レビュー
廉価版だがベースモデルとの違いはわずかのSIMフリーモデル

1週間持つバッテリーとeSIM対応が魅力。ソニー「Xperia 10 III lite」レビュー

今夏発売され、人気のスマートフォン、ソニー「Xperia 10 III」に、SIMフリーの廉価モデル「Xperia 10 III Lite」が追加された。ベースモデルとの大きな違いはないものの、eSIM+SIMカードのデュアルSIM機となっている点が大きな違いだ。そんな本機を2週間ほど使ってみた。

廉価版だが性能は「Xperia 10 III」とほぼ同じ

「Xperia 10 III Lite」は、「Xperia 10 III」の廉価版SIMフリーモデルとして、8月下旬に、楽天モバイルおよび、一部のMVNOから発売された。外見や基本性能の大部分は「Xperia 10 III」と共通で、約68(幅)×154(高さ)×8.3(厚さ)mm、重量約169gのボディに、2,520×1,080のフルHD+表示に対応する約6.0インチの有機ELディスプレイを搭載する。SoCも「Snapdragon 690G」で6GBのメモリーを備える点も変わっていない。異なるのはストレージの容量で、「Xperia 10 III」の128GBから64GBにスペックダウンしている。価格は、販路によって差はあるが、5万円以下で発売されることが多く、大まかな印象では「Xperia 10 III」よりも1割ほど安い。昨今のスマートフォンはどれも大型化しているが、「Xperia 10 III Lite」のボディは比較的コンパクトで、携帯性にすぐれるのがメリット。加えて、ボディがIPX5/8等級の防水とIP6X等級の防塵に対応しており、FeliCaポートは交通系ICカードの併用に対応するなど機能性も高い。なお、ヘッドホン端子は搭載するがスピーカーはモノラルとなる。

横幅は約68mm、重量約169gというコンパクトなボディが魅力

横幅は約68mm、重量約169gというコンパクトなボディが魅力

最初期状態における本機のストレージ容量。64GBのストレージのうちユーザーが使えるのは約48GBで、そのうち約3GBが使用済み。実質は約45GBとなる

最初期状態における本機のストレージ容量。64GBのストレージのうちユーザーが使えるのは約48GBで、そのうち約3GBが使用済み。実質は約45GBとなる

背面は、「Xperia」シリーズに共通するフラットなデザインとカメラの配置だ

背面は、「Xperia」シリーズに共通するフラットなデザインとカメラの配置だ

ボディ下面に備わるUSB Type-Cポートは、USB PD規格による約18W(17.5W)の急速充電に対応する。なお、本機の製品パッケージに充電器は含まれていない

ボディ下面に備わるUSB Type-Cポートは、USB PD規格による約18W(17.5W)の急速充電に対応する。なお、本機の製品パッケージに充電器は含まれていない

ボディ上面にヘッドホン端子を配置。上位モデルで搭載されていたサウンドエンハンサー「DSEE Ultimate」にも対応している

ボディ上面にヘッドホン端子を配置。上位モデルで搭載されていたサウンドエンハンサー「DSEE Ultimate」にも対応している

ボタンはボディ右側面に集中して配置。左(ボディ下側)から、Googleアシスタントボタン、指紋認証兼電源ボタン、ボリュームボタンという並び順

ボタンはボディ右側面に集中して配置。左(ボディ下側)から、Googleアシスタントボタン、指紋認証兼電源ボタン、ボリュームボタンという並び順

本機の有機ELディスプレイは、Xperiaシリーズの特徴であるノッチやパンチホールのない平面ディスプレイで、視界を妨げるものがないため映像に集中できるのが魅力。ただ、低照度時では、暗部にブロックノイズや色かぶりが認められるなど、周囲の環境に画質の見え方が変わるところがある。なお、最近増えている高リフレッシュレートや高速タッチサンプリングレートには対応していない。

視界をさえぎるノッチやパンチホールのない平面ディスプレイを搭載。映像に集中できる

視界をさえぎるノッチやパンチホールのない平面ディスプレイを搭載。映像に集中できる

処理性能は、おおむね2017年型のハイエンドSoC「Snapdragon 835」搭載モデルに近く、1世代前の「Xperia 10 II」と比較すると、処理性能は3割ほど、グラフィック性能は倍近い性能向上を果たしている。体感速度は、高負荷なゲームなどではもたつきを感じるが、WebページやSNSをチェックするような使い方なら十分快適に使えるだろう。また、メモリーが6GBと多めなので、タスクの切り替えは比較的スムーズだ。

OSは、Android 11だ。プリインストールされるアプリも基本的なものに限られており、セットアップ時に、多くのアプリをインストールするか選ぶ仕様となっている。そのため、初期状態のアプリはかなり少ない。

楽天モバイル版の「Xperia 10 III lite」の初期設定直後のアプリ一覧。Google Mobile Service(Googleの基本アプリ)アプリと、カメラやおサイフケータイのほか、ソニー系アプリが追加される。今回は楽天モバイルのSIMを使ったが、「楽天Link」など楽天モバイル系アプリはユーザー選択となる

楽天モバイル版の「Xperia 10 III lite」の初期設定直後のアプリ一覧。Google Mobile Service(Googleの基本アプリ)アプリと、カメラやおサイフケータイのほか、ソニー系アプリが追加される。今回は楽天モバイルのSIMを使ったが、「楽天Link」など楽天モバイル系アプリはユーザー選択となる

アイコンや文字を大きくする「かんたんホーム」も搭載。「設定」→「アプリと通知」→「詳細設定」→「標準のアプリ」→「ホームアプリ」まで進み、「かんたんホーム」を選ぶことで切り替わる

アイコンや文字を大きくする「かんたんホーム」も搭載。「設定」→「アプリと通知」→「詳細設定」→「標準のアプリ」→「ホームアプリ」まで進み、「かんたんホーム」を選ぶことで切り替わる

「Xperia 1」シリーズを踏襲した、超広角、広角、望遠のトリプルカメラを搭載

本機のメインカメラは、約1,200万画素の標準カメラ(27mm)、約800万画素の超広角カメラ(16mm)、約800万画素の望遠カメラ(54mm)という組み合わせのトリプルカメラだ。超広角を起点にすると約3.38倍の光学ズーム撮影が行える。フロントカメラは約800万画素となる。これらのカメラの性能も「Xperia 10 III」と同じだ。

超広角から望遠までカバーできるのは、上位モデル「Xperia 1」シリーズと共通する特徴だ。また、パノラマ撮影やスローモーション動画撮影、美顔撮影の「ポートレートセルフィ」といった、Xperiaシリーズではおなじみの機能も搭載されている。

以下にメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のまま、カメラ任せのオートモードを使用している。

超広角カメラで撮影

日中に風景を超広角カメラで撮影。曇り空や庭の様子が広く構図に収まっている。空の明るさに引きずられたのか、HDRが動作している割に構図全体がアンダー気味だ

日中に風景を超広角カメラで撮影。曇り空や庭の様子が広く構図に収まっている。空の明るさに引きずられたのか、HDR

広角カメラで撮影

が動作している割に構図全体がアンダー気味だ

上と同じ風景を広角カメラで撮影。全般にアンダー気味な点は変わらないが、周辺部分まで解像感は良好だ

上と同じ風景を広角カメラで撮影。全般にアンダー気味な点は変わらないが、周辺部分まで解像感は良好だ

望遠カメラで撮影

さらに同じ風景を、望遠カメラで撮影。遠景のビルが大きく写り、ズームの効果を実感できる。ただし、ホワイトバランスがマゼンタに寄っており、超広角カメラ、広角カメラとは違うトーンになっている

さらに同じ風景を、望遠カメラで撮影。遠景のビルが大きく写り、ズームの効果を実感できる。ただし、ホワイトバランスがマゼンタに寄っており、超広角カメラ、広角カメラとは違うトーンになっている

超広角カメラで撮影

超広角カメラで夜景を撮影。超広角らしい広々とした構図だ。こちらもHDRが動作している割に、ハイライト部分の白飛びが見られる。やはり明暗差にはあまり強くないようだ

超広角カメラで夜景を撮影。超広角らしい広々とした構図だ。こちらもHDRが動作している割に、ハイライト部分の白飛びが見られる。やはり明暗差にはあまり強くないようだ

広角カメラで撮影

上と同じ風景を標準カメラに切り替えて撮影。構図やや左上のハイライトが白飛びを起こしているものの、こちらほうが肉眼の印象に近い明るさでノイズも少ない

上と同じ風景を標準カメラに切り替えて撮影。構図やや左上のハイライトが白飛びを起こしているものの、こちらほうが肉眼の印象に近い明るさでノイズも少ない

望遠カメラで撮影

同じ風景を望遠カメラで撮影。光量を確保するためISO感度が1768まで高められ、全般にざらついた印象になった。ハイライトの色飛びも見られる

同じ風景を望遠カメラで撮影。光量を確保するためISO感度が1768まで高められ、全般にざらついた印象になった。ハイライトの色飛びも見られる

3基のカメラのうち、標準カメラとなる広角カメラは比較的良好な画質だが、望遠カメラや超広角カメラは、ホワイトバランスのずれ、ノイズが現われやすい。また、ダイナミックレンジが狭いため、明暗差の大きな構図ではオートHDRが動作しても、白飛びが抑えられないことが多かった。

電池持ちは優秀。待ち受け主体なら1週間の電池持ちも可能

本機は4,500mAhのバッテリーを内蔵している。楽天モバイルが公表しているスペックによると、連続通話時間(4G)は約35時間、連続待ち受け時間(4G)は約690時間となっている。本機と同じ5G対応のミドルレンジスマートフォンであるオッポ「Reno5 A」の連続通話時間が約24時間、連続待ち受け時間は約350時間なので、本機の電池持ちはかなり良好な部類と言えるだろう。

加えて、本機のバッテリーは、充放電の繰り返しで起こる劣化を抑えた新しいタイプのもので、3年使っても、十分なバッテリー持続時間が確保されるという。さらに、ユーザーの生活サイクルを学習して、バッテリーに負担のかかるフル充電状態を短く保つ「いたわり充電」や、充電中の電流を調節する「充電最適化技術」も搭載されている。

実際に使ってみたが、セットアップなどで通信を多用し、ベンチマークアプリを何回も動作させ、4K動画撮影、静止画の撮影数百ショット以上などかなり酷使させても、半日で20%のバッテリー消費で済んだ。また、1日に30分ほどWebページやSNSを使う待ち受け主体の使い方なら、フル充電から6日以上バッテリーが持続した。それほどひんぱんに使わない人なら、1週間の電池持ちも夢ではない。

eSIMとSIMカード両方に対応。

本機の注目ポイントはやはりeSIM対応だろう。従来からのnanoSIMカードスロットも1基搭載しており、eSIMとSIMカードの組み合わせのDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)に対応している。なお、2021年9月8日時点で、国内4キャリアのメインブランド、サブブランド、オンライン専用ブランドすべてがeSIMに対応した。ちなみに、本機は、楽天モバイル、NTTドコモ系、KDDI系のSIMに対応する。(NTTドコモとKDDIのeSIM対応機リストに本機は含まれていない)

eSIMの利点は、契約から開通までの時間が概して短いことと、複数のSIMデータ(プロファイル)を保存して、随時切り替えて利用できる点がある。また、海外でeSIMを購入して、時間を節約するという使い方も考えられる。ただし、eSIMもSIMカードも設定の必要は同じで、SIMの交換・切り替えにはある程度の知識がいる。eSIMだから取り扱いが簡単ということはないので、その点は注意したい。

本機は5Gにも対応している。5Gの対応バンドはn77およびn78のSub6帯の2バンドのみで、NTTドコモが使用しているn79には非対応。そのためNTTドコモの5Gの通信エリアは狭くなる。また、KDDIが推進している4Gの周波数帯を5Gに転用したエリアにも対応していない。4Gの対応バンドは、Band 1/3/4/12/18/19/38/41となっており、SIMフリースマートフォンとしては多いほうとは言えない。そのため、海外では、エリアの狭さを感じやすいかもしれない。

1基のnanoSIMカードスロットとeSIMに対応、2つのSIMをDSDVで運用できる

1基のnanoSIMカードスロットとeSIMに対応、2つのSIMをDSDVで運用できる

電池持ちにすぐれたライトな使い方に適したXperia

本機は、人気モデルの廉価版と言うことで人気を集める要素が揃っている。性能を見ても防水・防塵ボディやFeliCaポート、ヘッドホン端子など十分で、多くの人が不満なく使えるだろう。また、バッテリー持ちも良好で、待ち受けが多い人なら1週間の電池持ちも狙えるレベルだ。

ただし、いくつか注意したい点もある。まず、64GBという本機のストレージは、決して余裕があるとは言えない。ゲームや電子書籍データ、音楽データなどを保存すると容量不足を感じやすくなるだろう。また、競合モデルで見られる高速駆動ディスプレイやステレオスピーカー、高画質なカメラといったプラスαの魅力に乏しい。

本機はその名前の通り「Lite」な使い方を想定したXperiaと言えるだろう。コンパクトなボディに必要な機能は備えた手堅い製品として、多くの人が安心して普通に使えるはずだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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