レビュー
機能と価格のバランスにすぐれ、実用性も十分

税込59,800円の最新ゲーミングスマートフォン「Black Shark4」レビュー

ゲームプレイに最適化されたゲーミングスマートフォンは、基本スペックも高いため、高価な製品が多いが、2021年8月から発売されている「Black Shark 4」は、税込59,800円という比較的手ごろな価格が魅力だ。しかし、その実力はあなどれない。そんな本製品をレビューした。

コスパにすぐれたゲーミングスマートフォン

ゲーム用途に特化したゲーミングスマートフォン(以下、ゲーミングスマホ)という製品が、じわじわと増えている。しかし、それらの多くは10万円以上の販売価格で、ヘビーユーザー向けの製品という印象が強い。だが、今回取り上げるBlack Sharkの「Black Shark 4」の価格は、59,800円(税込)。最新のゲーミングスマホとしては珍しい、お値打ち価格が特徴だ。

Black Shark社は、中国・深センに本拠地を置くゲーミングスマホ専門のメーカーだ。シャオミの資本に属しているが、日本国内ではシャオミではなく、IT系商社であるビーラボが販売代理店となっており、サポートも同社が受け持つ。

「Black Shark 4」は、約76.3(幅)×163.8(高さ)10.3(厚さ)mm、重量約210gのボディに、2,400×1,080のフルHD+表示に対応する約6.67インチの有機ELディスプレイを搭載する。なお、このディスプレイは最高144Hzのリフレッシュレートと720Hzのタッチサンプリングレート(シングルタッチ時)に対応する高性能なもの。またHDR10+にも対応している。

外部接続インターフェイスとしては、USB Type-Cポートとヘッドホン端子を備える。なお、NFCポートとFeliCaポートは非搭載だ。スピーカーは2基搭載しており、ステレオ出力が可能。指紋認証センサーはボディ側面に配置される、また、LとRの物理ボタン式のショルダーボタンを備えている。

最高144Hzのリフレッシュレートと720Hzのタッチサンプリングレート(シングルタッチ時)に対応する有機ELディスプレイを搭載。わかりにくいが、写真中の画面左側にフロントカメラを収めるパンチホールが配置されている

最高144Hzのリフレッシュレートと720Hzのタッチサンプリングレート(シングルタッチ時)に対応する有機ELディスプレイを搭載。わかりにくいが、写真中の画面左側にフロントカメラを収めるパンチホールが配置されている

忍者をイメージしたという背面のデザイン。派手なものが多いゲーミングスマホとしては比較的落ち着いたデザインと言える

忍者をイメージしたという背面のデザイン。派手なものが多いゲーミングスマホとしては比較的落ち着いたデザインと言える

ボディ下面に、スピーカーおよびUSB Type-Cポートとヘッドホン端子が配置される

ボディ下面に、スピーカーおよびUSB Type-Cポートとヘッドホン端子が配置される

横位置にした場合の本体上部左右のコーナー付近にLとRの物理ボタンを備えている。このボタンは、通常は内部に格納されており、ボタンをスライドさせることでせり上がるという機構だ

横位置にした場合の本体上部左右のコーナー付近にLとRの物理ボタンを備えている。このボタンは、通常は内部に格納されており、ボタンをスライドさせることでせり上がるという機構だ

本機に搭載されるSoCは「Snapdragon 870」で、8GBのLPDDR5メモリーとUFS3.1規格の128GBストレージを組み合わせる。OSはAndroid 11だ。増設用のメモリーカードスロットは非搭載となっている。

SoCの「Snapdragon 870」は、2021年1月に発表されたSnapdragonシリーズとしてはハイエンド向けのSoCだ。搭載されるCPUコア「Kryo 585」は、2020年型のハイエンドSoCである「Snapdragon 865」にも搭載されているが、「Snapdragon 870」では、動作クロックの上限が2.84GHzから3.2GHzに引き上げられている。なお、ゲーム用途で重要となるGPUコアは「Adreno 650」で、こちらも「Snapdragon 865」と同じものだが、こちらの上限動作クロックも587MHzから670Hzに引き上げられている。

定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使用して処理性能を計測したところ、総合スコアは587,422(内訳、CPU:132,021、GPU:252,493、MEM:101,462、UX:111,346)となった。このスコアを、上位SoC「Snapdragon 888」を搭載するゲーミングスマホ、Nubia Technology「Redmagic 6」の827,520(内訳、CPU:207,886、GPU:316,754、MEM:141,008、UX:161,872)と比べると、およそ2〜3割低いことになる。なお、上述の「Snapdragon 865」を搭載するソニー「Xperia 1 II」の総合スコア644,932(内訳、CPU:184,082、GPU:216,767、MEM:109,956、UX:134,127)で、これと比べても、総合スコアは1割程度低い。ただし、サブスコアの“GPU”については、本機のほうがやや高いという結果になった。

AnTuTuベンチマークの結果。左が本機、中央が「Snapdragon 865」を搭載する「Xperia 1 II」のもの、右は「Snapdragon 888」を搭載する「RedMagic 6」のもの。「Xperia 1 II」よりもグラフィック性能が高い点は注目だろう

AnTuTuベンチマークの結果。左が本機、中央が「Snapdragon 865」を搭載する「Xperia 1 II」のもの、右は「Snapdragon 888」を搭載する「RedMagic 6」のもの。「Xperia 1 II」よりもグラフィック性能が高い点は注目だろう

スマートフォンでのゲームプレイにおいては、SoCが高負荷の状態が長く続く。そのため、ゲーミングスマホでは、SoCが発熱によってパフォーマンスダウンしないよう、冷却機能が重視される。この点、本機は、液冷のベイパーチェンバーと液冷パイプを組み合わせたサンドイッチ構造の冷却ユニットを、SoC、通信モデム、充電制御チップという主要な熱源をカバーするように配置されている。これにより本機は、前モデル「Black Shark3」よりも3割の放熱効果アップを実現しているという。

液冷のパーツを2つ組み合わせた冷却ユニットを搭載。前モデル「Black Shark3」よりも3割の放熱効果アップを実現しているという

液冷のパーツを2つ組み合わせた冷却ユニットを搭載。前モデル「Black Shark3」よりも3割の放熱効果アップを実現しているという

実際に、重量級と言われるFPS「フォートナイト」と、MMORPG「原神」を合計3時間続けてプレイしてみたが、明らかな熱だれは感じられず、ボディ表面の発熱も、持つことが不快になるレベルまで上昇することはなかった。上位SoCである「Snapdragon 888」搭載機と比べると、処理性能・グラフィック性能に見劣りを感じる部分はあるが、発熱の少ない本機は長時間でも快適に使えるという利点があり、ゲームプレイでもより実用的な性能を備えていると言えそうだ。

搭載されるバッテリー容量は4,500mAhで、最高で120Wの急速充電に対応している。国内向けモデルでは出力67WのACアダプターが同梱されており、約22分でフル充電が可能だ。なお、本機はボディやバッテリーの発熱を抑えるダイレクト給電機能が搭載されていない(ACアダプターから直接給電する機能)。

本機の大きな特徴であるディスプレイは、144Hzのリフレッシュレートと、720Hzのタッチサンプリングレートに対応している。このディスプレイ性能は、ゲーム専用モード「SharkSpace 4.0」に登録したアプリに対して、個別に設定することで利用できるようになる。なお、通常のアプリについては、120Hzのリフレッシュレートとなる。

本機のディスプレイは、720Hzの微細なリフレッシュレートに対応するうえ、アルゴリズムの改良とシステムの微調整により、0.004mmの差を見分けるタッチ精度を実現しており、繊細な操作の違いまで読み取れるすぐれもの。画面も6.67インチと広く、形状もフラットなので、総じてタッチ操作が行いやすい。ショルダーボタンも操作性を高めるのに効果的だ。

実際にゲームをプレイしてみて感じたのは、タッチ抜けの少なさと、タッチとフリックの識別精度の高さだ。これらの性能により、操作ミスが減点に繋がるリズムゲームでは、ハイスコアの更新やフルコンボの達成頻度が上がりやすく、操作にキレがある。なお、タッチ操作のダイレクト感はとても良好ではあるが、240Hzのタッチサンプリングレートのものと比べて明らかな差は、筆者には感じられなかった。ちなみに720Hz駆動時は、ディスプレイやボディが熱を持ちやすくなり、バッテリー持ちも少し悪くなる。

「SharkSpace 4.0」モードは、LとRのショルダーボタンを同時にせり上げることで切り替わる

「SharkSpace 4.0」モードは、LとRのショルダーボタンを同時にせり上げることで切り替わる

「SharkSpace 4.0」の動作中には、メニューが専用のプルダウンメニューに切り替わる。プルダウンメニューの中央には、フレームレートが表示される

「SharkSpace 4.0」の動作中には、メニューが専用のプルダウンメニューに切り替わる。プルダウンメニューの中央には、フレームレートが表示される

144Hzの720Hzのタッチサンプリングレートは「SharkSpace 4.0」に登録したアプリのみで動作する。通常のアプリについては自動的に120Hzに設定される

144Hzの720Hzのタッチサンプリングレートは「SharkSpace 4.0」に登録したアプリのみで動作する。通常のアプリについては自動的に120Hzに設定される

ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの5Gと4Gに対応

ネットワーク機能に関して見ると、2基のnanoSIMカードスロットを備え5G、4G、3Gのネットワークに対応する(DSDV対応)。5Gの対応バンドはn1/3/8/28/41/77/78で、現在サービス中である5GのNSAモード(ノン・スタンドアロンモード)に加えて、5Gのフル機能に対応するSAモード(スタンドアロンモード)にも対応している。4Gの対応バンドはBand1/3/5/8/18/19/26/28/34/38/39/41(国内向けバンドのみピックアップ)だ。国内の主要キャリアでは、NTTドコモ系(ahamoを含む)、KDDI系(au、UQ mobile)、ソフトバンク系(ワイモバイルを含む)、楽天モバイル(MNO)の5Gと4Gに対応している。4Gでは、NTTドコモのB19や、KDDIのB18、ソフトバンクのB8といったプラチナバンドに対応しているのは心強い。いっぽう、5Gのn79に対応していないため、同バンドを使うNTTドコモの5Gではエリア面で不利になる場合がある。

クセが少なく使いやすいカメラ

カメラ機能を見てみよう。本機のメインカメラは、約4,800万画素の標準カメラ(Ultra HDレンズ、焦点距離26mm)、約500万画素の広角カメラ(焦点距離16mm)、約800万画素のマクロカメラ(日本語情報では望遠カメラとなっているが、グローバルサイトの情報や実機はマクロカメラ)という組み合わせのトリプルカメラだ。なお、フロントカメラは約2,000万画素となる。

メインカメラは、標準カメラ、広角カメラ、マクロカメラという組み合わせのトリプルカメラだ

メインカメラは、標準カメラ、広角カメラ、マクロカメラという組み合わせのトリプルカメラだ

以下に本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のままカメラ任せのオートモードを使用している。

標準カメラで撮影

窓から外の様子を望むことで明暗差の大きな構図を作った。暗部の壁面のディテールはつぶれ気味だが、窓の外のハイライト部分はなかなか鮮明。発色を極端に強調しておらず、カメラとしては正統派な絵作りと言える

窓から外の様子を望むことで明暗差の大きな構図を作った。暗部の壁面のディテールはつぶれ気味だが、窓の外のハイライト部分はなかなか鮮明。発色を極端に強調しておらず、カメラとしては正統派な絵作りと言える

広角カメラで撮影

上と同じ風景を広角カメラに切り替えて撮影。焦点距離が約1.6倍も近く違うため、室内の様子がより広々とした印象になる。全体的なトーンは標準カメラと変わらないが、少々ざらついた画質で、窓の外のハイライト部分が白飛びを起こしている

上と同じ風景を広角カメラに切り替えて撮影。焦点距離が約1.6倍も近く違うため、室内の様子がより広々とした印象になる。全体的なトーンは標準カメラと変わらないが、少々ざらついた画質で、窓の外のハイライト部分が白飛びを起こしている

マクロカメラで撮影

ライティングを行ったスタジオで色鉛筆をぎりぎりまで接写。さすがに近すぎて影になってしまったが、鮮明に写っている

ライティングを行ったスタジオで色鉛筆をぎりぎりまで接写。さすがに近すぎて影になってしまったが、鮮明に写っている

ナイトモードで撮影

鍾乳洞をナイトモードで撮影。肉眼では薄暗い構図だが、手ブレやノイズが見られず、かなり鮮明だ。なお、ナイトモードに対応するのは標準カメラのみとなる

鍾乳洞をナイトモードで撮影。肉眼では薄暗い構図だが、手ブレやノイズが見られず、かなり鮮明だ。なお、ナイトモードに対応するのは標準カメラのみとなる

本機のカメラは、ゲーミングスマホとしては優秀で、肉眼の印象に近い、オーソドックスな写真が撮影できる。今回の検証中、数百ショットは撮影したが、あからさまな手ブレや被写体ブレ、フレア、ゴーストの発生は見られず、さまざまな構図で安定した撮影が行えた。画質や使い勝手の点で決定的な不満はなく、ミドルレンジ機としては質の高いカメラという印象だった。

ゲーミングスマホらしい機能性と、手ごろな価格を両立

ゲームプレイに特化したゲーミングスマホは、基本スペックが高いうえに、こだわりの機能も多く、概して高価になりやすい。そんな中で、本機の59,800円という価格はとても魅力的だ。若年層のゲーミングユーザーでも、本機の価格ならかなり購入しやすいだろう。

基本的な処理性能やグラフィック性能も十分高く、カメラ性能なども十分。本機は、価格と性能のバランスがとれた完成度の高いゲーミングスマートフォンと言えるだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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