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“歌うキーボード”として発売直後から大人気! カシオ「CT-S1000V」の面白さ

カシオから2022年3月に登場したシンセサイザー・キーボード(以下、キーボード)「CT-S1000V」は、「歌声を演奏できる」というユニークな鍵盤楽器。「歌うシンセ」として、公式発表直後からDTMユーザーを中心に注目を集め、カシオによると初回ロットは予約で完売するほど人気だったという。事実、価格.comでは、いまだに入荷待ちのショップもあるくらいだ。今回、取材で「CT-S1000V」の実機に触らせてもらうことができたので、筆者が実際に使ってわかった魅力をご紹介しよう。

シンプルに入門キーボードとしてもアリな「Casiotone」シリーズ最新作

「歌声を演奏する」というキャッチーな特徴はのちほど詳しくお伝えするとして、まずは「CT-S1000V」の基本スペックを見ていこう。本機は、カシオが展開するキーボード「Casiotone」(カシオトーン)シリーズの最新機種となる61鍵モデル。本体に13×6cmサイズのスピーカーユニットを内蔵しており、単体で音を鳴らせるタイプのキーボードなので、これ1台で簡単に演奏を楽しめる。電源はAC電源のほか、電池駆動にも対応するので、手軽に待ち運ぶことも可能。

内部には、カシオ独自の「AiX音源」を搭載。900種類の音色と、243のリズムを内蔵しており、普通のキーボードとして使える。機能的には、「自動伴奏」、「アルペジエーター」、「レジストレーション」、「MIDIレコーダー」を搭載しており、シンプルなエントリー向けのキーボードとして見ても必要十分。ここに、上述の「歌声演奏機能」が加わっていることで、DTMユーザーが一目置くようなユニークな個性を獲得しているというわけだ。

本体サイズは930(幅)×258(奥行)×91(高さ)mmで、重量は4.7 kg。ボディの基本設計は、同じCasiotoneシリーズの従来モデル「CT-S1」などから継承している

本体サイズは930(幅)×258(奥行)×91(高さ)mmで、重量は4.7 kg。ボディの基本設計は、同じCasiotoneシリーズの従来モデル「CT-S1」などから継承している(※記事初出時、外見寸法の記載に誤りがありました。お詫びし訂正いたします)

鍵盤部も、「CT-S1」と同じものを採用

鍵盤部も、「CT-S1」と同じものを採用

各種コントロールノブやMIDIレコーダーなどのシンセ機能を搭載するシンプルなインターフェイスは、ブラックとレッドを合わせた往年のシンセサイザーライクなデザイン

各種コントロールノブやMIDIレコーダーなどのシンセ機能を搭載するシンプルなインターフェイスは、ブラックとレッドを合わせた往年のシンセサイザーライクなデザイン

パンリンググリルから「Casiotone」ロゴがうっすら見えるのもオシャレ

パンリンググリルから「Casiotone」ロゴがうっすら見えるのもオシャレ

13×6cmのスピーカーユニットを左右に1基ずつ装備している

13×6cmのスピーカーユニットを左右に1基ずつ装備している

さらに、本体底面にバスレフポートを搭載する独自の「水平型バスレフスピーカーシステム」を採用。卓上型キーボードながら、再生音質のクオリティーを高めているのもポイントだ

さらに、本体底面にバスレフポートを搭載する独自の「水平型バスレフスピーカーシステム」を採用。卓上型キーボードながら、再生音質のクオリティーを高めているのもポイントだ

ステージ用途も意識しており、背面にはブランドロゴと製品名を配置。標準ジャックのLINE OUT端子を装備しており、外部機器とも接続できる。なお、ペダル端子も搭載しているが、サステインペダル自体は別売となるので注意

ステージ用途も意識しており、背面にはブランドロゴと製品名を配置。標準ジャックのLINE OUT端子を装備しており、外部機器とも接続できる。なお、ペダル端子も搭載しているが、サステインペダル自体は別売となるので注意

【動画アリ】「歌声を演奏」ってこういうこと!

それではいよいよ、「CT-S1000V」のキモである「歌声演奏機能」について見ていこう。本機には、人間やロボットボイス、動物などの「歌声」が20種類内蔵されている。加えて、100種類の歌詞フレーズを搭載しており、鍵盤を弾くことでその歌詞フレーズと「歌声」を組み合わせた音声を鳴らすことができるのだ。

簡単にたとえると、「こんにちは」という歌詞を選択して「ドレミファソ」と鍵盤を弾いたら、その「ドレミファソ」のメロディで「こんにちは」の言葉を鳴らす=歌ってくれるというわけだ。

本体にある「LYRIC」ボタンを押すと「歌声演奏」モードに、「INSTRUMENT」ボタンを押すと通常のキーボードのモードに切り替えられる

本体にある「LYRIC」ボタンを押すと「歌声演奏」モードに、「INSTRUMENT」ボタンを押すと通常のキーボードのモードに切り替えられる

内蔵される100種類の歌詞は、ディスプレイの右横に搭載されるノブで簡単に切り替え可能。演奏中は、選択した歌詞の文字列がディスプレイに表示される。なお、日本語歌詞の場合、ディスプレイ表示はローマ時表記となる

内蔵される100種類の歌詞は、ディスプレイの右横に搭載されるノブで簡単に切り替え可能。演奏中は、選択した歌詞の文字列がディスプレイに表示される。なお、日本語歌詞の場合、ディスプレイ表示はローマ時表記となる

▼自由に演奏できる「フレーズモード」がスゴい!

ちなみに、単に「鍵盤で歌声を演奏する」というコンセプトを持つキーボードであれば、これまでにも類似製品はあった。しかし「CT-S1000V」は、「ノートモード」と「フレーズモード」という2種類の歌詞演奏モードを搭載するのが特徴だ。

前者の「ノートモード」は、鍵盤をひとつ押すごとに歌詞の音節がひとつ進むというスタンダードなモード。これまでに存在した同コンセプトを持つ類似製品も基本的にはこのモードであり、感覚的にも想像がしやすいと思う。

しかし、「CT-S1000V」ならではのウマみは、もうひとつの「フレーズモード」のほうなのだ。これは、何かしら鍵盤を押している間は、歌詞の音節が自動的に進む(歌う)ようになるモード。たとえば、「こんにちは」という歌詞を選択し、真ん中の「ド」の鍵盤を10秒間押しっぱなしにしたとする。その10秒間は、ずっとドの音で「こんにちは」の歌詞を繰り返してくれるのだ。

……と、言葉だけでは説明も難しいので、下記の「フレーズモード」の演奏動画を見てほしい。内蔵されている「Do you hear the music?」という歌詞を歌うメニューに設定しているのだが、1音につき1音節が割り当てられているのではなく、鍵盤を押している間はずっと「Do you hear the music?」の歌詞を自動で繰り返している。また、和音を押さえた場合は、そこに含まれる音を順番に繰り返して歌っていることもおわかりいただけると思う。

つまり、「フレーズモード」で歌声演奏をすると、歌詞のフレーズに合わせて決まったメロディを弾く必要がない。自由に鍵盤を弾けば、自動的に歌詞が進んで歌声が生まれるのだ。

なお、この「歌声演奏機能」は、名古屋工業大学発のベンチャー企業「株式会社テクノスピーチ」の技術をベースに、カシオが開発した独自音源技術「Vocal Synthesis」によるもの。この「Vocal Synthesis」により、あらかじめ実際に歌われた音声を機械学習させた発音モデルと、年齢・性別などのボーカリストデータをかけ合わせることで、歌い方をシミュレーションし、歌詞のフレーズを生成。なめらかな人間の歌声を生み出すことを実現したのだという。

以下の動画は、内蔵される22種類のボイスを切り替えている様子だ。こちらもフレーズモードで「Do you hear the music?」の歌詞を歌わせている。

専用アプリから、オリジナル歌詞の編集・登録も可能

もちろん、「CT-S1000V」で歌声演奏できるのは、内蔵される歌詞だけではない。専用アプリ「Lyric Creator(リリック クリエイター)」を使用することで、オリジナル歌詞を作成・登録できるのだ。同アプリからは、ただ歌詞になる言葉を登録するだけではなく、詳細な発音の編集なども行える。

専用アプリ「Lyric Creator」をインストールしたスマートフォンを別売のUSBケーブルで本機と接続することで、オリジナル歌詞の入力や編集を行い、「CT-S1000V」に登録することが可能。ちなみに、言語は英語(アルファベット)と日本語(ひらがな)に対応する。アプリ上では、その言葉のどこからどこまでが1音に割り当てられるか(=音節)を、自動判別してくれる(日本語の場合は、基本的に1文字=1音節となる)

専用アプリ「Lyric Creator」をインストールしたスマートフォンを別売のUSBケーブルで本機と接続することで、オリジナル歌詞の入力や編集を行い、「CT-S1000V」に登録することが可能。ちなみに、言語は英語(アルファベット)と日本語(ひらがな)に対応する。アプリ上では、その言葉のどこからどこまでが1音に割り当てられるか(=音節)を、自動判別してくれる(日本語の場合は、基本的に1文字=1音節となる)

編集画面から、各音節に音符(と休符)を指定しておくと、「CT-S1000V」を演奏した時にその音符情報に合わせたリズム(長さ)で鳴るようになる。各音節の基本的なリズムを八分音符にしておいて、2倍に伸ばしたい音節は四分音符にする……といった具合に設定できるわけだ

編集画面から、各音節に音符(と休符)を指定しておくと、「CT-S1000V」を演奏した時にその音符情報に合わせたリズム(長さ)で鳴るようになる。各音節の基本的なリズムを八分音符にしておいて、2倍に伸ばしたい音節は四分音符にする……といった具合に設定できるわけだ

なお、「CT-S1000V」の細かい使い方や、「ノートモード」と「フレーズモード」の違いなどについては、カシオの公式YouTubeチャンネルに掲載されているmarimoRECORDS代表 江夏正晃氏の解説動画が詳しいので、ぜひ参考にされたい。

まとめ

というわけで、若干駆け足になったが、「CT-S1000V」の特徴である「歌声演奏機能」を軸に、その特徴をご紹介してきた。やはり最大の魅力は、上述の「フレーズモード」である。カシオではこの「フレーズモード」を、「キーボードに歌わせながら直感的に作曲できる」という利点として音楽制作者向けにアピールしており、これがDTMユーザーの注目を集めたというわけだ。

しかしこの機能、同時に、「キーボード演奏に慣れていない初心者でも、適当に鍵盤を押せば歌声演奏を楽しめる」という側面もある。結果的に、音楽制作者からキーボード初心者まで、幅広いユーザーが楽しめる機能であることは興味深い。歌声演奏以外のスペックを見た時、シンプルに入門者向けのキーボードとしても使いやすいことを加味すると、ぜひこれからキーボードを始めようとしているエントリーユーザーに注目してほしい1台だ。

そのほか、製品にはカシオの「ワイヤレスMIDI&AUDIOアダプター(WU-BT10)」を標準で同梱しており、Bluetooth接続機能に対応しているのもポイント。スマートフォンの音楽を鳴らすBluetoothスピーカーとしても使える

そのほか、製品にはカシオの「ワイヤレスMIDI&AUDIOアダプター(WU-BT10)」を標準で同梱しており、Bluetooth接続機能に対応しているのもポイント。「CT-S1000V」を、スマートフォンの音楽を鳴らすBluetoothスピーカーとしても使える

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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