筋トレが大好きな自動車ライター、マリオ高野です。
一時は新型コロナウイルスの感染経路として指摘されたとはいえ、基本的にスポーツジムは感染症リスクが高いとは思えず、1年前に「おうちのジム化」を実現してからもジム通いをしております。
「おうちのジム化」についてはこちらをご覧ください:
筋トレ大好きライターが挑んだ「おうちのジム化」、その顛末を教えます
当然ながらジムではマスクを必ず着用するので、ジムでの筋トレ時に最適なマスクを求めてみました。5種類のスポーツマスクをチェックし、約1か月間使用した印象を報告します。
スポーツジムにはそれなりの利用者がいるようになり、筋トレがしやすく安全も確保できるスポーツマスクの需要が高まっています。なお、筆者は追い込んだときなどに苦痛で激しく歪む自分の顔が鏡に映ると笑ってしまうため、屋内のジムでもサングラスをかけて筋トレしています
ジムでの筋トレ時に使うスポーツマスクに求めたい要素として、
・高負荷運動時の呼吸のしやすさ
・インターバル時の回復の早さ
・汗をかいたときの使用感
・フィット感(運動時のズレにくさ)
・耳や鼻などへの負担の小ささ
・メガネ(サングラス)の曇りにくさ
の6項目をチェックポイントとしながら、☆5つで採点しました。
身体のコンディションは、その日の体調やトレーニング中の体力の消耗度合いなどによって大きく変動するものなので、5つのマスクをまったく同じ条件下で同時に比較するのは難しいのですが、毎回使うマスクの順番を変えるなどして、なるべく均一的な条件下での印象をまとめています。
あくまで筆者個人の感覚なので、この結果が各マスクの絶対的な評価にはならないことをご了承ください。
また、今回は「ジムでの筋トレに適したスポーツマスク」を前提とした印象になります。ジョギングなどの有酸素運動時や、日常使いでの印象はまた異なる点がありますので、その点もご承知ください。
ちなみに筆者の体格は身長165cm、体重70kg。頭のサイズは58cm。鼻から耳までの長さは18cm。口髭と顎髭は5mm以上あり。マスクのサイズは「M」かそれに近い物を選びました。
今回のテストでは、一般的なジムに置かれるスミスマシンを使った「ワイドスタンスでのデッドリフト155kg」を10rep行う際の印象で比較しています。
身体への負荷がそれなりに大きく、短時間に心拍数が上がりやすいことから選びました。呼吸のしやすさや装着感のよし悪しが体感しやすい種目です。
トレーニング中の「呼吸のしやすさ」「口元の違和感のなさ」「暑さやムレ」「回復に要する時間」などをチェックしました
さらに、インターバル時の回復の速さについては、体感的な印象とともに「パルスオキシメーター」で計測される心拍数の数値も参考にしました。
やや指先寄りの(指紋の中心より5mmほど先)少し肉薄な部分にセンサーが当たるようにして計測すると正確度が増します。指をしっかりと奥まで差し込むと肉厚な部分がセンサーに当たるせいか、やや精度が落ちる傾向に
チェック時にはさむ指先の位置が適切でないと明らかな誤作動と思える表示が出ることが多いものの、指にはさむコツをつかめば正確性を増します。安価なものとしてはなかなかよいパルスオキシメーターだと思いました。血中酸素飽和度の表示は、ウイルス感染チェックの参考にもなるので、あると便利です。
釣り具の人気ブランド「Wild Scene (ワイルドシーン)」製で、「釣り具メーカーが開発した運動用の冷感マスク」という点に注目して選びました。アウトドア用マスク開発のノウハウを生かし、通気性がよく、繰り返し洗えるタフ設計とのこと。
毎日洗濯しても型崩れの心配がなく、シワ伸ばしをする必要もありません
接触面積を多くすることでマスクの耳痛を大幅に軽減したとのこと
メッシュ生地を使った二層構造で高通気性にすぐれ、息苦しさを低減。 内側メッシュ生地は圧迫感がなく蒸れにくいうえ、サラサラで肌触りがよく敏感な肌でもトラブルなくやさしくフィットするとアピールしています。実際にジムで使うと、おおむねうたい文句どおりの使い心地にて、とても快適でした。
少し気になったのはホールド力で、身体の動きが大きくなると少しズレやすいと感じました。また、生地が厚いせいか意外と重量がありますが、もちろん重いと感じるほどではありません。身体が熱くなってくると、生地の厚さが暑苦しさにつながると感じるようになりますが、汗でぬれると蒸発時の冷却効果により、逆に涼しく感じられました。値段も含め、総合力の高いスポーツマスクだと思います。
フェイスラインに沿って包み込むデザインによって小顔にみせる効果があるとうたいますが、はたして……?
・高負荷運動時の呼吸のしやすさ: ☆☆☆☆☆
・インターバル時の回復の早さ: ☆☆☆☆
・汗をかいたときの使用感: ☆☆☆☆
・フィット感(運動時のズレにくさ) ☆☆☆
・耳や鼻などへの負担の小ささ: ☆☆☆☆☆
・メガネの曇りにくさ: ☆☆☆☆
野球ブランドの定番SSK(エスエスケイ)のトレーニングマスク。フィット系SCBアンダーシャツの生地で作ったということで、すぐれた通気性により呼吸のしやすさを確保しています。
小さめサイズ(レディース・ジュニア)対応。安心の日本製です
薄手ながら口部はしっかり2層構造になっています
軽さと薄さが際立つマスクで、全体的にとてもスッキリとした印象。野球用アンダーシャツをそのまま口まわりまで伸ばしたような感覚で、汗で濡れても乾きやすいので、長時間使用時のストレスは最小限だと感じました。
ただ、ホールド性はあまり高くなく、生地が常に口元に当たるため、大きめの呼吸や声を出す際などに口が動くとマスクがズレやすくなります(鼻が出やすくなる)。値段が安い割に、洗濯を数回繰り返しても劣化は見られませんでしたが、耳かけ部分の作りが華奢(きゃしゃ)なので、長く使うと耳かけ部分が損傷しやすくなります。
運動中は、口呼吸が激しくなると生地が口元にまとわりつく感覚が少し気になります
・高負荷運動時の呼吸のしやすさ: ☆☆☆☆☆
・インターバル時の回復の早さ: ☆☆☆☆☆
・汗をかいた時の使用感: ☆☆☆☆
・フィット感(運動時のズレにくさ) ☆☆
・耳や鼻などへの負担の小ささ: ☆☆☆☆☆
・メガネの曇りにくさ: ☆☆☆☆
新鋭のスポーツウェルネスブランド「TENTIAL(テンシャル)」のマスク。とにかく生地の質感が高く、肌へのやさしさが印象的。口元と生地とのクリアランスは意外と保たれるので、汗をかいてもムレにくく、口を動かしてもズレにくいなど、総合的なバランスの高さが気に入っています。
ネイビー以外にもピックやベージュなど、女性向けのカラーも用意されます
消臭、通気性、吸水速乾性、耐洗濯性の項目で満足度の高いマスクです
再使用時でも装着した瞬間の嫌なニオイがほとんどしないので、抗菌効果の高さも実感。10回以上洗濯しても劣化はみられません。ただし、鼻まわりのホールド感がやや緩いせいか、身体の動きや姿勢によってはメガネ(サングラス)が曇りやすくなることがありました。
縦方向の長さがやや短めなので、少し上よりに装着すると鼻まわりが落ち着きます
・高負荷運動時の呼吸のしやすさ: ☆☆☆☆☆
・インターバル時の回復の早さ: ☆☆☆☆☆
・汗をかいたときの使用感: ☆☆☆☆☆
・フィット感(運動時のズレにくさ) ☆☆☆☆
・耳や鼻などへの負担の小ささ: ☆☆☆☆☆
・メガネの曇りにくさ: ☆☆☆
アシックス公式のランナー用フェイスカバー。マスクというよりフェイスカバーなので、ホールド性の高さは圧倒的。呼気を下方に排出する構造により通気性は最強で、屋外での激しい運動に最適でしょう。
マスクの両サイドのゴム紐を後頭部で止め、ドローコードで調整することで強力なホールド&フィット性を実現
呼気を下方に排出する構造によりマスク内の通気性が高く、高負荷&高強度の筋トレを好む上級者にオススメです
飛沫の拡散は防止できますが、下部はほぼ筒抜け状態なので、フィルター機能は割り切っています。間違っても満員電車などの混雑した日常シーンで使うのは避けましょう。
ホールド性は完璧ながら、強く締めすぎると鼻との接触点がスレて痛くなるので、鼻まわりが気になる場合は少しゆるめに装着します。通気性がよすぎるので、人が多く混雑した状況ではオススメしませんが、ジムが空いていて人が少ない状況に限定すれば問題ないでしょう。
マスク本体と口元のクリアランスは十分にあるので、限界まで追い込んでも快適です
・高負荷運動時の呼吸のしやすさ: ☆☆☆☆☆
・インターバル時の回復の早さ: ☆☆☆☆☆
・汗をかいたときの使用感: ☆☆☆☆
・フィット感(運動時のズレにくさ) ☆☆☆☆☆
・耳や鼻などへの負担の小ささ: ☆☆☆
・メガネの曇りにくさ: ☆☆☆☆
アンダーアーマーのアスリート向けパフォーマンスマスク。3層の立体構造により、フィルターとしての機能の高さを実感します。その分、呼吸時の抵抗感をともないますが、口まわりの空間がしっかり保たれるので、激しい口呼吸でも快適、かつズレることなく使えます。
ポリウレタン製フォームと独自の立体構造によるエアポケットによる立体構造
肌に触れる部分に採用された冷感素材のアイソチルが熱を素早く拡散。厚手の割には意外と暑苦しくありません
専用のキャリーバッグにも抗菌加工が施され、保管中も細菌の増殖を抑えてくれるそうです
マスク自体は厚手ながら、裏地はアイソチル生地のHEATGEARなので、身体が熱くなっても苦しさを感じにくい点も特筆ポイント。外気のニオイをシャットアウトする効果の高さも実感します。
やや値が張る以外はとてもすばらしいスポーツマスクだと思います。メガネおよびサングラスを装着する場合は、鼻まわりのワイヤーを自分の顔のラインに合わせてしっかり型を作るとよいでしょう。
「やわらかくストレッチ性のあるUAベースレイヤー生地と調整可能なノーズブリッジにより、顔の形にフィットし運動中の動きを妨げない」とうたうとおりのフィット感
・高負荷運動時の呼吸のしやすさ: ☆☆☆☆
・インターバル時の回復の早さ: ☆☆☆☆
・汗をかいたときの使用感: ☆☆☆☆☆
・フィット感(運動時のズレにくさ) ☆☆☆☆
・耳や鼻などへの負担の小ささ: ☆☆☆☆☆
・メガネの曇りにくさ: ☆☆☆☆☆
今回、5つのスポーツマスクを試した結果、いずれも通気性や速乾性、耐洗濯性は高く、運動時に使用するマスクとしては満足できるものでした。ウェートを使う筋トレは無酸素運動と呼ばれ、息を止めて出力する瞬間が多いとはいえ、その半面、1回の呼吸の質が大事になりますので、高強度で追い込むタイプの人は、より通気性の高い「Wild Scene」「TENTIAL」「アシックス」がオススメとなります。
あと、好みが分かれる要素としては、マスク本体と口元とのクリアランスの有無。口元をよりスッキリさせたい人には「アシックス」「アンダーアーマー」「TENTIAL」が最適でしょう。
「アシックス」は通気性とクリアランス、そしてホールド性の面で文句なしであり、筋トレでも大変有効だと感じましたが、通気性がよすぎるため屋内のジムで使うには抵抗があります。
自分以外の利用者があまりいない場合は使いやすくなるので、郊外などのジムでの深夜利用が多い人にはよいでしょう。
筆者個人としては、手頃な価格や手入れ(洗濯)のしやすさ、比較的日常使いがしやすい点も含めて「TENTIAL」が一番気に入りました。
ジムでのスポーツマスク選びは、顔の形状や好んでやる種目など個人差が影響を及ぼす部分が多いので、今回テストした中からご自分の好みに合いそうな物を2~3選び、ローテーションしながら使うのがベストだと思います。
1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。