レビュー
高性能機「HTC U11」のエッセンスを凝縮した、Android One端末

ワイモバイル「Android One X2」レビュー

ワイモバイルが発表した「Android One」シリーズのスマートフォン4機種の中でも、2017年12月7日に発売された「X2」(HTC製)は、FeliCaポートや4GBのRAMと64GBのストレージを備えるなど、ハードウェアのスペックが高め。その実力を検証した。

水のようにキラキラと輝くボディの「X2」。今までのAndroid Oneシリーズのイメージを覆す、なかなかの高級感だ

上位機種「U11」をひと回り小さくしたような高級感のある外観

「Android One」は、もともと途上国市場に向けた低価格なAndroidスマートフォンのサブブランド。国内では2016年からワイモバイルが手がけており、今冬モデルとして「X2」「X3」「S2」「S3」の4製品が発表された。その中でも本機「X2」は、その高性能ぶりで、注目を集めている。

「X2」のボディは、サイズが約73(幅)×149(高さ)× 8.1(厚さ)mm、重量は約142gで、約5.2インチのフルHD液晶を搭載。IPX5/7等級の防水仕様と、IP5X等級の防塵仕様をクリアしている。背面はHTCの上位モデル「U11」と同様の「リキッド・サーフェイスデザイン」で、液体のような輝きとなめらかさを表現している。

スペック的には、最新世代に属するミドルハイ向けのオクタコアCPU「Snapdragon 630 SDM630」(2.2 GHz×4+1.8 GHz×4)に、4GBのRAMと、64GBのストレージを組み合わせている。このCPUは、ASUS「ZenFone 4(カスタマイズモデル)」や、モトローラ「Moto X4」などにも使われているものだ。

搭載される液晶ディスプレイは発色がおだやかで、長時間見続けても目が疲れにくい

搭載される液晶ディスプレイは発色がおだやかで、長時間見続けても目が疲れにくい

8.1mmの厚みがあり、特別に薄いわけではないが、手が触れる側面の形状を工夫することで、握ったときに手になじみやすくなっている

上側面には、SIMカード兼microSDXCメモリーカード(256GBまで対応)のスロットが備わる

上側面には、SIMカード兼microSDXCメモリーカード(256GBまで対応)のスロットが備わる

下側面には、USB 2.0対応のUSB Type-Cポートが配置されている

下側面には、USB 2.0対応のUSB Type-Cポートが配置されている

プリインストールされるOSはAndroid 8.0だが、Android One端末である本機は、発売から24か月間に最低1回以上のバージョンアップと、発売から最低3年間毎月のセキュリティアップデートが保証される。これにより、少なくとも3年は一定水準のセキュリティが確保された、最新OSの状態で使うことができる。

Android Oneシリーズのもうひとつの特徴は、プリインストールされるアプリの少なさだ。通信キャリアであるワイモバイルに由来するアプリは4種類のみ、メーカー由来のアプリは皆無だ。Google製アプリも「YouTube」「Gmail」「Google Map」「Google Play Music」などかなり厳選されているが、注目のAI機能「Googleアシスタント」はプリインストールされている。必要なアプリは各自でGoogle Playからダウンロードすればよいという方針である。

Android One端末は、発売後最低36か月間、毎月1回セキュリティパッチが配布される

Android One端末は、発売後最低36か月間、毎月1回セキュリティパッチが配布される

アプリの一覧画面で確認できるプリインストールアプリはわずか30個

アプリの一覧画面で確認できるプリインストールアプリはわずか30個

初期状態で、64GBのストレージのうちユーザーが使える空き容量は50GB以上確保されている

初期状態で、64GBのストレージのうちユーザーが使える空き容量は50GB以上確保されている

Android Oneのイメージを覆す豊富な機能と、基本性能の高さ

Android One端末は、途上国向けに価格を抑えるため、シンプルなスペックが基本となるが、本機は、NFCおよびFeliCaポート、新規格のBluetooth 5.0、指紋認証センサー、ハイレゾ音源再生機能、HTC独自の、握って操作するユーザーインターフェイス「エッジ・センス」などの機能を備えており、機能的には十分以上のレベルだ。しかも、USB Type-C接続のハイレゾ音源対応イヤホンまで同梱される。このイヤホンには、ユーザーの耳の特性を調べて音質を最適化する機能も搭載されている。なお、通常のヘッドホン端子は装備されておらず、変換アダプターも別売りとなる。

本機は、2,600mAhのバッテリーを搭載。連続通話時間が1360分(LTE)、連続待ち受け時間は237時間(FDD-LTE)/325時間(AXGP)となっている。本機よりも少しグレードの高いCPU「Snapdragon 660」を搭載し、バッテリー容量が2500mAhの「AQUOS R Compact」では、連続通話時間が約1440分(LTE)、連続待ち受け時間が約570時間(FDD-LTE)/約565時間(AXGP)となっており、これと比較すると本機の電池持ちはいまひとつだ。プリインストールアプリを主にSNSやWeb閲覧を主とした筆者の使い方では、フル充電から丸2日でバッテリーがなくなったが、待機状態でも比較的速いペースで電池が減っていった。電池持ちを優先するのであれば、別の端末のほうが適しているかもしれない。

USB Type-Cポートは、急速充電機能の「QuickCharge 3.0」ではなく、新規格の「USB PD」に対応する。QuickCharge 3.0対応充電器を使った場合、通常の5V/3Aの充電が行われるが、その際の充電時間は約1時間35分だった。バッテリー容量がさほど大きくないこともあって、充電にかかる時間は比較的短めだ。

ホームボタンは指紋認証センサーも兼ねている

ホームボタンは指紋認証センサーも兼ねている

側面を握ることで特定の操作を実行できる「エッジ・センス」を搭載。たとえば、握るだけでカメラを起動させることも可能

同梱のハイレゾ音源対応イヤホンはUSB Type-Cポート接続となる

同梱のハイレゾ音源対応イヤホンはUSB Type-Cポート接続となる

ユーザーの耳の特性を調べて音質を最適化する機能を搭載。同じ機能は「U11」にも搭載されている

ユーザーの耳の特性を調べて音質を最適化する機能を搭載。同じ機能は「U11」にも搭載されている

実際の処理性能を調べるために、定番のベンチマークアプリ「Antutuベンチマーク」を使って、ベンチマークテストを行ったところ、総合スコアは73,201(3D:18,274、UX:29,135、CPU:20,859、RAM:4,933)となった。この総合スコアは、「Nexus 6P」や「Xperia Z5」など「Snapdragon 810」を採用する2年ほど前のハイエンド機に近いものだ。手元にあった「Nexus 6P」と体感速度を比べてみたが、大型のアプリの起動にかかる時間は本機のほうが明らかに短く、4GBの大容量RAMが効いているようだ。なお、画面スクロールなど描画および起動してからの動作全般については「Nexus 6P」とあまり大きな違いは感じられなかったものの不満を感じるレベルではなく、十分な処理性能といえるだろう。

Antutuベンチマークの総合スコアは73201。2年ほど前のハイエンドモデルに近い値だった

Antutuベンチマークの総合スコアは73201。2年ほど前のハイエンドモデルに近い値だった

通信機能では、LTEのB1/3/8/11/19/41(AXGP)に対応しており、下り最大350Mbpsの高速通信や、VoLTE(HD+)による高音質通話も利用可能だ。なお、対応バンドを見ると、ワイモバイルの主要バンドに加えて、NTTドコモのプラチナバンドである「B19」にも対応しており、SIMロック解除後は、NTTドコモ系のSIMカードとの相性も良好だ。

ユニークな動画撮影機能で遊べるカメラ

カメラ機能を見てみよう。メインカメラとフロントカメラの両方に約1,600万画素のイメージセンサーを搭載しており、相対的にフロントカメラの性能が高い。メインカメラは、F2.0のレンズを組み合わせ、RAWデータで保存できるほか、マニュアル撮影モード、電子式手ブレ補正、4K動画の撮影機能などを備えている。サブカメラもF2.0のレンズを備えている点は共通だが、美肌効果の「ライブメイクアップ」や笑顔を検知して自動でシャッターを切る「オートセルフィー」など自撮りに便利な機能を備える。なお、動画はフルHDまでの対応となる。

メインカメラは約1600万画素。4K動画撮影機能を備えるほか、スローモーション、ハイパーラプスといった動画撮影機能も搭載する

曇天の屋外でクリスマスのオーナメントを撮影。発色はなかなかよい

曇天の屋外でクリスマスのオーナメントを撮影。発色はなかなかよい

シクラメンを撮影。こちらも曇天ではあるが、手ブレは見られず満足のいく仕上がりだ

シクラメンを撮影。こちらも曇天ではあるが、手ブレは見られず満足のいく仕上がりだ

こちらは夜景の撮影。オートで撮影したところISO感度が3200というかなりの高感度になってしまい、全般的に粗さとノイズが目立つ

コントラストの大きい構図での撮影。背景がやや白とびしているが、暗部のノイズは少ない

コントラストの大きい構図での撮影。背景がやや白とびしているが、暗部のノイズは少ない

本機のカメラで撮影した写真を見ると、昼間と夜間でかなり印象が異なる結果となった。昼間の撮影では問題ないが、夜景などの高感度撮影では、ノイズが目立ち、光学手ブレ補正機能もないため、手ブレしやすくなってしまいがちだ。いっぽう、動画撮影では4Kでの高解像度撮影が行えるほか、「スーパースロー」や2〜12倍の早送り再生が行える「ハイパーラプス」を使うことで、簡単な操作でインパクトのある動画を撮影できる。万能なカメラとは言いがたいが、特徴を生かせばなかなか楽しいカメラだといえそうだ。

現状最強のAndroid Oneスマホ

「X2」は、Android Oneの特徴であるバージョンアップ保証やシンプルなアプリ構成といった美点を持ちつつ、最新のミドルハイ向けCPUや大容量のRAMとストレージがもたらす基本性能の向上が図られた製品で、Android One機としては現時点で最強の製品と言ってよい。OSのバージョンアップ保証も、前モデル「Androis S1」の18か月から24か月に、セキュリティパッチの配布も24か月から36か月に延長されており、より長い期間安心して利用できるようになった。

本機と真っ向から競合するのは、1月下旬に発売をひかえるワイモバイル「Android One X3」(京セラ製。以下、X3)だろう。「X3」は本機と同じCPU「Snapdragon 630」を搭載するが、RAMが3GB、ストレージが32GBと基本性能は弱冠低い。しかし、耐衝撃ボディやワンセグチューナー、本機よりも200mAh大きな2,800mAhを備えている。特に消費電力の制御が得意な京セラ端末ということもあり、電池持ちの点では本機より有利になりそうだ。

毎月の通信費の安さで現在好調のワイモバイルだが、Androidスマートフォンでは「NEXUS」およびその後継の「Pixel」シリーズの取り扱いがなくなり、端末ラインアップにはやや弱い面があった。だが、本機は積極的に選びたくなる魅力を数多く備えた製品に仕上がっており、一定の人気を勝ち得そうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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