格安SIMの通信速度を徹底調査
人流の変化か各社とも減速傾向(佐久平のみでの調査)

【2021年11月】格安SIM人気12回線の通信速度を比較 速い/遅いMVNOは?

大手携帯キャリアと比べて毎月のスマホ料金が安い格安SIM。料金が安いのはうれしいが、肝心の通信速度は遅いと言われている。実際のところはどうなのかを探るべく、人気12回線の通信速度を調査。2021年11月11日に実施した今回は、実際の利用環境の一例としているアプリダウンロードの平均速度がこの1年間で最も遅い結果となった。

長野県佐久市の佐久平駅周辺で格安SIMの速度を調査

長野県佐久市の佐久平駅周辺で格安SIMの速度を調査

1.【はじめに】通信速度の調査方法

格安SIMは、時間帯や場所によって通信速度が遅くなりがちだ。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。

本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、MVNO各社12種類の格安SIMの通信速度を調査している。

ただし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮し、今回も2020年3月から引き続いて筆者の居住地である長野県佐久市の佐久平駅周辺のみで調査した。調査日は11月11日(木)。測定に用いた端末は従来通りファーウェイの「P10 lite」だ。

調査方法は以下のように「スピードテストアプリ」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。

【調査方法1】
スピードテストアプリ「Speedtest - インターネット速度」(Ookla)を用いて、各地点・各時間帯で5回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。測定エラーは回数に含めず、正常に測定できた結果のみを採用している。

【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移をP10 liteの動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。

なお、調査の対象となる格安SIMは、以下の12種類だ。

●調査した12種類(10社)の格安SIM
ワイモバイル
UQ mobile
mineo(Aプラン)
IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
BIGLOBEモバイル(タイプD)
OCNモバイルONE(新コース)
イオンモバイル(ドコモ回線)
・LinksMate
NifMo
日本通信SIM
y.u mobile
QTmobile(Dタイプ)

2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?

調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2021年11月11日実施。単位はMbps、以下同様)

佐久平駅周辺における12時台の測定結果(2021年11月11日実施。単位はMbps、以下同様)

スピードテストアプリの全体の平均は下りが6.13Mbps(先月は10.69Mbps)、上りが5.20Mbps(同5.39Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はmineo(Aプラン)の20.02MbpsとUQ mobileの19.10Mbpsが速く、ワイモバイルの6.90Mbps、BIGLOBEモバイルの6.69Mbpsがこれに続く。上り通信速度はUQ mobileの11.71Mbpsが一番速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が2.96Mbps(同3.38Mbps)だ。回線別に見てみるとmineo(Aプラン)の13.26Mbpsが一番速く、UQ mobileの8.96Mbps、ワイモバイルの3.19Mbpsがこれに続いた。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):20.02Mbps
2位 UQ mobile:19.10Mbps
3位 ワイモバイル:6.90Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):13.26Mbps
2位 UQ mobile:8.96Mbps
3位 ワイモバイル:3.19Mbps

3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?

次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2021年11月11日実施)

佐久平駅周辺における14時台の測定結果(2021年11月11日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが13.31Mbps(先月は10.61Mbps)、上りが6.22Mbps(同5.65Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの71.04Mbpsが際立つ。このほかに10Mbpsを上回ったのはmineo(Aプラン)の24.38Mbps、UQ mobileの15.64Mbps、QTmobile(Dタイプ)の10.30Mbpsだった。上り通信速度はワイモバイルの21.66Mbpsが一番速い。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が4.45Mbps(同7.15Mbps)だ。回線別に見てみると、mineo(Aプラン)の10.02Mbps、UQ mobileの8.19Mbps、イオンモバイルの6.74Mbpsの順に速い。ワイモバイルは2.52Mbpsだった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:71.04Mbps
2位 mineo(Aプラン):24.38Mbps
3位 UQ mobile:15.64Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台/佐久平駅周辺)
1位 mineo(Aプラン):10.02Mbps
2位 UQ mobile:8.19Mbps
3位 イオンモバイル:6.74Mbps

4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?

最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2021年11月11日実施)

佐久平駅周辺における18時台の測定結果(2021年11月11日実施)

スピードテストアプリの全体の平均は、下りが8.47Mbps(先月は10.09Mbps)、上りが4.34Mbps(同5.87Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルの26.04Mbps、mineo(Aプラン)の13.26Mbps、UQ mobileの11.42Mbpsが速い。上り通信速度はワイモバイルの8.92Mbpsが一番速かった。

アプリのダウンロード速度は全体の平均が4.59Mbps(同5.41Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルの11.25Mbps、mineo(Aプラン)の8.37Mbps、UQ mobileの7.88Mbpsの順に速かった。

●スピードテストアプリ下り平均速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:26.04Mbps
2位 mineo(Aプラン):13.26Mbps
3位 UQ mobile:11.42Mbps

●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台/佐久平駅周辺)
1位 ワイモバイル:11.25Mbps
2位 mineo(Aプラン):8.37Mbps
3位 UQ mobile:7.88Mbps

5.すべての時間帯における総合結果は?

それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。東京駅周辺での欠測が続いているため、今回も佐久平駅周辺の調査結果のみを対象としたランキングとなる。なお、参考として前回(2021年10月)および前々回(2021年9月)の調査結果も併記している。

まずはスピードテストアプリの下り通信速度からだ。

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

スピードテストアプリの下り通信速度ランキング

今回の1位はワイモバイルの34.66Mbps(前回は40.13Mbps)、2位はmineo(Aプラン)の19.22Mbps(同14.98Mbps)、3位はUQ mobileの15.39Mbps(同17.91Mbps)だった。

上位3回線の顔ぶれは前回10月と同じだが、mineo(Aプラン)が前回から増速したいっぽう、ワイモバイルとUQ mobileは減速している。12回線全体の平均速度は2021年4月以来10Mbpsを割り込み、9.30Mbps(同10.46Mbps)だった。

次は、スピードテストアプリの上り通信速度の結果だ。

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

スピードテストアプリの上り通信速度ランキング

1位はワイモバイルの13.35Mbps(前回は16.94Mbps)、2位はUQ mobileの10.89Mbps(同8.07Mbps)、3位はmineo(Aプラン)の8.68Mbps(同9.49Mbps)だった。

こちらも上位3回線の顔ぶれは前回と同じだ。12回線全体の平均速度は5.25Mbps(同5.64Mbps)だった。

最後はPlayストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング

1位はmineo(Aプラン)の10.55Mbps(前回は11.46Mbps)、2位はUQ mobileの8.34Mbps(同10.26Mbps)、3位はワイモバイルの5.65Mbps(同9.83Mbps)だった。

上位3回線の顔ぶれと順位は前回と同じだが、減速が続いたワイモバイルの平均速度は2か月前の前々回9月(11.81Mbps)と比べて半分まで下がっており、4位だったイオンモバイルの4.63Mbpsとの差は1Mbps程度だ。12回線全体の平均は4.00Mbps(同5.31Mbps)で、直近1年間では最も遅かった。

6.【さいごに】今回の結果まとめ

今回2021年11月の調査では、利用環境の一例として調査しているPlayストアからのアプリダウンロード平均速度が前回2021年10月の5.31Mbpsと比べて4分の3まで減速し、2020年8月の3.89Mbpsに次ぐ遅さとなった。スピードテストアプリの平均速度も上り・下りともに前回の9割前後まで減速している。

目立つのがKDDIのサブブランドであるUQ mobileと、ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルの減速だ。どちらも2種類の下り平均速度が前回よりも遅くなっており、特にワイモバイルはアプリダウンロード平均速度の大幅な減速が気になった。

アプリダウンロード平均速度の減速はサブブランドだけでなく、残る10回線のうちイオンモバイルを除く9回線でも起きている。国内の新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いてきていることもあり、今回の全体的な減速は人の流れの変化にともなう屋外での通信需要増加を示している可能性もある。

以下のグラフは2020年10月以降の12回線全体の平均速度推移(佐久平駅周辺のみ)を示したものだ。Playストアからのアプリダウンロード平均速度は前回まで比較的安定して推移していたが、前述のように今回は直近1年間で最も遅くなった。また、スピードテストアプリの上り通信速度も、ペースは落ちてきたものの減速傾向が続いている。

12回線全体の平均速度推移(2020年10月以降、佐久平駅周辺のみ。2021年4月からスピードテストアプリを変更していることに留意)

12回線全体の平均速度推移(2020年10月以降、佐久平駅周辺のみ。2021年4月からスピードテストアプリを変更していることに留意)

次回の調査は2021年12月上旬を予定している。今年の年末は人の流れが活性化することも予想されるだけに、次回の結果にも注目したい。

松村武宏

松村武宏

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。

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