibsonスタイルのトラスロッドナットに適合するボックスレンチにおいては、こちらの新製品、ESP「12角パイプレンチ」が話題を集めています。

サイズは対辺8mm

サイズは対辺8mm

通常の六角ナットに対して、六角ボックスレンチよりもきめ細かな角度で嚙み合わせることができ、ナット側の角度がどのような状態であってもいい感じにハメて回せるのが特徴。先ほどのオフセットドライバーの「/」と同じ効果ですね。

「ナット形状にぴったり合う訳ではなく、ナットの角部分をとらえる形状のため、ナットの角がなめて丸くなっているものや、極度に力がかかる場合などには不向きですので、調整する楽器によって使い分けることをおすすめします」との注意書きはありますが、それにしても便利そうです。

ところで、1fと12fや15fなどを押さえつつ、弦とフレットの隙間を見てネックの反りを確認する方法を使う場合、1fをカポに任せると作業しやすいですよね。

1fはキミに任せた!

1fはキミに任せた!

ほかにも、カポで弦を固定しておくことで、弦を外さないままネックを外してネックエンド側トラスロッドを回せたりもします。筆者は演奏にカポを使うことはなく、メンテナンス用に購入してメンテナンスにのみ使っているので、筆者にとってのカポはもう完全にメンテナンスツールです……。

【閑話休題】ギター用に「セレクト」されたアイテムって?

先ほど「ストリングカッターは実は普通に金属線切断用のニッパーなんだけど……詳しくは後述」と、後回しにしてきた話をここでしておきましょう。

前述の例のように、ギター用としてギター屋さんなどで販売されているツールの中には、ギター用に開発されたギター専用のツールというわけではないものもたくさんあります。「一般の工具メーカーが普通に汎用の工具として販売しているラインアップから、ギター関連メーカーが、ギターメンテナンスに特にフィットする仕様のモデルを選んで、ギター向けの表記やパッケージに変更して、ギター屋さん等で販売する製品」みたいなパターンのツールです。

とだけ説明されると、「何だよギター用とか言ってありがたがらせておいて、実は普通の工具なのかよ」なんて思うかもですが、でもこういう「ギター用にセレクトされたツール」も、実はあなどれないんです。

たとえば「ストリングカッター=金属用ニッパーなら、ネット通販で普通の金属用ニッパーを検索していちばん安いやつでいいや」で、はたして大丈夫でしょうか?

……ダメです。ニッパーにもさまざまな仕様、性能のモデルがあります。その中から「ギターやベースの弦をムリなく安全にカットでき、耐久性も問題ない」ものを選ばないといけません。そういう判断が必要になる時点で、素人向きではありませんよね。僕なんかはメンテナンス自体や工具自体にも楽しみ・おもしろみを感じるタイプなので、それも苦にはならないのですが、「ギター弾きたいだけなのに、なんで工具の知識が必要になるんだよ!」と感じる方だって多いことでしょう。

ニッパー等の一流ブランド、KNIPEXの製品データ。この「1.5mm径のピアノ線を切断できる」という性能は、ギターやベースの巻き弦に対してはどうなの?みたいな判断が必要です

ニッパー等の一流ブランド、KNIPEXの製品データ。この「1.5mm径のピアノ線を切断できる」という性能は、ギターやベースの巻き弦に対してはどうなの?みたいな判断が必要です

対して「ストリングカッター」は、ギター関連メーカーが、ギターやベースの弦をカットするのに必要な性能を満たしているものを、ギター用としてセレクトしたニッパー。ちゃんとしたメーカーの製品でさえあれば、工具の知識なんかまったく必要なく、「ギターに使うんだからギター用のを買えばいいだろう」でOKなんです。

では六角レンチの場合は? ホームセンターでただ「1.27mmの六角レンチ」として販売されているのと、楽器屋さんでパッケージに「USAインチ規格ストラトのサドル調整用の1.27mmの六角レンチ」のように表記されて販売されているのでは、物自体は同じでも、ギタリストにとってどちらが安心して購入しやすいものであるかは全然違いますよね。

というように、ギターメンテナンスのために特別に作られたツールではなく、汎用工具からギター用にセレクトされたツールというのも、ギタリストにとってはやっぱりありがたいものなのです。

ですが、もしあなたが僕と同じように工具自体にも面白味や楽しみを感じるタイプなら、ギター用ではない汎用のツールの中から、ギター用としても使いやすいものを探して揃えていくのもおすすめですよ! 高級工具とか、実際すごく手になじんだりしますしね。

各部の増し締めに便利なツール

メンテナンスの中でも、トラブル防止のために大事なもののひとつに、各部のネジやナットの「ゆるみ確認→増し締め」があります。各部のネジやナットの「適切な締め具合」が維持されているかを確認し、ゆるんでいるようならまた「適切に」締め込んでおく作業です。

ここで使われるのは、各部のネジやナットのサイズに合わせた「ドライバー」「レンチ」「スパナ」など。そしてここにもやはり、ギター用にセレクトされていたり最適化されていたりするツールが用意されています。「複合レンチ」「マルチスパナ」「ノブプラー」などです。

▼複合レンチ

六角ナット用のレンチとしては「3 size in 1」スタイルのトリプルレンチに注目!

こちらPICKBOY「SC-150BX」は10mm、12mm、13mmに対応

こちらPICKBOY「SC-150BX」は10mm、12mm、13mmに対応

見ての通り、複数サイズのナットに対応するボックスレンチを一体化しただけのものです。こういう複数サイズ一体化ボックスレンチは、一般工具としてもあるにはあるのですが、「ギターで多用されるサイズを集めて一体化してある」という条件を付けると、一般工具の中から見つけるのは難しくなります。

その点、上記のギター用のそれは万全!
●10mm:ペグ等に対応
●12mm:国産ジャック等に対応
●13mm≒1/2インチ:SwitchcraftジャックやCTSポット等に対応
という組み合わせです。13mmが入っているのがギター的には特にうれしいですね。

SwitchcraftジャックやCTSポットといったギターでの定番パーツに(ちょっとだけゆるいけど一応)対応する13mmが便利!

SwitchcraftジャックやCTSポットといったギターでの定番パーツに(ちょっとだけゆるいけど一応)対応する13mmが便利!

▼マルチスパナ(ESP マルチスパナ MS-10)

こちらは対辺8mm〜18mm、つまりギターで使われるおおよそすべてのサイズのナットにまさに「マルチ」に対応するスパナ。

スパナっぽくない見た目ですがスパナ。ESP「マルチスパナ MS-10」

スパナっぽくない見た目ですがスパナ。ESP「マルチスパナ MS-10」

ギザギザを押し付けて嚙ませて回す感じになるので、六角レンチほど使いやすくはないのですが、このコンパクトなツールひとつですべてのサイズに対応! という特徴は、万が一に備えた携帯用ツールとしては特に強みになりそうです。

しかもこのツールには、さらに大きな強みもあります。それは「ギザギザナット(ローレットナット)」を回せること!

Gibson系ギターのトグルスイッチなどに使われている、こういうギザギザナットを回せます!

Gibson系ギターのトグルスイッチなどに使われている、こういうギザギザナットを回せます!

六角ではなくてギザのナット、ペンチでつかんでムリヤリ回してたりしませんか? そこがこのマルチスパナの出番というわけです。

ちなみにHOSCO「H-GNC ギターナットキューブ」はさらに多機能で10mm、11mm、1/2、ローレットナットに対応

ちなみにHOSCO「H-GNC ギターナットキューブ」はさらに多機能で10mm、11mm、1/2、ローレットナットに対応

▼ノブプラー

ボリュームやトーンのポットの取り付けナットを増し締めする際には、多くの場合、ボリュームやトーンのノブを取り外す必要があります。横からのビス締めでポットのシャフトに固定されているノブなら、ビスをゆるめて簡単に取り外せますが、厄介なのはプラ製のノブをギュッと押し込んで固定してあるタイプ。指先を隙間に引っかけるようにして引っ張れば取れるのですが、深く押し込まれているとその隙間がほぼなかったりするんです。

ここの隙間は、演奏性を高める意味からも、ポット取り付けの際に0.5/0.8/1.0mm厚あたりのワッシャーを組み合わせて最適化しておくのがおすすめ

ここの隙間は、演奏性を高める意味からも、ポット取り付けの際に0.5/0.8/1.0mm厚あたりのワッシャーを組み合わせて最適化しておくのがおすすめ

わずかな隙間にマイナスドライバーやスクレイバーを突っ込んで、テコのように動かして持ち上げる、布や紐を隙間に押し込んで同じく持ち上げるなどの方法もありますが、それでも苦戦する人が多いらしく、そのための専用ツールも用意されています。ノブを引っ張る「ノブプラー」です。

こちらはALLPARTS「LT-1401-023 Knob Puller Tool」

こちらはALLPARTS「LT-1401-023 Knob Puller Tool」

この状態からリングを下にずらすと、ノブの下の隙間に爪が押し込まれるので、そしたらプラーごとノブを引っ張り上げます

この状態からリングを下にずらすと、ノブの下の隙間に爪が押し込まれるので、そしたらプラーごとノブを引っ張り上げます

実際使うとこれはこれでコツが必要だったりもするのですが、そのコツをつかめば、なるほどこのツールの側もプラスチック製なので、ピックガード等にハデな傷は付けにくいなどの便利さがあります。

いつでも手元にあると便利なマルチツール

さて、ここまで読み進めて、こう思った方も少なからずでしょう。

「一体何種類のレンチやらドライバーやらを揃えればいいんだよ!」

はい、そんなわけで最後に紹介するのはこちらいわゆる「マルチツール」です!

GrooveTech「Guitar/Bass Multi-Tool」。トラスロッド周りのツールが省略された「Mini-Multi」も用意されています

GrooveTech「Guitar/Bass Multi-Tool」。トラスロッド周りのツールが省略された「Mini-Multi」も用意されています

ビクトリノックスのスイスマルチツールのようにグリップにたたみ込む形で、複数サイズのレンチやドライバーがひとまとめにしてあります。単体ツールと比べると握りにくそうではありますが、とりあえずこれひとつを手の届くところに出しておく、ギグバッグに入れておくなどすれば、レンチとドライバーには困らない! 便利!

Fender「Guitar/Bass Multi-Tool」

Fender「Guitar/Bass Multi-Tool」

Gibson「Multi-Tool」

Gibson「Multi-Tool」

Ibanez「MTZ11」

Ibanez「MTZ11」

D'Addario「Guitar / Bass Multi-Tool PW-GBMT-01」

D'Addario「Guitar / Bass Multi-Tool PW-GBMT-01」

Dunlop「SYSTEM 65 MULTI-TOOL」

Dunlop「SYSTEM 65 MULTI-TOOL」

ですが、ギター用に限らずマルチツール選びって意外と難しいんですよね。というのも、マルチツールごとに、具体的にどのツールを搭載するかの選択が結構違うんです。ギター用の場合は「レンチとドライバー」であることは共通なんですが、そのレンチとドライバーのサイズ選びにメーカーごとの差があります。

ギター本体メーカーのマルチツールは当然、自社製品に必要なサイズはひと通り揃えて搭載してあるようです。Fenderのマルチツールなんて、USA製、Mex製、Japan製のビンテージ仕様とコンテンポラリー仕様のギターとベース、おそらくそのほぼすべてに対応するサイズを網羅しています。いや、そもそも何国製でもネジやナットの規格は揃えておいてよ!と願いますが。

Ibanezは「インチとかうちのギターに関係ねーし!」という潔さが特徴的。搭載ツール数を絞り込むと小型軽量、安価にしやすいですし、折りたたんであるツールからそのとき使うものを探して引っ張り出す作業もやりやすくなります。うちのギターはミリツールだけで大丈夫!という方なら、このIbanezマルチツールが使いやすいかもしれません。

ちなみにちょっと毛色の違うタイプとしては、JP Guitar Toolのこんなのもあります。レンチ類は最小限な代わりに、ほかにはないストリングカッターを搭載!

ちなみにちょっと毛色の違うタイプとしては、JP Guitar Toolのこんなのもあります。レンチ類は最小限な代わりに、ほかにはないストリングカッターを搭載!

初期装備はマルチツール+αでOK! そしてツール沼へ……

というわけで、今回はさまざまなツールを紹介してきましたが、ぶっちゃけ「ギター用のツールなんてまだ何も持ってないという人は、とりあえず自分のギターに合う構成のマルチツール買っとけ!」感あるんですよね。そうすれば、いざというとき「あれがないこれがない」ってことにはなりませんし、将来もっと使いやすい単品ツールを揃えたとしても、ギグバッグに入れておく携帯ツールとして活用すればムダにもなりませんし。

ギタリストは初期装備として、「マルチツール」「ストリングカッター」「複合レンチ」を揃えておけば当面いけるんじゃないでしょうか。

そうしてマルチツールを使い込んでいけば、マルチツールの中でも自分が特に多用するツールや、マルチツール搭載のものでは不便に感じるツールなどを把握できるはず。そうしたらまずはそのツールからちょっといいものを買い足していきましょう。さあ、ようこそツール沼へ!

ま、要はどんな分野にどんな入り口から入っても、ハマればその先には沼があるってことです……。

ツール沼への第一歩としておすすめ、KNIPEXのミニプライヤーレンチ。150mmサイズか125mmサイズのものを持っておくと、ギター周辺で使うナットは大体これ1本ではさんで回せたりします

ツール沼への第一歩としておすすめ、KNIPEXのミニプライヤーレンチ。150mmサイズか125mmサイズのものを持っておくと、ギター周辺で使うナットは大体これ1本ではさんで回せたりします

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

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