ここ1月間程度のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー担当の編集部員やライターが気になったものをピックアップしてお伝えする当連載。
今月のトップニュースは、セブン-イレブンでのおトクなポイント還元の話題について。2024年11月1日より、セブン&アイ系クレカ「セブンカード・プラス」を使うと、最大10%還元(セブン銀行併用の場合最大11%還元)となる取り組みが始まりました。高還元となる仕組みを中心に解説します。
2024年10月から始まった「三井住友カードを使うと最大10%還元」に続き、セブン-イレブンに新たなおトク特典が登場
このほか、松井証券とJCBによる「クレカ積立」サービスの話題や、関西の鉄道各社による「タッチ決済乗車」の拡大についてもお伝えします。
○セブン-イレブン、セブン&アイ系クレカ「セブンカード・プラス」の還元率を大幅改善
○セブン-イレブンでの還元率が「nanacoポイント」「セブンマイル」合算で最大10%に
○セブン銀行を引落口座に設定するとさらに1%還元率を上乗せ
コンビニ最大手のセブン-イレブンは、2024年11月1日より、クレカの「セブンカード・プラス」で支払うと最大10%分のポイントを還元する取り組みをスタートしました(セブン銀行の併用で+1%還元・後述)。
セブン-イレブンの店舗でも告知が始まっています
「セブンカード・プラス」は、セブン&アイグループのセブン・カードサービスが発行する年会費永年無料のクレカです。
基本のポイント還元率は0.5%(200円利用で1P還元・貯まるのは「nanacoポイント」)と標準的ですが、セブン&アイグループの対象店(セブン-イレブン、イトーヨーカドー、デニーズなど)で使うとポイント還元率が1%に上がるのが特徴でした。この対象店うち、セブン-イレブンのみ、最大10%還元と突出したポイント還元率になりました。
「セブンカード・プラス」のこのほかの特典
・毎月8日・18日・28日の「ハッピーデー」にイトーヨーカドーで本カードを利用・提示すると、食料品、衣料品など、ほぼ全品が5%オフ。
・電子マネー「nanaco」へのチャージで、200円ごとに1P貯まる。
セブン-イレブンで高還元となる仕組みや内訳は下記のとおりです。「セブンカード・プラス」の引落口座にセブン銀行を指定した場合は1%還元率が上乗せされ、合計で11%還元とさらにおトクになります。
《必要な準備》
・(持っていない人は)「セブンカード・プラス」を発行
・「セブン-イレブンアプリ」からセブン&アイグループの「7id」を登録
・「セブン-イレブンアプリ」から「セブンカード・プラス」のカード番号を登録
・(11%還元を目指したい場合は)セブン銀行の口座を用意し、「セブンカード・プラス」の引落口座に設定
《支払い》
・セブン-イレブンの店頭で、「セブンカード・プラス」で支払い
※ただし10%還元となるのは、タッチ決済かICチップを差し込んで支払った場合のみ
《ポイント還元》
・「nanacoポイント」9.5%還元(1,000円の買い物の場合95P付与)
・「セブンマイル」0.5%還元(1,000円の買い物の場合5マイル付与)
・「セブンカード・プラス」の引落口座にセブン銀行を指定している場合は「nanacoポイント」1%還元(1,000円の買い物の場合10P付与)
※「nanacoポイント」は、電子マネー「nanaco」に交換可能(1P=1円相当)。「セブンマイル」は「nanaco」や「nanacoポイント」に交換可能(10マイル=10P/10円相当)
前回の当連載(下記リンク参照)でお伝えしましたが、セブン-イレブンは、2024年10月15日より、「セブン-イレブンアプリ」と対象の「三井住友カード」を使ったスマホのタッチ決済の組み合わせで、最大10%の「Vポイント」を還元する取り組みをスタートしています。これに加えて、今回「セブンカード・プラス」も高還元化され、おトクな支払方法の選択肢が広がってきました。
ローソンはKDDIが経営に加わり、共通ポイント「Ponta」との関係を強化。ファミリーマートは独自アプリ「ファミペイ」を核にスマホ決済や金融サービスを展開するなど、大手コンビニ間の決済やポイント関係の競争が激しくなっています。私たちの生活とは切っても切れない関係にあるコンビニ。今後も各社の動向に注目し、おトクな特典を漏れなく利用していきたいところです。
セブン-イレブンでは、三井住友カードのスマホのタッチ決済でも最大10%還元となります
2024年11月16日より、「セブンカード・プラス」をセブン-イレブンでの支払いに使った際のポイント還元率がさらに上がるキャンペーンも始まっています。
「セブンカード・プラス」の月間の利用金額7万円以上で「nanacoポイント」の還元率が1%アップ(前出の特典との合計で最大12%還元)。同じく、月間の利用金額12万円以上で「nanacoポイント」の還元率が2%アップします(同最大13%還元)。キャンペーンの実施期間は2025年4月15日までで、この間、計6回の判定期間があります。初回は2024年11月16日〜12月15日で、この間の利用金額に応じて還元率がアップする仕組みです。
実施期間:実施中〜2025年4月15日
○松井証券とJCBが、2025年5月から「クレカ積立」サービスを始めると発表
○ポイント還元率は、JCBの一般カードで最大0.5%、ゴールド以上のカードで最大1%
○サービス開始から最大3か月間、還元率が上乗せされるキャンペーンも実施
ネット証券大手の松井証券と、クレカ大手のJCBは、2025年5月よりクレカ積立サービスを始めると発表しました。両社はすでに提携済みで、クレカ積立サービスを始めることが予告されていましたが、今回、初めて具体的な情報が出てきました。
画像は松井証券公式サイトより
「松井証券×JCB」の「クレカ積立」の対象となるクレカは、JCBが発行する「JCBオリジナルシリーズ」(JCBのプロパーカード)です。2025年5月より、松井証券での投資信託の積み立てに「JCBオリジナルシリーズ」を利用することができ、積立額に応じて「Oki Dokiポイント」が付与されます。ポイント還元率は利用する券種や月間の利用額によって異なります(下記図表参照)。
画像は松井証券公式サイトより
一般カードの場合、月間利用額が5万円未満の場合は、「クレカ積立」でのポイント還元の対象外。月間利用額が5万円以上で最大0.5%還元です。また、「JCBゴールド」以上の上位カードの場合は、月間利用額が5万円未満で最大0.5%還元、5万円以上で最大1.0%還元です(※)。
なお、月間利用額には「クレカ積立」の積立額は含まれません。このほか、各種年会費やショッピングリボ・分割・スキップ払いの各手数料、電子マネーチャージ利用分など、カウント対象外となる支出もあるのでご注意ください。
※本文や図表に記載のポイント還元率は、「JCBプレモカード」へ1P=5円でポイント移行した場合のもの。ポイントの交換先により実質的なポイント還元率が下がる場合があります。
「松井証券×JCB」の組み合わせは、他社の「クレカ積立」サービスと比較するとポイント還元率がやや低めな印象を受けます。
ただし、松井証券には、保有している投資信託の残高に応じて最大1%の「松井証券ポイント」(※)が貯まる「投信残高ポイント」というサービスがあります。「最大1%還元」は、他社の同種のサービスと比較してもかなり高水準です。「クレカ積立」サービスの開始後も、「投信残高ポイント」は継続されるとのことなので、2つのサービスを合わせて考えると、まずまずおトクな内容と言えそうです。
※松井証券ポイント……「PayPayポイント」や「dポイント」、「Amazonギフトカード」などの3,000種類以上の商品との交換や、投資信託の積み立てなどに利用可能な、松井証券のオリジナルポイント。
「松井証券×JCB」の「クレカ積立」サービスのリリースを記念し、おトクなポイント増量キャンペーンも予告されています。
下記の条件を満たすと、最大3か月間、「クレカ積立」のポイント還元率が最大7%還元になります(「JCBゴールド」以上のグレードのカードの場合)。キャンペーンは、「松井証券×JCB」の「クレカ積立」サービスのリリース日からスタート。終了時期は、現時点では未定とのことです。
「松井証券×JCB」の「クレカ積立」ポイント増量キャンペーンの条件
(1)キャンペーンにエントリー、かつポイント進呈対象月の判定基準期間において、米国株を500ドル以上買い付け ➡ 「クレカ積立」で還元率2%アップ
(2)(1)をクリアのうえ、松井証券にNISA口座を開設 ➡ 「クレカ積立」で還元率2%アップ(合計4%アップ)
(3)(1)(2)をクリアのうえ、スイープ入金を「あり」に設定 ➡ 「クレカ積立」で還元率1%アップ(合計5%アップ)
(4)(1)〜(3)をクリアのうえ、iDeCo口座を開設かつ、投資信託お客様サイトでiDeCo口座情報を登録 ➡ 「クレカ積立」で還元率1%アップ(合計6%アップ)
※(1)〜(4)のエントリーの順番は問わず。
○関西の地下鉄・私鉄の合計4社が、クレカの「タッチ決済乗車」への対応をスタート
○これで、関西の548の駅で「タッチ決済乗車」が可能に
○大阪・関西万博が開催される2025年にも「タッチ決済乗車」対応の路線・駅は拡大予定
Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)、近鉄、阪神電車、阪急電鉄の関西私鉄4社は、三井住友カードが提供する公共交通機関向けソリューション「stera transit(ステラトランジット)を2024年10月29日より導入すると発表しました。これにより、関西エリアの548駅で、新たにクレカの「タッチ決済乗車」が可能になりました。
画像は三井住友カードのリリースより
「stera transit」は、三井住友カードが公共交通機関向けに提供している、クレカのタッチ決済での乗車を可能にする仕組みです。これを導入することにより、三井住友カードだけでなく、各社が発行する「タッチ決済に対応したクレカ」や、各カードを設定したスマホやウェアラブルデバイスを改札機などの専用リーダーにかざすことで、鉄道やバスに乗車することができます。
現状、マスターカードのみ導入が遅れているものの(一部公共交通機関は対応済み。今後も各社対応になる予定)、Visa、JCB、アメックス、ダイナースなど複数の国際ブランドに対応。切符や交通系ICカードを購入(あるいはチャージ)せずとも、普段使っているクレジットカードなどでそのまま乗車できることから、インバウンド客の増加などにともなって導入する鉄道会社が増えています。また、交通系ICカードと比べて、インフラの保守・更新費用が低いという点でも、注目されているようです。
「stera transit」を活用した「タッチ決済乗車」は、2021年4月より南海電気鉄道(南海)が国内初の実証実験を開始。これまでに日本全国32都道府県、130の公共交通で採用されています。
関西エリアでは、南海のほかに、大阪モノレール、京都丹後鉄道、神戸市営地下鉄、神戸新交通、神戸六甲鉄道、神戸電鉄、泉北高速鉄道で利用が可能で、今回新たに前出の4社が参加。2025年3月にはさらに利用可能な路線やエリアが拡大する予定とのことで、全国でも「タッチ決済乗車」の普及が早いエリアのひとつになりそうです(関西以外では九州・福岡エリアでの普及が進んでいます)。
背景にあるのは、2025年に開催予定の大阪・関西万博です。国内外からの訪問客により鉄道需要の急増が予想されていますが、クレカで乗車できる体制を整えることで、便利でスムーズな移動を実現する狙いがあるようです。
最後に、現在実施されているキャッシュレス関連のキャンペーンの中から、編集部がチョイスした3つのキャンペーンをご紹介します。
SBI証券は、NISA口座の開設者を対象に、「三井住友カード」を利用する「クレカ積立」において、「Vポイント」の還元率を0.1%引き上げるキャンペーンを実施中です。対象期間は2024年12月買付分(11月10日まで設定分)から2025年5月買付分(4月10日設定分)まで。
実施中〜2025年5月買付分(4月10日設定締切)
期間中、東北を除く本州・四国のイオン、イオンスタイル、ザ・ビッグ昭島店、清水フードセンターの直営売り場や対象のネットショップで、イオンマークのついたカードのクレジット払いか、「AEON Pay」のスマホ決済(イオンカード払い)で「WAON POINT」が基本の3倍になります。なお、期間中に5万円以上支払った場合は10倍、10万円以上支払った場合は20倍と、獲得ポイントが増えていきます。なお、テレビゲーム、携帯ゲーム関連商品、カウンセリング化粧品、調剤薬品、たばこの購入分はカウント対象外です。
2024年11月20日〜12月1日まで
期間中、「TOKYU POINT」に登録したPASMOやSuicaで、東急線と東急バスの両方を同日に利用すると、最大で「TOKYU POINT」が100P付与されます。なお、東急線および東急バスの両方が定期券区間の場合はポイント付与の対象外です。どちらかいっぽうが定期券区間の場合は50P、どちらも定期券区間外の場合は100Pが付与されます。
実施中〜2024年12月31日まで