ここ1か月間程度のキャッシュレス関連ニュースのなかから、マネー担当の編集部員やライターが気になったものをピックアップしてお伝えする当連載。今月のトップニュースは、2025年3月4日よりサービスが始まった「Vポイント運用」の話題についてです。
「Vポイント運用」は、「Vポイント」を使って投資の疑似体験ができるサービスです。このようなサービスは、一般的に「ポイント運用」と呼ばれ、主要なポイントサービスにおける“定番サービス”として人気ですが、これまで5大ポイント(V、楽天、PayPay、d、Ponta)で唯一、「Vポイント」のみ対応していませんでした。本記事ではQ&A形式で「Vポイント運用」の概要や仕組みをお伝えします。
このほかNTTドコモから登場した若年層向けの新しいクレジットカード「dカードGOLD U」や、普通預金の残高に応じて通常の6倍のマイルが貯まる「JAL NEOBANK プレミアム」、現在開催中のキャッシュレス関連キャンペーン(計3本)についてもお伝えします。
〇2025年3月4日、「Vポイント」に疑似投資サービスの「Vポイント運用」が登場
〇「Vポイント」を運用に投じると、実在するETFの値動きに合わせて増減
〇サービス内容はまだ限定的、今後の進化に期待
2025年3月4日、CCCMKホールディングスは、「Vポイント」を使って疑似運用ができる「Vポイント運用」のサービスを始めました。以下、Q&Aでサービスの概要をチェックします。
画像はCCCMKホールディングスのプレスリリースより
ユーザーは、手持ちの「Vポイント」を、運用したいコースに追加します。これで運用が始まります(証券口座は不要)。運用中のポイントは、各コースが連動するETF(上場投資信託)の値動きに合わせて増減します。
ポイントは好きなタイミングで“使える状態”に引き出す(運用をやめる)ことが可能です。運用ポイントが増えた状態で引き出せば、その分、使えるポイントも増えますが、逆に、減ってしまうこともあります。
2025年3月12日の記事執筆時点では、「全世界コース」「米国テックコース」「日本株コース」の3つの運用コースが用意されています。
ユーザーは、好きなコースに好きな数の「Vポイント」を投じることができ、同時に複数のコースで運用することも可能です。少々専門的になりますが、各コースの詳細は下記のとおりです。なお、CCCMKホールディングスによると、将来的なコースの追加も検討されているようです。
「Vポイント運用」で運用可能な3つのコース(2025年3月12日時点)
・全世界コース:世界中の株式市場を網羅的に投資対象とし運用する「ISHARES MSCI ACWI ETF」を参照資産として連動するコース
・米国テックコース:アメリカにあるテクノロジー分野に注力する企業を投資対象とし運用する「Vanguard Info Tech ETF(VGT US)」を参照資産として連動するコース
・日本株コース:日本国内にある主要企業の株価に連動し運用する「Next Funds TOPIX ETF(1306 JP)」を参照資産として連動するコース
「Vポイント」には関連アプリが複数ありますが、2025年3月12日時点で「Vポイント運用」を利用するには「Vポイントアプリ」が必要です。
将来的には、「Vpassアプリ」(三井住友カード公式アプリ)、「三井住友銀行アプリ」、「VポイントPayアプリ」(「Vポイント」の決済アプリ)などからも、「Vポイント運用」にアクセスできるようになる予定とのことです。
「Vポイントアプリ」から「Vポイント運用」への画面遷移例(CCCMKホールディングスのプレスリリースより)
▼「Vポイント」に関連する複数のアプリの違いについて、下記の記事で詳しく解説しています。
「Vポイント運用」には、ポイント追加の方法が2つあります。1つめが「スポット追加」で、好きなタイミングに手動でポイントを運用に追加する方法です。追加単位は100P以上から1P単位です。
もう1つが「自動追加」で、ユーザーが設定した任意の日にちに、毎月ポイントが運用に追加されます。追加するポイントは1P単位で設定が可能で(上限99,999P)、その時点で保有しているすべてのポイントを運用に追加する「全ポイントの自動追加設定」も可能です。
「自動追加」にはいくつか注意点があります。まず、2コース以上同時に「自動追加」の設定はできません。(ただし、自動追加+スポット追加という形なら、2コース以上で運用することは可能)。
また、1日に「自動追加」を設定できる人数が制限されており、人数が上限に達している日に関しては、「自動追加」の選択肢が表示されません。実際、本記事編集担当者(野)が試した際も、「29日」「30日」など、月末のいくつかの日が選択肢に表示されませんでした。
ポイントの追加、引き出しとも、営業日の12時30分までの申し込みが「当日分」として扱われます。追加や引き出しが反映されるタイミングは選んだコースによって異なり、「日本株コース」は最短で注文当日に反映されますが、「全世界コース」と「米国テックコース」は最短で2営業日後の18:00以降とやや時間がかかります。
Q4で紹介した2つの追加方法のうち、前者の「スポット追加」にのみ、追加するポイントの1%分が実質的な手数料として引かれます。いっぽう、後者の「自動追加」の場合は手数料がかかりません。ポイントを引かれたくない場合は、「自動追加」をうまく活用するのがよさそうです。
「Vポイント運用」が登場したことにより、5大ポイントすべてに「ポイント運用」サービスが出そろいました。「Vポイント」を増やせる可能性のあるサービスが登場したことは、「Vポイント」ユーザーにとって朗報であることは間違いないでしょう。
ただ、他社の「ポイント運用」サービスと比べた場合、現状、「Vポイント運用」には“特に強い”と呼べる特徴が見当たらないのが実情です。
5大ポイントの「ポイント運用」サービス比較表(2025年3月12日時点)
たとえば、先月の当連載でお伝えしたとおり、PayPayの「ポイント運用」は、9番目の運用コースとして「ビットコインコース」を投入するなど、運用の選択肢を着々と増やしています。このほか、ドコモの「dポイント投資」もコース数は豊富であり、これらと比較すると、「Vポイント運用」の3コースという数にはやや物足りなさを感じます。
また、手数料についても、まったく発生しない仕組みを採用している3サービスと比べるとやや見劣りすると言えるかもしれません。
ただ、これらはあくまでも、現状での評価です。前出のとおり、「Vポイント運用」は、今後運用コースの拡充などが予定されています。「ポイント運用」サービスのなかで存在感を高めていけるかは、今後の進化いかんにかかっていると言えそうです。
〇ドコモが若年層向けゴールドカード「dカードGOLD U」の申し込みを開始
〇年会費は3,300円とゴールドカードとしては格安ながら豊富な特典が魅力
〇好調が伝えられる「dカードPLATINUM」と合わせ、カードラインアップがさらに充実
2025年2月27日、NTTドコモ(以下、ドコモ)は、新しいクレジットカード「dカード GOLD U」の申し込み受付を開始しました。ドコモは2024年2月7日に発表した2024年度第3四半期決算の中で、2024年11月にリリースした「dカードPLATINUM」の好調ぶりを伝えるとともに、2024年度中の「dカードGOLD U」の発行を予告していました。
画像はドコモのプレスリリースより
「dカードGOLD U」は、18〜29歳の人が申し込める、「若年層向けのゴールドカード」という位置づけです。年会費は3,300円とゴールドカードとしては格安ながら、基本のポイント還元率が1%と比較的高めに設定されており、加えて、下記のようなさまざまな特典を備えています。
「dカードGOLD U」の主な特典
・対象のドコモ料金プランの支払いで5%還元
・「ドコモでんき Green」料金の6〜10%還元
・携帯の紛失・盗難・修理不能時に最大10万円を補償
・積立投資の「dカード積立」で1.1%還元
・海外旅行傷害保険は最高2,000万円の利用付帯
など
本カードのベースとなっている「dカード GOLD」(年会費1万1,000円)と比較すると、還元率や補償額の面でやや“小粒”な特典も含まれてはいるものの、ゴールドカードの入門編としては十分なスペックと言えます。
また、「満22歳以下」、「年間のショッピング利用額30万円以上」などの条件をクリアすると、年会費を実質無料にすることも可能であり、これらを踏まえるとかなりコスパのよいカードと評価できます。対象年齢に含まれるドコモユーザーの人なら、積極的に検討する価値がある1枚と言えそうです。
▼「dカードGOLD U」は下記の記事で詳細に解説しています。
ドコモは、前出の2024年度第3四半期決算の中で、金融などを含むスマートライフ事業の営業収益が、対前年比13.6%増となる9,044億円になったことを発表しています。そのけん引役となったのが、2024年11月より提供が始まった「dカード PLATINUM」です。
画像はドコモのプレスリリースより
ドコモ初のプラチナカードである「dカード PLATINUM」は、ドコモ関連の支出やクレカ積立に対するポイント還元率などが高めに設定された、おトク感のあるスペックが話題です。
年会費は2万9,700円と高額ながら、会員数はすでに34万7,000人を突破(2025年1月末時点)し、年会費だけで約100億円もの収入につながったと考えられます。一定数の「dカードGOLD」の既存会員が「dカード PLATINUM」へ移行したと考えられるため、その分は割り引いて考える必要はありますが、経営面でもかなりのインパクトと言えそうです。
ドコモの発表によると、ドコモの既存のクレジットカードから「dカード PLATINUM」に切り替えた人の月間のカード利用額を比較すると、1年前と比較して21%増加しているとのこと。また、ドコモが提携する「マネックス証券」での同カードを利用したクレカ積立の月の積立額においても、既存カードでの積立額と比べると、「dカード PLATINUM」での積立額は32%多いそうです。年会費のみならず、カードの利用額の面でも、「dカード PLATINUM」は一定の成果を収めているようです。
このように好調が伝えられているドコモのクレジットカード事業。「dカードGOLD U」が加わったことでラインアップはさらに充実し、今後の動向にも注目です。
〇JALの金融サービス「JAL NEOBANK」に有料プログラムが登場
〇入会すると、普通預金の残高に応じて通常時の最大6倍のマイルを獲得することが可能
〇2024年1月スタートの「JAL Life Statusポイント」獲得にもメリットあり
2025年2月3日、住信SBIネット銀行とJALペイメント・ポートは、「JAL NEOBANK」の有料プログラムである、「JAL NEOBANKプレミアム」の受付を始めました。
画像はJALのプレスリリースより
「JAL NEOBANK」は、住信SBIネット銀行が非金融企業向けに銀行機能を提供するBaaSサービス(NEOBNAK)を活用した“JALの銀行サービス”です。JALマイレージバンク(JMB)会員を対象とし、アプリ上で振り込みや円預金などの銀行取引ができるほか、銀行取引に応じてマイルを貯めることもできます。
新たに登場した「JAL NEOBANKプレミアム」は、年会費5,500円を支払うことで、下記の特典を受けられます。特に、「特典1:普通預金マイル」と「特典2:半期ボーナスマイル」を合わせると、「JAL NEOBANKプレミアム」の未加入時と比較して6倍のマイルが貯まることになり、マイルファンの注目を集めそうです。
円普通預金や外貨普通預金の月末残高に応じて貯まるマイルが、通常時の2倍になります。たとえば、円普通預金の月末残高が100万円以上〜300万円未満の場合、通常のマイルプログラムでは20マイル貯まるところ、「JAL NEOBANKプレミアム」なら40マイル貯まります(マイルプログラム+普通預金マイルの合算)。
「JAL NEOBANKプレミアム」への入会月から6か月経過するごとに、通常の「マイルプログラム」と、前出の「特典1:普通預金マイル」で積算された合計マイル数の2倍のマイルが「半期ボーナスマイル」として貯まります。
たとえば、円普通預金100万円を6か月間維持すると、通常のマイルプログラム分として120マイル、普通預金マイル分として120マイル貯まります。これらを合算した240マイルの2倍に相当する480マイルが、「半期ボーナスマイル」として加算されます。
通常のマイルプログラムに加えて、「特典1:普通預金マイル」、「特典2:半期ボーナスマイル」の積算回数に応じて、「JAL Life Statusポイント」が貯まります。たとえば、円普通預金の場合、「特典1:普通預金マイル」であれば6回積算されるごとに2P、「特典2:半期ボーナスマイル」であれば積算1回につき1Pが貯まります。
「JAL Life Statusポイント」は、2024年1月から始まったJALの新しいポイントプログラムのこと。JALグループ便の搭乗や、JAL関連のクレジットカード、金融、でんきなどのサービスを利用することで貯まり、貯まったポイント数などにより、「JMB elite特典」や「JALグローバルクラブの入会資格」などのさまざまな特典が受けられます。
最後に、編集部がチョイスした3つのキャッシュレス関連キャンペーンをご紹介します。
期間中に新規で「三井住友カード ゴールド(NL)」に申し込むと、初年度の年会費(通常5,500円)が無料になります。同カードは年間100万円以上利用すると、翌年度以降の年会費が永年無料になるため、本キャンペーンを利用し、かつ条件を達成することで、年会費を一切払わずに「年会費永年無料」で本カードを持つことも可能です。なお、既存カードからの切り替えの場合はキャンペーンの対象外です。
期間:開催中〜2025年4月30日まで
期間中にエントリーのうえ、キャンペーン対象企業のポイントを「dポイント」に交換すると、交換ポイントに10%増量、さらに抽選で10人にひとりの確率でさらに10%増量され、最大20%「dポイント」が増量されます。抽選で増量する分の進呈上限は1アカウントあたり10万P。抽選およびポイント進呈はひとりにつき1回です。
キャンペーンの対象ポイントは、「永久不滅ポイント」や「Oki Dokiポイント」など計40企業のポイントです。キャンペーン期間、交換条件などはキャンペーン対象企業ごとに異なるので、詳細は公式サイトでご確認ください。
期間:開催中〜2025年3月31日まで
期間中に対象のイオンカードを申し込み、対象店での支払いにそのカードを使うと、カード発行後1か月間は、請求額が5%OFFになります。対象店は、イオン、イオンモール、イオンタウン、マックスバリュなど。エントリーは必要ありません。
期間:開催中〜2025年4月30日まで