レビュー
ヘビー級のゲームを長時間安定してプレイできる生粋のゲーミングスマホ

スマホだけどほとんど携帯ゲーム機!「Black Shark2」レビュー

最近よく耳にするようになった「ゲーミングスマホ」という製品。その名の通り、ゲームアプリをプレイすることに特化した性能や機能を持ったスマートフォンであるが、2019年6月7日に発売された「Black Shark2」(シャオミ製)も、生粋のゲーミングスマートフォンである。その実力に迫った。

シャオミ国内初モデルの「Black Shark2」は、純度の高いゲーミングモデル

「Black Shark2」は、2010年に創業した中国企業「シャオミ(小米)」のサブブランドである「Black Shark」から登場したゲーミングスマートフォンの最新モデルだ。国内では、FREETELの創業者である増田薫氏が率いるKAZUNAから6月7日に発売された。シャオミの日本市場初参入となる製品であり、技術適合試験(通称「技適」)の認証を取得している。なお、LTEの対応バンドは、B1/2/3/4/5/7/8/19/20/28/34/38/39/40/41となっており、NTTドコモのプラチナバンドであるB19や、ワイモバイル(ソフトバンク)のB8に対応。NTTドコモとワイモバイル(ソフトバンク)のVoLTEにも対応している。

今までのシャオミのスマホは技適に対応していなかったが、本機は技適マークを取得しており、国内で合法的に使うことができる

NTTドコモのSIMカードを挿した状態で、通信ユーティリティ「Net Monitor」を使ってLTEのネットワーク状況を調べた。ARFCN値は6100で、NTTドコモのプラチナバンドであるB19(800MHz帯、帯域幅10MHz)との接続が確認できた

ディスプレイは2,340×1,080表示に対応する約6.39インチの有機ELディスプレイだ。ゲーミングスマホの多くがそうであるように、ノッチやパンチホールのない、機能性重視の平面ディスプレイである。なお、このディスプレイはタッチセンサーの反応レートを240Hzに高め、応答時間も43.5msに短縮しており、よりダイレクトな操作感覚を実現している。

ボディは約75.01(幅)×163.61(高さ)×8.77(高さ)mmで、重量約205gと比較的大きめである。なお、防水・防塵仕様には対応していない。インターフェイス関連では、USB Type-Cポートがあるくらいで、NFCポートやヘッドホン端子も廃されている。なお、USB Type-Cポートに接続するイヤホンと、ヘッドホン端子への変換コネクターが同梱される。

ノッチのない平面ディスプレイを採用。上下左右のベゼルは比較的多めに取られており、横位置でゲームをプレイする際に、指をひっかけやすくなっている

背面は、ゲーミングスマホらしい主張の強いデザインだ。今回の検証機のカラーはフローズンシルバーだが、このほかにグローリーブルーとシャドーブラックのカラバリも用意されている

内蔵されるバッテリーの容量は4,000mAh。「QuickCharge 4.0」に対応しており27Wという大電力で急速充電が行える。バッテリー残量ゼロから60%までの充電にかかる時間はわずか30分。メーカーによれば約5分の充電で約30分ゲームが動作するという。

スマートフォンの使用中でも急速充電は維持される。なお、今回の検証は6日間行ったが、その間に充電は4回行っただけである。もっともバッテリーが持続した場合では、2時間程度ゲームをプレイしつつ、SNSやWebコンテンツの閲覧、ストリーミング動画の視聴で存分に使ったにもかかわらず、48時間充電は不要だった。バッテリーの持続性は意外なほど良好だった。

USB Type-Cポートは急速充電規格「QuickCharge 4.0」に対応。同規格対応の充電器も製品パッケージに同梱されている。別売りのケーブルを接続すればHDMI入力ポートへの映像出力も行える

ゲーミングスマホにとって重要な周辺機器もオプションで用意される。写真は専用のコントローラーで、「KAZUNA eSHOP」で販売されている

最高レベルの処理性能に加え、長時間プレイでも熱ダレを感じさせない熱処理能力が魅力

本機は、SoCに「Snapdragon 855」を採用し、12GBという大容量のRAMと256GBのストレージを組み合わせる。microSDXCメモリーカードスロットは非搭載だが、これだけのストレージ容量があれば、さほど心配ないだろう。OSはAndroid 9。12GBという大容量メモリーは、ライバルとなりそうなサムスン「Galaxy S10+」やOPPO「Reno 10x zoom」の8GBを圧倒するもので、国内で正規販売されるスマートフォンでは最大のものだ。

長時間のゲームプレイが想定されるゲーミングスマホでは、処理性能とともに、高度な熱対策も必須となる。本機では合計面積14,555mm2の多層ヒートシンクと、液冷の冷却システムを組み合わせて搭載しおり、SoCのコアの温度を14℃引き下げる効果があるという。

実際の処理性能を定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って計測したところ、総合スコアは334,416(内訳、CPU:102,296、156,593、UX:62,793、MEM:12,734)となった。これは、Snapdragon 855搭載機としてはやや低めのスコアである。ただ、ベンチマークテストを5回立て続けに計測した際の総合スコアは、312,542(内訳、CPU:86,358、GPU:154,267、UX:59,761、MEM:12,156)と、通常のスマホでは低下しがちなスコア低下があまり見られない。サブスコアを見ても、CPUのスコアが15%ほど下落しているにとどまっており、排熱対策がうまくいっているようだ。

左が計測1回目のスコア、右は計測5回目のスコア。CPUのスコアが15%ほど落ちているが、ほかのスコアは熱の影響がほとんど見られない

なお、ゲームプレイ時のパフォーマンスを調べるため、「フォートナイト」、「アスファルト9」「アイドルマスター ミリオンライブ シアターデイズ(ミリシタ)」を最高画質に調整したうえで継続して2時間ほどプレイしたが、終始安定した動作で処理性能の低下は感じられなかった。ボディ表面の熱も抑えめで、長時間のプレイでも不快に感じることもなかった。また、もうひとつのポイントは、タッチの応答性のよさだ。リズムゲームでは効果は特に顕著で、感覚通りにタッチの判定が行われた。苦手な曲目でもミスが減り、スコアも多少向上したように思う。

ゲーム中の通知にバイブレーションを利用でき、視界を妨げずにゲームを続けられる

ゲーム中の通知にバイブレーションを利用でき、視界を妨げずにゲームを続けられる

配信されたばかりのパズルゲーム「ドクターマリオワールド」をプレイ。グラフィック性能の要求が低いパズルゲームでは本機はオーバースペックだが、広い画面で操作できるメリットがある

3Dグラフィックを使うが要求スペックがさほど高くない「ポケモンGO」だが、本機は大容量のバッテリーを備えているのでメリットはあるだろう

2周年記念イベントでし烈な戦いが繰り広げられている最中の「ミリシタ」。かなり高いグラフィック性能が要求される13人ライブを立て続けに何十回もプレイし続けても、性能にまだまだ余裕が感じられた

スマートフォンを携帯ゲーム機にするユニークな「Shark Space」モード

ゲーミングスマートフォンとしてのユニークな機能「Shark Space」を備えている。これは、近頃のスマホでよく見かけるゲーム最適化機能の一種ではあるが、ほかには見られないマニアックな機能が用意されている。Shark Spaceは、側面にある、スイッチで起動する。この際に、動作しているアプリがすべて終了しメモリーが解放され、Shark Spaceに登録しているゲームアプリ(通常アプリも登録は可能)のみが起動可能になる。いわば、Black Shark2を携帯ゲーム専用機に切り替えるスイッチだ。

Shark Spaceが起動すると、通知や画面の輝度コントロール、キーパッドの表示などが制限され、音声通話の着信まで制限できる。また、ゲームアプリ別に、パフォーマンス、ディスプレイの発色およびタッチ反応の調整、サウンド、ネットワークなどの各種設定が行える。

本体右側面に備わる「Shark Space」スイッチ。これをオンにすることで、Black Shark2がゲーム専用機に切り替わる

Shark Spaceでは、通常のAndroidホーム画面は表示されず、写真のようなゲームの選択画面がホーム画面となる。ホームボタンを押してもこの画面が表示される

通常のAndroid通知・設定の表示ではなく、ゲーム専用のカスタマイズメニューが用意されている(通常の通知画面も表示はできる)

アプリごとに、パフォーマンスを細かく調整することも可能

アプリごとに、パフォーマンスを細かく調整することも可能

写真の画面右下のチェックを外し、負荷レベルを最高にすることで、処理性能を優先する「極限モード(Ludicrous Mode)」となる

ゲームごとに左右のタッチパネルの圧力を調整可能

ゲームごとに左右のタッチパネルの圧力を調整可能

ゲーム中の音声通話の着信を制限する「オブザーバーモード」。ゲーミングスマホといえど一時的に通話まで制限できるものは珍しい

10万円クラスのスマホとしてはシンプルなカメラ機能

カメラ機能を見てみよう。リアにあるメインカメラは約4,800万画素(映像記録用)と約1,200万画素(被写界深度計測用)の組み合わせのデュアルカメラだ。カメラアプリ内のボタンで2倍のズームが行えるほか、10倍までのデジタルズームに対応する。AIを使ったシーン認識機能やポートレート撮影なども備える。フロントカメラは約2,000万画素のシングルカメラとなる。

メインカメラはデュアルカメラ。AIを使ったシーン認識やポートレート撮影機能などを備えている

メインカメラはデュアルカメラ。AIを使ったシーン認識やポートレート撮影機能などを備えている

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した写真の作例を掲載する。なお、AIシーン認識をオンにした状態で、カメラ任せのオートモードで撮影を行っている。

丸の内の夜景を撮影。ノイズも少なく、駅舎のレンガや屋根の質感もよく残っているが、ピントからずれる遠景の高層ビルがやや荒れている。ただ、HDRがうまく効いているようで陰影の表現は鮮明かつ自然だ

2倍ズームで撮影。デジタルズームになるが、解像感は十分保たれている

2倍ズームで撮影。デジタルズームになるが、解像感は十分保たれている

夜の花壇を撮影。十分な光量があり鮮明に撮影できた

夜の花壇を撮影。十分な光量があり鮮明に撮影できた

同じ構図を2倍ズームで撮影。なお、こちらは同じ構図で5ショット撮影したが、上記の作例以外はピントを合わせきれずピンボケ写真となった

今回は夜景の撮影を行ったが、AIシーン認識やオートHDR機能が効果的に作用しており、遠景撮影は比較的良好だった。ただ、光量の少ない場所では、ピントを合わせ切れずにピンボケ写真になることが増えた。高感度撮影にはさほど強くはなさそうだ。本機と同じSoCを搭載し、価格面でも競合するサムスン「Galaxy S10/S10+」や、ソニーモバイル「Xperia 1」、OPPO「Reno 10x zoom」とは、カメラの扱いやすさという点ではやや見劣りするのは否めない。

安定した長時間プレイを可能にする生粋のゲーミングスマホ

ゲーミングスマホという強い個性を持って登場したBlack Shark2は万人に向いた製品ではない。現状最高レベルの処理性能の高さに加えて、効率的な冷却システムを組み合わせ、長時間ゲームをプレイするヘビーゲーマー向けの製品だ。加えて、コントロールパッドや外部出力用ケーブルといった周辺機器もそろっており、システムとしての魅力も見逃せない。カメラなどの機能は正直割り切っている部分もあるが、ゲームプレイについては非常にパワフルかつレスポンスにすぐれ、ストレスがなかった。

本機と競合するのは、強いて言えばASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone」になるが、1世代前のSoCを採用しているので、本機を検討するようなコアなゲームファンには少々物足りないだろう。ゲームを目的とするなら、現状で最良のAndroidスマートフォンと言っても過言ではない。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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