大手携帯キャリアのメインブランドと比べて毎月のスマホ料金が安い、オンラインプランやMVNOの格安SIM。料金が安いのはうれしいが、通信速度も気になるところ。実際はどうなのかを探るべく実施している人気回線の通信速度調査。2025年8月5日・8日に実施した今回は、前回に続き東京都内での調査地点を渋谷駅周辺に変更。新たな回線を追加した全14回線での調査を行った。
スマートフォンの通信速度は時間帯や場所によって変化する。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所では、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。
本調査では、人口密度の高い地域と低い地域にて、通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、各回線の通信速度を調査している。
2025年7月から、人口密度の高い地域を東京都渋谷区の渋谷駅周辺に、対照となる低い地域は、引き続き長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定した。調査対象の回線も追加・入れ替えを行い、2025年8月からは合計14回線とした。
今回の調査日は渋谷駅周辺が2025年8月8日(金)、佐久平駅周辺が8月5日(火)。測定にはモトローラの「moto g50 5G」を用いた。
調査方法は以下のように「Googleのインターネット速度テスト」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。
【調査方法1】
端末のブラウザー(Chrome)でGoogleが提供しているインターネット速度テストを使用し、各地点・各時間帯で3回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。
【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50 5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。
調査対象の回線は以下のとおりだ。本調査はこれまでメインキャリアのサブブランドとオンラインプラン、およびMVNOの格安SIMを対象に実施してきたが、前述の通り今回から対象回線を刷新し、メインキャリアのドコモ・au・ソフトバンクから格安SIMまで、合計14回線を選択した。すべて5Gネットワークを利用できる状態で調査を行っている。
(1)ドコモ
(2)au
(3)ソフトバンク
(4)ahamo
(5)povo2.0
(6)LINEMO
(7)楽天モバイル
(8)ワイモバイル
(9)UQ mobile
(10)IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
(11)mineo(Aプラン・マイピタ)
(12)イオンモバイル(タイプ1(NTTドコモ回線))
(13)NUROモバイル(NTTドコモ回線・バリュープラス)
(14)HISモバイル(NTTドコモ回線・自由自在2.0プラン)
調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。
12時台の測定結果の平均値(渋谷駅周辺:2025年8月8日、佐久平駅周辺:2025年8月5日実施。単位はMbps、以下同様)
12時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが55.96Mbps(前回は55.82Mbps)、上りが13.90Mbps(同14.99Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルが140.53Mbpsで最も速く、ソフトバンクが112.03Mbps、LINEMOが108.05Mbpsと続いた。上り通信速度はドコモが20.60Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が33.72Mbps(同47.19Mbps)だ。回線別に見てみると、ソフトバンクが80.29Mbpsで最も速く、ワイモバイルが74.05Mbps、LINEMOが68.57Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:140.53Mbps
2位 ソフトバンク:112.03Mbps
3位 LINEMO:108.05Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台)
1位 ソフトバンク:80.29Mbps
2位 ワイモバイル:74.05Mbps
3位 LINEMO:68.57Mbps
次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。
14時台の測定結果の平均(渋谷駅周辺:2025年8月8日、佐久平駅周辺:2025年8月5日実施)
14時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は、下りが66.13Mbps(前回は85.47Mbps)、上りが14.45Mbps(同16.35Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はソフトバンクが157.30Mbpsで最も速く、ワイモバイルが139.63Mbps、LINEMOが126.48Mbpsと続いた。上り通信速度はmineo(Aプラン)が24.22Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が42.34Mbps(同56.67Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルが95.01Mbpsで最も速く、povoが79.31Mbps、ソフトバンクが65.59Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(14時台)
1位 ソフトバンク:157.30Mbps
2位 ワイモバイル:139.63Mbps
3位 LINEMO:126.48Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台)
1位 ワイモバイル:95.01Mbps
2位 povo:79.31Mbps
3位 ソフトバンク:65.59Mbps
18時台の測定結果の平均(渋谷駅周辺:2025年8月8日、佐久平駅周辺:2025年8月5日実施)
18時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが66.61Mbps(前回は93.20Mbps)、上りが14.80Mbps(同13.88Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルが138.23Mbpsで最も速く、UQ mobileが135.85Mbps、povoが102.93Mbpsと続いた。上り通信速度はahamoが22.89Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が37.73Mbps(同57.54Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルが76.14Mbpsで最も速く、ソフトバンクが68.75Mbps、LINEMOが62.21Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(18時台)
1位 ワイモバイル:138.23Mbps
2位 UQ mobile:135.85Mbps
3位 povo:102.93Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台)
1位 ワイモバイル:76.14Mbps
2位 ソフトバンク:68.75Mbps
3位 LINEMO:62.21Mbps
それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。参考として前回(2025年7月)と前々回(2025年6月)の調査結果も併記する。まずはスピードテストの下り通信速度からだ。
スピードテストの下り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで139.47Mbps(前回は90.89Mbps)、2位はソフトバンクで117.95Mbps(前回は92.71Mbps)、3位はLINEMOで104.82Mbps(前回は106.49Mbps)だ。14回線全体の平均速度は62.90Mbps(前回は78.17Mbps)だった。
次は、スピードテストの上り通信速度の結果だ。
スピードテストの上り通信速度ランキング
今回の1位はahamoで19.87Mbps(前回は16.62Mbps)、2位はmineo(Aプラン)で19.13Mbps(前回は22.76Mbps)、3位はドコモで18.32Mbps(前回は18.78Mbps)だ。14回線全体の平均速度は14.38Mbps(前回は15.07Mbps)だった。
最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。
スピードテストの下り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで81.73Mbps(前回は66.50Mbps)、2位はソフトバンクで71.55Mbps(前回は74.22Mbps)、3位はpovoで60.31Mbps(前回は81.20Mbps)だ。14回線全体の平均速度は37.93Mbps(前回は53.80Mbps)だった。
人口密度の高い地域を東京駅周辺から渋谷駅周辺に変更して2回目となる今回2025年8月の調査では、格安SIMの2回線を追加したこともあり、前回7月と比べてスピードテストの上り・下り平均速度とPlayストアからのアプリダウンロード平均速度がすべてスピードダウンした。
結果を細かくチェックすると、スピードテスト下り平均速度はドコモ回線とソフトバンク回線を利用するサービスで上昇し、au回線を利用するサービスでは下降する傾向が見られる。いっぽう、実際の利用環境の一例としているPlayストアからのアプリダウンロード平均速度は全体的に下降気味で、今回から追加したNUROモバイルとHISモバイルの影響を差し引いても前回から2割ほどスピードダウンした。
全体の平均速度推移(2024年8月〜2025年8月、2025年4月は欠測。2025年7月から調査地点と対象回線を変更している点に注意)
次回の調査は2025年9月上旬〜中旬の実施を予定している。各社の通信速度がどのように変化していくか、引き続き注目したい。