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「オフピーク」でポイントと快適の一挙両得

「時差通勤」でポイント獲得! 通勤多様化時代にトクする鉄道運賃の”新常識”

今年(2020年)、大きく変わったもののひとつが「通勤」ではないでしょうか? 新型コロナウイルスの影響により、多くの企業で働き方や働く環境が見直されたのにともない、「同じ時間の電車で毎日通勤」という人の数が減り、通勤スタイルが多様化しています。

それにあわせ、鉄道会社から「オフピーク通勤(時差通勤)するとおトクになる」などの一歩踏み込んだ取り組みが登場してきました。そのひとつがJR東日本です。2021年春より、Suica定期券ユーザーを対象に、オフピーク通勤した場合に同社のポイントを付与する仕組みを導入します。また、定期券での通勤が減っていることをふまえ、定期券を使っていないユーザーを対象に「同じ運賃の区間を月に10回以上利用すると、運賃1回分相当のポイントを付与」するサービスも導入する予定です。

本記事では、JR東日本のほか、すでにオフピーク通勤でポイントを付与するプロジェクトを導入している東京メトロの取り組みを中心に、各鉄道各社の取り組みをご紹介します。

JR東日本、多様化する通勤に合わせた2つの新ポイントサービスを導入

2020年11月10日、JR東日本は、2021年春から始める2つのポイント付与サービスを発表しました。ひとつめが、Suica定期券のユーザーを対象にした、オフピーク通勤を後押しするポイント付与サービス。2つめが、定期券を持っていないユーザーを対象にした、同一運賃の区間に10回乗ると1回分の運賃相当のポイントを付与するサービスです。

1. Suica定期券でオフピーク通勤するとポイントが貯まる

オフピーク通勤でポイントがもらえるサービスの対象となるのは「Suica通勤定期券」を持っているユーザーです(FREX定期券、通学定期券、グリーン定期券は対象外)。平日の朝、サービスの対象エリアの各駅に、対象時間帯内に入場し、その後、対象エリアの各駅で出場した場合にポイントが付与されます。

対象時間帯は、各駅が最も混み合うピーク時間帯の前後に設定されます(各駅ごとに異なる時間帯になる予定)。ピーク時間帯の前を「早起き時間帯」として、1日あたり15ポイントが付与され、ピーク時間帯の後の「ゆったり時間帯」には1日あたり20ポイントが付与されます。ただし、1日に複数回利用しても利用回数は1回とみなされます。

貯まるのはJR東日本の共通ポイント「JRE POINT」

このサービスで付与されるポイントは、JR東日本のポイントである「JRE POINT」(ジェイアールイーポイント)です。貯めたJRE POINTは、1P=1円で、JRE POINTの加盟店の支払いに充てられるほか、Suica残高にチャージすることもできます(こちらも1P=1円です)。

このポイント付与サービスを利用するには、WEBサイト上でSuica通勤定期券をJRE POINTに登録のうえ、キャンペーンにエントリーする必要があります。対象となるエリアや、各駅ごとの対象時間帯、サービスの開始時期などは今後明らかになります。実施は、2021年春から1年間となる予定です。

オフピーク通勤によるポイント付与のイメージ(出典:JR東日本プレスリリース)

2. 定期のない人向けに「回数券的サービス」も展開

テレワークの普及にともなって、定期券を持たなくなったという人も増えていることでしょう。JR東日本の2つ目の新サービスは、そんな「都度払い派」の人たちを対象にしたものです。ひと言で表現すると「10回乗ると運賃1回分相当のJRE POINTが返ってくる」という回数券的なサービスで、2021年3月からスタートします(こちらのサービスには期間の定めはありません)。「オフピーク通勤でポイント付与」サービスと同じく、利用するには手持ちのSuicaをJRE POINTに登録する必要があります。

こちらのサービスの対象となるのは、「Suica残高で乗車した人」。JR東日本の在来線エリアで、「同じ運賃の区間」を月に10回以上利用すると、運賃1回分相当のJRE POINTが付与されます。つまり、1回分の乗車運賃がタダになるイメージです。なお、11回目以降の乗車にも、1回につき10%のJRE POINTが付与されます。たとえば「IC運賃:220円」の区間であれば、11回目以降の乗車では、1回あたり22円相当のJRE POINTが付与されます。

「同じ区間」ではなく「同じ運賃の区間」が対象

このサービスは、「同じ区間」ではなく「同じ運賃の区間」を対象としているのが特徴です。たとえば、

・東京―赤羽(IC運賃:220円)
・東京―蒲田(IC運賃:220円)
・品川―川崎(IC運賃:220円)

のように、乗車する区間は違っても、運賃が同じ区間なら「1回乗車」とみなされ、ポイント付与の対象となります。

定期を使っていない人は「同じ運賃の区間」の10回以上の乗車がおトクに(出典:JR東日本プレスリリース)

220円区間を20回利用で最大500ポイント以上貯まる

ご存じの方も多いと思いますが、JR東日本は2019年10月より、「Suicaでの在来線の乗車」に対してすでにポイント付与を行っています(モバイルSuicaの場合は運賃の2%還元。カードタイプのSuicaの場合は運賃の0.5%還元。通称「乗車ポイント」)。今回発表された「回数券的なサービス」は、この乗車ポイントと併用されます。

これらのサービスを利用すると、具体的にどれくらいのポイントが貯まるのでしょうか? 前出の「東京―赤羽」(IC運賃:220円)区間で、2021年3月以降に10回以上乗車した際に貯まるポイント数をシミュレートしたのが下記の表です。個人的には、無視できないポイント数が貯まる印象を受けましたが、皆さんはいかがでしょうか?

2021年3月以降に、「東京―赤羽」間を10〜20回乗車したときに貯まるポイント数を計算。乗車運賃と乗車ポイントの付与率は2021年11月時点のルールを適用しています

東京メトロはオフピーク通勤のポイント付与をすでに実施

東京メトロはすでに数年前から、期間限定のプロジェクトという形でオフピーク通勤に対するポイント付与を行っています。2020年11月の記事執筆時点では、「東西線」と「有楽町線豊洲駅」を対象としたプロジェクトを、2021年3月31日まで行っています。

両プロジェクトは、もともと、2020年夏に予定されていた東京2020オリンピック・パラリンピックの観客等の増加による混在の緩和が目的でした(路線が東京2020オリンピック・パラリンピックの競技会場が集積する「ベイゾーン」と重なるため)。そのため、JR東日本のような「新型コロナウイルスの影響による通勤の多様化への対応」とは若干趣が異なるものの、その中身は似ています。

東西線オフピークプロジェクト、ポイント付与の時間帯は3つ

まずは「東西線オフピークプロジェクト」からご紹介します。東西線は、ときに混雑率199%を超え、首都圏の鉄道の中でも最も混む路線のひとつです。それを緩和する目的で、JR東日本と同様、朝のピーク時間をずらした時間帯に利用するとポイントが付与されます。

ポイント付与の対象となる時間帯は3つに分かれており、最も早い「ゴールドタイム」は25ポイント、次に早い「シルバータイム」は15ポイント、ピーク時間帯より後の「ブロンズタイム」だと10ポイントが付与されます。前月のゴールドタイムの参加回数と比較して、5回以上多く参加した場合は50ポイントが上乗せになったり、毎月15回以上ゴールドタイムを継続するとやはり50ポイントが付与されたりするなど、モチベーションを保つ仕組みも用意されています。

対象の時間帯は、5:40から10:30の間で、駅ごとに設定されています(下記図参照)。東西線の東葉勝田台駅から門前仲町駅の間で、対象の時間帯に乗車し、南砂町以西の東京メトロ全線の改札口で降車、あるいは乗り換えるとことでポイントが付与されます。ただし、降車、乗り換えのいずれも正午までがポイント付与の対象です。

東西線プロジェクトでは、各駅ごとにポイント付与対象の時間帯が設定されています(出典:東京メトロ「東西線オフピークポロジェクト」公式サイト)

有楽町線豊洲駅は降りる改札によってもポイント上乗せ

有楽町線豊洲駅を対象とした「豊洲オフピークプロジェクト」は、豊洲駅を出場した人がポイント付与の対象です。7:00から10:30の間の「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の3つの時間帯に出場するとポイントが付与されます(各時間帯のポイント付与数は東西線と同じ)。ユニークなのは、出場する改札口によって付与されるポイントが増えること。比較的利用する人が少ない「中央改札」で出場すると、ポイントが10ポイント上乗せになります。

豊洲プロジェクトでは、有楽町線豊洲駅の中央改札口で出場すると10ポイント上乗せに(出典:東京メトロ「東西線オフピークポロジェクト」公式サイト)

豊洲プロジェクトでは、有楽町線豊洲駅で比較的空いている中央改札口で出場すると10ポイント上乗せ(出典:東京メトロ「東西線オフピークポロジェクト」公式サイト)

PASMOをメトポに登録してプロジェクトに参加

東京メトロの両プロジェクトに参加するには、同社のPASMO定期券やPASMO、モバイルPASMOが必要です。ポイント付与を受けるには、まず東京メトロのポイントである「メトポ」のWEBサイトで仮登録を行った後、東京メトロの各駅に設置してある多機能券売機で本登録を行う必要があります。そのうえで、メトポのマイページから、東西線、豊洲それぞれのプロジェクトにエントリーするとポイント付与の対象になります。

貯まったメトポは10ポイント10円単位でPASMOにチャージすることができます。なお、東京メトロもJR東日本と同じく「乗車ポイント」があり、今回紹介したオフピークプロジェクトとは別にメトポが貯まります(定期区間外の利用で、平日なら3ポイント、土日休日なら7ポイント付与など)。

関西にもあるオフピークの取り組み

ここまで、JR東日本、東京メトロと関東の鉄道会社の動きを見てきましたが、関西の鉄道会社にも同様の取り組みが存在します。

JR西日本のICOCAは時間帯や乗車回数によってポイントを付与

JR西日本のICカード「ICOCA(イコカ)」は、列車の利用やICOCA加盟店での支払いに応じて「ICOCAポイント」(1P=1円で乗車運賃や買い物に利用可能)が貯まります。このICOCAにも、「平日10〜17時」および「土日休日の全時間帯」に、対象の区間を4回以上乗車すると、4回目以降1回につき、運賃の30%または50%分のポイントが付与される「時間帯指定ポイント」というサービスがあります。たとえば、「京都―吹田」間だと50%分が付与、「高槻―大阪」間と30%といった具合に、区間によってポイント付与率が異なります。

また、JR東日本と同様に、「同じ運賃の区間」に1か月で11回以上乗車すると、11回目以降、乗車1回につき運賃の10%分のポイントが貯まる「利用回数ポイント」というサービスもあります。両サービスとも、駅の券売機やWEBサイト上での、ICOCAの利用登録が必要となります。

関西の私鉄は「オフピーク回数券」が主流

そのほか、関西の私鉄に目を移すと、近畿日本鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道、南海電気鉄道、京阪電気鉄道など各社が、平日昼間や土日休日の乗車に使える「オフピーク回数券」を販売しています。名称や細かいルールは各社で異なるものの、目安として、平日昼間に使える回数券の場合は16%程度の割引率(10枚分の値段で12枚)で、土日休日に使える回数券の場合は28%程度の割引率(10枚分の値段で14枚)となっているようです(土日休日の回数券がない会社もあります)。

ただし、京阪電鉄が2020年12月31日をもって「京阪線」「鋼索線」の回数券の販売を終了することを発表するなど、状況は変化しつつあります。販売終了の理由として、ICカードの利用の増加があげられており、今後、関西私鉄においても、オフピークの取り組みがICカードを使ったものに変化していく可能性はあるでしょう。

なお、編集部で調べたかぎり、関東、関西以外の地域の鉄道については、オフピーク通勤や通勤多様化といった目的での同様のサービスやキャンペーンを確認することはできませんでした。

鉄道料金再編が本格化か

今年(2020年)は、「時間帯別運賃の導入」や「オフピーク定期券の検討」など、鉄道料金の変化について報じられる機会が目に付きました。各種報道によると、各鉄道各社は新型コロナ前のような利用状況に戻るとは考えておらず、「アフターコロナ」に向けて、料金体系の見直しを進めているようです。

今回、鉄道会社売上げトップのJR東日本が、「通勤の多様化」に向けた具体的な動きを見せたことから、他社の取り組みも加速する可能性があるかもしれません。

定期券を買ったほうがおトク?

その意味で今後は、各社の制度変更にあわせた移動手段選びが欠かせなくなりそうです。たとえば、定期券を買うべきか否かは、少し頭を悩ませる問題になるかもしれません。

具体例をあげてみます。JR東日本の項で例にあげた「東京―赤羽」間の1か月の通勤定期代は6,580円です。ポイント付与を考慮しない場合、「15回以上往復で乗車」が損益分岐点になります(14回往復=28回利用すると運賃6,160円<定期代6,580円。15回往復=30回利用すると運賃6,600円>定期代6,580円)。

ところが、「回数券的サービスで貯まるポイント」と「乗車ポイント」を考慮すると、モバイルSuica、カードタイプのSuicaともに「17回以上往復で乗車」が損益分岐点になります(下記図およびボックス内参照)。

モバイルSuicaの場合
16回往復乗車:往復運賃7,040円−貯まるポイントの合計832円(往復分)=6,208円<定期代6,580円
17回往復乗車:往復運賃7,480円−貯まるポイントの合計884円(往復分)=6,596円>定期代6,580円


カード式Suicaの場合
16回往復乗車:往復運賃7,040円−貯まるポイントの合計736円(往復分)=6,304円<定期代6,580円
17回往復乗車:往復運賃7,480円−貯まるポイントの合計782円(往復分)=6,698円>定期代6,580円

クレカでおトクになるケースも

ちなみに、JR東日本の場合、「モバイルSuicaで定期券を購入すると、購入額の2%分のJRE POINTを還元」というルールもあります。詳細は省きますが、それを考慮したうえでの東京―赤羽間の「モバイルSuicaの通勤定期券の1か月分の値段」は6,448円となり、「17回以上往復で乗車」という損益分岐点は変わりません。また、JR東日本には下記の「JRE CARD」のように、定期券の購入やSuicaへのチャージでJRE POINTが1.5%還元されるおトクなクレジットカードもあります。

こうしたさまざまな「おトクになる条件」を当てはめて計算してみることで、定期券を買うべきかどうかの判断が分かれるケースが、今後多く生じてくることでしょう。我々ユーザーもフレキシブルに対応する必要がありそうです。

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

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