備える
減税の特例期間延長、1LDKも対象に。省エネ住宅購入などで最大100万P

マイホーム検討中の方必見! 2021年の住宅ローン減税の変更点や新制度を解説

働き盛り世代の大きな関心事のひとつがマイホーム購入ではないでしょうか。マイホームは「人生最大の買い物」と言われますが、購入にあたっては住宅ローンを利用するケースが大半になるでしょう。翌年度以降の税制改正の内容を示す「与党税制改正大綱」が2020年12月に公表されましたが、ここに消費喚起を目的として、住宅取得を税制面で後押しする内容が盛り込まれました。そこで今回は、これから家を買う人が覚えておきたい、5つの制度延長や変更、新制度の内容を紹介します。「住宅ローン減税」の最新情報や、多様化する働き方にも対応した新制度も必見です。
(紹介する制度変更などは、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります)

2021年は住宅ローンに関連した制度の延長や新制度が実施されます

2021年は住宅ローンに関連した制度の延長や新制度が実施されます

【1】住宅ローン減税の特例が延長、引き続き控除期間が13年間に

数千万円にものぼる住宅購入費。この負担を軽減してくれる制度の筆頭ともいえるのが「住宅ローン減税」(正式には「住宅借入金等特別控除」)です。現在、減税期間が通常より3年長い13年間となる特例が導入されています。これまでは特例適用を受けるには、2020年12月末までに入居することが条件でしたが(新型コロナウイルスの影響で入居が遅れた場合は2021年12月末まで)、2022年12月末までの入居についても適用されるようになりました。

住宅ローン減税は、年末ローン残高の1%が税額控除される制度

住宅ローン減税は、個人が住宅ローンを組んで住宅の取得(新築、新築住宅の購入、住宅の増改築)などをした際、税負担が軽減される制度。年末ローン残高の1%が10年間にわたり所得税や住民税から税額控除されます。控除額の上限は年間40万円(長期優良住宅などは50万円)、10年間で最大400万円(同500万円)。まず、所得税から控除され、控除しきれない分があれば住民税から控除されます。

新築住宅だけではなく中古住宅(一定の条件あり)の購入も対象になるほか、増築やリフォームなども、補助金を差し引いた工事費が100万円以上の場合は適用を受けられます。

このほか、
・住宅の引き渡し、増改築の工事完了から6か月以内に居住している
・適用を受ける年の12月31日まで住んでいる
・床面積が50平方メートル以上(後述しますが、合計所得額が1000万円以下の人については40平方メートル以上も対象に加わります)
・借入金の償還期間が10年以上
・控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下
などの条件を満たしている必要があります。

2019年に特例措置が盛り込まれ、控除期間が13年間に延長

2019年10月に消費税が8%から10%にアップしたのを機に、通常よりも3年長い13年間にわたって控除を受けられる特例が設けられました。ただ、10年目までは「年末ローン残高の1%」が控除されますが、11年目以降は
「建物の取得価格(上限4000万円)の2%÷3」
「年末ローン残高(上限4000万円)の1%」
を比較し、低い方の金額が適用されます(11年目からの3年間で最大控除額は80万円)。この特例は2020年の年末までの入居が条件となっていましたが、新型コロナウイルスの影響を考慮し、一定の条件を満たせば2021年の年末も対象にしていました。

注文住宅では2021年9月末、マンションや分譲住宅では21年11月末までの契約締結が必要

さらに、今回発表された2021年度の与党税制改正大綱によって、この特例を受けられる期間が再延長されることが決まり、要件を満たした2022年12月末までの入居者(リフォーム・増改築も含む)にも対象が広げられました。ただし、特例を受ける条件には契約期限もあり、新築注文住宅であれば2021年9月末、マンションや分譲住宅、リーフォームであれば2021年11月末までに契約を結ぶことが条件となっています。

住宅ローン減税の効果額をシミュレーション

今回の特例期間の延長で、どの程度節税につながるのか、以下の条件でシミュレーションしてみます。

<試算条件>
借入額:2500万円
建物価格:3000万円
金利:1%
返済期間:35年
配偶者あり
扶養家族3人(配偶者含む)
価格.com「住宅ローン控除(減税)シミュレーション」で計算

<年収500万円の場合>
年収500万円のケースでは、1年あたりの控除額は、1年目から10年目は16万円となります。これはもともと支払う所得税や住民税の額が控除上限額である「年末ローン残高の1%」に届かないため、小幅な控除にとどまっているためです。また、特例期間に該当する11年目から13年目は、「(1)建物取得価格の2%÷3」と「(2)年末ローン残高の1%」を比較して小さいほうの(2)の条件が適用され、それまでと同様の1年あたり16万円が控除されます。13年間で計208万円控除され、このうち特例期間に該当する11年目以降の合計額は48万円になります。

<年収1000万円の場合>
年収1000万円のケースでは、所得税と住民税の納税額も大きいため、年収500万円のケースよりも住宅ローン減税の効果が大きくなります。下の図のように、1年目は24.4万円、2年目は23.7万円、3年目は23.1万円…というように、年末のローン残高に応じて控除上限額が適用されます。11年目から13年目は、(1)と(2)の条件を比較して小さいほうの(2)が適用されます。13年間で計267.5万円控除され、このうち特例期間に該当する11年目以降の合計額は52万円になります。

上記はあくまで一例ですが、住宅ローン減税を受けられる期間が3年間延長されれば、数十万円を超える節税につながります。減税額は条件によって異なりますが、今回の特例期間の延長は、どのような収入層にとってもメリットのある決定だと言えそうです。

【2】40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模物件も住宅ローン減税の対象に

特例期間の延長が決まった住宅ローン減税ですが、特例延長の適用対象となるケースに限り、床面積の要件も緩和されました。従来の対象物件は床面積50平方メートル以上。住宅ローン減税は3人以上の家族が住む3LDKのマンションなどを前提に制度設計されており、都心部の1LDKのマンションなどは適用除外となるケースが少なくありませんでした。今回、ライフスタイルが多様化していることを受け、この要件を緩和し、40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模な住宅でも、住宅ローン減税の適用を受けられるようになりました。

所得要件は厳格化。年間所得が1000万円以下という条件が追加

そのいっぽうで、都市部の小規模物件は高所得者層が投資用に購入することがあり、そうしたケースに減税措置を適用するのはそぐわないとして所得要件は厳しく設定。従来の50平方メートル以上の住宅の場合、年間合計所得3000万円以下の人が対象ですが、条件が緩和された40平方b以上50平方メートル未満の住宅は、年間合計所得1000万円以下の人に限定されます。

夫婦のみの世帯や単身者なども、減税の恩恵を受けやすく

所得要件は加わったものの、それさえクリアしていれば、より幅広い人に住宅ローン減税が適用されます。これまでは子どものいるファミリー世帯がメインでしたが、夫婦のみの世帯や単身者なども住宅ローン減税の恩恵を受けられることになり、住宅購入を後押ししてくれます。

40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模な住宅でも、住宅ローン減税の対象に

40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模な住宅でも、住宅ローン減税の対象に

【3】最大50万円のすまい給付金の適用期間も延長

年収が一定以下の人を対象に住宅購入時に現金が給付される「すまい給付金」。これまでは2021年12月末までの入居が条件でしたが、住宅ローン減税の特例期間延長に合わせて、2022年12月末までの入居も対象になりました。

住宅ローン減税は、所得税や住民税の税額から一定額を控除する仕組みで、満額適用されるには、所得税や住民税を年間40万円以上納めていることが前提になります。そうした背景があるため、すまい給付金は住宅ローン減税を満額受けられない人の負担軽減を目的として、2014年に創設されました。

年収775万円以下の住宅購入者に10〜50万円を給付

給付対象となるのは、モデル世帯(妻=収入なし=と中学生以下の子ども2人の4人世帯)で年収の目安が775万円以下。450万円以下だと最も多い50万円が給付。675万円超775万円以下で給付額は10万円となります。先ほどの住宅ローン減税のシミュレーションのケースであれば、年収1000万円と年収500万円だと、トータルの減税額は約60万円違いましたが、年収500万円では、すまい給付金40万円が支給されるため(年収1000万円は不支給)、減税額の差をある程度埋めることができます。

給付を受けるには、公式サイトなどで申請書を取得し、必要な書類をそろえて事務局に郵送するか、各都道府県に設置された窓口で提出します。申請期限は引き渡しから1年3か月以内となっています。

住宅ローン減税と同様、2022年12月末までの入居に延長

すまい給付金の適用期限は、現在は2021年12月末までの入居でしたが、住宅ローン減税の特例期間の延長と足並みをそろえ、2022年12月末までの入居まで延長されます。こちらも、新築注文住宅であれば2021年9月末、マンションや分譲住宅であれば2021年11月末までに契約を結ぶことが条件となっています。また、所得1000万円以下を条件に、新たに加わった床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の物件購入時も、すまい給付金の対象となります。

すまい給付金の適用期間も延長されます

すまい給付金の適用期間も延長されます

【4】2022年以降、住宅ローン減税の控除率が縮小される可能性

これまで紹介した、住宅ローン減税の特例期間延長と対象物件の条件緩和は、家計にとってメリットになるものですが、今回の与党税制改正大綱では将来の控除率(現状1%)の縮小という、不利になる制度変更についての言及もなされました。背景には、現状ではローンの支払利息が控除率を下回るケースが多く、低金利時代にはそぐわないという会計検査院(国の決算・会計についてムダがないかチェックする機関)の指摘があります。

住宅ローン減税の控除率を下回る金利で借りているケースが7割以上

現在、住宅ローン減税はローン残高の1%(最大年40万円)を控除することとなっていますが、実際には1%未満で借り入れている世帯が多数を占めます。会計検査院が2019年11月に公表した「決算検査報告」によると、住宅ローン減税の利用者のうち、控除率1%を下回る金利で住宅ローンを借り入れている割合は78.1%にのぼります。

次回の税制改正で控除率を見直すことに言及

借入金利が控除率の1%を下回っているということは、毎年の住宅ローン控除額が、ローンの支払利息額を上回っている可能性があることを意味します。この結果、十分な資金がある人が本来は必要がない住宅ローンを組んだり、減税の適用期間中は繰り上げ返済をしなかったりするケースにもつながり、そのことを会計検査院が問題視したのです。今回の与党税制改正大綱では、最終的に控除率は変更されませんでしたが、「控除額や控除率の在り方を令和4年度(2022年度)税制改正において見直すものとする」と明記されました。

つまり、2022年度税制改正の議論の行方によっては、2022年以降に住宅ローン減税の適用を受ける場合、「1%」と「借入金利」のどちらか数字の低いほうが控除額となる可能性も否定できません。これから住宅を購入する予定がある人は、現状の節税効果を受けられるうちに、入居を検討してみるのもひとつの選択肢になるでしょう。

【5】省エネ住宅の購入などで最大100万円分のポイントがもらえる「グリーン住宅ポイント制度」がスタート

2020年12月15日に閣議決定した新型コロナウイルス感染拡大への追加経済対策のひとつとして、高い省エネ性能などを備えた住宅の新築・購入などをすると、最大100万円分のポイントがもらえる新しい制度が創設されました。この制度は「グリーン住宅ポイント制度」と名付けられています。ポイントをもらうには、2020年12月15日から2021年10月末までに、対象となる住宅の建築・購入の契約を締結する必要があります。

新築住宅の建築・購入と中古住宅の購入では、ポイント付与の条件は異なります。

〈新築住宅の建築・購入のケース〉

新築住宅では、住宅に備えられた省エネ性能の高低によって付与されるポイント数が変わってきます。

(1)高い省エネ機能を備えた住宅→40万ポイント付与
長く安心・快適に暮らせる基準をクリアした「認定長期優良住宅」や、太陽光パネルや断熱材といった設備がありエネルギー収支(消費量と創る量)がほぼゼロとなる「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」など、高い省エネ性能などを有する住宅を新築した場合に40万ポイントが付与されます。

「東京圏からの移住」などの条件を満たせば、追加で60万ポイント
さらに、購入・建築する住宅が以下の4条件のうちひとつでも合致していると、60万ポイントが追加され、計100万ポイントが付与されます。
(A)東京圏から移住するための住宅(※)
(B)18歳未満の子ども3人以上の世帯が取得する住宅
(C)三世代同居の仕様で設計された住宅
(D)災害リスクが高い区域から移住するための住宅
※東京圏からの移住とは、一定期間、東京23区内に居住、または東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に居住して、23区内に通勤している人が、東京圏外に移住することを指します

(2)一定の省エネ性能を有する住宅→30万ポイント付与
断熱機能やエネルギー消費などで一定以上の機能を備えた住宅を新築・購入する場合、30万ポイントが付与されます。さらに、上記(A)〜(D)のうちいずれかひとつの条件を満たすと、30万ポイントが追加され、計60万ポイントが付与されます。

住宅の新築や新築住宅を購入する際に付与されるポイント数(国交省リリースより)

住宅の新築や新築住宅を購入する際に付与されるポイント数(国交省リリースより)

〈中古住宅購入のケース〉

中古住宅を購入する場合に、ポイント付与の対象となるケースは以下の4パターンで、15万〜45万ポイントが付与されます。
・空き家バンク登録の住宅購入→30万ポイント(今の住宅を解体した場合は45万ポイント)
・東京圏からの移住のための住宅購入→30万ポイント(今の住宅を解体した場合は45万ポイント)
・災害リスクが高い区域からの移住のための住宅購入→30万ポイント(今の住宅を解体した場合は45万ポイント)
・住宅を解体するのにともない購入する住宅→15万ポイント

中古住宅を購入する際に付与されるポイント数(国交省リリースより)

中古住宅を購入する際に付与されるポイント数(国交省リリースより)

ポイントは子育て関連商品の購入や、ワークスペース設置の追加工事費などに利用可能

ポイント発行の申請は工事完了後に行いますが、細かい申請方法は今後、国交省の公式ホームページなどで公表される予定です。付与されたポイントは子育て関連商品や防災関連商品、テレワークのための改修工事費などに「1P=1円」として利用できる予定です。

在宅勤務では、同居する家族の生活音が気になるなど、なかなか仕事に集中しづらいという問題もあります。グリーン住宅ポイント制度では、防音設備や間仕切りの設置などの工事費用もポイント交換先の対象となる予定で、費用負担を軽減してくれます。多様化する働き方に対応した新制度に注目です。

また、グリーン住宅ポイント制度は、リフォームなども対象となります。詳細は国土交通省のホームページで確認することができます。
参考HP:https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000974.html

首都圏から地方に移住した場合、通常分に加え追加でポイントが付与されます

首都圏から地方に移住した場合、通常分に加え追加でポイントが付与されます

まとめ

紹介した、住宅ローン減税やそれに関連した制度変更や条件緩和の施策、そして住宅取得でポイントが付与される新制度の概要を下表にまとめました。

適用期間が延長される、住宅ローンの特例措置(13年間控除)とすまい給付金は、対象になれば数十万円を超える節税・給付となり家計にとって非常にメリットの大きい施策と言えそうです。40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模住宅も減税対象になったのは、都市部の小規模なマンション購入を検討している方にとっては朗報となります。そのいっぽうで、気になるのは控除率の見直し。一律で「1%」が適用されている現状からどう変わるのか、注視しておいたほうがよいでしょう。最大100万ポイントが付与される「グリーン住宅ポイント制度」は、省エネ住宅の購入や地方への移住を検討している方にとっては魅力的な制度です。

住宅は高額な買い物だけに、紹介した制度を賢く活用することで、数十万〜百万円単位で負担が軽減される可能性があります。ただし、いずれの施策も入居期限などの条件が設けられています。住宅購入は焦って決断すると、のちのち後悔することにもなりかねません。今のうちから最新の情報をチェックして、着実に準備を進めていくのがよいでしょう。

回遊舎

回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。 お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
ご利用上の注意
  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の保険商品や金融商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
  • 本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
  • 本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、価格.comサイト利用規約(http://help.kakaku.com/kiyaku_site.html)にご同意いただいたものとします。
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
クレジットカード・ローンのその他のカテゴリー
ページトップへ戻る