2016年12月22日、シャープは香港・シンガポールなど世界各地でホテル宿泊者向けにスマートフォンの無料レンタル「handy」サービスを展開するMango International Group Limitedと業務提携し、合弁会社「handy japan」を設立。今後、日本国内を中心とした事業を展開していくと発表したが、本日2017年6月1日、事業開始に伴う記者発表会が開かれた。
香港・シンガポールなどを中心に世界の600ものホテルに導入されているhandy。handyを導入しているホテルに泊まったユーザーは、国際・国内電話が無制限で無料通話できるほか、インターネットも容量制限なく利用が可能
handyが導入されているホテルの客室に備え付けられたスマートフォンを利用すれば、国際・国内電話やインターネット通信をすべて無料で使うことができる。通話時間やインターネット通信量などの制限は設けられておらず、無制限に使用できるのがhandyの特徴だ。
さらに、handyスマートフォンはホテルから外出する際に持ち出すこともでき、観光で旅先の情報を調べたりするのにも利用できる。
handy japan 代表取締役社長 勝瀬博則氏
外へ持ち出せることに伴う紛失のリスクについて、handy japan 代表取締役社長の勝瀬氏は、「紛失や盗難、落下による故障などの端末交換については、これまで全体の3%。顧客が導入した場合には、導入客室数の10%分を保証する」ことで対応するという。なお、これまで10%の保証を超えたホテルはないそうだ。
handyスマートフォンは、シャープを買収したホンハイ(鴻海精密工業)がhandy専用モデルとして製造している
handyスマートフォンの端末は、2016年にシャープを買収しMangoの出資元でもある台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)企業大手のホンハイ(鴻海精密工業)。ホンハイが、handy専用端末として製造しており、日本国内にもグローバル展開されている端末が導入される。なお、回線はNTTドコモの通信網を使用する。
handyスマートフォンのアプリ画面。通常のスマホと同様にブラウザーや地図アプリ、SNSなどが利用可能。新たにアプリを追加することもできる
搭載OSは「Android 7.0」。通話やブラウザーでのWebページ閲覧のほか、GoogleMapやGmail、Facebook、Twitterなど利用頻度の高い地図やメール、SNSアプリの利用や、Google Playストアからアプリをダウンロードして使うこともできる。
地域に合わせた観光向け情報も提供される
宿泊ホテルが用意する限定サービスなども表示させることができる
また、handyスマートフォンでは、導入地域に合わせた観光向けのコンテンツを表示させることや、宿泊ホテルの限定割引サービスを受けることも可能だ。なお、使い終わったhandyスマートフォンに登録されているIDやパスワードなどの個人情報は、チェックアウト時に完全に消去されるという。
handy導入ホテルは、ザ・リッツ・カールトンやヒルトン、ハイアットなどの一流ホテルがずらりと並ぶ
handyはすでに世界17カ国、600のホテルの11万の客室へ導入されており、ザ・リッツ・カールトンやヒルトン、ハイアットなど一流ホテルにも採用されている。handyスマートフォンの対応言語は、これまでは英語と中国のみであったが、今回の日本導入にあたって日本語が新たに追加された。
handyの日本国内への導入第1弾となるのは、東京・日本橋にある高級ホテル「ロイヤルパークホテル」だ。ロイヤルパークホテル 常務取締役総支配人の笹井氏はhandy導入の理由について、海外での採用実績により訪日外国人の誘致活動が可能であることや、新規顧客開拓、そして即効性のあるレストランプロモーションをあげた。
導入費用は1端末あたり月額980円で、初期費用はかからないという。handyの収益については、前述の月額料金に加えてhandyスマートフォンの起動時に表示される広告や、レストランの特別割引などのプロモーション広告が中心になる。勝瀬氏いわく「香港ではすでに、月額料金よりも広告のほうが収益は上回っている」と話す。
また、勝瀬氏はhandyの今後について「将来、handyスマートフォンはルームキーの代わりになったりホテルの受付の代わりに、またPBX(構内交換機)の代わりに使っていただくなど、新たなホテルのインフラとして、大きな可能性を秘めている」と語った。
ロイヤルパークホテルでのhandyサービスが開始されるのは2017年7月1日から。handy japanは今後1年間で20万客室への導入を目指していく。