ファーウェイ・ジャパンから2020年10月2日に発売された最新のスマートウォッチ「WATCH GT 2 PRO」。約2週間駆動するバッテリーを従来モデルから受け継ぎつつ、対応するワークアウトが増え、身体を気遣うヘルスケア機能も強化されたモデルになっています。過去に「WATCH GT」を使用した筆者が、実際に本機を1週間ほど使用したレビューをお届けします。
ファーウェイのスマートウォッチ「WATCH GT 2 PRO」
「WATCH GT 2 PRO」はクラシックモデルとスポーツモデルの2モデルがラインアップ。クラシックモデルには、本革バンドのほか、樹脂製のフルオロエラストマートバンドが付属。いっぽうのスポーツモデルにはフルオロエラストマートバンドのみが付属するという違いがありますが、どちらも時計本体の性能に違いはありません。市場想定価格は、クラシックモデルが35,800円(税別)、スポーツモデルが31,800円(税別)。ベルト幅は22mmで、裏側のレバーで簡単に交換できるようになっています。
多機能で使い勝手のいいスマートウォッチは多数ありますが、こうした製品の弱点として、バッテリー駆動時間の短さがあげられます。しかし、「WATCH GT 2 PRO」は、ファーウェイ独自開発のチップセットを使用することで、1回の充電で約14日間駆動する長時間駆動が特徴のひとつになっています。スマートウォッチによっては、満充電から一晩過ごすと20%以上バッテリーが減っているものもありますが、これに比べると本機は2日間使ってもバッテリーの減りは30%くらい。実感としても「ほとんど減らない」と思うほどでした。バッテリー残量を気にせず使えるというのは、かなりありがたいです。またGPSを作動させて使っても約30時間バッテリーが持つので、マラソンやトライアスロンなど、長時間行うスポーツでも余裕をもって対応できるでしょう。
付属の充電器はマグネット式のため、載せるだけで充電がスタート。このほか、Qi互換のワイヤレス充電にも対応
前モデルから進化したポイントのひとつは、Qi互換のワイヤレス充電ができるようになったことです。ロングバッテリーモデルなので頻繁に充電することはないのですが、ワイヤレス充電ができるのはかなり便利。また、ファーウェイの一部のスマホに搭載されているワイヤレス給電機能でも充電できます。
クラシックモデルにはシーンで使い分けられるベルトが2種類付属。上が樹脂製ベルトで、下が本革ベルト
ボディ重量約52gで、ケースサイズは46mm。1.39インチ、画素数454×454、画素密度326ppiのAMOLED(有機EL)ディスプレイを搭載。右側面にボタンを2つ搭載するだけのシンプルなデザインです。ボタンは上がメニューボタン、下が任意の機能を登録して起動できるショートカットボタンとして使用できます
デジタル表示からアナログ表示まで、ウォッチフェイスはデフォルトで13種類準備されています
デフォルトのウォッチフェイスに加えて、ウォッチフェイスのカスタマイズ機能を搭載。ただし200種類以上用意されるウォッチフェイスから選べるのはAndroidアプリと連携させた場合のみとなります(※iOS版のアプリからは、新たなウォッチフェイスを追加できません)。さらに、ファーウェイ製スマートフォンを持っている場合は、スマホで撮影した写真をウォッチフェイスにすることも可能です。
電力消費が少ない新しい心拍センサーを搭載。終日駆動してもバッテリーの減りにはあまり影響がありません
ケースの背面には新たにアルゴリズムが改良された「HUAWEI TrueSeen 4.0+」を搭載する心拍センサーを備えます。このセンサーではストレスモニタリングなどの活動記録なども可視化できるようになりました。また、心拍数計測の精度が高まったほか、消費電力も低減。これにより登山やハイキングなど、駆動時間が長いアクティビティで心拍数計測を行っても、十分に対応できるようになっています。
スマートウォッチと連動する専用のアプリ「HUAWEIヘルスケア」の画面。終日時計を装着していると、ストレスレベルから睡眠時の状態までモニタリングできる
ストレスレベルの計測は、新しく追加された機能のひとつ。この世の中、ストレスからは逃げられないものだとは思いますが、どんな場面、どんな場所でストレスレベルが高くなったかを把握することで、ストレスに対する対処が行いやすくなります。実際にモニターしてみると、自宅でのんびりスマホを見ている時にはストレスレベルが低下しているので、リラックスしている状態であることがわかります。
気圧、高度計も搭載。特に気圧計は、登山中の急激な天候の変化も素早く察知できるので便利
「WATCH GT 2 PRO」には100種類以上のスポーツのトラッキングに対応し、専用のトラッキングメニューが用意されている「プロスポーツ」モードが備わっていますが、ここに新たに「スキー」と「ゴルフ」が追加されました。また、ダンスでも、「ジャズダンス」や「ラテンダンス」など、ワークアウトのモードが細かく用意されるなど、ほとんどすべてのスポーツが網羅されている印象です。特にゴルフの「ドライビングレンジモード」では、内蔵の加速度センサーなどを活用し、スイング数やスイング速度、スイングテンポなどのデータを収集し、スコアアップの手助けをしてくれるので、ゴルフ練習に役立ちます。
トラッキングできるワークアウトは100種類以上
ランニングモードの表示画面。心拍数やペースなど、確認したい数値のフォントの大きさや配置が絶妙なので、走っている途中でも読み取りやすい
今回は「ランニングモード」を使用してジョギングを行ってみました。GPSによる現在位置の補足の早さは前モデルゆずりで、起動したらすぐに走り始めることが可能です。今回は、あえてほかのメーカーのGPSスポーツウォッチと併用してみましたが、距離やペース、心拍数などの数値はほぼ同じ。精度的にも問題はないようでした。
ストライド、歩数、登った高さなど、ランニングしたルートの詳細なデータを閲覧可能
ランニングのデータは連携させるスマホアプリ「HUAWEIヘルスケア」で詳しく確認可能です。特に便利と思ったのが下段(上記写真)の項目「休息時間」。心拍数や走行ペースなどから筆者自身の疲労具合を計測し、最適な休息時間を示してくれるというものです。ランニングにハマってしまうと、ついつい「走ることだけ」に注目しがちなのですが、実はしっかりと身体を回復させることが運動を長く続けるコツなので、休憩する時間の目安を教えてくれるのはありがたいです。
新機能としては、GPSを使って道のりを追跡する「ルートバック」という機能が便利です。ランニングはもちろん、特に山歩きやクロスカントリーに活用できるもので、通過した軌跡を画面上で表示してくれるため、もし道に迷った場合でもルートをたどることで、楽にスタート地点に戻ることができます。
新搭載の「ルートバック」機能。スマホを持っていなくても、たどってきた軌跡が時計に表示される
アプリ上でのルートの表示画面。時計で収集したデータを取り込み、たどってきた道筋を地図上でわかりやすく表示してくれます
「WATCH GT 2 PRO」に搭載されている機能の豊富さやデザイン性の高さは、従来モデルよりもさらに強化されているように感じました。特に、心拍数のデータをベースにした「ストレスレベル」や、ワークアウトでの「休息時間」などが確認できるようになった点はポイントが高い! 日々のコンディションを気遣うようにうながされるスマートウォッチは多いですが、「WATCH GT 2 PRO」は特にそのあたりが強化された印象です。
入院中の体調チェックにも使用されている「血中酸素飽和度」も簡単に確認できる
アスリートの日々のコンディションチェックや、入院中の体調管理にも使われる「血中酸素飽和度(SpO2)」が確認できる機能も実用的でした。一般的には指先に洗濯ばさみのようなものを挟んで計測しますが、「WATCH GT 2 PRO」では心拍数と同じように手首だけで計測可能です。
さまざまな角度から健康状態をチェックして休息をうながしてくれる「WATCH GT 2 PRO」は、身体にやさしいスマートウォッチだなと感じさせられました。十分に休息してケガを防ぎながら運動したい、そんな人に向いた製品でしょう。