レビュー
手首をクイッから卒業です

「Apple Watch Series 5」レビュー。「常時表示」は一見地味だが大きな一歩の予感

2015年に「Apple Watch」が登場して4年半。価格.comの「ウェアラブル端末・スマートウォッチ」カテゴリーの人気売れ筋ランキングでは、トップ10のうち8つがApple Watchで、すっかりスマートウォッチの代名詞的な存在となっている。

そんなApple Watchに最新モデルの「Apple Watch Series 5」が登場。前モデルの「Apple Watch Series 4」から、どう変わっているのか詳しく見ていきたい。

Apple Watch Series 5。今回試したのは44mmスペースグレイアルミニウムケースとアラスカンブルースポーツループのGPS+Cellularモデル(アップルストア価格は税別で56,800円)。

「常時表示」で「腕時計らしさ」がアップ!

Apple Watch Series 5の一番の進化点はディスプレイだ。デザインやサイズはApple Watch Series 4から変わっていないが、ディスプレイが「常時表示Retinaディスプレイ」となり、文字通り常時表示されるようになった。

Apple Watch Series 4以前のApple Watchは、消費電力を極力下げるために、利用者が画面を見ていないときは、画面が真っ暗になり、文字盤を見るために手首をクイッと上げたり、デジタルクラウンを押したりすると画面が表示される仕組みだった。デジタル機器にとってバッテリーを一番消費する部品がディスプレイと言われているので、使っていないときに画面を消しておくというのは理にかなっていると思うが、不便なシーンがあったのも事実。

たとえば、満員電車に乗っていて両手でつり革につかまっているときに、時刻を確認するために、手首を無駄に動かさなければならなかったり、ミーティング中に時間を確認するために、いちいち腕を上げなければならないなど、Apple Watchユーザーならではの苦労があった。Apple Watch Series 5は、常に画面が表示されるので、いちいち手首を動かさなくても、さっとのぞき込むだけで時刻を確認できるようになった。

また、Apple Watch Series 5を装着しているときに、同僚から「腕時計っぽくなりましたね」と言われた。腕時計はファンションアイテムでもあり、見た目は重要な要素。ほかの人が見たときに、文字盤が真っ暗なのは、やはり格好がよくなかったのかもしれない。常時表示Retinaディスプレイによって、「時計らしさ」がアップしたのは、意外とインパクトが大きいのではないだろうか。

いっぽう、常に画面が表示されるようになって心配なのがバッテリーの持ちだ。Apple Watchは1日1回の充電が基本と言われているが、Apple Watch Series 5は「最大18時間」(カタログスペック)とApple Watch Series 4と変わっていない。常時表示非対応のApple Watch Series 4と変わっていないのはなかなかすごい。

この長時間駆動は、低温ポリシリコン酸化物(LTPO)ディスプレイ、ディスプレイドライバー、高効率IC、新しい環境光センサーの組み合わせで実現している。LTPOディスプレイは、Apple Watch Series 4にも採用されていたが、それ以外がないため、watchOSをアップデートしても常時表示はできない。技術的には、リフレッシュレートを60Hzから1Hzに落とし、秒針が表示されなくなり、文字盤のデザインもなるべく電力を消費しないデザインに変わる。予定やスケジュールなどはApple Watch Series 5を使っている(見ている)ときにしか表示されず、それ以外のときは表示されないので、個人情報が知らない人に見られるという心配は不要だ。細かな点だが、セキュリティや個人情報保護を大事にするアップルらしいところだ。

ネイビーブルーが目を引く「カリフォルニア」という文字盤。左がすべての機能を使える、いわゆる「オン」の状態。右が待機状態で、よく見ると赤い秒針がなくなっている。画面の背景もネイビーブルーから黒に変わる。白い針とのコントラストで、夜でも見やすい

こちらは「メリディアン」という文字盤。「カリフォルニア」と同じように背景は、オンの状態が白、待機状態が黒となる

オンの状態では、コンプリケーションのよく連絡をとる「古賀」さんの苗字が表示されているが、待機状態では苗字が表示されない

アプリを利用しているときに待機状態になると、中身が見えないようにぼやけた表示になり、その上に時刻が表示される

実際に使ってみると、1日は問題なく使える印象だ。ただし、厳密に比較したわけではないが、Apple Watch Series 4のほうがバッテリーは持つと感じた。Apple Watch Series 4を1年ほど使っているが、日によっては2日間使えるときもあるほどバッテリーがよく持つ。常時表示Retinaディスプレイは便利だが、できるだけ長く使いたいときは、同機能をオフにするといいかもしれない。

常時表示機能は「設定」からオフにすることが可能。日常使いではオフにする必要はないと思うが、長時間充電できない場合などはオフにするといいだろう

マップが便利になるコンパス

機能面でもうひとつ大きな進化点が、コンパスの搭載だ。これにより方角や傾き、高度、緯度、経度がわかるようになった。山やハイキングなどで便利に使えるのはもちろん、マップでも自分が向いている方向がわかるようになったので、道に迷いにくくなるはずだ。

コンパスアプリ。ボーイスカウトを思い出す

コンパスアプリ。方位磁石の使い方を教わったボーイスカウトを思い出す

マップアプリで自分の向いている方向がわかるのは便利。これまでなかったのが不思議なくらいだ

マップアプリで自分の向いている方向がわかるのは便利。これまでなかったのが不思議なくらいだ

新素材チタニウム、復活のセラミック

Apple Watch Series 5ではケースの素材が4種類用意される。定番のアルミニウムは、iPhoneの製造過程でできた100%再生アルミニウムを採用。シルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色のカラーバリエーションが用意される。ステンレススチールは、アルミニウムよりも光沢感がある。こちらもシルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色から選べる。

新素材として仲間入りしたチタニウムは、高級時計によく使われる素材で、時計好きに好まれそう。黄ばみや指紋が目立たない表面被覆技術を開発したというこだわりようだ。カラーは、スペースブラックとチタニウムの2色を用意。実物を見たが、チタニウムはまさに高級時計のようたたずまいで、ワンランク上の質感だった。ぜひアップルストアなどで実物を確認してもらいたい。復活したセラミックは、ずっしりとした重みがあって輝く白が印象的。

チタニウム

チタニウム

セラミック

セラミック

実用的なアプリが追加された「watchOS 6」

「watchOS 6」による新機能も見逃せない。まず、「App Store」に直接アクセスしてアプリをインストールできるようになった。はじめはApple IDのパスワードを入力する必要があるのだが、文字入力はiPhone側でできるなど親切な設計になっていた。

Apple IDのパスワード入力はペアリングしているiPhoneから行える

Apple IDのパスワード入力はペアリングしているiPhoneから行える

App Storeに直接アクセスしてアプリをダウンロードできる

App Storeに直接アクセスしてアプリをダウンロードできる

ありそうでなかった、「計算機」と「ボイスメモ」といった新しいアプリケーションも追加された。44cmモデルの話になるが、計算機の数字は小さいものの、意外と間違いなく打てるので、ポイント還元や消費税を計算するときにさっそく使わせてもらっている。

計算機は、さすがに小さな表示だが、意外と打ち間違わずに使える

計算機は、さすがに小さな表示だが、意外と打ち間違わずに使える

Apple Watch Series 4は「健康」をひとつの特徴としてあげていたが、Apple Watch Series 5も引き続き、健康をサポートするデバイスとなっている。電気心拍センサーと第2世代の光学式心拍センサーを搭載。転倒検出機能も備える。新たに「ノイズ」という環境ノイズをリアルタイムでチェックするアプリが搭載された。設定したノイズのしきい値を超えると通知して知らせてくれるというもので、聴覚を保護するための機能だ。また、周期記録なども追加されたほか、Apple Watch Series 5のセルラーモデルだけだが、海外旅行時に現地の緊急通報が利用できる機能も追加された。

ノイズアプリは、設定したしきい値を超えるノイズを検出すると振動で知らせてくれる、耳を守るアプリ

ノイズアプリは、設定したしきい値を超えるノイズを検出すると振動で知らせてくれる、耳を守るアプリ

まとめ

スペック面では、チップが「S4プロセッサ」から「S5プロセッサ」になり、内蔵ストレージの容量が16GBから32GBにアップするなど、着実に進化している(チップの説明はどちらも「S3プロセッサから最大2倍高速」と同じようだが)。動作は軽快そのもので、サクサク動く。「Apple Watch Series 2」や初代Apple Watchを使っているユーザーが買い換えれば、間違いなく快適になるはずだ。

Apple Watch Series 4からApple Watch Series 5へのアップデートは一見地味だが、常時表示Retinaディスプレイの搭載はApple Watchにとって大きな進化と言える。これで、「文字盤が黒くて腕時計っぽくない」と言われることはなくなるだろう。それでいてバッテリー駆動時間もスペック上はキープしているのがすごい。好評ならiPhoneへの採用なども考えられる。常時表示できてバッテリーが減りにくいのであれば、いろいろなデバイスに展開できそうだ。

健康のため、ファッションのため、安全のため、最新ガジェットが好きだから、いろいろな理由でApple Watchの購入を検討している人は多いはず。Apple Watch Series 5は、そんな人の要望にしっかりと応えてくれるモデルに仕上がっている。Apple Watchを長く愛用している人たちには、常時表示の快適さをぜひ味わってもらいたい。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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