レビュー

超ハイスペックマシンがさらにパワーアップ! 「Surface Book 2」徹底レビュー

日本マイクロソフトが2017年11月16日に発売した「Surface Book 2」は、“究極の一台“として昨年1月に登場した「Surface Book」よりもさらにスペックを引き上げた、超ハイスペックな2in1パソコンだ。性能が高い分、価格もプレミアムで決して万人向けのモデルではないが、パフォーマンスを求める人にとっては貴重なモデルと言える。そのハイスペックぶりをチェックしていきたい。

13.5型液晶ディスプレイを搭載するSurface Book 2。ディスプレイ部分とキーボードが分離し、タブレットとしてもノートパソコンとしても利用できる。2in1パソコンとしては最高クラスの性能を誇るのが特徴だ。価格.com最安価格は178,148円から(2017年12月27日時点)。今回試した最上位モデルの価格.com最安価格は347,755円(同)

5周年のSurfaceの中で一番欲張りなモデル

マイクロソフトが「Surface」を発売して今年でちょうど5年になる(日本発売は2013年なので4年)。日本マイクロソフトでは5周年を記念した限定企画を実施中なので、興味のある方はチェックしてみてほしい(キャンペーンサイト)。

Surfaceの現行ラインアップは、2in1タイプの「Surface Pro」(キーボードは別売)と今回取り上げるSurface Book 2、クラムシェルタイプの「Surface Laptop」、デスクトップパソコンの「Surface Studio」の4種類。住み分けとしては、万能型のSurface Pro、学生やライトユーザー向けのSurface Laptop、クリエイターを中心とした上級者向けのSurface Book 2とSurface Studioということになるだろう。

今回取り上げるSurface Book 2は、4つのSurfaceの中で一番欲張りなモデルと言える。タブレットとしても、ノートパソコンとしても使えて、別売の「Surfaceペン」(マイクロソフトストアで税込み12,744円)を使って手書き入力も可能。上位モデルはキーボード側にNVIDIAの「GeForce GTX 1050」を搭載する。米国では15型モデルと13.5型モデルが発売されているが、日本では前モデルと同様、13.5型モデルのみが販売されている。

デザインやタブレットとキーボードの着脱機構は、基本的に前モデルから変わっていない。本体はマグネシウム合金を使った高級感のある仕上がり。Surface Proと違いキーボードがしっかりしており、膝の上でも安定して使える。キーボードがしっかりしている分、重量は軽いモデルでも1.5kgを超える。バッテリー駆動は最大17時間(動画再生、カタログスペック)と十分すぎる長さだが、毎日持ち運ぶとなると肩がこりそうだ。普段はクラムシェル型のノートパソコンとして利用し、ときどきタブレットとして使うというユーザーに向いているだろう。持ち運びやすさやを重視したい人は、別売のキーボード込みで約1kgのSurface Proを選びたい。

タブレットとキーボードは機械的に固定する仕組み。取り外しボタンを押してから、タブレットを引き抜く。Surface Proのように磁石で固定するタイプと違い、しっかりと固定されるので、ノートパソコンとして使いやすいのが特徴だ

複数の軸とパーツを組み合わせたメカメカしいヒンジ。前モデルと同様、動きは滑らかだが、少し硬めで、力を入れなければ角度を変えられない

今回試した最上位機種(Core i7モデル)の重量(実測)は、キーボード込みで1654g、タブレット単体が717gだった。タブレット単体ではSurface Proより軽い

パワーアップしたスペック面をチェック

2in1タイプとしてはスペックが充実しているのがSurface Book 2の最大のウリであり、前モデルからの強化点だ。ラインアップは4モデルで主な仕様は以下の通り。

HMW-00012:Core i5-7300U/8GB/256GB/なし
HN4-00012:Core i7-8650U/8GB/256GB/GeForce GTX 1050
HNL-00012:Core i7-8650U/16GB/256GB/GeForce GTX 1050
HNN-00012:Core i7-8650U/16GB/1TB/GeForce GTX 1050
(型番:CPU/メモリー/SSD/ディスクリートGPU)

初代のSurface BookはCPUに第6世代Coreプロセッサーを搭載していたが、Surface Book 2では、エントリーのCore i5モデルこそ、2コア/4スレッドの第7世代「Core i5-7300U」(2.60GHz、最大3.50GHz)だが、Core i7モデルは4コア/8スレッドの第8世代「Core i7-8650U」を搭載。キーボード側に搭載されるディスクリートGPUは「GeForce GTX 965M」から「GeForce GTX 1050」にパワーアップしている。クリエイティブな用途はもちろん、PCゲームも楽しめるほどの性能を備えたマシンだ。注意点としては、キーボードを接続していなければGeForce GTX 1050のパワーを利用できないこと。また、このGeForce GTX 1050を活用するアプリを利用している最中はタブレットをキーボードから分離することはできない。

今回試したのは「HNN-00012」という最上位モデルで、ベンチマークテストでもそのハイスペックぶりをいかんなく発揮してくれた。ただし、テスト中にキーボード側に搭載されるファンの音が気になった。ディスクリートGPUに長時間の負荷をかけるような使い方(主にゲーム)には向いていないかもしれない。

パソコンの総合性能を測定するFuturemarkの「PCMark 8」(Home accelerated)のスコアは3545。前モデルの最上位機種のスコアは2931だったので、大幅にスコアが伸びている

同じくFuturemarkの「3DMark 8」の結果。高性能なパソコン向けの「Time Spy」のスコアは1796

同じくFuturemarkの「3DMark 8」の結果。高性能なパソコン向けの「Time Spy」のスコアは1796

「Crystal DiskMark 6.0.0 x64」(ひよひよ氏作)の結果。NVMe対応SSDだけに、読み込みは30000MB/sに近いスコアをたたき出した。高速なSSDを搭載しているため、OSの起動、ソフトの立ち上げ、ファイルのコピーなどが短時間で済む

ベンチマーク中はGeForce GTX 1050を搭載するキーボード側のファンが高速で回転し、大きな音が鳴る

ベンチマーク中はGeForce GTX 1050を搭載するキーボード側のファンが高速で回転し、大きな音が鳴る

なお、Core i7モデルはマイクロソフトが推奨する「Windows Mixed Reality」を快適に楽しめる「Windows Mixed Reality Ultra」という水準をクリアしている。

使い勝手は前モデルを踏襲

最後に使い勝手をチェックしていきたい。ディスプレイは13.5型液晶で、画面のアスペクト比は3:2。縦向きでも横向きでも見やすく、ノートパソコンとして使っても見やすいアスペクト比だ。Surfaceペンを使って、イラストを描いたり、メモをとったりするときにも、このアスペクト比は使いやすい。解像度は3000×2000(267ppi)の超高解像度。高精細なディスプレイだが、非常に明るく、室内であれば輝度25%でも十分すぎるほどだ。コントラスト比は1600:1。細かなスペックは公開されていないが、表示品質は非常に高い。写真をレタッチしたり、動画を編集したりするといったクリエイティブな用途にも不満なく使えるだろう。

3000×2000(267ppi)という高解像度な13.5型液晶を搭載。4096 段階の筆圧検知をサポートするSurfaceペンを使った手書き入力が可能。ディスプレイ上部には「Windows Hello」対応の赤外線カメラを備える

余裕のある配置のキーボード。キーピッチは19mm。タッチパッドも大きく複数の指での操作もしやすい

余裕のある配置のキーボード。キーピッチは19mm。タッチパッドも大きく複数の指での操作もしやすい

細かな改良点としては、キーボード装着時の安定性がアップしている。Surface Book 2は「マッスルワイヤー」と呼ばれる仕組みでキーボードとタブレットが固定されているが、固定用の爪が大きくなり、キーボードを強めにタイピングしてもディスプレイ部分(タブレット)がぐらつかなくなった。また、右側面の外部インターフェイスがMini Display Port からUSB Type-C(3.1 Gen1)に変更されている。Gen2やThunderbolt 3には対応していないが、DisplayPortをサポートしており、映像の出力は可能。さらに、USB Power Delivery(USB PD)にも対応しており、USB PD対応のACアダプターを使って充電することもできる。付属のACアダプターは大きくて重いが、別売のUSB PDの中にはコンパクトなものがあるので、予算に余裕があれば別途購入しておくと便利そうだ。

外部インターフェイスは、右側面のMini Display PortがUSB Type-Cポートに変わった。それ以外はSurface Bookと変わらない

「Surface Connect」に接続して利用するACアダプターは大きくて重いが、USBポートが付いており、スマートフォンなどを同時に充電できる。出張時などには重宝しそうだ

USB PDに対応しており、対応のACアダプターを使っての充電が可能。ゴッパ(アイ・オー・データ機器が代理店)の「ENERGEAR 46W USB Type-C WALL CHAGER」(最大出力46W)を使って充電してみたが、しっかりとバッテリーを充電できた

まとめ:一般ユーザーには不要だが、パワーを求めるクリエイターにはうれしい強化

ディスクリートGPU付きのモデルの価格.com最安価格は約23万円からと、かなり高価なSurface Book 2だが、ワコムの液晶タブレットとノートパソコンを使っているようなクリエイターにとっては有力な選択肢になるはずだ。ディスクリートGPUなしのモデルは178,148円と少し安いが、こちらを買うならSurface Proを選んだほうがいいだろう。

Surface Book 2は、一般ユーザーとっては無駄にパワフルだが、作業の快適さを求めるクリエイターにとってはうれしいモデルなはず。今後もパワフルで欲張りなモデルに進化していってもらいたい。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!

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