ソニー・グローバルエデュケーションが手掛けるロボット・プログラミング学習キット「KOOV(クーブ)」。昨年3月に開発中であることが発表されたが、ついに2月18日から一般販売を開始することが正式発表された。ソニー初のロボット・プログラミング学習キットの詳細をレポートする。
KOOVを使って作ったサルのロボット
文部科学省が2020年から小学校でプログラミング教育の必修化を検討すると発表するなど、今、大きな注目を集めている「プログラミング」。子どもにさせたい習い事でも「プログラミング教室」が上位にランクインするなど、プログラミング学習に対する関心が高まっているという。
大きな盛り上がりを見せるプログラミング学習の需要を取り込もうと、子供向けのプログラミング学習キットやプログラムが続々と登場している。なかでも、ロボットを使った「ロボット・プログラミング学習」は、今もっともアツいジャンルのひとつで、ブロック玩具で有名なレゴは、レゴブロックとプログラミング学習を組み合わせたロボット・プログラミング学習キット「WeDo 2.0」などをすでに国内で展開している。
今回、ソニー・グローバルエデュケーションが発売を開始するKOOVも、そんなロボット・プログラミング学習キットのひとつだ。自由な形を作れるブロック、モーターなどの電子パーツ、ロボットを動かすプログラムを作るアプリの3つで構成されており、ブロックや電子パーツを組み合わせて作ったロボットに、パソコンやタブレットで作ったプログラムを転送し、ロボットを実際に動かしながらプログラミングを学習することができる。なお、対象年齢は8歳以上となる。
ロボットを実際に動かしながらプログラミングを学べるKOOV。プログラミングには、パソコンやタブレットで動く専用のアプリケーションを利用する
ソニーが新規に事業参入してまで投入する製品というだけあって、さまざまな特徴があるわけだが、その中のひとつがブロックと電子パーツだ。いずれも、ロボット教材を多数手がけるアーテック社と共同開発したものだが、デザインについてはソニーのデザインチームが担当。ロボット教材はメカメカしいデザインのものが多い中、デザイン性の高いクリアブロックとホワイトカラーで統一した電子パーツというシンプルなデザインに仕上げることで、男の子だけじゃなく、女の子でも楽しめるようにしたという。
KOOVのカラーブロック。形状のことなる7種類のパーツの組み合わせて、さまざまなロボットを造形する
ロボットを動かすのに使用する電子パーツ。ホワイトを基調としたシンプルなデザインとなっている
また、KOOVはロボットの動作を制御する「KOOVコア」と呼ばれるメイン基板にサーボモーターやLED、ブザーなどの各種電子パーツを接続することでロボットを動かすのだが、このKOOVコアと電子パーツを接続するケーブルにもこだわっており、子供がケーブルを誤った場所に差し込めないように形状を工夫しているという。なお、KOOVコアは電子工作で一般的なArduinoと互換性がある。
各種電子パーツをつなぎ、ロボットを制御するのに使用するKOOVコア
KOOVでは、ロボットを動かすプログラムを作るために、オリジナルの専用アプリを使用する。アプリはWindows/Mac/iOS向けにそれぞれ用意されており、組んだプログラムはUSBケーブルやBluetooth通信を使ってKOOVコアに転送する形だ。
専用アプリで作ったプログラミングは、USBやBluetooth通信を使ってKOOVコアに転送する
プログラミング言語には、「Scratch」に似たオリジナルのビジュアルプログラミング言語を採用。プログラミングブロックをドラッグ&ドロップで並べていくだけの直感的な操作でプログラミングを行なえるようになっており、プログラミング初心者でも簡単にプログラムを組めるようになっている。
KOOVで使われている独自のビジュアルプログラミング言語。ドラッグ&ドロップとクリックだけの直感的な操作でプログラミングを組める
専用アプリには、「ロボットレシピ」「がくしゅうコース」「じゆうさくれい」「コレクション」の4つのメニューを用意。いずれも、プログラミング初心者から上級者まで、誰でも継続して学べる工夫を取り入れたという。
「ロボットレシピ」は、その名の通り、さまざまなロボットを作るレシピが書かれているメニューで、レシピに沿ってロボットを組み立てるだけで、簡単にロボット製作を楽しめるというものだ。ロボットの組み立て解説にCGアニメーションを使用したり、あらかじめ用意されたプログラミングと組み合わせることで、簡単にロボットを動かせるようになっているなど、プログラミング初心者でも簡単にロボット製作を楽しめるようになっている。
KOOVで作れるロボットレシピ
CGアニメーションを使ったロボットの組み立て解説。どこにどのパーツを取り付ければいいかが一目でわかるため、初心者でも簡単にロボットを組み立てられる
基礎からプログラミングを学習できる「がくしゅうコース」には、アプリの操作方法や電子パーツの使い方などを学べる「はじめてのロボットプログラミング」と、“上下運動”といったさまざまなテクニックを学びつつ、多彩な表現方法を習得することができる「ブロックアーティストになろう」という2つのコースを用意。いずれのコースも、ステージごとに与えられたミッションをクリアしていくことで、段階的にロボットプログラミングの知識を得られるようになっており、ステージ最後に内容を復習できるクイズを用意したり、ミッションクリアでバッジを獲得できるようにするなどして、子供を飽きさせないようにしている。
学習モードの画面。ロボットプログラミングに必要な知識を、ビジュアルとテキストを使ってわかりやすく解説してくれる
ステージの最後には、そのステージで学んだことを復習できるクイズも用意されている
ステージに用意されたミッションをクリアするとバッジを獲得できる。これ以外にも、モチベーションを高めるための細かい工夫がいろいろと用意されている
「じゆうさくれい」は、オリジナルデザインのロボットやロボットを動かすプログラムを自由に作れるというもの。SNS機能も用意されており、作ったロボットの写真などを世界中のユーザーに向けて公開し、アドバイスをもらうなどのコミュニケーションも行えるという。「コレクション」では、「ロボットレシピ」や「じゆうさくれい」で作った作品を保存できるほか、「がくしゅうコース」で習得した内容や獲得したバッジなどを確認することができる。
「じゆうさくれい」では、世界中のKOOVユーザーに向けて自分で作った作品を写真付きで公開できる機能も用意される
「コレクション」では、獲得したバッジなどをあとから確認することができる
2月18日から一般販売が開始されるKOOV。製品ラインアップは、「スターターキット」、「拡張パーツセット」、スターターキットと拡張パーツセットをあわせた「アドバンスキット」の3種類が用意される。なお、拡張パーツセットには、ロボットの動作を制御する「KOOVコア」と呼ばれるメイン基板が付属しておらず、拡張パーツセットだけでは利用できない。また、KOOVコアを動かすためには、別途アルカリ単3乾電池3本とプラスドライバーが必要となっている。
KOOVのパッケージ。左からアドバンスキット、スターターキット、拡張パーツセットだ
プログラミング学習用の学習コースを楽しめるのはスターターキットとアドバンスキットで、発売当初はスターターキットで13種類、アドバンスキットで22種類のロボットレシピを学習できる。なお、学習コースは今後のアップデートで追加される予定で、最終的にスターターキットでは16種類、アドバンスキットでは32種類のロボットレシピを学習できるとのことだ。
なお、一般販売開始当初は、ソニーストアや家電量販店のECサイトでの取り扱いが中心で、ソニーストア各店では実際の製品の展示も行うという。価格は、スターターキットが36,800円、拡張パーツセットが21,880円、アドバンスキットが49,880円となっている。