選び方・特集

無線LANルーターの電波をひろげてくれる「Wi-Fi中継器」の選び方

家で使っている無線LAN(Wi-Fi)の速度が遅かったり途切れたりすることはありませんか? もしかしたらそれは電波が届きにくい死角だからかも。そんなとき試してほしいのが「Wi-Fi中継器」、無線LANルーターの電波を中継して、Wi-Fiエリアを拡げてくれるスグレものです。お手ごろかつ設定も簡単なので、初めての方でも使いやすいはず。ここではWi-Fi中継器の選び方を解説しながら、製品も厳選して紹介します。

Wi-Fi中継器とは、親機(無線LANルーター)から飛んできた電波をキャッチし、離れたところにある子機(パソコンやスマートフォンなど)へと、電波を中継してくれる周辺機器です。既存の無線LAN環境に簡単に加えられるほか、製品によっては複数の中継器をリレーさせてさらにエリアを拡げられるのも大きな魅力です。

Wi-Fi中継器を選ぶうえでまず覚えておきたいポイントが「無線LANの規格」です。現在、無線LANの代表的な規格は5種類あり、使用する周波数帯と通信速度がそれぞれ異なっています(表1)。

表1 代表的な無線LAN規格と、現在販売されている主なWi-Fi中継器の最大転送速度。Wi-Fi中継器の中には1000Mbpを超えるモデルもありますが、そうしたハイスペックな製品は少数です。なお、11acや11n対応品は、同時に古い規格である11a/b/gもサポートしていることがほとんどです

Wi-Fi中継器を購入する際には、まず、ご使用の無線LANルーターが、どの規格に対応しているかを調べましょう。この中で最近主流なのが高速な11acや11n。スペック上は11acのほうが上ですが、その分対応機器の価格も高めになります。とはいえ、SNSやスマホゲーム、ハイビジョンの動画再生くらいなら11nでも十分足りるので、2,000円〜3,000円台で購入できる11n対応Wi-Fi中継器からはじめてみるのがお手軽です。

なお、表1のように、無線LANの規格では2つの周波数帯の電波が使われており、2.4GHz帯と5GHz帯でそれぞれ、電波干渉のしやすさや障害物への強さが異なります(表2)。できるなら両方に対応している製品のほうが、環境に応じて使い分けできるので便利です。

表2 無線LANで使う電波2.4GHzと5GHzの各周波数特性の違い

表2 無線LANで使う電波2.4GHzと5GHzの各周波数特性の違い

次に押さえておきたいポイントが「設置場所」です。最近のWi-Fi中継器はコンセントにそのままつなげる直差しタイプが主流です。そのため全体的にコンパクトなモデルが多いですが、なかにはとなりのコンセントに干渉するのもあります。また、奥行も重要で、ろうかのコンセントなどに設置するときはスリムタイプのほうが出っ張らないので安心です。なお、Wi-Fi設定についてはほとんどのモデルが、ボタンひとつで設定が行える「WPS」にほぼ対応しているので心配はいりません(WPSに対応した親機・子機も必要です)。

さて、2,000円台の格安モデルから10,000円台の高機能モデルまで、さまざまあるWi-Fi中継器の中から今回は、初心者にも手が届きやすくて機能的にもシンプルな3,000円前後の高コスパモデルを取り上げていきます。

TP-LINK「RE200」
3,000円以下ではオンリーワンの、11ac&11nデュアルバンド対応モデル

11ac(5GHz)と11n(2.4GHz)の両方に対応したモデルで、3,000円以下で買えるデュアルバンド対応品は本モデルのみ(記事執筆時点)。最大転送速度は11acの433Mbpsで、5GHz用のアンテナ1本と2.4GHz用のアンテナ2本を内蔵。また、有線LANポートを1基搭載し、有線LAN機器も手軽にWi-Fi対応にできます。ネットワークの設定や管理が行えるスマートフォン専用アプリ「Tether」も用意されているので、手動での管理も容易です。ちなみに、安価なWi-Fi中継機ながら3年の保証期間が付いているのもうれしいところ。

●主なスペック
・無線方式:IEEE802.11ac(5GHz)、IEEE 802.11n/g/b(2.4GHz)
・最大転送速度(規格値):433Mbps(IEEE 802.11ac)
・無線設定機能(WPS):対応
・有線LAN:1ポート(100BASE-TX対応)
・接続台数:利用人数4人各3台まで(戸建1階建もしくはマンション2LDK)
・本体サイズ:110(幅)×75.2(高さ)×65.8(奥行)mm、重量:約100g
・消費電力:6.5W

アイ・オー・データ機器「WN-G300EXP」
となりのコンセントをふさがない、コンパクトモデル

2本のアンテナを内蔵し最大転送速度300Mbps の11n(2.4GHz)に対応。壁のコンセントに直付けできますが、となりのコンセントをふさがないコンパクト設計が魅力です。本体サイズは約42(幅)×33(高さ)×42(奥行)mmで、重量は42g。ボディは白色で主張しないデザインなので、部屋のインテリアを損なうこともありません。目立たないように設置したいという方にはピッタリのモデルでしょう。

●主なスペック
・無線方式:IEEE 802.11n/g/b(2.4GHz)
・最大転送速度(規格値):300Mbps(IEEE 802.11n)
・無線設定機能(WPS):対応
・有線LAN:なし
・接続台数:推奨4台
・本体サイズ:42(幅)×33(高さ)×42(奥行)mm、重量:約40g
・消費電力:2.4W

エレコム「WTC-300HWH」
省電力かつスリム設計のシンプルなモデル!

2本のアンテナを内蔵し最大転送速度300Mbps の11n(2.4GHz)に対応した、コンセント直付けタイプ。本体サイズは58.5(幅)×47.5(高さ)×21.9(奥行)mmと全体的に大きめですが、奥行は21.9mmとスリム設計。余分な機能を省いているためか、定格消費電力は公称値約1.6Wと、他のモデルに比べてかなり省電力になっています。ただし、同時接続台数は最大3台(親機との接続含むので実質2台)と少なめなので、少人数の家庭向けかもしれません。

●主なスペック
・無線方式:IEEE 802.11n/g/b(2.4GHz)
・最大転送速度(規格値):300Mbps(IEEE 802.11n)
・無線設定機能(WPS):対応
・有線LAN:なし
・接続台数:3台
・本体サイズ:58.5(幅)×47.5(高さ)×22(奥行)mm、重量:約40g
・消費電力:約1.6W

PLANEX「DANBOARD WIRELESS LAN EXTENDER(DB-WEX01)」
フィギュアとしても楽しめる中継器

漫画家・あずまきよひこ氏の人気コミック「よつばと!」から生まれた、人気キャラクター「ダンボー」の頭部を再現したWi-Fi中継器。動作時には目が光るギミックも。さらに、海洋堂のアクションフィギュア「リボルテックダンボー」と合体できるので、ダンボーのフィギュアとしても楽しめます。ちなみに、本機のWeb設定画面もダンボー仕様とのこと。無線LAN機器としては、2本のアンテナを内蔵し最大転送速度300Mbps の11n(2.4GHz)に対応。背面には有線LANポートを2基(いずれも100BASE-TX)備えており、有線LANしか持たない機器も無線化できます。給電はmicroUSBポートで、ケーブルおよびUSB ACアダプターは別売となります。なお、Wi-Fiデバイスを管理するための独自のアプリ「PLANEX 見えルンです!」に対応し、手元のスマートフォンからWi-Fiデバイスを個別に無効化したり、通信可能な時間帯を決められるタイマー機能などが利用できます。

●主なスペック
・無線方式:IEEE 802.11n/g/b(2.4GHz)
・最大転送速度(規格値):300Mbps(IEEE 802.11n)
・無線設定機能(WPS):対応
・有線LAN:2ポート(100BASE-TX対応)
・接続台数:記載なし
・本体サイズ:71(幅)×47(高さ)×49(奥行)mm、重量:約60g
・消費電力:2.5W(最大)

■関連製品

バッファロー「AirStation WEX-G300」
ギガビットLANポートを搭載した縦置き/横置き可能なモデル

内部に2本のアンテナを内蔵し最大転送速度300Mbps の11n(2.4GHz)に対応。有線のギガビットLANポートを4基搭載したモデルで、有線LAN機器4台もまとめて無線ネットワークに追加できます。また、Smart ExRate対応の同社製無線LANルーターを合わせて使えば、無線LANルーターとの通信を安定化できるのも特徴です。なお、本製品は専用スタンドによる縦置きや横置きのほか、壁掛け(別途ネジが必要)にも対応しています。電源はACアダプターとコンパクトさには欠けますが、スペックにこだわりたい方には魅力的なモデルです。ちなみに、中継器の付け足しは不可とのこと。

●主なスペック
・無線方式:IEEE 802.11n/g/b(2.4GHz)
・最大転送速度(規格値):300Mbps(IEEE 802.11n)
・無線設定機能(WPS):対応
・有線LAN:4ポート(ギガビット対応)
・接続台数:記載なし
・本体サイズ:140(幅)×140(高さ)×31(奥行)mm、重量:約232g
・消費電力:5.8W(最大)

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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