初代モデルが登場したのが今から4年前の2016年春。4インチの「iPhone SE」は、「スマホが大きすぎる」「iPhoneが高すぎる」と感じていたユーザーから絶大な支持を集めた。そんなiPhone SEの第2世代モデルが2020年の春に登場した。4月24日の発売日に入手できたので、さっそく詳しくレビューしていきたい。
初代モデル登場から約4年。第2世代のiPhone SEが2020年4月24日に発売された。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクからは5月11日に発売される予定だ
iPhone SEの第2世代モデルは、2017年9月に発売された「iPhone 8」のデザインに、昨年秋に登場した「iPhone 11」のチップを搭載したスマートフォンだ。旧世代のデザインに、最新チップを載せるという手法は初代モデルから変わっていない。初代のiPhone SEは、「iPhone 5s」のデザインで、チップやカメラは「iPhone 6s」と同等のものを備えていた。
そんな初代iPhone SEの特徴は、コンパクトなサイズ、高いパフォーマンス、そしてiPhoneとしては購入しやすい価格設定の3つだった。その特徴は第2世代のiPhone SEでも変わらない。というよりも、さらにこれらの特徴がパワーアップしている。
なお、価格.comの「スマートフォン」カテゴリーの人気・注目ランキングでも、さっそく1位を獲得。大手キャリアが発売を5月11日に延期しており、SIMフリーモデルだけで1位を獲得したことになる。大手キャリアから発売されれば、さらに人気が出ることが予想される。
左から6.1インチのiPhone 11、4.7インチの第2世代iPhone SE、4インチの初代iPhone SE
画面サイズは初代の4インチから4.7インチに大型化している。「4インチがよかった」という声も聞こえてきそうだが、4年前と現在とではスマホの画面サイズが大型化しており、“今のスマホ”として見ると、4.7インチでも十分コンパクトなサイズに感じられる。男性としては手のサイズは平均的な私が親指でフリック入力することができるほどだ。もちろん、4インチの初代iPhone SEよりも大きいが、コンパクトなスマホを求める人には満足できるサイズではないだろうか。
4.7インチのディスプレイは、1334×750の「Retina HDディスプレイ」。コントラスト比は1400:1、広色域(P3)、最大輝度が625ニットというスペックはiPhone 8と同じ。違いは、「3D Touch」が「触覚タッチ」になっていることだ。
デザインはiPhone 8と同じ。本体サイズと重量も変わらず、純正のiPhone 8用のケースがそのまま使える。丸みのあるデザインで、素材にはガラスとアルミニウムが使われている。カラーはブラック、ホワイト、(PRODUCT)REDの3色がラインアップされている。
第2世代のiPhone SE(ブラックモデル)。本体サイズは67.3(幅)×138.4(高さ)×7.3(厚さ)mm、重量は148g。丸みのある形状でホールドしやすく、親指でフリック入力もできる
初代iPhone SE。本体サイズは58.6(幅)×123.8(高さ)×7.6(厚さ)mm、重量は113g。このサイズだと、Safariのアドレスバーにも親指が届く
初代iPhone SEは角張ったフォルムなのに対して、第2世代iPhone SEは丸みのあるフォルム。好みの問題だが、角張ったフォルムの初代モデルのデザインは今見ても古さを感じない
初代iPhone SEにはなかったIP67等級の防沫性能、耐水性能、防塵性能を搭載。iPhone 11のIP68等級には及ばないが、突然の雨などでも安心して利用できるようになった。
見た目は見慣れた感のあるiPhone 8だが、中身はまったく違う。スマホの頭脳であるチップには昨年秋に発売したiPhone 11と同じ「A13 Bionic」を搭載している。つまり、最新のiPhone 11と同じくらいサクサク動くということだ。3Dを多用したゲームも、機械学習を使ったアプリも快適に動作する。写真のライブラリーのスクロールも、4K動画の編集も楽々とこなせる。
「A9」チップを搭載していた初代iPhone SEと比べると、CPUは最大2.4倍、GPUは最大4倍速いという。「A11 Bionic」を搭載するiPhone 8と比べると、CPUは最大1.4倍、GPUは最大2倍速い。
ベンチマークアプリ「Geekbench 5」のCPUの結果はシングルコアが1326、マルチコアが3045と、以前測定したiPhone 11とほぼ同じだった(iPhone 11のベンチマーク結果はこちらの記事)。メモリーが3GBとなっており、4GBのiPhone 11よりもこの点はスペックが抑えられているようだ。
メインカメラは1200万画素F1.8のシングルカメラだが、人物撮影時に背景をぼかせる「ポートレートモード」をサポート。自然光、スタジオ照明、輪郭強調照明、ステージ照明、ステージ照明(モノ)、ハイキー照明という6つのエフェクトも利用できる。メインカメラだけでなく、700万画素F2.2のフロントカメラでも使えるので、背景をぼかした自分撮りも楽しめる。初代iPhone SEのフロントカメラは120万画素F2.4だったので、大きくスペックアップしている。4K動画も30fpsから60fpsへパワーアップ。iPhone 8にはないステレオ録音もサポートしている。
光学式手ぶれ補正も搭載しており、シャッターボタンをタップするだけでブレを抑えたクリアな写真が撮影できた。なお、iPhone 11にある「Deep Fusion」と「ナイトモード」は備えていない。iPhone 11にある超広角カメラもなく、カメラ機能はiPhone 11のほうが上だ。
左のiPhone 11は広角と超広角のデュアルカメラを搭載。右の第2世代iPhone SEは広角のシングルカメラ
ポートレートモードで撮影。シングルカメラでも簡単に背景をぼかした写真を撮影できる。髪の毛の部分は少しだけ境界が甘いが、十分すぎるクオリティ。撮影後の深度コントロールも可能
スマートHDRもサポートしており、明暗差の激しいシーンも白飛びなく撮影できる
派手に演出することはない自然な色味はiPhoneのカメラの魅力
第2世代のiPhone SE(左)、iPhone 11(右)で撮り比べてみた。iPhone 11は広角カメラで撮影している。同じ広角カメラだが、35mm判換算の焦点距離はiPhone SEが28mm、iPhone 11が26mmと少し違う
iPhone SEの最大のポイントは価格だろう。アップルストア価格(税別)は64GBモデルが44,800円、128GBモデルが49,800円、256GBが60,800円。性能はiPhone 11と同じであり、長く快適に使えることを考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。容量別に見ると、128GBモデルのお得さが光る。古いiPhoneを下取りに出せばさらに安く購入できる。
ちなみに、初代iPhone SEの発売時のアップルストア価格(税別)は、16GBモデルが52,800円、64GBモデルが64,800円だったので、消費税を考えても第2世代モデルのほうが安い。
第2世代のiPhone SEは、iPhoneは価格が高いからAndroidに乗り替えを検討している人や、ガラケーからスマホにはじめて乗り替える人には最適なiPhoneだ。もちろん、初代iPhone SEを使い続けており、コンパクトなiPhoneが欲しいという人にも買い替え候補の最有力だ。マスクをする機会が増えている現在、指紋でロックを解除できる「Touch ID」も便利で、第2世代iPhone SEが選ばれる理由にもなりそうだ。初代モデルと同様、第2世代iPhone SEもヒットしそうだし、長く愛されていきそうだ。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!