動画のストリーミングサービスが盛況である。先行してサービスインしたhuluは、日本テレビに経営権が移って以降、日本の古いヒーローものやアニメが充実してきた。Netflixはオリジナルドラマも充実しており、筆者の好きなSF・ファンタジー系の映画やドラマに強い。AmazonプライムビデオはAmazonプライム会員なら無料で利用でき、こちらも米国のドラマシリーズが充実している。
アメリカのドラマはちょっとした時間を見つけて集中的に見ていかないと、後半になるに従って伏線が複雑になり、話に付いていけなくなる。そんなわけで、お風呂タイムもドラマ1本消化するのに無駄にはできないのである。
ところが多くの家庭でそうなんじゃないかと思うのだが、お風呂場というのはたいてい家の端の方に位置するため、Wi-Fiの電波が届きにくい。さらに脱衣所とお風呂場でドアが二重になっていて、わりと隔離された空間だ。このためストリーミングで動画を見ていると、いいところで先に進まなくなったり、進んでは止まり進んでは止まりするため、イライラが頂点に達する。
これまでお風呂の中にまで通信機器を持ち込むことはなかったので、全然気にしていなかったが、やはり動画を気持ちよく見るためには、十分な通信環境を確保する必要がある。そう考えてWi-Fiの中継機を色々物色していたのだが、コンパクトで設定が簡単という中継機を見つけた。アイ・オー・データの「WN-G300EXP」である。
サイズ的にはUSB出力ができるACアダプタぐらいの大きさだ。
これをコンセントに直接挿すと、表面が赤色に点灯する。上部にWPSボタンがある程度で、ほかに設定するか所は何もない。
WPSでWi-Fiルーターと接続すると、青色に点灯する。あとはルーターと電波を届かせたいあたりの中間ぐらいのコンセントに挿し直すだけだ。手動で設定する場合は、スマホアプリ「MagicalFinder」を使って設定画面にログインし、SSIDとパスワードを入力する(※2016年8月26日修正:記事公開時にアプリ名をSmartFinderと表記していましたが、MagicalFinderに修正しました)。
お風呂場付近のコンセントに直挿してWi-Fiを増強
利用する通信機器は、何も設定する必要はない。これまで使っていたWi-FiルーターのSSIDとパスワードそのまま、さらに言えばルーターと同じチャンネルで電波が増強される。実際にお風呂場付近にある空きコンセントに本機を設置、お風呂場の中で電波強度を測定してみた。
電波強度を測定。同じチャンネルでもう1つ強い電波が出ているのがわかる
一番上にある「Buffalo-G-21A0」が元々のWi-Fiルーターから飛んでくる電波だ。-62dBmしかなく、これでは動画ストリーミングで十分なスピードは出せないだろう。その下にある、全く同じSSIDでチャンネルも同じなのが、本機で中継した電波だ。デバイス名がI-O DATA DEVICEになっていることにお気づきだろう。こちらは-30dBmあり、電波強度としては問題ないのがわかる。
実際にストリーミングサービスから動画を再生してみたが、これまでは映像が引っかかって視聴するのが辛かった動画コンテンツも、普通に楽しめるようになった。本機はルーターにつき2台まで使えるので、Wi-Fiをリレーしたり並列で使ったりすることもできる。
ただしうまく中継するには設置場所にコツがある。本当に電波の弱いあたりにこれを挿しても、電波強度は強まるが速度的には早くはならない。本機と大元のWi-Fiルーター間の通信が遅いからだ。電波の弱いエリアとルーターの中間あたりに設置するといいだろう。また本機は放熱のためにスリットが開いているので、水回りで使用するのは避けて欲しい。
おなじSSIDだと、頑固にオリジナルの弱い電波を掴んでしまって離さないということも起こりうるので、あえてSSIDとパスワードを別のものにするという方法もある。
大元とは別のSSIDにすることもできる
実勢3000円前後のデバイスを追加しただけで、視聴コンテンツの質が向上するわけだから、これは便利だ。電源を抜いても設定は覚えているので、一時的な増強にも役に立つだろう。
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。