日本マイクロソフトの「Surface Go 2」は、前世代の「Surface Go」よりも少しだけ大きな10.5型のディスプレイを搭載するWindowsタブレット。別売のキーボード「Surface Go Type Cover」を使えば、ノートパソコンのような使い方もできる。Surface Goは高い携帯性と手ごろな価格で人気だったが、2世代目のSurface Go 2はどうなのか試してみた。
画面サイズが約10型から約10.5型にわずかに大きくなったSurface Go 2。本体サイズは変わっておらず、小型・軽量ボディで携帯性は非常に高い。価格.com最安価格は61,167円から(2020年5月30日時点)
Surface Go 2の外観は、Surface Goからほとんど変わっていない。見た目で違うのは画面サイズだけで、10型から10.5型へわずかに大きくなっている。画面のアスペクト比は3:2のまま。解像度は1800×1200から1920×1280になり、画素密度は217ppiから220ppiにわずかにアップしている。
重量は522gから544g(Wi-Fiモデル)にわずかに重くなっているが、初代モデルと同様、携帯性は非常に高い。子どもでも楽に持ち運べるし、カバンにも収まりやすい。バッテリー駆動時間もカタログスペックで最大9時間から最大10時間にアップしている。モバイルはもちろん、家の中で使う時もバッテリー駆動時間が長いほうが便利なのは言うまでもなく、うれしい進化点だ。
キックスタンドで自立するのは初代モデルから変わっていないが、ほかのタブレットにはないSurface Go 2の魅力だ。デザインや機構、外部インターフェイスなどは初代モデルから変わっていない
画面サイズは10型から10.5型へわずかに大きくなっている。額縁を細くすることで、サイズは初代モデルと同じ大きさとなっている
ボディの素材はマグネシウム合金。さらっとした肌触りで汚れが目立ちにくい
重量はWi-Fiモデルが544gから、LTEモデルが553gから(タイプカバー含まず)。Wi-Fiモデルのタイプカバー込みの重量は実測で783g。Wi-Fiモデル本体+タイプカバー+Surfaceペンは804g、Wi-Fiモデル本体+タイプカバー+Surfaceペン+ACアダプターは943g(いずれも実測値)。ACアダプター込みでも1kg切る
別売の「Surface Go Type Cover」は、初代モデル用のものも利用可能。写真は初代モデル用のタイプカバーだ。画面サイズが大きくなっているが、ギリギリ画面に重ならないようになっている
外部インターフェイスはUSB Type-Cポート、ヘッドホン出力、Surface Connectポート、Surfaceタイプカバーポート、microSDメモリーカードスロットを搭載。初代モデルと変わっていない。USB Type-Aポートがないので、周辺機器を接続する際はアダプターやケーブルが必要になる
外観は変わっていないが、スペックはしっかりと強化されている。CPUには第8世代Core m3プロセッサーを搭載したモデルを用意。Pentium Gold 4415Yを搭載していた初代モデルと比べると、最大64%もパフォーマンスがアップしているという。
ラインアップはCore m3/8GB/128GB SSD、Pentium Gold 4425Y/8GB/128GB SSD、Pentium Gold 4425Y/4GB/64GB eMMC(CPU/メモリー/ストレージ)の3モデル。価格.com最安価格は順番に、98,634円、78,807円、61,735円(2020年5月30日時点)。Core m3モデルはさすがに10万円近くするが、LTEにも対応する。一番安いモデルは6万円台とお手ごろな価格ではあるが、メモリーが4GBで、ストレージが64GBのeMMCなのが気になる。
今回試したモデルはCPUにPentium Gold 4425Yを搭載した真ん中のモデルだ。パワフルなCPUではないが、Officeソフト使った作業やWebページの閲覧、メールのやり取りなどはストレスなくこなせるだろう。
初代モデルからどのくらいパフォーマンスがアップしているのかパソコンの総合性能を測定する「PC Mark 10」で計測してみた。結果は1827と、以前レビューで取り上げた初代モデル(Pentium Gold 4415Y/8GB/128GB SSD)の1691を上回った。その差は136だが、着実にパフォーマンスがアップしている。
定番のベンチマークプログラムソフト「PCMark 10 Professional Edition」のスコアは1827。初代モデルよりもスコアは136アップしている
話は少し変わるが、Surface Go 2は、東京渋谷区の区立小中学校全26校のすべての児童生徒に配布されることが決まっている。渋谷区では2017年から「渋谷区モデル」として、Windowsタブレットを区立小中学校すべての教員・児童生徒に配布して授業や宿題に活用してきた。Surface Go 2はその端末として、2020年9月以降に順次配布されることになっているのだ。
筆者は渋谷区在住で子どもが区立の小学校に通っている。新型コロナウイルスの影響で、休校が長引いた期間、課題がタブレットに配信され、毎日、課題をチェックしてから自宅で課題に取り組むのが日課となっている。教材を動画にしたり、教科書のページに合わせて音声をつけたり、子どものやる気を出させるために先生方が一生懸命工夫されていた。
ただ、正直端末が使いにくかった。起動するまでに待たされる、LTE回線が遅くてオンラインの朝の会になかなか入れない、画面が小さくて、最大輝度にしても暗いなど、細かな不満でも、毎日のことになるとつらいのだ。LTEの部分は回線によるので、Surface Go 2になっても変わらないかもしれないが、それ以外の部分はだいぶ改善されるはずだ。配布される端末がSurface Go 2になれば、子どもも一緒に勉強する先生や親たちも幸せになるのではないだろうか。
もちろん、心配な点もある。今配布されている端末は見るからに壊れにくそうな堅ろうなボディでペンを本体に収納できる。それに対して、Surface Go 2は頑丈には作られてはいるだろうが、子どもが乱暴に扱った場合、どうなるのか不安だ。また、Surface ペンは本体には収納できずマグネットで固定する仕組みなので、紛失する子がでてきそうだ。
Surface Go 2は、初代モデルからほとんど変わっていないが、それは初代モデルの完成度が高かったためとも言える。価格も6万円台からと手ごろな価格も変わっていない。これでOfficeソフトも入っているのだから、コスパは高い。中身に関してはCore m3プロセッサーを搭載したモデルが用意され、より高いパフォーマンスを求めるユーザーの要望に応えている。
学生が自宅でパソコンやタブレットを使って勉強する機会が今後増えるだろう。そんな時にSurface Go 2を使えば、やる気も上がるのではないだろうか? 渋谷区のように、Surface Go 2が学校から配布されるとなると、筆者を含めうらやましいと感じる親もいるのではないだろうか。