レビュー
ゲームプレイに徹した高い基本性能と、豊富なオプションが魅力

ASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone」が単なるハイエンドスマホとは異なる理由

「ZenFone」シリーズで知られるASUSが、2018年11月にリリースしたゲーミングスマートフォンの「ROG Phone」。近ごろはシャープ「AQUOS zero」やサムスン「Galaxy Note9」のようにゲームプレイを強く意識したハイエンドスマホが登場しているが、「ゲーミングスマホ」と名乗るROG Phoneはハイエンドスマホとは何が異なっているのだろうか。レビューを通じて明らかになったその魅力をお伝えする。

画面サイズ(解像度):約6.0インチ(1,080×2,160、1.5倍速駆動有機ELディスプレイ)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約76.1×158.8×8.3 mm
重量:約200g
SoC:Snapdragon 845(2.96GHz×4+1.7GHz×4)
RAM容量:8GB
ストレージ容量:512GB
増設用メモリーカードスロット:非搭載
OS:Android 8.1
SIMカードスロット:nanoSIM×2(DSDV対応)
LTE対応バンド:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/28/29/32/34/38/39/40/41/46 Wi-Fi:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ad準拠(2.4GHz帯/5GHz帯/60GHz帯)
NFC:搭載
FeliCa:非搭載
メインカメラ:約1,200万画素+約800万画素
フロントカメラ:約800万画素
バッテリー容量:4,000mAh
USB:USB Type-C(USB 2.0)×1、USB Type-C(USB 3.1、サイドポート)×1

ゲームプレイでの使い勝手に最適化されたボディ

ASUSは「ROG」(REPUBLIC OF GAMES)というブランドで、ゲーミングPCやマザーボード、グラフィックボードなどの各種ゲーミングデバイスを展開しているが、その名を冠したゲーミングスマホとして発売されたのが、この「ROG Phone」。なお、「アール・オー・ジー・フォン」というのが正しい読み方となる。基本的にはハイエンドスマートフォンだが、ゲームプレイに特化したユニークな機能を、ハードウェアとソフトウェアの両面から追求しているのが大きな特徴だ。

本機のディスプレイは、1,080×2,160表示に対応する約6.0インチの有機ELディスプレイ。リフレッシュレートは通常の60Hzから90Hzに高められている。ボディサイズは約76.1(幅)×158.8(高さ)×約8.3(厚さ)mmで、重量は約200gと、サイズの割にやや重いが、これについては後述する。ボディは、ASUSのスマートフォンとしては初の防水仕様で、IPX4等級に対応している。ただ、この防水等級は、雨などの水しぶき程度を想定した飛沫防水と呼ばれるもので、たっぷりの水がかかる状態や、水没までは対応していない。

ディスプレイは、ノッチがなく、形状も平面。そしてベゼルも比較的太めなので、あまり今風とは言えない。しかし、画面の一部が欠けてしまうノッチはゲームに適しているとは言えないし、ベゼルも太いほうが指をかけやすく画面にうっかり触れることを防げる。また、フラットなボディのほうがゲームはプレイしやすい。本機のディスプレイはこうしたゲームプレイを前提として考えられたものなのだ。

有機ディスプレイは色の偏りがなく画質が良好。ノッチもなく、フラットで、ベゼルもしっかり確保されているのは、ゲームプレイに特化した結果だ

90Hzとリフレッシュレートが高く、高速で流れ落ちるリズムゲームの音符であるノーツが残像を起こさずクッキリ見えて、タイミングがつかみやすかった

ボディはASUSのゲーミングブランド「ROG」シリーズに共通する尖ったデザインがあしらわれる。背面はガラスで覆われており、一部に放熱用のヒートシンクが目見える。中央に配置された「ROG」シリーズのロゴマークは、後述する「Xモード」に切り替えると点灯するなど、遊び心もある。

ガラスで覆われたボディはゲーミングスマホらしい尖ったデザインがあしらわれる

ガラスで覆われたボディはゲーミングスマホらしい尖ったデザインがあしらわれる

背面のロゴマークは「Xモード」に切り替えると点灯する仕組み

背面のロゴマークは「Xモード」に切り替えると点灯する仕組み

写真の下に見えるのはヒートシンクの排熱口。指紋認証センサーやカメラ周辺のデザインもゲーミングスマホらしいエッジの立ったもの

サウンド面も高機能だ。NXP社のモバイル用オーディオアンプ「9874」を左右独立して搭載するほか、本体の上下に(ゲームプレイ時は左右に)デュアルフロントスピーカーを備える。ハイレゾ音源の再生は当然、「DTS:X Ultra」の7.1chのバーチャルサラウンド再生にも対応しており、スピーカーでもイヤホンでもバーチャルサラウンドを楽しめる。

接続インターフェイスにもこだわりが見える。本機はUSB Type-Cポートを本体の下面と側面の合計2基備える。このうち側面のUSB Type-Cポートは、本機専用の周辺機器やアクセサリーとの接続を想定した「サイドマウントポート」と呼ばれるもので、USBポートを占有せずに周辺機器を接続できる。また、最新のハイエンドモデルでは搭載されないことも多いヘッドホン端子も搭載されており、好きなゲーミングヘッドホンを接続できる。
Wi-Fiにもこだわりがあり、60GHz帯を使ったIEEE802.11ad規格にも対応しており、同規格に対応するルーターと組み合わせることでより高速な通信環境を利用できる。

「DTS:X Ultra」に対応。スピーカーでもヘッドホンでも7.1chのバーチャルサラウンドを再現できる

「DTS:X Ultra」に対応。スピーカーでもヘッドホンでも7.1chのバーチャルサラウンドを再現できる

ボディ下面にヘッドホン端子と、USB 2.0対応のUSB Type-Cポートを配置する

ボディ下面にヘッドホン端子と、USB 2.0対応のUSB Type-Cポートを配置する

側面には後述するファンやオプションの周辺機器を取り付けるためのサイドマウントポートを配置。写真に写るこの端子の左半分はUSB 3.1に対応するUSB Type-Cポートで、右半分が独自規格のポートとなっている

nanoSIMカードスロットを2基搭載。DSDVに対応しており、NTTドコモ、au、ワイモバイルの各VoLTEに対応している

カメラ機能を見てみよう。メインカメラは約1,200万画素の標準カメラと、約800万画素の広角カメラを組み合わせたデュアルレンズカメラで、フロントカメラは約800万画素となっている。AIを使ったシーン認識を備えず、イメージセンサーの画素数も低めなど「ZenFone 5Z」などと比べるとカメラ性能は控えめだ。その代わりに、ゲーム中の様子を配信するライブストリーミング配信や、画面録画、画面撮影といったスクリーンキャプチャーを手軽に行える。

こちらは標準レンズ側のカメラで撮影したもの。HDRがよく効いており、肉眼では暗かった鐘楼の屋根裏も鮮明に写っている

同じ構図を広角レンズ側のカメラで撮影したもの。構図が少し広がっている

同じ構図を広角レンズ側のカメラで撮影したもの。構図が少し広がっている

オーバークロック仕様の「Snapdragon 845」を搭載。高い冷却効果を持つ冷却ファンも同梱

注目の性能面を見てみよう。本機が採用するSoC「Snapdragon 845」は、「AQUOS zero」や「Galaxy Note9」、「Xperia XZ3」など最近のハイエンドスマートフォンでは広く使われているものだ。ただし、本機が採用するのは、ピーク時の処理性能を受け持つラージコアの動作クロックを、通常の2.8GHzから2.96GHzまで引き上げたオーバークロック版である。これに組み合わせるRAMは8GB、ストレージも512GBといずれもかなりの大容量。OSは、Android 8.1だ。増設用のメモリーカードスロットは非搭載だが、必要充分な構成と言えるだろう。

オーバークロックされたチップは念入りな熱対策が必須だ。ROG Phoneでは、PCで使われることの多いカーボン製冷却パッドや銅製のヒートスプレッダー、3Dベイパーチェンバー冷却システムを組み合わせて採用しているうえに、専用の冷却ファン「AeroActive Cooler」まで同梱されているという念の入れようである。

同梱されるAeroActive Coolerは、ボディ背面中央にはめ込むように装着。側面のサイドマウントポートに接続して電源供給を行う。表面温度で最大-4.7℃の冷却が可能で、充電中のバッテリーの冷却にも効果があった

AeroActive CoolerをROG Phoneに取り付けた状態。AeroActive Cooler にはUSB Type-Cポートとヘッドホン端子が備わっており、横画面の場合にケーブルが画面の下に来るようになっている

また、オプションとして、本機専用物理コントローラー「GAMEVICE FOR ROG Phone」や、2画面表示を実現する「TWIN VIEW DOCK」、キーボードやマウスと接続して、据え置き型のゲームデバイスとして使える「MOBILE DESKTOP DOCK」が用意されている。

本機のオプションのひとつ、物理コントローラー「GAMEVICE FOR ROG Phone」。Androidスマホ向けの物理コントローラーとしては貴重な存在だ

2台のROG Phoneを組み合わせて使う「TWIN VIEW DOCK」。「L」「R」ボタンや冷却ファンも搭載されている

2画面表示を実現する「TWIN VIEW DOCK」。「L」「R」ボタンや冷却ファンも搭載されている

「Mobile Desktop Dock」は、HDMIポートやDisplayPort、合計6基の各種USBポート、有線LANポートなどを備え、据え置き型ゲームデバイスの操作環境を構築できる

本機の処理性能を、定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って計測してみた。ファンを装着した状態と外した状態の2パターンの条件で、冷却の効果を見るために、立て続けに5回連続してベンチマークテストを行った1回目と5回目の数値を掲載している。
ファンを装着した状態の1回目の総合スコアは298,047(内訳、CPU:95,645、GPU:125,952、UX:64,440、MEM:12,010)、ファンを取り付けてない状態での総合スコアは299,993(内訳、CPU:97,481、GPU:125,936、UX:61,151、MEM:12,594)。当然だが差はほとんどない。このスコアは、現状最速と言われるファーウェイ「Mate 20 Pro」のパフォーマンスモードを使った場合の総合スコア305,388(CPU:113,938、GPU:110,662、UX:67,547、MEM:13,241)にわずかに届かなかったものの十分に速い。

5回目の総合スコアは、ファンをつけた状態では286,921(内訳、CPU:84,283、GPU:126,309、UX:62,381、MEM:13,951)だったが、ファンを取り付けていない状態では278,373(内訳、CPU:79,542、GPU:126,422、UX:59,119、MEM:13,210)となり、総合スコアで1万ポイント近い差がついている。ファンを取り付けることで、処理性能の落ち込み幅が減少する効果が確認できた。

ファンを装着した状態の計測

初回の計測値が298,047で、5回目の計測が286,921。数値の落ち込みは約1万ポイント

初回の計測値が298,047で、5回目の計測が286,921。数値の落ち込みは約1万ポイント

ファンを装着しない状態で計測

初回の計測値は299,993で、5回目の計測値は279,780、数値の落ち込みは約2万ポイント

初回の計測値は299,993で、5回目の計測値は279,780、数値の落ち込みは約2万ポイント

HUAWEI Mate 20 ProとGalaxy Note9のスコア

左が、現状最速と言われるファーウェイ「Mate 20 Pro」のスコア、305,388(CPU:113,938、GPU:110,662、UX:67,547、MEM:13,241)。右は本機と同じ「Snapdragon 845」の通常クロック版を搭載する「Galaxy Note9」のベンチマークスコア。総合スコアは282,725(CPU:88,240、GPU:126,232、UX:60,031、MEM:8,222)。オーバークロックの分だけROG Phoneのほうが16,000ポイントほど高いスコアになった。

ゲームの操作では、ボディの側面に「AirTrigger(エアトリガー)」を備えている点もユニークだ。これは、側面に配置された感圧センサーを、ゲーム機のコントローラーに備わる「L」または「R」ボタンのように使うというものだ。ディスプレイのタッチ操作を減らせるので、ヘビーなゲーマーにはかなり魅力的な機能と言えるだろう。

スマホの側面をゲーム機のパッドコントローラーの「L」「R」ボタンのように使う「AirTrigger」。なお、縦画面の時は利用できない

なお、本機には、「Xモード」という一種の処理性能最適化モードが用意されている。これは、バックグラウンドで動作するアプリのメモリーをいったん解放し、通知を制限するなど、ゲームアプリの処理にシステムリソースを集中させるものだ。また、アプリごとにSoCに含まれるCPUの動作クロックの上限を手動で設定することもでき、電力を手動で節約できる。

メモリーを解放し、通知を制限することでゲームアプリの処理を最適化する「Xモード」。ゲームに集中したい場合に使いたい

アプリ別にCPUの動作クロックの上限を設定できる

アプリ別にCPUの動作クロックの上限を設定できる

こちらはゲーム中に各種のコントロールを行える「GAME GENIE」。ゲームごとのXモード設定の最適化を行えるほか、ゲームのマクロ制御や、画面を動画として撮影したり、スクリーンキャプチャーをワンタッチで行える

オプション機器を含めたシステムとしての魅力が高い

日本国内では珍しいゲーミングスマホの「ROG Phone」。まず何より、高画質な有機ELディスプレイや余裕のある処理性能など、基本となる部分がしっかりしており、ハイエンドスマホとして見ても満足度が高い。これに加えて、ゲームプレイに特化したボディ形状やサウンド機能、インターフェイス備わっており、さらに同梱の放熱ファン「AeroActive Cooler」による冷却性能もうれしいポイントだ。また、物理コントローラー「GAMEVICE FOR ROG Phone」をはじめ、二画面表示を実現する「TWIN VIEW DOCK」、「MOBILE DESKTOP DOCK」など豊富な専用のオプションパーツを組み合わせることでゲームの操作性をグンとアップさせることもできる。

こうしたオプションを利用することで、EPIC GAMESの「FORTNITE」や、NetEase Games「荒野行動」のようなTPS(Third-person shooter)でも快適にプレイできるだろう。

近ごろタイトルが急増している、高速で動く複数のボールを使ったブロック崩し“ブリック”。スペック要求は高くないが、ディスプレイのリフレッシュレートが速いので本機との適性が意外とよかった

Epic Gamesの「FORTNITE」の要求スペックをもちろんクリアしている。なお、「GAMEVICE FOR ROG Phone」を使用する場合、物理コントローラーを使うユーザー同士の対戦となる点は注意


2019年4月12日訂正:文中の「TwinView Dock」の説明が間違っておりました。「2画面表示を実現する」が正しい機能になります。以上訂正しお詫び申し上げます。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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