「10%戻ってくる!」「20%還元!」――。
クレジットカードを含めたキャッシュレス決済で、ポイント高還元率の基準が「1%」とされる昨今、その水準を大きく上回るキャンペーンが各地で行われているのをご存じでしょうか。
それが、地元の消費喚起を目的に、各地の市区町村がPayPayなどのQRコード決済事業者と連携して実施している「自治体キャンペーン」です。これらのキャンペーンは、当該自治体内の対象店舗でその決済サービスを利用すると、後日10〜20%分のポイント還元を受けられるというもので(還元率は自治体で異なります)、非常に魅力的な内容になっています。
2024年12月、2025年1月は各地の約10の自治体・エリアでこうしたキャンペーンが実施されます(実施予定を含む)。基本的に、その自治体の住人以外も利用することができますが(一部例外あり)、あくまで地域限定のため情報をキャッチするのに苦労することも。そこで、自治体連携キャンペーンを行っているPayPay、au PAY、d払い、楽天ペイについて、地域ごとの内容や日程についてまとめました。
また、東京都は2024年12月11日から「もっと!暮らしを応援 TOKYO元気キャンペーン」を実施中です。このキャンペーンでは、都内の対象店舗で上記4つのコード決済サービスで買い物をすると、10%分のポイントが還元されます。
当初は12月27日までの予定でしたが、ポイント還元額が予算額に達する見込みとなったために、12月24日(火)午後11時59分に早期終了することが発表されています。
なお、12月現在、都内では下記の2区が独自にコード決済サービスと連携したキャンペーンを実施しています。
・足立区:最大20%還元、12月25日まで、PayPay、au PAY、d払い、楽天ペイが対象
・葛飾区:最大15%還元、2025年1月31日まで、PayPay、au PAY、d払い、楽天ペイが対象
東京都の「TOKYO元気キャンペーン」と上記2区のキャンペーンは併用が可能なため、期間中は足立区の対象店舗では最大30%還元、葛飾区では最大25%還元となります。下記記事では、「TOKYO元気キャンペーン」の利用にあたって覚えておきたいポイントをまとめたので、気になる方はチェックしてみてください。
「TOKYO元気キャンペーン」の対象店に掲示されているポスター。キャンペーンは12月24日に早期終了することが発表されています
地方自治体(地元商店街)がQRコード決済サービスと連携して、キャンペーンの展開を始めたのは2020年夏ごろから。従来、自治体の消費喚起策としては、地域限定の「プレミアム商品券」を発行する方法が主流でしたが、これには印刷費や管理・発送費、偽造防止策などのコストがかかってきます。QRコード決済サービスと連携する形を採れば、既存のシステムをそのまま使えるため、自治体側からすれば事業コストを圧縮できる利点があります。
いっぽう、QRコード決済サービスの事業者側から見ると、ユーザーや加盟店拡大につながる可能性があり、両者のメリットが一致する形で広がってきたと見られます(ただし、スマホに詳しくない高齢者は利用しづらいというデメリットがあります)。
地方自治体がQRコード決済事業者と連携して実施するキャンペーンで、ポイント還元を受ける方法はシンプル。
「自治体内のキャンペーン対象店舗で決済サービスを利用」
↓
「後日、利用分のポイントが還元」
という仕組みで、エントリーなどの事前手続きは不要です。決済サービス主体のキャンペーンと異なり、ポイント還元の原資は、国からの交付金などの税金となります。
利用にあたって注意したいのは、同じ決済事業者のキャンペーンでも、自治体によって実施期間はもちろんのこと、ポイント還元率や還元上限額が異なる点です。
ユーザーから見ると、還元率が高いほうが有利なのは言うまでもありませんが、もうひとつ見ておきたいのは「買い物1回あたりの付与上限」。たとえば、PayPayなどと連携してキャンペーンを実施中の東京都文京区(12月13日終了)と足立区(12月25日終了)の還元率はいずれも20%ですが、「買い物1回あたりの付与上限」は文京区が10,000ポイントなのに対し、足立区は2,000ポイント。
文京区の場合、1回50,000円の買い物まで20%還元の適用を受けられる計算になりますが、足立区では1回10,000円を超える決済をしても還元されるのは2,000ポイントが上限となり、この金額を超えた決済の場合、還元率は下がっていきます(たとえば、足立区のキャンペーンで1回50,000円の買い物をして還元されるポイントは2,000Pとなり、還元率は4%となります)。
キャンペーンを利用して高額な買い物をする場合には、この点を事前に確認しておきましょう。月間、もしくはキャンペーン期間全体で還元されるポイントにも上限が設けられていますので、こちらもチェックしておきたい点になります。
これらの自治体キャンペーンは、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた事業者への支援という位置づけで行っている自治体が大半。そのため、ほとんどの自治体で、対象となる店舗を中小や個人の加盟店に絞っています。利用の際は対象店舗をしっかり確認しましょう。
ポイント還元を受けるにあたって、当該自治体の住民であるかどうかは問われません(一部のキャンペーンでは例外あり)。そのため、職場があったり旅行を予定していたりする自治体で、こうしたキャンペーンが実施されていないか、調べておくとよいでしょう。
各自治体のキャンペーンでは予算額があらかじめ決められており、これに達しそうな場合、予定を早めて終了します。その際は、各自治体が設けた専用サイトなどで事前に告知されるので、利用前に見ておくと安心でしょう。
筆者の自宅近くの東京都東村山市では、2022年10月から12月にかけてPayPayと連携したキャンペーンを実施していました。筆者も利用してみましたので、その模様をお伝えしていきます(現在、東村山市ではキャンペーンは実施されていませんので、ご注意ください)。
東村山市は対象店を中小・個人経営の店舗に絞っていました。利用にあたり最初に行ったのはお店探しですが、PayPayアプリを使うことで、以下の手順で見つけることができました(ほかの決済サービスのアプリでも、基本的に同様の方法で探すことができます)。
(1)アプリトップページの「近くのオトク」をタップ
(2)探したいエリアにカーソルを動かす
(3)キャンペーン名で絞り込み
PayPayを使った対象店舗の検索方法(画像はキャンペーン公式サイトより)
自治体の公式ホームページに対象店舗の一覧が掲載されていることもあるので、これを基に探すこともできます。東村山市の場合、エリア別、業種別の一覧表が作成されていたので、飲食店に絞って探していた筆者はこちらも参考にしました。
また、対象の店舗にはポスター、あるいはステッカーが掲示されているので、時間があれば散歩しながら対象店を見つける、という方法もありかもしれません。筆者は今回、東村山市内にある西武池袋線「秋津駅」からJR武蔵野線「新秋津駅」間の商店街を歩いてみましたが、すぐに10枚近くのポスターを見つけることができました。
筆者はパスタ店、から揚げ専門店を利用することに。お店が決まれば、後は会計の際にPayPayで支払うだけでOK。支払う際は
(1)店頭にあるQRコード決済をPayPayのスマホアプリで読み取る
(2)金額を入力
(3)入力した金額をお店のスタッフに提示し、決済
(4)決済完了の画面と還元額が表示
といった流れで決済が完了します。
対象店のレジ付近に置いてあるQRコードを読み取り、金額を入力し決済完了をすれば、後日還元を受けられます
今回、PayPayで支払ったのは2店舗合計1,520円。通常分と30%還元分の計463ポイントが30日後に付与されました。なお、東村山市の場合、1回あたりの付与上限額は3,000ポイント、1か月間の付与上限額は6,000ポイントとなっていました。
対象店のイタリアンレストランでランチをいただきました。支払い額が1,200円だったので、通常分とあわせて366ポイントが後日還元されました
利用した2店舗計1,520円の支払いに対し、通常分とあわせ463ポイントが還元されました
自治体キャンペーンを利用して感じたのは、対象店舗が幅広いこと。今回利用したのは飲食店のみでしたが、東村山市の場合、対象店にはクリーニング店や美容室、工務店、整骨院など、さまざまな業種の店舗が登録されていました。これも対象自治体内の中小・個人経営の店舗を対象にしているキャンペーンならではの特徴と言え、普段使いしやすいお店が多いのは大きなメリットと感じました。
QRコード決済を活用した地域限定キャンペーンの利用方法についてお伝えしてきましたが、2024年12月、2025年1月にキャンペーン実施予定の自治体を紹介していきましょう。まずはPayPayからです。
(2024年12月時点の各サービス公式サイトの情報を基に記載しています)
登録者数が6500万人を突破し(2024年8月時点)、QRコード決済事業者の中でひとり勝ちの様相を呈してきたPayPayですが、自治体連携のキャンペーンでも先頭を走っています。「あなたのまちを応援プロジェクト」と題し、2020年7月にキャンペーンをスタート。これまでに450超の自治体で行われ、このうち半数以上の自治体で複数回実施されているとのことです。
関連HP:あなたのまちを応援プロジェクト公式サイト
PayPayと連携して実施している自治体のキャンペーンで、対象となる支払い方法は「PayPay残高」「PayPayクレジット」「PayPayポイント」の3種類となります。還元分のポイントは利用の30日後に付与されます。前述のとおり、キャンペーンの対象となるのはすべてのPayPay加盟店ではなく、各自治体のキャンペーンに登録された店舗のみです。
PayPayの「あなたのまちを応援プロジェクト」のうち、2024年12月と2025年1月に実施する自治体は以下のとおりです。
現在、キャンペーンの予定はありません
現在、キャンペーンの予定はありません
現在、キャンペーンの予定はありません
〈東京都 足立区〉
キャンペーン期間:2024年11月15日〜12月25日
還元率:最大20%(中小企業)、最大10%(一部特定店舗)
付与上限:2,000ポイント/1回あたり、5,000ポイント/期間
〈東京都 葛飾区〉
キャンペーン期間:2024年12月1日〜2025年1月31日
還元率:最大15%
付与上限:3,000ポイント/1回あたり、10,000ポイント/期間
〈東京都全域〉
キャンペーン期間:2024年12月11日〜12月24日
還元率:最大10%
付与上限:3,000ポイント/1回あたり、および期間
〈長野県 小布施町〉
キャンペーン期間:2024年12月10日〜12月31日
還元率:最大15%
付与上限:1,000ポイント/1回あたり、3,000ポイント/期間
現在、キャンペーンの予定はありません
現在、キャンペーンの予定はありません
現在、キャンペーンの予定はありません
〈熊本県 山都町〉
キャンペーン期間:2025年1月6日〜1月31日
還元率:最大20%
付与上限:6,000ポイント/1回あたり、30,000ポイント/期間
KDDIが提供するau PAYも、2020年9月から「あなたの街のau PAY キャンペーン」と題して各自治体と連携したキャンペーンを展開しています。2024年12月は、下記の自治体でキャンペーンを実施しています(自治体事業への参加者を対象にした「マイナポイント連携キャンペーン」などは記載していません)。
なお、au PAYでは、東京都の「TOKYO元気キャンペーン」にあわせて上乗せの特典を用意。キャンペーン期間中に5,000円以上決済すると最大50,000Pをプレゼントしたり、京王百貨店や西武百貨店などの対象店舗で5%オフとなるクーポンを配布したりしています。
関連HP:あなたの街のau PAY キャンペーン
〈北海道 知内町〉
キャンペーン期間:2024年11月1日〜12月31日
還元率:知内町内事業者で最大20%、大手事業者で最大10%
付与上限:知内町内事業者は2,000円相当/1回あたりおよび期間、大手事業者は1,000円相当/1回あたりおよび期間
〈山形県小国町〉
キャンペーン期間:2024年12月13日〜2025年1月12日
内容:小国町の対象店舗の対象店舗で、1回500円(税込)以上をau PAY(コード支払い)で決済すると抽選で10名に10,000Pontaポイント、100名に1,000Pontaポイントをプレゼント
〈東京都 足立区〉
キャンペーン期間:2024年11月15日〜12月25日
還元率:中小店舗は最大20%、大手店舗は最大10%
付与上限:2,000円相当/1回あたり(中小、大手店舗の合算値)、5,000円相当/期間(中小、大手店舗の合算値)
〈東京都 葛飾区〉
キャンペーン期間:2024年12月1日〜2025年1月31日
還元率:最大15%
付与上限:3,000円相当/1回あたり、10,000円相当/期間
〈東京都全域〉
キャンペーン期間:2024年12月11日〜12月24日
還元率:最大10%
付与上限:3,000円相当/1回あたり、および期間
〈長野県 小布施町〉
キャンペーン期間:2024年12月10日〜12月31日
還元率:最大15%
付与上限:1,000円相当/1回あたり、3,000円相当/期間
〈大阪府 中崎町エリア〉
キャンペーン期間:2024年12月1日〜12月31日
還元率:最大10%(1回1,000円以上の決済が対象)
付与上限:1,000円相当/1回あたり、5,000円相当/期間
〈福岡市 大名エリア〉
キャンペーン期間:2024年11月15日〜12月20日
内容:福岡市大名エリアの対象店舗で、1回200円(税込)以上をau PAY(コード支払い)で決済すると抽選で400名に1,000Pontaポイントをプレゼント
〈宮崎市 橘通周辺〉
キャンペーン期間:2024年12月2日〜12月25日
内容:橘通周辺の対象店舗で、1回500円(税込)以上をau PAY(コード支払い)で決済すると、抽選で100名に2,000Pontaポイントをプレゼント。また、1回500円(税込)以上をau PAY(コード支払い)で決済すると使える、最大20%割引クーポンをau PAYアプリに配信(割引上限は1回500円、利用は3回まで)
〈鹿児島県 鹿児島市のゾウさんのはな通り会〉
キャンペーン期間:2024年8月13日〜2025年1月31日
還元率:最大20%
付与上限:2,000円相当/1回あたり、および期間
〈沖縄県 宮古島市〉
キャンペーン期間:2024年12月1日〜2025年1月31日
還元率:最大20%
付与上限:1,000円相当/1回あたり、10,000円相当/期間
NTTドコモが提供するd払いは、「街のお店を応援! d払いであんしんキャッシュレス」と題したキャンペーンを2020年9月からスタートしています。2024年12月は、下記の自治体でキャンペーンを実施しています(自治体事業への参加者を対象にした「自治体マイナポイント事業」などは記載していません)。
〈北海道 知内町〉
キャンペーン期間:2024年11月1日〜12月31日
還元率:知内町内事業者は最大20%、大手事業者は最大10%
付与上限:知内町内事業者は2,000ポイント/1回あたりおよび期間、大手事業者は1,000ポイント/1回あたりおよび期間
〈東京都全域〉
キャンペーン期間:2024年12月11日〜12月24日
還元率:最大10%
付与上限:3,000ポイント/1回あたり、および期間
〈東京都 足立区〉
キャンペーン期間:2024年11月15日〜12月25日
還元率:最大20%(中小企業)、最大10%(一部特定店舗)
付与上限:2,000ポイント/1回あたり、5,000ポイント/期間
〈東京都 葛飾区〉
キャンペーン期間:2024年12月1日〜2025年1月31日
還元率:最大15%
付与上限:3,000ポイント/1回あたり、10,000ポイント/期間
〈長野県 小布施町〉
キャンペーン期間:2024年12月10日〜12月31日
還元率:最大15%
付与上限:1,000ポイント/1回あたり、3,000ポイント/期間
楽天ペイは2024年12月、下記の自治体でキャンペーンを実施しています。
関連HP:楽天ペイ キャンペーン
〈福岡市 大名エリア〉
キャンペーン期間:2024年11月15日〜12月20日
内容:福岡市大名エリアの対象店舗で、1回200円(税込)以上を楽天ペイで決済すると抽選で400名に1,000楽天ポイントをプレゼント
〈長野県 小布施町〉
キャンペーン期間:2024年12月10日〜12月31日
還元率:最大15%
付与上限:1,000ポイント/1回あたり、3,000ポイント/期間
〈東京都全域〉
キャンペーン期間:2024年12月11日〜12月24日
還元率:最大10%
付与上限:3,000ポイント/1回あたり、および期間
〈東京都 葛飾区〉
キャンペーン期間:2024年12月1日〜2025年1月31日
還元率:最大15%
付与上限:3,000ポイント/1回あたり、10,000ポイント/期間
〈東京都 足立区〉
キャンペーン期間:2024年11月15日〜12月25日
還元率:最大20%(中小企業)、最大10%(一部特定店舗)
付与上限:2,000ポイント/1回あたり、5,000ポイント/期間
以上、地方自治体がQRコード決済事業者と連携して行う自治体キャンペーンの概要を紹介するとともに、2024年12月と2025年1月実施分の自治体ごとの内容をまとめました。
こうしたキャンペーンでは、最近ではほとんど見かけなくなった「10〜20%」というポイント還元を受けられるのが大きな利点ですが、「買い物1回ごと」と「期間・月間」という2つの還元上限額を確認しておくとよいでしょう。
筆者も自分が住む、あるいは近場の自治体でキャンペーンが実施されていると、これまでもよく利用してきました。もちろん、「ポイント」がいちばんの目当てではありますが、個人店や中小店舗が対象になっているため、これまで知らなかった近所の魅力的なお店を発見するよい機会になるのもうれしいところです。TVCMなどで大々的に告知されることはないので、ご自身が住んでいたり職場があったりするエリアでこうしたキャンペーンが実施されていないか、この記事も参考にチェックしてみてください。