レビュー
GoogleのAR「Tango」とVR「Daydream」に対応!

世界初8GBメモリー搭載の変態スマホ「ZenFone AR」の実力はいかに?

ASUSが2017年6月23日に発売したSIMフリースマートフォン「ZenFone AR」は、Googleが提供するAR(拡張現実)のプラットフォーム「Tango」と、VRプラットフォーム「Daydream」の両方に世界で初めて対応するスマートフォンだ。価格.com上での最安価格は64GBモデルが85,800円、128GBモデルが105,800円(2017年6月26日時点)。

さらに、スマートフォンで世界初となる“8GB”のメモリー(RAM)を搭載(64GBモデルは6GB)。あの「iPhone 7 Plus」でさえメモリーは3GBであることを考えれば、8GBというのがどれくらいハイスペックなのかわかるはず。世界初の要素が2つもあるこの「Zenfone AR」の実力はどれくらいなのか、実際に試してみた。

世界初の「Tango」と「Daydream」に対応した「ZenFone AR」の実力はいかほどか

世界初の「Tango」と「Daydream」に対応した「ZenFone AR」の実力はいかほどか

3つのカメラを搭載しながら「iPhone 7 Plus」と同等サイズを実現!

Googleの「Tango」は、モーショントラッキング/深度認識/空間記憶機能をAndroid搭載のモバイル端末で実現するARプラットフォーム。ARと言えば、スマホをかざすとポケモンがあたかも現実世界に存在するかのように見える「ポケモンGO」で一躍認知が広がったが、「Tango」に対応したアプリは「ポケモンGO」よりもはるかに高度なAR体験を可能にする。

しかし、「Tango」対応アプリをモバイル端末で動作させるには、解像度が高いメインカメラのほか深度カメラ、モーショントラッキングカメラの3つが必要であり、これらを搭載するスマートフォンは現状「Zenfone AR」とレノボの「PHAB2 Pro」しかない。

「Zenfone AR」は、背面に2300万画素のメインカメラ(左上)、モーショントラッキングカメラ(左下)、深度カメラ(右上)を配置した「TriCam」というシステムを採用

先行して発売された世界初の「Tango」対応スマートフォン「PHAB2 Pro」は、AR機能を搭載しているもののボディサイズが大きく、アプリ開発者などからは好評を得ていたが、一般ユーザーが普段使いできるとは言いがたい端末だった。

いっぽうで、「Zenfone AR」は「Tango」だけでなくVRプラットフォーム「Daydream」の両方に対応しながらも、アップルの「iPhone 7 Plus」とほとんど同じサイズを実現し、片手でも操作できるくらいコンパクトになっている。外観に関しても、背面のカメラ部分以外はレザー風の加工が施されており、高いデザイン性を誇る。

「Zenfone AR」の本体サイズは、約158.98(縦)×約77.7(横)×約4.6〜8.95(厚さ)mmで、重量が約170g。液晶には解像度2560×1440の5.7型「Super AMOLEDディスプレイ」を採用しており、コントラストの高い鮮やかな色彩が美しい

前面下部にある指紋認証センサー搭載のホームボタンは物理ボタンになっている

前面下部にある指紋認証センサー搭載のホームボタンは物理ボタンになっている

充電端子は最新の規格USB-Type Cを採用。また、底面にイヤホン端子が搭載されており、ハイレゾ出力に対応している。「iPhone 7/7 Plus」とは違い、変換アダプターなどを使用しなくても充電時にイヤホンで音楽再生が可能だ

DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)に対応しており、nanoSIMカードを2枚同時に使用できる。microSDカードスロットとの排他利用になるが、ストレージ容量によっては64GBと128GBの2モデルが用意されるので、DSDSで使用する場合は128GBモデルを選べば安心だろう

背面はカメラ部分以外にレザー風の加工が施されており、金属やガラスとは違って指紋が一切付かない

背面はカメラ部分以外にレザー風の加工が施されており、金属やガラスとは違って指紋が一切付かない

カメラ部分は若干盛り上がっているが、レンズ周辺部分が盛り上がっているため、デスクの上に置いても不安定にはならない

自分で組み立てるVRゴーグルや、ハイレゾ対応イヤホン「ZenEar」、クリアケースなどが同梱されているのもうれしいポイントだ

「Tango」のARは今までにない新体験!

「Zenfone AR」で体験できるARアプリは、既存のARアプリとはまったく異なる体験をもたらしてくれる。3つのカメラを活用し、空間をスキャンして3Dモデルを作成したり、ドアをあけて乗り込める実物大の自動車を映し出したり、カタログから選んだ家具や家電のバーチャルモデルを投影したりできるのは、とても新鮮な体験だ。

「Tango」対応のアプリはまだまだ少なく、キラーアプリと言えるものはまだ登場していないが、「Zenfone AR」のような「Tango」対応アプリを動作可能なスマートフォンが増えれば、今後は数も増えていきそうだ。この雰囲気はスマートウォッチが登場したころに似ており、アプリ開発者には大きなビジネスチャンスがあるように思える。

20個以上の「Tango」対応アプリを試してみて、一番面白かったのが「Scenes」というアプリ。空間をスキャンして3Dモデル化してくれるというもので、作成した3Dモデルから実際のサイズを測定することもできる。いつもの会議室を3Dモデルにして、しげしげと見ているだけでも楽しい

これはBMWの公式アプリ「BMW i Visualiser」。モーショントラッキングカメラを利用して、バーチャルの実物大「i3」と「i8」を表示することが可能だ。バーチャルのモデルに近づいて観察できるほか、ドアやトランクをタップして開閉させたり、運転席に乗り込んでエンジンをかけたり、外装や内装の色を変更したりできる

ARと理解していても、運転席に乗り込めるのはものすごくテンションが上がる

ARと理解していても、運転席に乗り込めるのはものすごくテンションが上がる

「iStage」は、家電や家具のバーチャルモデルを現実世界に配置できるアプリで、気に入った家電や家具をアプリから購入することもできる。製品数こそ少ないが、実物大の家具を配置してシミュレーションできるのは実用的

スキャンした空間でゾンビとの戦いを繰り広げるゲーム「Crayola Color Blaster」。スマートフォンを銃代わりにして、360°から襲ってくるゾンビを倒していく。スマートフォンをかざして周囲をキョロキョロ、ウロウロしながらプレイするのは通常のシューティングゲームとは一味違う楽しさがある

自分だけのARペットを飼える「Raise」。セーブ機能が付いていて、いつでもどこでも餌を上げたり、ボールで遊んだりできる。ボールを投げると走って取りにいき、こちらに戻ってくるのだが、これが何ともいえないかわいさ。ペットではなくお気に入りのアニメやゲームのキャラクターが登場すれば……と妄想がふくらむ

サーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」で撮影して、AR使用時の発熱をチェック。3つのカメラをフル稼働してCPUに大きな負荷がかかるためか、本体背面のカメラ周辺が発熱し、バッテリー消費も普段よりかなり早くなる。画像からはわかりにくいが、本体側面も熱くなった。ただし、排熱処理はソフトウェアで制御しており、本体が熱くなってもフリーズしてしまうようなことは一度もなかった。バッテリー容量は3300mAhで、ARアプリの使用時は1時間で50%ほど減少

上述したアプリ以外にも、実用的なものから何に使うのかわからないものまでそろっている。しかし、「すごい!」と感じさせてくれる半面、「もう少し完成度の高いアプリが増えれば……」というのが本音。空間をスキャンしたり、バーチャルの家具を配置したり、距離を測定したりといったアプリは、精度が向上すればキラーアプリとなりそうな将来性を秘めているのは間違いないので、今後に期待したい。

ゲームに関していうと、現状では長時間プレイしたいと思えるようなゲームはなかった。どのゲームも最初は新鮮で楽しいが、すぐに飽きてしまうのが正直なところ。今後はARとゲームをどのように融合させるのかが重要になっていきそうだ。

また、VR技術の「Daydream」対応とのことなので試してみたが、「Daydream」対応アプリを利用するには、日本未発売のGoogle製コントローラー付きVRゴーグル「Daydream View」が必要であり、今回は体験できず。日本での発売に期待がかかる。

「Daydream」のアプリは試せなかったが、付属の組み立て式VRゴーグルを使用しスマートフォン向けのVRコンテンツは利用可能

「Zenfone AR」はAR抜きでも十分なハイスペックのスマホ

最後に「Zenfone AR」の基本スペックに触れておこう。CPUにはクアルコムの「Snapdragon 821」を採用し、ストレージは64GBと128GBから選択可能。驚くべきことは、128GBモデルでは世界初となる8GBの大容量メモリーを搭載していること。スマートフォンにしては少々オーバースペック気味なところは否めないが、マルチタスクやゲームを行うヘビーユーザーには朗報だろう。

ベンチマーク測定アプリ「Antutu Benchmark」では、現行機のランキングで第6位となるスコア“157295”を記録。メモリーが8GBあるため、もう少し高いスコアが出ると予想していたが、予想通りにはならなかった。「Antutu Benchmark」においては、メモリー容量がスコアに大きな影響を与えるわけではなさそうだ

「Zenfone AR」は、光学式と電子式手振れ補正を搭載し約0.03秒の高速オートフォーカスを採用したカメラやハイレゾ対応のオーディオ機能、指紋認証センサーなど、ARやVR以外にもハイエンドスマートフォンとして申し分ない機能を有している。

ドコモ・ソフトバンク・au(アップデートでVoLTEに対応済み)系SIMカードのすべてに対応しており、DSDS機としても優秀。気になるのはバッテリー容量と発熱の部分だが、ARを使用していないときは、大きな問題とは感じられなかった。ARやVR機能が大きな特徴であることは明白だが、これらの機能を抜きにしても高性能で長く使えるスマートフォンであることは間違いないだろう。

水川悠士(編集部)

水川悠士(編集部)

最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。

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